昆虫の大部分は園芸植物にとって無害または有益な虫達です。例えば昆虫は土壌の表層(作土層)に穴を掘り通気性を良くし栄養を下層に運びます。また昆虫は枯れた植物や死んだ昆虫を分解し植物が再利用できる形へと変えます。他にも害虫を食べる、蝶々や花蜂が庭を明るくするなど庭植物を維持する上で昆虫は欠かせません。
農薬を使い害虫を殺した場合は、これら益虫にも悪影響がでる事を理解し最適な対策をとりましょう。
目次 | |
症状別の目次② | |
花や葉に穴 | |
花や葉、新芽の奇形 | |
花や葉の色抜け | |
茎に穴 | |
枝枯れ | |
植物全体の萎れや枯れ |
体長:約2mm〜4mm
発生時期:4月〜11月
体色:赤/橙/緑/茶/黒等
アブラムシは日本に約700種ほどおり春から秋まで雌のみで繁殖して毎日数匹から十数匹の子供をうむ。10日ほどで成虫になり、気付いたら大発生していたと言う事も多い。新芽や葉の裏等に集団で寄生し植物から吸汁する。
主な症状と被害
- 新芽が縮む
- 葉が巻く
- 生育不良
- すす病の誘発
- ウィルス病の媒介と伝播
主な対策
- 手で潰す
- テントウムシをアブラムシのいる場所に放す
- バンカープランツの利用
- 牛乳を噴霧
- 農薬の噴霧
体長:約1mm〜2mm
発生時期:4月〜10月
体色:黄/黒等
成虫の体長は一般に1mm〜2mm程、体色は黄色や黒色、年に10回程発生し、多くは柔らかな葉や花を吸汁する害虫、一部ダニ等を食べる益虫がいます。産卵はギザギザの産卵管で柔らかな葉を傷つけて卵を産み付ける。
主な症状と被害
- 花の色抜け
- 蕾が開花しない
- 花の奇形化
- 新芽の奇形化
- 葉に筋状の傷
- 葉に白色/褐色の斑点
- ウィルス病の媒介と伝播
主な対策
- 花や新芽に入り込む性質があるため被害部位は摘み取り廃棄する。
- 青色の粘着プレートを劣りとして設置
- 農薬の散布
体長:約25mm〜40mm
発生時期:5月〜10月
体色:緑
オスは約25mm、メスは約40mm、交尾時以外にもメスの上にオスが乗ってるためオンブ姿がよく見られる。幼虫は5月頃に孵化し、成虫になる8月頃になると様々な園芸植物の花や野菜を食害する。
主な症状と被害
- 葉の食害
- 葉が穴だらけになる
主な対策と治療
- 雑草の刈り取り
- 捕殺
- 農薬の散布
体長:約2mm〜10mm
発生時期:6月〜10月
体色:白/茶等
日本には約400種がおり、成虫の体長は約2mm〜10mm、白色の綿状の物質に覆われたものから茶褐色のものまで様々な種がいる。年に一回から三回繁殖し庭木を吸汁する。
主な症状と被害
- 生育阻害
- 枝枯れ
- すす病の誘発
主な対策
- ブラシで擦り落とす
- 手で潰す
- 農薬の散布(幼虫のみ)
体長:約5mm〜11mm
発生時期:6月〜11月
体色:緑/茶等
日本には約1000種以上おり、成虫の体長は一般に約5mm〜11mm、緑色や茶褐色をしており年に一回から二回繁殖し植物に針状のストローを刺し吸汁する。外敵から襲われると臭腺から悪臭を出す習性があり別名「へっぷり虫」や「ヘクサムシ」と呼ばれる。
主な症状と被害
- 花の縮みや奇形
- 新葉の奇形や穴
- 果実のスポンジ化や奇形
主な対策
- 成虫は見つけ次第に捕殺する
- ガムテープでくっつけ取る
- 農薬の散布
体長:約15mm〜30mm
発生時期:5月〜8月
体色:黒等
成虫は体長が約15mm〜30mmの黒色をしており、柔らかな樹皮部分を食害ます。産卵では幹に傷を付け卵を産みつけ孵化した幼虫は1年〜2年かけて幹を食害し内部を空洞にします。
主な症状や被害
- 枝枯れ
- 空洞化による枝折れ
- 地際付近に木屑や糞がたまる
主な対策
- 成虫は見つけ次第捕殺
- 幼虫は針金を穴に入れ刺し殺す
- ノズル式の殺虫剤
体長:約9mm〜15mm
発生時期:5月〜11月
体色:緑/赤/茶等
成虫は体長が9mm〜15mm、5月頃より現れ花や葉を食害、産卵は土中に卵を産みます。幼虫は体長が2cm〜3cm程で根を食害するため植物に大きな被害を与える。
主な症状と被害
- 花の食害により穴が開く
- 葉は葉脈のみ残し食害される
- 根を食害され根量が減る
- 植物が倒れやすくなる
- 根の減少による生育不良
主な対策と治療
- 成虫は捕殺
- コンテナをバケツに入れ水攻め、出て来た幼虫を捕殺
- 土表面に不織布を敷き産卵を防ぐ
- 農薬の散布
体長:約2mm〜20mm
発生時期:3月〜10月
体色:黒/茶/黄等
成虫は体長2mm〜20mmに、年に1回〜2回発生する。新芽や蕾等に穴を開けるように食害、葉の食害、産卵された茎は折れて地面に落ちる。成虫は飛来してくるため防除が難しい、無農薬の花壇や畑での被害が多い。
主な症状と被害
- 新芽や蕾に穴が開き切断される
- 葉の食害
