- 原産:オーストラリア
- 科:ヤマモガシ(Proteaceae)
- 属:バンクシア(Banksia)
- 種:アテナータ(Banksia attenuata)
- 別名:キャンドルスティック・バンクシア(candlestick banksia)/スレンダーバンクシア(slender banksia)/ビアラ(biara)
- 開花時期:春・夏
- 花の色:緑色・黄色
- 葉の色:緑色
- 分類:常緑低木
- 樹高:約200~1000cm
- 誕生花:2月8日・11月20日
- 花言葉:勇気ある恋・心地よい孤独・心に鎧を着る
- 用途:開花期間長い/切り花/ドライフラワー/ロックガーデン
- 購入方法:バンクシア・アテナータを楽天で購入
■バンクシア・アテナータとは!?
バンクシア・アテナータの学名は Banksia attenuata 、別名では「キャンドルスティック・バンクシア(candlestick banksia)」「スレンダーバンクシア(slender banksia)」「ビアラ(biara)」等とも呼ばれる常緑低木です。
バンクシア・アテナータの原産地はオーストラリアの西オーストラリア州の南西部にあり、自生地は砂地の森林や高原などにあります。
■バンクシア・アテナータの語源(由来)
- 属名のBanksiaはイギリスの植物学者であるJoseph Banks( 1743 – 1820 )への献名です。
- 種小名のattenuataは、ラテン語で「細くする」「減衰した」を意味しています。
■バンクシア・アテナータの特徴(魅力)
- 主な特徴と魅力
- バンクシア・アテナータの特徴は、地面下に塊茎(リグノチューバ)を持っており単幹または株立ち状に成長する所、葉の形状が細長くノコギリのようなギザギザとした鋸歯がある所、花房は円筒型で雌蕊・花被片が長く突出しているためボトルブラシのようなユニークな外観をしている所、花の蕾の色は緑色から黄色をしていて明るさや爽やかさを感じさせる所、果実は木質化した太い果軸に埋まるように実るため「フジツボ」や「クチビル」を想像させるユニークな外観をしている所などにあります。
- 鑑賞用途としては、花の形状がユニークで色が明るい黄色をしているため、南国を想像させるトロピカルガーデン等で利用されたり、鉢植えの中で成長を制御して狭い空間の中で楽しまれたり、花を収穫して切り花・ドライフラワー・フラワーアレンジメントの素材として利用されたりします。
- 外観の特徴
- 地面の下に地下茎の中の一種である根茎と塊茎(リグノチューバ)をもっています。※塊茎(リグノチューバ)は地際付近にあるコブのように膨らんだ木質の器官で、炭水化物などの栄養分が蓄えられていて、休眠中の芽を保持しています。そのため、山火事などで地上部が消失した時に芽を出して再生することが出来ます。
- 樹高は約200~1000cm、樹形は単幹または株立ち状、幹の向きは直立・斜上、側枝の向きは斜上・横向きに伸びる。
- 葉序は互生葉序、葉柄は有柄、葉身の長さ約4~27cm、葉身の幅は約0.5~1.5cm、葉身の形は線形・倒線状披針形、葉縁部分に鋸歯があり、葉の色は緑色・白色(裏面)です。
- 花序は穂状花序、穂状花序は長さ約25~30cm、穂状花序の形は円筒型、穂状花序は花軸に無柄の花が多数付きます。
- 花軸:花軸は花序の中央にある茎になり花または花柄をつける。バンクシア・アテナータの花軸は形状が太く円柱状、花軸に花が螺旋状につきます。
- 総苞:総苞は花の基部にある特殊化した葉です。
- 花:花は一般的に雄蕊・雌蕊・花弁・萼・花托で構成されています。バンクシア・アテナータの花は花軸に螺旋状に配置されており、花は花被片・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 花被片:花被片は、一般的に花弁と萼片の形態が類似して区別がつきにくい場合に用いられている名称で、雄蕊と雌蕊を保護して、色彩と匂いで花粉を媒介する昆虫を引き寄せる働きを持った器官です。バンクシア・アテナータの花被片の数は4枚、花被片の下部は四枚が合着して筒状になる、花被片の長さ約2~2.5cm、花被片は雄蕊とも融合しており、上部に雄蕊(葯)がある、花被片の色は緑色・黄色になる。
- 雄蕊:雄蕊は花糸と葯で構成されており、葯の中で花粉を形成して放出する働きがあります。バンクシア・アテナータの雄蕊の数は4個、一般的な雄蕊と違い花糸がなく葯のみがあり、葯は花被片の先端に融合している、葯の色は黄色です。
- 雌蕊:雌蕊は子房・花柱・柱頭で構成されており、花粉を受け入れて受粉する器官です。バンクシア・アテナータの雌蕊の数は一本、雌蕊の長さ約2~2.7cm、雌蕊は初め花被片の筒部に格納されているため花柱は湾曲しており、成熟すると花被片の筒部から雌蕊の先端が出てきて開放される、花柱の色は緑色・黄色です。
- 果実は袋果、袋果は木質化した果軸(元は花軸)の中に埋まっており、形状は半扁球形、色は灰色・暗灰色、果実は火災や乾燥などを経て縫合線から縦に裂ける。※袋果は、一枚の心皮からなる子房が成熟した果実になり、果実が成熟すると心皮が癒合してできた縫合線から縦に裂けて種子を放出する。
