- 原産:日本/中国
- 科:バラ(Rosaceae)
- 属:シモツケ(Spiraea)
- 種:ユキヤナギ(thunbergii)
- 別名:コゴメバナ/ツンベルグ・スパイリーア(Thunberg spiraea)/ツンベルグ・メドウスウィート(Thunberg’s meadowsweet)
- 開花時期:3月~5月
- 花の色:白色〇桃色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:半常緑低木
- 草丈:約100~200cm
- 誕生花:1月19日/1月21日/3月11日
- 花言葉:愛嬌/愛らしさ/気まま
- 用途:生垣
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ユキヤナギとは!?
ユキヤナギは学名Spiraea thunbergii、別名では「コゴメバナ」や「ツンベルグ・スパイリーア(Thunberg spiraea)」とも呼ばれる日本及び中国が原産の半常緑低木です。日本では関東以西に分布しており、河川水辺などに自生しています。
ユキヤナギの語源(由来)
- 属名のSpiraeaは古代ギリシャ語で「螺旋」「ひねり」を意味する「σπεῖρα(speira)」からきており、果実が螺旋状なることに由来すると言われています。
- 種小名のthunbergiiは、スウェーデンの植物学者で博物学者のカール・ペーテル・ツンベルク(Carl Peter Thunberg)への献名です。
- ユキヤナギの由来は、雪を思わせるような白色の花や、ヤナギを思わせるような細長い葉と枝垂れる樹形からきています。
ユキヤナギの特徴(魅力)
- ユキヤナギは、枝分かれがとてもよくふさふさした樹形をつくる傾向にあり、枝が弧状に湾曲して枝垂れながら、枝を覆うように沢山の花を咲かせる所が魅力の植物です。
- 園芸では一般的に花を鑑賞する目的で庭木として育てられたり、等間隔に並べインフォーマルな生垣として利用されたりします。
- 樹形は株立ち状で、地際から多数の茎を伸ばします。
- 茎はよく枝分かれするためふさふさとした密な樹形になりやすく、枝は弧状に湾曲して中央から外側へと広がる傾向が強いです。
- 花は腋性で、節ごとに約2~7個の花をつけ、枝を覆うように沢山の花を咲かせます。
- ユキヤナギの生垣は、とりあえず境界を示すインフォーマルな生垣として使われる事が多く、フォーマルな生垣のような整った形はしていません。
- ユキヤナギの生垣は、自然に広がる優雅な樹形やカスケードするように咲く花を楽しめる所が魅力です。
- ユキヤナギの生垣の植え付け間隔は成熟時の横幅を目安にして植え付けましょう。
- ユキヤナギは夏の暑さ冬の寒さに強く育てやすい所が魅力です。
ユキヤナギの樹高は約100(~200)cm、幅は約100(~300)cm、樹形は株立ち状(地際付近から幹・枝が立ち上がる茂る樹形)です。茎はよく枝分かれして、湾曲して枝垂れながら広がる傾向にあり、樹皮の色は赤褐色もしくは灰褐色をしています。
葉序は互生葉序、葉色は緑色、葉柄は短く、葉身の大きさは長さ約2(~4)cm、幅約0.5(~1)cm、葉身の形は披針形もしくは狭楕円形、縁部分に重鋸歯があります。
花序は腋性に散形花序がつき、散形花序は葉腋から花柄を出して花が約2(~7)個つきます。花は直径約0.5(~0.8)cm、花弁が5個、花弁の色は白色、雄蕊は約20個あります。果実は袋果(1枚の心皮からなり、成熟すると果皮は乾燥して、癒合してできた縫合線から縦に裂けて種子を放出します)です。
ユキヤナギの園芸品種の紹介
- オウゴン(spiraea thunbergii ‘ogon’)は葉全体が黄色もしくは黄緑色をしており、明るく開放的な印象を与えるカラーリーフとして楽しめる園芸品種です。花は白色、弧状に枝垂れる枝を覆うように開花します。樹形は株立ち状、約100(~150)cm、幅は約100(~150)cmに成長します。
- フジノピンキー(spiraea thunbergii ‘fujino pinky’)は鮮やかな桃色の蕾から、薄い桃色の花を咲かせる園芸品種です。柔らかな桃色の花色は、可愛らしい印象を与えたり、心が癒される様な優しい印象を与えたりします。そのため甘い雰囲気をつくるロマンチックなお庭などにオススメです。樹形は株立ち状、約100(~150)cm、幅は約100(~150)cmに成長します。
シモツケの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
シモツケの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2020】
ユキヤナギの育て方
花壇の土づくり
日当たり
ユキヤナギは日向(直射日光6時間以上)から半日影(直射日光3~5時間)で育てられます。基本的には日当たりの良い場所で最も多くの花を咲かせますが、暑さの厳しい地域では強い日差しで葉焼けを引き起こす事もあるため、西日の当たらない半日影で育てた方が良い場合もあります
作土層
ユキヤナギがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約30cmまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
ユキヤナギは通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土を好みます。基本的には幅広い土壌で育てる事が出来ますが、粘土質な土壌は生育不良を引き起こす可能性があるため避けた方がよいでしょう。植え付け前にしっかり土壌診断を行い、通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ユキヤナギは日向(直射日光6時間以上)から半日影(直射日光3~5時間)で育てられます。基本的には日当たりの良い場所で最も多くの花を咲かせますが、暑さの厳しい地域では強い日差しで葉焼けを引き起こす事もあるため、西日の当たらない半日影で育てた方が良い場合もあります
培養土
