原産:ヨーロッパ
科:ナデシコ(Caryophyllaceae)
属:カスミソウ(Gypsophila)
種:レペンス(repens)
別名:アルパイン・ジプソフィラ(alpine gypsophila)/クリーピング・べビーズブレス(creeping baby’s breath)
開花時期:5月~8月
花の色:桃色●白色〇
葉色:緑色●
分類:多年草
草丈:約10~20cm
用途:グランドカバー
目次 | ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ジプソフィラ(レペンス)とは!?
ジプソフィラ(レペンス)は学名Gypsophila repens、別名「アルパイン・ジプソフィラ(alpine gypsophila)」や「クリーピング・べビーズブレス(creeping baby’s breath)」とも呼ばれるヨーロッパ原産の多年草です。
ジプソフィラ(レペンス)の語源(由来)
- 属名のGypsophilaは、ギリシャ語で「石膏」を意味する「gypsos」と、接尾辞で「最愛の」「親愛の」を意味する「-phila」の2語からきており、自生している場所に由来しています。
- 種小名のrepensはラテン語で「這う」「匍匐する」を意味しており、草姿に由来します。
ジプソフィラ(レペンス)の特徴(魅力)
- ジプソフィラ(レペンス)は地面を匍匐する様に広がる草姿をつくります。
- ↳そのため岩壁の隙間に植えられたり花壇の縁どりに利用されたり鉢植えに植えて溢れる様な草姿を鑑賞する目的で利用されます。
- 開花期になると株全体が花で覆われ美しい花姿をつくります。
- ↳そのためグランドカバーに利用すると美しい花の絨毯が見られます。
ジプソフィラ(レペンス)は地面下に根茎をもちます。茎は緑色で、傾状茎(地表を這い途中で立ち上がる)は地面を覆うように高さ約10(~20)cm幅約20(50)cmに広がる草姿をつくります。葉は茎に対して対生葉序に配置され、葉色は緑色(~青緑色)、葉身の大きさは長さ約0.5~3cmあり、葉身の形は線形です。花序は岐散花序で、個々の花の色は白色・桃色・紫色があり、花弁の数は5個、雄蕊が10個、雌蕊があります。花後の果実は蒴果で熟すと裂けて黒色の種子を放出します。
開花時期は晩春から晩夏、花色は白色もしくは桃色、個々の花は5数花(花弁5個)、花序は岐散花序に咲きます。草姿は傾状茎で地面を覆うように広がり高さ約10(20)cm × 幅は約20(50)cmまで成長します。葉色は緑色(~青緑色)、葉身は線形、葉序は対生葉序につきます。
ジプソフィラ(レペンス)の栽培方法
園芸では、株を覆い尽くす様に一斉に開花する花を鑑賞する目的で育てられます。草丈が低くよく分枝して地面を被覆する事から、花壇の縁どりや小道の脇等に並べて植えられ楽しまれる事が多く、また管理のしやすい鉢植えに植えられて鉢の縁部分からこんもりと溢れ出す草姿と花姿が楽しまれます。
カスミソウの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
カスミソウの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
ジプソフィラ(レペンス)の育て方
花壇の土づくり
日当り
ジプソフィラ(レペンス)は日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。
土壌のPH
ジプソフィラ(レペンス)は野生でも石灰質の岩場等に自生しており、PHは弱アルカリ性から中性の土壌を好みます。酸性土壌は生育不良を引き起こすため避けましょう。植付け前にPHを診断して、PHが低い場合は苦土石灰を入れる等してPHが6.5以上になるようにPHの改善を行いましょう。
土壌の土質
ジプソフィラ(レペンス)は通気性と排水性が良好な土壌を好みます。一方で土壌が粘土質で水捌けが悪い場合等は根腐れを引き起こしやすくなるため注意が必要です。そのため植付け前に土壌診断を行い、土質が粘土質な場合等は川砂やパーライト等を入れて通気性をよくしましょう。また適度に肥沃な土壌を好むため必要に応じて腐葉土等の堆肥を入れて土壌改善を行います。
鉢土づくり
日当り
ジプソフィラ(レペンス)は日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。ただし長雨が当たると根腐れや病気を引き起こす原因にもなるため、必要に応じて雨の当たらない場所(軒下等)に移動します。
培養土