- 栽培時の注意点
- バンクシア・アテナータを育てる際に注意することは「霜」「過湿」「リン酸」などです。
- 霜とは、季節が晩秋頃から翌年の早春頃、時間は早朝に起こり、空気中の水蒸気が地面や植物の表面に氷の結晶となって付着する現象です。バンクシアは軽い霜に耐える事が出来ますが、個体によっては氷点下や霜に耐えられずに枯れる事もあります。そのため、冬の間は氷点下を下回らない環境で育てた方が良いでしょう。
- 過湿とは、土壌の中の水分が多い状態です。主な原因は土壌の排水性が悪かったり、水やりを頻繁に行う等にあります。過湿を嫌う植物は根腐れや腐敗などを引き起こしやすい傾向にあるため、土壌の通気性・排水性を高めたり、水やりの頻度を考える必要があります。
- リン酸とは植物に必要な三大栄養素(窒素・リン酸・カリ)の中の一つです。バンクシアは、土壌からリン酸を効率よく吸収する特殊な根(proteoid roots)を持っているためリン酸が欠乏する土壌でもよく育ちますが、リン酸が高濃度の土壌ではリン中毒や鉄欠乏を引き起こし枯れる事があります。そのため、リン酸が土壌にたくさん残留している場合や、リン酸が入る肥料には注意が必要になります。
バンクシア・アテナータのドライフラワー
バンクシア・アテナータのドライフラワーをつくる方法は一般的に「ハンギング法」を用います。
- ハンギング法:ドライフラワーの最も一般的な作り方になり、簡単で誰でも出来る所が魅力です。ハンギング法は茎の部分を長く残せるためフラワーアレンジメントとして幅広い用途で活用しやすく、自然な仕上がりになるためナチュラルな雰囲気を演出したい時におすすめです。
ハンギング法
- 収穫のタイミング
- 乾燥が続く日の朝(朝露が消えた後)もしくは夕方に行いましょう。
- 花の状態が最高の状態ものを選びます。
- 収穫と整形
- 茎を好みの高さで切って下部の葉を落とします。
- 花材を束ねる
- 茎の下部を輪ゴムやリボンの様な物で固定します。
- 自然乾燥
- 風通しの良い明るい日陰で逆さまに吊り下げて自然乾燥させましょう。
■バンクシア・アテナータの園芸品種を紹介
■バンクシアの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■バンクシア・アテナータの育て方
花壇の土づくり
環境
バンクシア・アテナータは、砂地の森林や高原などに自生しており、水捌けがよい場所を好みます。
日当り
バンクシア・アテナータは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。
そのため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。また半日影までで育てる事が出来ます。
- 日向とは、直射日光が6時間以上当たる場所です。
- 半日影とは、直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。また基本的には午前中のみ日が当たり午後から日陰になる場所になります。
- 明るい日陰とは、直射日光が二時間程度まで、または間接光だけが当たるような比較的に明るい場所です。
- 暗い日陰とは、森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
土壌の土質
- 基本的に通気性と排水性が高めの土壌を好みます。そのため土質は砂壌土あたりにした方が良いでしょう。※注意することは水捌けの悪い場所で育てたり、粘土質な土壌で育てる事です。水分が停滞するような土壌で育てると根腐れを引き起こして生育不良になったり、枯れたりすることがあります。
- 堆肥は、土壌の物理性・生物性などを改善する働きがあり植物の成長を促進しますが、夏場に蒸れて根腐れを引き起こす原因になることもあります。またバンクシアは痩せ地に自生しており肥沃さは必要ありません。そのため、堆肥は入れすぎないように注意しましょう。
- バンクシアは高濃度のリン酸に耐性がないため、土壌にリン酸が多く残留する場所は避けるか、土壌改良をしっかりと行った方が良いでしょう。
- 弱酸性の土壌を好むため土壌のPHを診断して、PH5.5~6.5あたりに調節してあげましょう。アルカリ性土壌では鉄分などの微量要素などの栄養補給が上手くいかずに生育不良になる場合があります。
土壌診断と改善の行い方
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土やバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
- PHを測る専用の道具を用意して診断します。※詳しくはPHを診断からご覧下さい。
- 酸性土壌を改善して土壌を中性またはアルカリ性にしたい場合は、苦土石灰を利用します。PHを1上げるのに必要な苦土石灰の量は1平方メートルあたり150g程度です。土壌に苦土石灰を撒いた後は、石灰が塊にならないようによく混和します。
