- 原産:北アメリカ
- 科:ヒノキ(Cupressaceae)
- 属:ビャクシン(juniperus)
- 種:エンピツビャクシン(virginiana)
- 別名:レッドシダー(red cedar)/イースターン・レッドシダー(eastern red cedar)/バージニア・ジュニパー(Virginian juniper)/イースターン・ジュニパー(eastern juniper)/レッドジュニパー(red juniper)/コニファー
- 品種:ペンデュラ(juniperus virginiana ‘pendula’)
- 開花時期:1月~4月
- 花の色:黄色●緑色●
- 葉の色:緑色●白色〇
- 分類:常緑高木
- 草丈:約50~100cm
- 用途:コニファー
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
コニファー(ペンデュラ)とは!?
コニファー(ペンデュラ)は、末端の枝葉が強く下垂するため、ボロ布を羽織った幽霊のような独特な外観をつくる園芸品種です。樹形は不規則、高さ約300~1000cmに成長します。
エンピツビャクシンとは!?
エンピツビャクシンは学名Juniperus virginiana、別名では「レッドシダー(red cedar)」や「バージニア・ジュニパー(Virginian juniper)」とも呼ばれる北アメリカ原産の常緑高木です。
エンピツビャクシンの語源(由来)
- 属名のjuniperusはラテン語で「イグサ」や「アシ」を意味する「iuncus」に由来しています。
- 種小名のvirginianaはアメリカの州の「バージニア」からきています。
- エンピツビャクシンの由来は材が鉛筆の材料として利用されている事からきています。
エンピツビャクシンの特徴(魅力)
- エンピツビャクシンの材は、非常に軽く柔らかく心地よい香りがあり、また耐久性が高く、土と接触しても腐敗しにくいため、フェンス等の用途によく利用されており、またエンピツをこの木から作った事から「エンピツビャクシン」の名前がついています。
- 園芸では、コニファーとして流通している事が多く、針葉樹特有の整った円柱形もしくは円錐形の美しい樹形をつくるため、洗練された印象を与える庭木として利用されたり、生垣(並木)として利用されたりします。
- 樹形は円柱形もしくは円錐形になる習慣(決まりのように繰り返す癖)があり、幹は根元から上部まで1本の単幹で、枝は斜上に伸びる傾向があります。
- エンピツビャクシンは葉は針のような針形の葉と小枝に鱗のようにくっつく小さな鱗片葉の2つの形態があります。
- 針形の葉は幼木で見られる葉っぱで、長さ約0.5~1cmあります。
- 鱗片葉は成木で見られる葉っぱで、小枝に鱗状に密について長さ約0.~0.4cmの大きさがあります。
- エンピツビャクシンは材にはシダーウッドの心地よい香りがあり、精油にはαセドレン・ツヨプセン・セドレン等が含まれます。
- 精油は木くずから水蒸気蒸留により抽出され、香料として利用されます。
- エンピツビャクシンは先駆種(パイオニア種)として知られており、山崩れや山火事等によって破壊された不毛な環境に最初に定着する樹木の1つです。
- また900年を超えて生きる事がある長寿の木として知られています。
エンピツビャクシンの樹高は500(~3000)cm、幹は単幹(根元から上部まで幹が1本)で、枝は斜上に伸びる傾向があります。樹皮は灰褐色もしくは赤褐色をしており、縦に割れ不規則に剥がれます。
葉序は輪生葉序、葉色は緑色、葉身は針形と鱗片葉の2つの形態があり、幼木は針形が優勢で、成木の殆どは鱗片葉となります。針形は長さ約0.5(~1)cmあり、鱗片葉の長さ0.2(~0.4)cmです。
花序は腋花で雌雄異株(稀に雌雄同株)のため雄株(雄花だけ作る)と雌株(雌花だけ作る)が別々の木にあります。雄花は黄色(~黄褐色)で雌花は緑色(~水色)をしています。
果実は球果、球果は長さ約0.3(~0.7)cm、形は球形、色は白粉を帯びた青色から紺色をしています。
エンピツビャクシンの園芸品種
- バーキー(juniperus virginiana ‘burkii’)は、葉全体が白色を帯びた灰緑色をしているため落ち着いた印象の葉色として楽しめます。また冬になると葉色が紫色に変化するため、上品な印象を与えるカラーリーフとして楽しめる園芸品種です。樹形は円錐形、高さ約300(~750)cm、幅は約100(~300)cmに成長します。そのため、お洒落な印象を与える庭木として育てたり、等間隔に並べて並木として利用するのもおすすめです。
- グレイオウル(juniperus virginiana ‘grey owl’)は、枝を湾曲させながら放射状に外側へと伸ばし優雅な樹形をつくる所と、葉全体が強く白色を帯びて青白色もしくは青緑色の葉色となり落ち着いたカッコイイ印象を与えるカラーリーフとして楽しめる所が魅力的な園芸品種です。樹形は枝が湾曲して地面を覆うように弧状に広がる傾向があり、高さ約50(~100)cm、幅は約100(~200)cmに成長します。