培養土は酸性土壌を嫌うため、PH中性以上の通気性の高い草花の培養土を選びましょう。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土+くん炭=4:2:3:1
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土+苦土石灰(適量)=4:3:3:
培養土作成時の注意点
ジプソフィラ(レペンス)は酸性土壌を嫌うため、培養土にアルカリ性のくん炭や草木灰等を混ぜこむか、苦土石灰を混ぜ込む必要があります。
苦土石灰を混ぜ込む量は培養土の土質にも左右されますが、ジプソフィラ(レペンス)は砂質の土壌を好むため恐らく砂土に近い培養土を使っているはずです。
砂土のPHを1上げるには培養土10Lに対して苦土石灰10~15g程度を目安に使用します。基本的には1Lあたり1~1.5gの苦土石灰を混ぜ込むとよいでしょう。ただし培養土を強い酸性に傾ける無調整ピートモスや鹿沼土を利用した場合は話しが変わります。そのため培養土に使う用土は中性のものを利用する事がおすすめです。
水やりの仕方
地植え
ジプソフィラ(レペンス)を地植えしている場合は乾燥に強いため、極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。 ただし葉や花が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
ジプソフィラ(レペンス)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。土の表面の乾燥を確認する方法は目視(土の色)か、指の第1関節までを土に入れて乾燥しているかを確認します。
肥料の与え方
ジプソフィラ(レペンス)は適度に肥沃な土壌であれば、基本的にそれほど肥料を必要としません。
元肥の与え方
元肥は植え付け時に与える肥料の事です。ジプソフィラ(レペンス)の元肥は肥効が長い緩効性肥料を選びましょう。また成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)もしくは山型肥料(リン酸が多い)を選びます。
元肥の与え方は花壇の場合も鉢植えの場合も、基本的に土壌に均一に混ぜこむ全面施肥です。
おすすめの元肥
剪定のやり方
ジプソフィラ(レペンス)は基本的に剪定不要です。
夏越しする方法
ジプソフィラ(レペンス)は夏の高温期になると生育が衰え、また多湿環境では根腐れ等を引き起こし枯れてしまう事があります。そのため必要に応じて夏越し対策をしましょう。
ジプソフィラ(レペンス)の夏越し対策
- 鉢植えで育てている場合は、暑さと長雨対策として、西日の当たらない半日影や軒下等に移動するといいでしょう。
- 地植えで育てる場合は、雨にあたりにくい場所に植えてあげたり、必要に応じて遮光ネットを張るのも1つの対策です。
- 多湿に弱いため土壌の排水性を高めて、浸水しないようにしておく事も大切です。
冬越しする方法
Hardiness:4b~8a
ジプソフィラ(レペンス)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にありません。
挿し木や株分けで増やす
ジプソフィラ(レペンス)の挿し芽の手順
- ジプソフィラ(レペンス)の挿し芽時期は生育が活発で発根力が高い晩春から夏が適します。
- 挿し穂は今年成長した部分を利用します。
- ↳長さ約7~10cmでカットした後に、茎の下部の3分の1の葉を取り除きます。
- 切り口に発根ホルモンを付けます。
- 挿し穂を湿らせた培養土に挿して下さい。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりをしっかり行い管理しましょう。
播種で増やす
ジプソフィラ(レペンス)の種蒔の方法
播種時期:3月~5月・9月~10月(暖地)
発芽適温:約20度
発芽日数:7~21日
発芽条件:好光性種子
種まき手順
- ポットに種まき用の培養土を準備するか、直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種は好光性種子のため光がないと発芽しません。そのため種の上に土は被せません。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
ジプソフィラ(レペンス)の病気
- 疫病
- 菌核病
- 立枯病
- 斑点細菌病
ジプソフィラ(レペンス)の害虫
- アブラムシ
- ハダニ