- アルカリ性土壌を改善して酸性に傾けたい場合は無調整ピートモス(PH4程度)を利用しましょう。ピートモスを腐葉土のかわり等に利用して、よく混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
バンクシア・アテナータは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。
そのため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。また半日影までで育てる事が出来ます。
培養土
培養土を購入する場合は、リン酸が含まれない、一般的な草花の培養土よりも通気性・排水性を高めた培養土がおすすめです。※一般的な培養土に通気性・排水性を高める改良用土を混ぜるのも良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 基本的には通気性・ 排水性が優れている培養土をつくります。
- 堆肥の入れ過ぎは夏場に蒸れる原因となるため、一般的な植物よりも少なめにする。ただし堆肥を少し入れた方が生育がよい事もある、必要に応じて少量入れると良いでしょう。
- 水やりの頻度を考えて保水性のよい用土を利用したり、植物の呼吸や成長を考えて通気性がしっかり保てる用土を選んだりする。
- 弱酸性の培養土を好むため酸性の基本用土や改良用土を活用する。
培養土の配合例
- 川砂+鹿沼土(小粒)+ピートモス+くん炭=3:4:2:1
- 日向土(細粒・小粒)+鹿沼土(小粒)+バーク堆肥+竹炭=4:3:2:1
- 赤玉土(小粒)+桐生砂(細粒・小粒)+鹿沼土+腐葉土=3:2:2:3
培養土は基本用土を単体で使うか、または基本用土をベースにしながら改良用土を組み合わせて作ります。
植物の育ってきた環境、水やりの頻度、用土の費用などを考えて培養土を作ると良いでしょう。
基本用土
- 赤玉土:赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた土壌改良材です。
- 特徴:赤玉土は通気性・排水性・保水性のバランスが抜群に良いことから擬似団粒構造をした土壌改良材とも呼ばれています。無菌で雑菌が繁殖しにくく、雑草の種も含まれないため挿し木用土やインドアグリーンの土としても使われる。
- 比較:鹿沼土と比べて赤玉土の方が保水性・保肥力に優れており、PHが中性に近い弱酸性のため幅広い植物で利用しやすい。赤玉土は鹿沼土よりも粒が崩れて劣化しやすいため、使い続けると微塵が出て通気性・排水性を悪化させる事がある。
- 注意点:赤玉土はリン酸を固定してしまい、植物が吸収出来る状態で無くす事があるため、リン酸の肥料を多めにやる必要がある。赤玉土の粒はやや崩れやすいため再利用出来る割合が少ない傾向があり、微塵は粘土質になり通気性・排水性を悪くする事がある。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。無菌のため挿し木・種まき用土・インドアグリーンの培養土などに利用される。
- 硬質赤玉土:硬質赤玉土は赤玉土を高温で焼いて硬質化したものです。
- 比較:硬質赤玉土は赤玉土と比べて、粒が硬いため砕けて劣化しにくく、通気性・排水性が高くなっています。一方で保水性が悪くなっているため、一般的な草花で使うと土壌が乾きやすくなり水やりの頻度が増えやすいです。
- 用途:多肉植物・サボテン・山野草などに使われる事が多い。
- 鹿沼土:鹿沼土は栃木県鹿沼地方で産出される、風化した軽石の総称です。
- 特徴:鹿沼土は通気性・排水性が抜群に優れており保水性・保肥力も高いため、培養土の通気性・保水性・保肥力のバランスをとりたい時に重宝されます。PHが4~5と酸性になります。
- 比較:赤玉土と比べると鹿沼土は粒が頑丈で崩れにくいため再利用しやすく、PHは酸性に強く傾いており、保水性が劣ります。一般的な軽石と比べると鹿沼土は保水性に優れており、やや粒が脆い傾向にあります。
- 注意点:酸性度が強めなため、アルカリ土壌を好む植物を育てる場合は避けた方がよい。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。特にPHが酸性のため酸性土壌を好む植物に利用される事が多いです。
- ☆硬質鹿沼土:硬質鹿沼土は従来の鹿沼土から硬質なものを選別した用土です。その名前が示すとおり、鹿沼土よりも硬く丈夫で劣化しにくい用土です。
- 日向土(ボラ土):日向土は別名でボラ土とも呼ばれる、宮崎県南部で産出される軽石です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。草地・岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、一般的な草花から多肉・サボテン・山野草などの育成でも利用されます。す。