- 花の量が減る
- 生育が抑えられる
主な対策と治療
- 見つけ次第成虫は捕殺
- 農薬による防除
体長:約0.5mm〜2mm
発生時期:3月〜10月
成虫は体長約0.5mm〜2mm、土中で根に寄生し養分を吸収する。被害にあった植物の根は、ネコブセンチュウでは根コブ、ネグサレセンチュウでは根腐れが引き起こされる。
主な症状と被害
- 根腐れ(ネグサレセンチュウ)
- 細根の量が減る(ネグサレセンチュウ)
- 根にコブ(ネコブセンチュウ)
- 葉の退色や枯れ
- 植物全体の萎れ
- 生育不良
主な対策と治療
- 土壌の消毒
- マリーゴールドに防除効果がある
- 連作しない
体長:約50mm
発生時期:3月〜11月
体色:茶/白等
成虫は体長約50mm、湿り気のあるじめじめとした場所を好み、昼間は落葉の下や石の下に潜み日が暮れると若い葉や花弁を食害しに出てくる。
主な症状と被害
- 葉に穴もしくは薄皮が残る
- 葉や新芽の食害による生育不良
- 花や蕾の食害による観賞価値の低下
主な対策と治療
- 器にビールやオレンジジュースを入れた罠を土の上に仕掛け溺れさせる。
- 食害される植物の周りに石灰を撒く事で侵入を防ぐ
- 農薬を散布
体長:約3mm
発生時期:4月〜11月
成虫は体長約3mm、春先〜秋まで何度も発生し葉を傷つけ染みだす汁を吸う。産卵は葉に穴をあけ産み付けられる、幼虫は白色の筋模様が出るように葉を食害する事からエカキムシとも呼ばれる。
主な症状と被害
- 葉に白色の筋状の模様がつく
- 被害が進むと葉全体が食害され枯れ落葉する。
主な対策と治療
- 被害を受けた葉は摘み取り処分する。
成虫は体長約4mm、4月〜10月まで何度も発生し葉を傷つけ染みだす汁を吸う。産卵は葉に穴をあけ産み付けられる、幼虫は白色の筋模様が出るように葉を食害する事からエカキムシとも呼ばれる。
主な症状と被害
- 葉に白色の筋状の模様がつく
- 被害が進むと葉全体が食害され枯れ落葉する。
主な対策と治療
- 被害を受けた葉は摘み取り処分する
成虫は体長約0.1mm〜0.2mm、春先〜秋まで成虫は毎日1個産卵し2〜3日で孵化した後10日程で成虫になる、世代交代が早く短期間で大量発生する事がある。一般に葉の裏に寄生し柔らかな葉を吸汁するため葉の色抜けがおこる、また花弁も吸汁する事があり花の色抜けがおこる。
主な症状と被害
- 葉がクモの巣状の糸で覆われる事がある
- 葉がかすり状に黄白化
- 葉の退色
- 花の退色
主な対策と治療
- 葉裏に強い散水
- 粘着テープ等でこまめに取り除く
- 天敵(かぶりだに)の利用
- 農薬の散布
ハムシは小さな羽のある甲虫を総称しており、成虫は体長が約2mm〜15mmで生きた植物の葉を葉脈を残し網の目状に食害する。幼虫は一般に土中で根を食害し葉を食害するものもいる。
主な症状と被害
- 葉に丸い穴がいくつも開く
- 食害された葉は編み目状になり観賞価値が落ちる
- 根が食害されると生育不良になり症状が進むと枯れる事もある
主な対策と治療
- 光を反射するマルチングで成虫の飛来を防ぐ
- 植物についた成虫は捕殺する
- 薬剤の散布
ハバチは蜂の仲間ですが、一般の蜂と比べ胸部と腹部の堺にくびれをもたない原始的な形をしています。また毒針を持たず食性が植物に依存するものが殆どです。特に幼虫は被害が甚大になる事が多く、短期間で大量の幼虫に葉の葉脈のみを残して食べられ丸裸にされる事もあります。
主な症状と被害
- 太い葉脈を残し葉を食害
- 幼虫は放置すると株の殆どの葉が食べられ丸坊主になる
- 成虫にはギザギザの産卵管があり茎を浅く傷つけ卵を産み付ける
- 卵が孵化すると枝は裂ける
主な対策と治療
- 幼虫は昼間も食害しているため、見つけたら葉ごと処分する。
- 農薬を散布する
成虫は約0.1mm〜0.2mm、柔らかな新芽や新葉、蕾に寄生して吸汁する。繁殖力があり発育期間も短い事から大発生しやすく大きな被害をうむこともある。
主な症状と被害
- 新芽や新葉、蕾の萎縮または奇形
- 新芽や新葉の枯れ
- 生育不良
主な対策と治療
- 防ダニ剤の散布
ヨトウムシ(夜盗虫)は、昼間は土中に隠れ夜になると土中から地上に現れてイネ科以外の様々な植物を食い荒らす幼虫です。成虫のヨトウガは4月と9月〜10月に産卵します。卵は1〜2ヶ月すると孵化し幼虫は暫らく葉裏で集団で食害します。その後分散して土中に隠れると夜間だけ食害する様になります。
主な症状と被害
- 夜間の間に食害痕が出る
- 葉が食害され穴があく
- 花弁や蕾も食害される
主な対策と治療
- 4月〜6月、9月〜10月に産卵された卵や孵化直後の幼虫を探し駆除する
- 夜明けに食害された花の株元を掘り起こしヨトウムシを駆除する。
- 被害にあった株の近くを夜間に見回り駆除する。
- 株元に農薬を散布する。