- 原産:日本
- 科:バラ(Rosaceae)
- 亜科:サクラ(Amygdaloideae)
- 属:ボケ(Chaenomeles)
- 種:クサボケ(japonica)
- 別名:シドミ/ジナシ/ジャパニーズ・クインス(Japanese quince)/マウルズ・クインス(Maule’s quince)
- 品種:笑獅子
- 開花時期:2月~5月
- 果実時期:8月~10月
- 花の色:橙色●
- 葉色:緑色●
- 分類:落葉低木
- 草丈:約30~100cm
- 誕生花:3月17日
- 花言葉:ひとめぼれ/平凡/早熟
- 用途:
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
クサボケ(笑獅子)とは!?
クサボケ(笑獅子)は、華やかな印象を与える八重咲きの花姿と、丸みを帯びたコロンとした可愛らしい花姿、サーモンピンクの柔らかな花色が魅力的な園芸品種です。
クサボケとは!?
クサボケは学名Chaenomeles japonica、別名では「ジャパニーズ・クインス(Japanese quince)」や「シドミ」とも呼ばれる日本原産の落葉低木です。日本では本州・四国・九州に分布して、日当たりの良い山野に自生しています。
クサボケの語源(由来)
- 属名のChaenomelesは古代ギリシャ語で「口をあける」「あくび」を意味する「χάσκω(kháskō)」と、古代ギリシャ語で「リンゴ」を意味する「μῆλον(mêlon)」の2語からきています。
- 種小名のjaponicaは「日本の」を意味しており自生地に由来します。
- クサボケの由来は「草」を思わせる様な小型で細い枝の立ち上がる樹形からきています。
クサボケの特徴(魅力)
- クサボケは日本が原産のボケで、中国原産のボケと比べて背が低く、草のように横に広がり立ち上がる「草」を思わせる外観をしている所が特徴で、コロンと丸みをおびる可愛らしい花姿と、秋に実る果実が魅力の植物です。
- クサボケは地面下に地下茎があり、地下茎はよく発達して広がるためしばしば群生をつくります。
- 地面下に地下茎があるため刈り込まれても、地下茎からよく芽吹いてきます。
- 樹形は株立ち状(根元から茎がわかれ複数の茎が立ち上がる樹形)で横に広がる傾向が強くあり、枝は奔放に伸びるため雑多な印象を与える事もあります。
- 枝には鋭い棘があるため、棘で歩行者が怪我しないように剪定したり、剪定作業をする際は怪我をしないように作業着をきるなどの対策が必要です。
- クサボケは「梅の花」を思わせる様な丸みを帯びたコロンとした外観をしており、1箇所から束状に約1~5個の真っ赤な花が束生して付きます。
- 花は葉が展開される前あたりから開花し始めるため、初めのうちは葉に邪魔される事なく花を鑑賞する事ができます。
- クサボケの果実は秋頃に実り、緑色から成熟すると黄色へとかわります。
- 果実は食用として利用される事もありますが、生では硬く渋みがあるため、果実酒やジャム等に加工した後に食べられます。
- クサボケは底の浅い鉢植えで盆栽に仕立てられ育てられる事もあります。
- クサボケは夏の暑さ冬の寒さに強いです。
- また地植えしている場合は水やりも肥料も基本的に不要になるため放ったらかしで育てる事も可能です。
クサボケの樹高は50(~100)cm、地下茎が地面下にあり、樹形は株立ち状、枝分かれがよくブッシュ状になり、枝は横へと広がる傾向にあります。枝には鋭い棘があり、樹皮の色は褐色もしくは暗褐色です。
葉序は互生葉序、葉色は緑色、葉柄があり、葉身の長さ約3(~5)cm、葉身の形は楕円形もしくは卵形で、ふち部分に鋸歯があり、葉の基部には腎形の目立つ托葉が2個あり
花序は1(~5)個の花が束生(葉・花・茎等が1箇所から束状に生える)します。花はバラ形花冠(5枚の花弁が浅い皿状に開きます)、大きさは直径約2.5(~4.5)cm、花弁は5個、花弁の色は赤色、雄蕊は多数、雌蕊1個がつきます。
果実はナシ状果(偽果とも呼ばれており、子房を包む花托が肥大して多肉質になり果実の大部分を占める)、ナシ状果の形は球形、大きさは直径約3(~7)cm、色は熟すにつれ緑色から黄色へとかわります。
クサボケの園芸品種
ボケの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ボケの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
クサボケ(笑獅子)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
クサボケ(笑獅子)は日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため基本的には直射日光が6時間以上当たる日向もしくは、午前中のみ日が当たる半日影で育てましょう。
作土層
クサボケ(笑獅子)がしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約30cmまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
クサボケ(笑獅子)は通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土を好みます。基本的には幅広い土壌で育てる事が出来ますが、粘土質な土壌は生育不良を引き起こす可能性があるため避けた方がよいでしょう。植え付け前にしっかり土壌診断を行い、通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
クサボケ(笑獅子)は日当り好むため、直射日光が6時間以上当たる日向もしくは、午前中のみ日が当たり午後から日陰になるような半日影で育てましょう。
培養土
クサボケ(笑獅子)は一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+鹿沼土(小粒)+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
生育初期
クサボケ(笑獅子)は、活着するまでの生育初期は茎葉が萎れやすいため、土が乾燥しないように水やりをしっかり行いましょう。活着後は、ある程度の干ばつに耐えるほど乾燥に強くなります。
地植え
クサボケ(笑獅子)は乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし土の中に指を入れて湿り気がない場合、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
クサボケ(笑獅子)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。ただし水やりを行い過ぎてジメジメとした環境が続くと根腐れしてしまうため、土が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
クサボケ(笑獅子)は有機物を含んだ肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としません。必要に応じて毎年晩冬から早春に1回、肥料(寒肥)と土質を改善する堆肥を与えましょう。
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料の種類は、肥沃な土を好むため有機肥料(配合肥料)が理想ですが、緩効性肥料でも問題ありません、成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)を選びましょう。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
おすすめの肥料
剪定のやり方
クサボケ(笑獅子)の剪定は11月~12月頃に行います。基本的には花芽を落とさないように、枯れたり損傷した枝を根元から間引き剪定したり、混みあった枝や交差枝などの忌み枝(不要枝)を間引き剪定もしくは切り戻し剪定したり、長く伸びた徒長枝を枝の途中の節の上の部分から切り戻し剪定しましょう。
おすすめの剪定鋏
夏越しする方法
クサボケ(笑獅子)は夏の暑さに強く基本的には対策不要で育てられます。
冬越しする方法
Hardiness:5b~9a
クサボケ(笑獅子)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
クサボケは挿し木で増やすことが出来ます。
クサボケの挿し木の方法
- クサボケの挿し木時期は初夏から秋が適します。
- 挿し穂は今年成長した部分を長さ10~20cmとりましょう。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 茎の下部の葉を取り除きます。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 挿し木用の培養土に幾つかの節を入れ挿し穂を深く挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
クサボケの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
クサボケの種まき手順
- クサボケを種から増やす場合は完熟した果実を採取します。
- 採取した果実を水の中で洗いながら発芽を抑制する果肉を種から綺麗に取り除きます。
- 果肉を取り除いた種子は直ぐに土に撒きましょう。
植物の病気
クサボケの病気
- 赤星病
- 褐斑病
クサボケの害虫
- アブラムシ
- カイガラムシ