- 桐生砂:桐生砂とは群馬県桐生市近辺で産出されるやや風化の進んだ赤褐色の火山礫です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHがやや酸性に傾く中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、多肉・サボテン・山野草・東洋ラン・盆栽等の育成でよく利用されます。
- 軽石:軽石は溶岩が急冷されガスが吹き出す事で、多孔質で脆く軽くなった火山礫です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.4~0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくい、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、多肉植物・サボテン・東洋ラン・盆栽・山野草などの育成でよく利用されます。
- 川砂:川砂は岩石(花崗岩・石英・長石等)が風化して生じる灰白色をした砂で、採られる場所により富士川砂・矢作砂などと呼ばれたりもしています。
- 特徴:粒子が大きく通気性・排水性が優れており、保水性と保肥力が殆どない。比重が約2.5~2.6と大きく安定感があるため植物をしっかりと支える事が出来る。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、多肉・サボテン・山野草・盆栽等の育成でよく利用されます。
改良用土
- 腐葉土:腐葉土は広葉樹の落ち葉を腐熟させた改良用土です。
- 腐葉土を選ぶ基準:腐葉土は完熟していて湿り気のある物を選びましょう。完熟していると、見た目が黒っぽくなり、葉の断片が小さくなっています。逆に油脂成分の多い針葉樹の葉が入っていたり、未熟な茶色の葉が混じっていたり、断片が大きく乾燥していたりする腐葉土は、植物の根を傷める原因にもなるため避けた方が良いでしょう。
- 腐葉土の特徴:土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の通気性・保水性・保肥力を高めるため植物が育ちやすい環境となる。腐葉土は微量要素を含んでいるため植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。PHが中性のため扱いやすい。
- 用途:土壌の保水性・保肥力・通気性を改善したり、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする働きがあるため、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されます。
- ピートモス:ピートモス は水苔類やヨシ・スゲ等の植物が堆積して腐植し泥炭化した用土です。
- 特徴:腐葉土と比べて養分を殆ど含んでいないため、微生物を活性化する力が弱く無菌で清潔感がある。土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の保水力を高める効果が高く、通気性・保肥力も改善する。PHは基本的に強い酸性になる。
- 注意点:PHが3~4の強い酸性のため、一般的な植物を育てる際は調整済のピートモスを使用するか、アルカリ性の土壌改良材を入れて使用した方がよいでしょう。
- 用途:土壌の膨軟性を高めて、保水性・保肥力・通気性を改善するのに利用されたり、PHを酸性に調節する目的で利用されたり、無菌で雑菌が繁殖しにくいためインドアグリーンの植物の改良用土として利用されたり、挿し木や種まき用の培土として利用されたり、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されたりしています。
- パーライト:パーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温で熱して中に含まれる水分を発泡させ多孔質にした資材です。
- 特徴(真珠岩系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 特徴(黒曜石系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 用途:土壌の通気性・排水性を改善する目的、真珠岩系では通気性・排水性・保水性をバランスよく改善する目的で利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などに欠かせません。
- べラボン:べラボンはヤシの実を特殊加工して作られた園芸資材です。
- 特徴:非常に軽く空気を多く含んでいて、水を含んだ時の膨張と乾燥した時の収縮比率が高いため、培養土などに混ぜ込むと通気性が大きく改善して根張りがよくなります。通気性はもちろん保水性・保肥力も高いため優れた土壌改善効果があり、単体でも植物を育てる事が出来る。
- 用途:土壌の膨軟性・通気性・保水性・保肥力を改善する目的で使用することができます。培養土としてべラボン単体で一般的な植物を育てる事ができます。非常に軽量なため吊り鉢やハンギングバスケットなどの培養土にもおすすめです。樹木に着生する洋ランなどの植物の培養土にも利用されます。
