- 原産:中国
- 科:ボタン(Paeoniaceae)
- 属:ボタン/パエオニア(Paeonia)
- 種:ボタン(suffruticosa)
- 別名:百花王(百花の王)/二十日草/花中の王/花神/ツリー ピオニー(tree peony)
- 開花時期:4月~5月(春牡丹)/4月~5月・10月~1月(寒牡丹)/1月~2月(冬牡丹)
- 花の色:赤色●桃色●黄色●紫色●白色〇
- 葉色:緑色●
- 分類:落葉低木
- 草丈:約50~180cm
- 誕生花:5月3日/5月7日
- 花言葉:「風格」「富貴」「恥じらい」「人見知り」「王者の風格」
- 用途:切り花
ボタンとは!?
ボタンは学名Paeonia suffruticosa、別名では「百花王(百花の王)」や「ツリー ピオニー(tree peony)」等とも呼ばれる中国原産の落葉低木です。日本には奈良時代に薬用植物として渡来しており、江戸時代になると盛んに栽培され、現在では鑑賞用として広く親しまれています。
ボタンの語源(由来)
- 属名のPaeoniaはギリシャ神話の中で神々の医師だったピーアン(Paean)に由来しています。
- 種小名のsuffruticosaは接頭辞の「suf-」と、「低木」を意味する「fruticosa」の二語からなり、ボタンが落葉低木なとこに由来します。
- ボタンは中国からきており名前の由来は漢語の「牡丹(ボタン)」からきています。
ボタンの特徴(魅力)
- ボタンは春(1部秋から冬)に開花する10から25cmの大きく豪華な花を鑑賞する目的で育てられる落葉低木です。
- ボタンは春牡丹・寒牡丹・冬牡丹の3タイプに分けられ開花時期が違います。
- 春牡丹は春に開花する一般的な牡丹です。
- 寒牡丹は春と秋に花を咲かせる2度咲きの性質をもつボタンです。
- ただし寒牡丹を秋に咲かせるには十分な栄養を与える必要があり、場合によっては春の花芽を取り除き秋にだけ開花させる必要があります。
- 冬牡丹は春牡丹の開花を一時的に調節して冬に咲くようにしたボタンです。
- ボタンは近縁の芍薬ほどバラエティーはないですが花の直径が10~25cmと大きく花の形や色も豊富で豪華です。
- ボタンの花は花弁が1枚ずつひらひらと散っていきます。
- ボタンと近縁の芍薬は花弁がまとめてドサッと落ちる様に散ります。
- ボタンの花は豪華で切り花としても高い人気があります。
- ボタンは落葉低木のため宿根草の芍薬の様に地上部が完全に枯れてしまうことはなく木質化した茎が地上部に残ります。
- ボタンは夏の暑さでやや生育が鈍り立派な花を咲かせるためには十分な肥料を必要としますが基本的には低メンテナンスで育てられます。
ボタンの茎は若い時は緑色もしくは赤みを帯びており、成熟すると木質化して褐色もしくは灰褐色になります。茎は直立して枝分かれしながら高さ約50(~180)cmの間で成長します。葉序は互生葉序、葉色は緑色もしくは黒みを帯び、葉身は2~3回羽状複葉、小葉は卵形もしくは披針形をしており、全円もしくは縁部分が浅裂(~中裂)します。花は頂生、直径約10(~25)cm、花弁の色は桃色・赤色・黄色・紫色・白色、花弁の数は5(~複数)あり一重咲きもしくは八重咲きします。花後の果実は袋果です。
ボタンの栽培方法
園芸では、豪華で風格のある花を鑑賞する目的や、花を収穫して切り花として楽しむ目的で育てられます。また等間隔(約75cm)に植えられ背の低い生垣として利用される事もあります。
ボタンを育てる際に注意する事は作土層を深くする事や移植しない事を前提にして植え付け時に場所決めをしっかりする事です。花を綺麗に沢山咲かせるには肥料も重要になりますが、基本的には丈夫で放ったらかしでも育てられます。
ボタンの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ボタン(パエオニア)の珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種等の紹介【2021】
ボタンの育て方
花壇の土づくり
日当たり
ボタンは直射日光が6時間以上あたる日向から3時間から5時間の半日陰までで育てる事ができます。理想的な環境は西日の当たらない半日影です。
作土層
ボタンが大きく成長して沢山の花を咲かせるには十分な作土層が必要です。スコップで深さ約50cmまで掘り柔らかく耕しておきましょう。
土壌の土質
ボタンは乾燥に強い一方で、水捌けの悪い粘土質な土壌を嫌います。基本的には通気性がよく有機物がしっかり入る肥沃な土壌を好むため植付けの前にしっかり土壌改善を行いましょう。
植付けの前に土壌診断を行いましょう。
①土を掘る時に硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
②土を濡らして握った時にバラバラと崩れる場合は保水性がない可能性があります。逆に土の塊が出来ても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。
③肥沃な土の場合は土の色が黒っぽくなるため、土の色が薄い場合は土壌の肥沃さが足りない場合があります。
土壌診断後、必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れたり、保水性や保肥力を高める田土や黒土を混ぜたり、肥沃さが足りない場合は牛ふん堆肥や腐葉土等の堆肥を混ぜこみ土壌改善を行いましょう。
植える際の注意点
ボタンは移植を嫌います。そのため、移植時は出来るだけ根を傷めないように扱いましょう。またボタンは基本的に芍薬の台木に接木されています。台木の接木部分は地面から出してもいいですが、台木の接木部分を地面の中に深植えした方がボタンの根も出やすく、台木の芍薬から蘖が出てボタンの樹勢が衰える事も防げます。
鉢土づくり
日当り