- ブルーアロー(juniperus virginiana ‘blue arrow’)は、横への広がりがなく鉛筆のように真っ直ぐ伸びる樹形が特徴です。また葉全体が強く白色を帯びて青白色もしくは灰緑色の葉色となるため、落ち着いた印象やカッコイイ印象を与えるカラーリーフとして楽しめる園芸品種です。樹形は円柱形、高さ約200(~450)cm、幅約30(~60)cmに成長します。そのため、お洒落な印象を与える庭木として育てたり、等間隔に並べて並木として利用するのもおすすめです。
- スカイロケット(juniperus virginiana ‘skyrocket’)は、横への広がりが殆どなく枝葉も含めて上に向かって成長する習慣(決まりのように繰り返す癖)があり、樹形は幅の狭い円錐形もしくは円柱形をしており、枝葉が上に伸びるため「箒」の様なふさふさとした外観をつくります。葉色は白色を帯びた灰緑色をしているため柔らかな印象や落ち着いた印象を与えます。高さ約200(~450)cm、幅約30(~60)cmに成長します。そのため、お洒落な印象を与える庭木として育てたり、等間隔に並べて並木として利用するのもおすすめです。
- シルバースプレンダー(juniperus virginiana ‘silver spreader’)は、枝葉が殆ど立ち上がることなく湾曲するように広がる樹形と、強く白色を帯びる灰緑色の落ち着いた葉色が魅力の園芸品種です。樹形は枝が湾曲して地面を覆うように弧状に広がる傾向があるため植え込みやロックガーデンなどの地被植物として利用できます。高さは約50(~100)cm、幅は約100(~200)cmに成長します。
- ペンデュラ(juniperus virginiana ‘pendula’)は、末端の枝葉が強く下垂するため、ボロ布を羽織った幽霊のような独特な外観をつくる園芸品種です。樹形は不規則、高さ約300~1000cmに成長します。
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ビャクシンの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ビャクシンの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種等の紹介【2022】
コニファー(ペンデュラ)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
コニファー(ペンデュラ)は成長するために多くの光を必要とするため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。また3時間から5時間の半日影までで育てられます。
土壌の土質
コニファー(ペンデュラ)は幅広い土壌に耐えますが、ジメジメした過湿が長く続く状態や浸水する様な土壌を許容しません。そのため植え付けの前に土壌診断を行いしっかり土作りを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
コニファー(ペンデュラ)は日当り好むため、直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。
培養土
コニファー(ペンデュラ)の培養土を自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+鹿沼土(小粒・中粒)+腐葉土=4:3:3
水やりの仕方
生育初期
コニファー(ペンデュラ)は植え付け後、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように、水やりをしっかり行い育てましょう。
地植え
コニファー(ペンデュラ)は乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
コニファー(ペンデュラ)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
コニファー(ペンデュラ)はある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば肥料を必要としません。また冬から晩冬に肥料を与える事で成長がよくなる事もありますが、与えなくても問題ありません。
植え付け後の元肥(寒肥)
植え付け後の肥料は毎年冬から晩冬(1月~2月)に与えます。基本的にある程度肥沃な土壌であれば肥料を必要としないことから、牛糞堆肥や腐葉土等を株から少し離れた場所にマルチングもしくは、穴を掘って埋めると良いです。肥料を与える場合は水平型もしくは山型の配合肥料を選びます。施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か穴を掘り、その中に配合肥料もしくは緩効性肥料を施しましょう。
剪定のやり方
エンピツビャクシンは自然樹形のまま円錐形に成長する習慣(決まりのように繰り返す癖)がありますが、剪定しないと徐々に歪な樹形となったり、日の当たりにくい下部の枝葉が枯れてしまう事があります。また一部品種を除いて非常に大きくなるため、大きな木として維持管理できない場合は剪定が必須です。