- くん炭:くん炭は、もみ殻を炭化させたものです。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PH8前後の高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
- 木炭(竹炭):木炭(竹炭)は木材または竹材を材料にして低酸素状態で高温に加熱して作られる炭です。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PHが8~10と高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
- ゼオライト:ゼオライトは沸石とも呼ばれる鉱物の一種です。
- 特徴:水質浄化・脱臭効果・高い保肥力などにあります。そのため、根腐れ防止や肥料の流失や肥効の継続に効果を発揮します。一方で、入れすぎると肥料が効きにくくなるなどのデメリットがあるため、土壌や培養土に5%程度混ぜて使われる事が多いです。
水やりの仕方
バンクシア・アテナータは、一度根付いてしまえば乾燥にとても強くなります。そのため、基本的には降雨に任せて水やりは不要です。
ただし、夏場などの乾燥しやすい季節、雨が長く降らない時、地植えよりも乾燥が早い鉢植えで育てている場合などには、必要に応じて水やりが必要になります。
注意する事は、水分が停滞した過湿状態を長期間持続してしまうことです。過湿が続くと病原菌が増えて株が腐敗する原因を作ったり、根の呼吸を邪魔して根腐れを引き起こす原因になったりします。そのため、水やりする頻度などには注意が必要となります。
水やりの方法
土の表土または表層が乾いたタイミングで水を与えます。特に、成長期に水を与える事で、株がしっかりと成長します。
水やりのタイミング
- 表土の乾いたタイミング
- 土の表土(表面)の色が、濡れているなら黒っぽく、乾いたら白っぽくなるため、目視で乾いたのを確認する。
- 目視で確認が難しい場合は、表土を触って乾燥を確認する。
- サスティーを鉢土に差して、色の変化を確認してから水やりをする。
- 鉢内または表層が乾いたタイミング
- 透明な鉢植えで育てると土の色の変化が分かるため、目視で確認する。
- 鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、持ち上げてみて土の乾きを判断する。
- 割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串を色と湿り気を見て確認する。
- サスティーを鉢土に差して、色の変化を確認してから水やりをする。
肥料の与え方
バンクシア・アテナータは、自生地が痩せ地にあり、栄養の使用効率がとても高い植物です。
そのため、土壌の栄養が少なくても問題なく育ちますが、肥料を与えすぎたり、高リン酸の入る肥料を与えると、生育不良になったり枯れたり事があります。そのため、肥料の与え方には注意が必要でしょう。
基本的に肥料はあまり必要ありませんが、土壌が極端に痩せている場合や鉢植えで育てている場合は、必要に応じて肥料を入れてあげた方がよい場合もあります。
肥料の与え方
- 肥料を与える時期
- 春
- 肥料の選び方
- 肥料は低リン酸の肥料を使用しましょう。おすすめの肥料は、オーストラリアの植物専用の肥料です。
- 肥料の与え方
- 固形肥料を与える場合は、規定された分量を規定された場所に与えます。基本的には株から少し離れた場所に根があるため、肥料は株から少し離れた場所に与えるようにしましょう。
剪定のやり方
バンクシア・アテナータは剪定せずに育てることも出来ます。
ただし、剪定を上手く活用する事で、株のサイズがコンパクトになったり、形が制御されて見た目がよくなったりします。
切り戻し剪定のやり方
- 剪定の時期
- 開花期間中・開花後
- 剪定する際の注意点
- 基本的に古い枝に咲くため、剪定時期に気をつけたり、古い枝を残してあげたりした方がよいでしょう。
- 剪定する茎には、最低でも葉を数枚残すようにする。葉がなくなった茎からは新しい芽が出ずに枯れやすいです。
- 剪定方法(幼木の時期)
- 幼木(若木)の時に、勢いよく伸びる茎の先端を、剪定する事で側枝が増えてコンパクトに茂る樹形となります。
- 剪定方法(成木)
- 株を観察して、枯れてる茎・損傷してる茎・病気の茎を探して健康な部分まで切り戻し剪定する。
- 花が終わると独特な外観をした果実を実らせるため、枯れた花を残しても問題ありませんが、不要な場合は枯れた花を花房の下から剪定して取り除きます。
- 株の中で茎が交差して混みあっていると感じる場合、茎が奔放に伸びて邪魔になっていると感じる場合などは、必要に応じて、不要な茎の根元から剪定したりすることも出来ます。※ただし花の数が減ることもあるため注意が必要です。
夏越しする方法
バンクシア・アテナータは、乾燥気味になる場所を好み、日本の高温多湿を少し苦手にしています。