ボタンは日当り好むため、直射日光が6時間以上当たる日向もしくは、午前中のみ日が当たり午後から日陰になるような半日影で育てましょう。
培養土
ボタンは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
植える際の注意点
ボタンは移植を嫌います。そのため、移植時は出来るだけ根を傷めないように扱いましょう。またボタンは基本的に芍薬の台木に接木されています。台木の接木部分は地面から出してもいいですが、台木の接木部分を地面の中に深植えした方がボタンの根も出やすく、台木の芍薬から芽が出てボタンが弱る事も防げます。
水やりの仕方
生育初期
ボタンは植え付け後、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように、水やりをしっかり行い育てましょう。
地植え
ボタンは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし土の中に指を入れて湿り気がない場合、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
ボタンを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ボタンは肥料がなくても育つ事が出来ますが、綺麗な花を咲かせるためには十分な肥料を与える必要があります。
基本的に肥料は寒肥・お礼肥・秋の追肥の3回与えます。また土壌が風雨などで劣化している場合があるため、必要に応じて堆肥(腐葉土等)を入れて土壌を改善します。
元肥(寒肥)
寒肥は元肥と同様に肥効が長い物を選びましょう。具体的には配合肥料や緩効性肥料を選びます。また肥料の成分も元肥と同様に水平型肥料(窒素・リン・カリがバランスよく入る)もしくは山型肥料(リン酸多め)を選びます。
寒肥の施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か数cmの穴を掘り、その中に肥料を施します。
また、土質は風雨等でどうしても年々劣化するため、土質を改善する牛ふん堆肥や腐葉土等も穴の中に入れたり、株の近くにマルチングする等して入れてあげるといいでしょう。
お礼肥
ボタンのお礼肥は花が終わる初夏に与えます。翌年の開花の為にも、花の開花で消耗したエネルギーを肥料でしっかり補いましょう。
ボタンのお礼肥は多くの場合は速効性の高い発酵油カスやぼかし肥料等が利用されます。
お礼肥の施し方は、株元から少し離した場所に置き肥するか、5cm程度穴を掘って、その中に肥料を埋めます。
秋の追肥
ボタンの秋の追肥は9月頃に与えます。
ボタンの追肥は多くの場合は速効性の高い発酵油カスやぼかし肥料等が利用されます。
追肥の施し方は、株元から少し離した場所に置き肥するか、5cm程度穴を掘って、その中に肥料を埋めます。
剪定のやり方
ボタンの剪定は基本的に「花がら摘み」と「枯れ枝・病気の枝の間引き」だけです。また必ず必要というわけではないものの「樹形を整える目的で切り戻し」する事も出来ます。
花がら摘み
ボタンは開花期間中の花がら摘みが大切です。何故なら枯れた花を残すと見た目が悪いばかりか、種を作り初めて生育が衰えるからです。枯れた花を摘む事は、根や茎葉の成長を促し翌年の開花に影響を与えます。
花がら摘みの方法
ボタンの花がら摘みは開花期間中に行います。萎れた花もしくは枯れた花のすぐ下を剪定して取り除くだけです。
枯れ枝・病気の枝の間引き
ボタンの間引き剪定の目的は不要な茎を取り除く事で、光合成を行う主要な葉にエネルギーを優先的に送ったり、光の通りや風通しをよくしたりする事で健康な成長を促す所にあります。
ボタンの間引き剪定のやり方
ボタンの間引き剪定の時期は秋(早春も可能)です。枯れた茎もしくは病気の茎を探し、茎(枝)の根元もしくは花芽がある場合はそれを残して剪定するだけです。
樹形を整える目的で切り戻し
ボタンの切り戻しは基本的に不要ですが、茎が間延びして見た目が悪かったり、樹形をコンパクトに保ちたい、日当り風通しをよくしたい等の理由がある場合おこないます。
ボタンの切り戻し剪定のやり方
ボタンの切り戻し剪定の時期は秋です。基本的には好みの場所で剪定しますが、ぷっくり膨らんだ花芽の上で剪定するといいでしょう。剪定しすぎるとボタンにストレスがかかり枯れる可能性もあるため全体の3分の1以上は切り戻ししないようにしましょう。
夏越しする方法
ボタンは夏の強い日差しや高温多湿をやや苦手にしているため、生育が衰える傾向にありますが、基本的には特別な対策は不要です。
ボタンの夏越し対策
- 鉢植えで育てている場合は、暑さ日差し対策として、西日の当たらない半日影に移動するといいでしょう。
- 地植えで育てている場合は、必要に応じて遮光ネットを張るのも1つの対策です。
- 多湿に苦手にしているため土壌の排水性を高めて、浸水しないようにしておく事も大切です。
冬越しする方法
Hardiness:5b~8a
ボタンは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
ボタンは株分けや芍薬はの接木により増やす事が出来ます。
株分け
ボタンを深植えして接木した部分より上で根が出ている場合、株分けで増やすことが出来ます。ただしボタンは移植を嫌う植物です。株分けした場合は数年は綺麗な花が咲かないとわりきる必要があります。
播種で増やす
ボタンの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
ボタンは種で増やす事も出来ます。ただし品種によっては種を付けない品種があり、また播種から開花まで10年近くかかる場合があります。
植物の病気
ボタンの病気
- うどんこ病
- 白絹病
- 黒斑病
ボタンの害虫
- カイガラムシ