ユキヤナギは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+鹿沼土(小粒)+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
生育初期
ユキヤナギは、活着するまでの生育初期は茎葉が萎れやすいため、土が乾燥しないように水やりをしっかり行いましょう。活着後は、ある程度の干ばつに耐えるほど乾燥に強くなります。逆に多湿になると蒸れて病気になりやすくなるため注意が必要になるでしょう。
地植え
ユキヤナギは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし土の中に指を入れて湿り気がない場合、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
ユキヤナギを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。ただし水やりを行い過ぎてジメジメとした環境が続くと根腐れしてしまうため、土が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ユキヤナギの肥料は、晩冬から早春に1回、花後に1回、計2回行います。
ユキヤナギの寒肥と堆肥の与え方
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料の種類は、肥沃な土を好むため有機肥料(配合肥料)が理想ですが、緩効性肥料でも問題ありません、成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)を選びましょう。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
ユキヤナギのお礼肥の与え方
- お礼肥は開花後の初夏から秋(5月~6月)に行います。
- お礼肥は翌年の開花のため株を充実させる目的で有機肥料(発酵油カス)もしくは配合肥料を与えると良いでしょう。追肥に近いため、効果が早く出る発酵済みのものがおすすめです。
- 有機肥料は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れて土を上から被せましょう。
剪定のやり方
ユキヤナギを剪定する目的は、枝葉が優雅に枝垂れる樹形を維持することや、生産性の高い枝の成長を促し沢山の花を咲かせる事にあります。剪定を行わない場合、枝葉が入り乱れ雑多な印象を与える事があります。
庭木として剪定する方法
- 剪定する時期は花が終わる晩春から初夏に、計1回です。
- 剪定が遅くなると剪定からの回復が遅くなったり、秋頃に分化する花芽を切ってしまい、翌年の開花に影響を与える可能性があるため注意が必要です。
- 剪定の方法は株全体を観察して枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎を探して、これを根元から間引き剪定して取り除きます。
- 何故ならこれらの茎は日当りや風通しを阻害したり、健康に成長している茎に悪影響を及ぼしやすいからです。
- 株全体のバランスを見ながら混み合う枝を根元もしくは節の上の部分で切り戻します。何故なら枝が混み合うと風通しや日当たりが悪くなったり、害虫や病気の発生源となったり、エネルギーの分散がおきるからです。
- 生産性の落ちた古い枝や、自然淘汰されていくような細い枝、樹形を乱すような枝を、根元から間引き剪定したり切り戻し剪定しましょう。
- また著しく徒長している枝が邪魔になる場合は枝の途中(芽・節がある場所の少し上)で切り戻しする事ができます。
- 剪定を行っていないと、枝葉がボサボサとして外観が乱れる事があります。その場合は地際付近から「バッサリ」と切り戻し剪定して株全体を若返らせる事も可能です。
剪定をプロに任せる
剪定を自分で行う事が不安な場合は、剪定のプロに任せて綺麗に仕上げて貰う事も出来ます。また剪定する時間がとれない、他にも庭の作業を依頼したい時などもプロに作業を任せてしまう事が可能です。
- 剪定作業を自分で行う時に不安がある時
- 剪定は重労働になるため体力が最後までもつか不安がある。
- 大きな木を剪定する時は高所作業になるため怪我をするリスクがあり不安がある。
- 間違った剪定を行う事で、数年後に不格好な樹形になったり、スカスカした生垣になるかもしれない不安がある。※必要な枝と不要な枝の見極めが素人には難しい場合があり、太い枝や古い枝などを残すと不格好な樹形になることもある。
- 剪定を行う時間がとれず放ったらかしになっている
- 生垣の管理が疎かになると枝が暴れるため見た目が悪くなったり、枝が歩行者の邪魔になり怪我をさせるリスクがある。
- 木がどんどん成長していくと管理が難しくなったり、鑑賞したい花が上の方に咲いてしまったり、電線の近くだと枝が電線にかかる可能性がある。
- 剪定の他にも作業を依頼したい
- 庭の草が育って薮のようになっている、芝が伸びてボウボウになっている、庭石を並べたり外壁工事を頼みたい、庭にある不要物を撤去して欲しい等の相談も、剪定依頼をする時に一緒に行うことが可能です。
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夏越しする方法
ユキヤナギは夏の暑さに強いため基本的には夏越し対策不要です。
冬越しする方法
Hardiness:4b~8a
ユキヤナギは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
ユキヤナギは挿し木によって増やす事ができます。
挿し木の方法
- 挿し木時期は熟枝挿し(晩冬から早春)もしくは半熟枝(初夏)が適します。
- 挿し穂の長さ約10~15cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き、上部の葉を残します。
- 熟枝挿しの場合は葉がありません。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
ユキヤナギの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
ユキヤナギの病気
- うどんこ病
ユキヤナギの害虫
- カイガラムシ