そのため、必要に応じた夏越し対策が必要になるでしょう。
夏越しで重要なポイント
- 土壌が何時までも濡れていてジメジメした状態が続くと、根腐れをして枯れる事があります。
- 土壌の通気性・排水性をよくしておきましょう。
- レイズベットやロックガーデン等の周りより高い場所に株を植えたりすると、水が下に流れやすくなり、排水性が高まります。
- 乾燥が続くと葉が萎れたり落ちたりする事があります。
- 土壌の状態を見ながら定期的に水やりを行いましょう。
冬越しする方法
Hardiness:9~11
バンクシア・アテナータは、軽い霜であれば耐えられる事もあるため、暖地であれば地植えで冬越し出来る事があります。
ただし基本的に霜や凍結に弱いため、冬越し対策を行った方が良いでしょう。
- 地植えで育ている場合
- 土壌の表面を腐葉土・バーク堆肥・寒冷紗等で覆いマルチングする事で、根を乾燥・寒さ・霜から守り冬越しがしやすくなります。
- 寒さが厳しくなる日は不織布などをかけて対応しましょう。
- 株の周りに支柱を立ててビニールを張りトンネルを作ったり、ミニ温室を作って上げる事で寒さや霜から植物を守る事ができます。
- 鉢植えで育てている場合
- 鉢植えで育てている場合は、屋内や温室の日当たりの良い場所で管理するか、霜の当たらない軒下で管理するとよいでしょう。
挿し木や株分けで増やす
バンクシア・アテナータは一般的に種によって繁殖されますが、挿し木によって増やす事も可能です。
挿し木の方法
- 挿し木時期
- 晩春から夏頃
- 培養土を準備します
- 挿し穂用の培養土には切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、無菌のものを利用します。一般的にはバーミキュライト・赤玉土・パーライト・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 培養土を容器に入れて事前に水をかけて湿らせておきます。
- 挿し穂を採取する
- 挿し穂の茎は、半熟した柔軟性のある健康な部分をカットして利用しましょう。
- 挿し穂を整形する
- 挿し穂の長さを10~15cm程度にわけますが、その際に開花を抑制するため茎の頂部も切ります。
- 挿し穂の上部の葉を三枚から四枚残して、下部の葉を取り除きます。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くしておきましょう。
- 培養土に挿し穂を挿す
- 挿し穂を挿す場所を決めて、培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を空けておきます。
- 挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程をいれます。
- 管理
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
バンクシア・アテナータの種蒔の方法
- 播種時期:3月~5月・9月~10月
- 発芽適温:約20~25度
- 発芽日数:
- 備考:
種まき手順
- 種まきの時期
- 三月から五月
- 九月から十月
- 容器と培養土の準備
- 容器や培養土の準備は直播き・移植栽培のどちらを行うかでかわります。種の種類や環境に合わせて選びましょう。
- 直播き:花壇などに直接種を撒くため、土壌改良を行い整備しましょう。※病害虫に強い野生種などは強健なため失敗が少なく、低コストと低メンテナンスな直播きで育てられる。
- 移植栽培:幼苗の時期を育苗箱またはポット等の中で過ごさせるため、容器と培養土を準備しましょう。※品種改良などにより強健さが失われた品種は、幼苗の頃は育苗箱やポットで育てた方が失敗が少ない。
- 種の撒き方
- 種は大きいため撒き方は、一般的に点まきします。
- 点まき:花壇に直播きしたり、ポットを使って育てる時などに使う種まき方法です。一定の間隔または一区画の中に、種を撒くための穴を1~5箇所開けます。穴の深さは3mm程度になり、穴の中に一個の種を入れて種の上に土を被せます。最後に種を撒いた場所の上から手の平で軽く押して鎮圧※してあげると種の吸水がよくなります。
- 種まき後の管理
- 種を撒いて水やりをした後に、乾燥させると発芽率が極端に落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりをしっかり行い管理しましょう。
- 定植の時期(移植栽培時)
- 定植は本葉が5~6枚以上になるか、ポットを触った時に土にある程度の一体感があり根が回っているのを感じたら行います。移植が遅れると根鉢をつくり、移植後の生育が悪くなるため注意が必要です。
※鎮圧とは、種を撒いた後に手・足・鎮圧ローラーなどを利用して、種の上から軽く加圧を加えて、種と土の密着度を上げる事です。鎮圧を行う事で土の中の水分が種に吸収されやすくなり、発芽率が格段に向上します。
植物の病気
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