エンピツビャクシンは殆どの針葉樹と同様に枝のない場所まで強く切り込むと、普通は木質部から芽吹く事はありません。また株全体の半分以上の枝葉を取り除くような強い剪定を行うと強いストレスがかかり枝葉が枯れ込むこともあります。そのため、剪定を行う際は葉のない場所まで切り込まない(枯れた枝・損傷した枝の間引き剪定は別です)。剪定する量は全体の1/3~1/4程度に抑える事が大切です。
庭木の剪定方法
- エンピツビャクシンを庭木として剪定する時期は早春が最適です。
- 早春に剪定する事で春からの強い回復が期待できます。
- 株全体を観察して枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎を探して、これを根元から間引き剪定して取り除きます。
- 何故ならこれらの茎は日当りや風通しを阻害したり、エネルギーが分散して、健康に成長している茎に悪影響を及ぼしやすいからです。
- 形を整える目的で茎の途中で切り戻し剪定する事も出来ます。
- 切り戻し剪定する場合は、必ず葉の上で剪定しましょう。葉のない場所まで強く切り込むと葉のない枝は復活しないため注意が必要です。
- 園芸品種は背が低く成長が緩やかな事が多いですが、基本的に高木のため背が高くなる可能性があります。そのため必要に応じて上部の剪定が必要です。
- 希望の高さに達したら上部の茎の成長点を剪定(芯止め剪定)して成長を止めましょう。芯止めしても恒久的に成長がとまるわけではないため必要に応じて定期的に剪定する必要があります。
- また芯止め剪定により枝分かれして樹形が乱れる事があるため、幹が二股に分かれたらどちらか一方を取り除き、上部を「▲」に刈り込み剪定するとよいでしょう。
剪定をプロに任せる
剪定を自分で行う事が不安な場合は、剪定のプロに任せて綺麗に仕上げて貰う事も出来ます。また剪定する時間がとれない、他にも庭の作業を依頼したい時などもプロに作業を任せてしまう事が可能です。
- 剪定作業を自分で行う時に不安がある時
- 剪定は重労働になるため体力が最後までもつか不安がある。
- 大きな木を剪定する時は高所作業になるため怪我をするリスクがあり不安がある。
- 間違った剪定を行う事で、数年後に不格好な樹形になったり、スカスカした生垣になるかもしれない不安がある。※必要な枝と不要な枝の見極めが素人には難しい場合があり、太い枝や古い枝などを残すと不格好な樹形になることもある。
- 剪定を行う時間がとれず放ったらかしになっている
- 生垣の管理が疎かになると枝が暴れるため見た目が悪くなったり、枝が歩行者の邪魔になり怪我をさせるリスクがある。
- 木がどんどん成長していくと管理が難しくなったり、鑑賞したい花が上の方に咲いてしまったり、電線の近くだと枝が電線にかかる可能性がある。
- 剪定の他にも作業を依頼したい
- 庭の草が育って薮のようになっている、芝が伸びてボウボウになっている、庭石を並べたり外壁工事を頼みたい、庭にある不要物を撤去して欲しい等の相談も、剪定依頼をする時に一緒に行うことが可能です。
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夏越しする方法
コニファー(ペンデュラ)は夏の暑さに耐えますが、多湿を苦手にしているため、長雨等で浸水したりジメジメとした過湿が続かない様に注意する必要があります。
夏越し対策
- 湿度の高い環境を嫌うため乾燥した場所で管理しましょう。
- 雨に当たることが少ない場所
- 鉢植えの場合は雨に当たらない場所に移動すると良いでしょう。
- 地植えの場合は雨の当たりにく場所で育てると良いでしょう。
- 直射日光がよく当たる場所
- 直射日光6時間以上が理想です。
- 土壌の排水性がよい場所
- 植付けの際に土壌改良をしっかりおこないましょう。
- ロックガーデンなど、周りより高い場所に植えると、水が下に流れやすく、排水性が高まり根腐れしにくくなります。
- 空気の流れがあり風通しがいい場所
- 周りが壁に囲まれていたり、草が繁茂してる場所で管理すると空気が停滞して湿気が溜まりやすくなります。改善しましょう。
- 雨に当たることが少ない場所
冬越しする方法
Hardiness:3a~9b
コニファー(ペンデュラ)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
エンピツビャクシンは挿し木で増やすことが出来ます。
エンピツビャクシンの挿し木の方法
- エンピツビャクシンの挿し木時期は秋が適します。
- 挿し穂は今年成長した部分を利用しましょう。
- 挿し穂を長さ約10~20cmとります。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 培養土に幾つかの節を入れ深く挿します。
- 節の部分からも発根する。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
エンピツビャクシンの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
エンピツビャクシンの病気
- 赤星病
エンピツビャクシンの害虫