原産:メキシコ
科:キジカクシ(Asparagaceae)
亜科:リュウゼツラン(Agavoideae)
属:ゲッカコウ(Polianthes)
種:チューベローズ(Polianthes tuberosa)
同義語(syn.):Agave amica
英名:チューベローズ(tuberose)
別名:ゲッカコウ(月下香)/オランダズイセン
開花時期:7月~9月
花の色:白色〇
葉色:緑色●
分類:多年草
草丈:約30~100cm
草姿:ロゼット状
誕生花:6月16日/9月2日
花言葉:「冒険」「危険な戯れ」「危険な関係」
用途:香りが良い/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ゲッカコウ(チューベローズ)とは!?
ゲッカコウ(チューベローズ)は学名Polianthes tuberosa(Agave amica)、別名「ゲッカコウ(月下香)」や「オランダズイセン」とも呼ばれる多年草です。チューベローズはメキシコを原産としますが、アステカ族により栽培化された結果、現在野生に自生するものはありません。
ゲッカコウ(チューベローズ)の語源(由来)
- 属名のPolianthesはギリシャ語で「灰色」を意味する「polios」とギリシャ語で「花」を意味する「anthos」の2語からきており、灰色(~白色)の花を咲かせる事に由来します。
- 種小名のtuberosaはラテン語で「ふくらんだ/塊根状の」を意味しており地面下にある塊茎に由来します。
- 和名のゲッカコウ(月下香)の由来は、恐らく花の香りが夜に強くなる事からきています。
ゲッカコウ(チューベローズ)の特徴(魅力)
- 花はイランイランノキを連想させる様なエキゾチックな甘い香りがあり
- 特に夜になると濃厚な芳香が漂います
- また切り花にすれば室内で香りを楽しむ事も出来ます
- 白色の花はワックスを塗ったかのような独特な光沢があり
- 茎に幾つも小花が連なりボリューミーな花姿をつくります
ゲッカコウ(チューベローズ)は地面下に鱗茎があり、鱗茎が花後に分球する事で栄養繁殖します。葉は基部から出る根生葉と、茎を抱(抱葉)く様につく茎葉の2通りあり、基部から出る葉は細長く剣形で長さ約30(~50)cm × 幅約1.5cmあります。茎は最大100cmまで垂直に伸びます。花色は通常ワックスを塗ったかのような白色ですが品種により桃色があり、花の形は漏斗形で長さ約6cm、通常は花先が6裂(花被片が6個)する一重咲きですが、園芸品種によっては花被片が幾重にも重なり八重咲きします。
開花時期は夏から秋、花色は白色もしくは桃色、個々の花は漏斗形で長さ約6cmになり、花被片は6個(花先が6裂する)あり、花序は小花が茎に連なり穂状花序に花を咲かせます。草姿は塊茎もしくは根茎から直立に伸び高さは約30(100)cm × 幅は約30(50)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は剣形で、葉序は根生葉もしくは互生葉序につきます。
ゲッカコウ(チューベローズ)の香りの印象と精油成分
ゲッカコウ(チューベローズ)には、「イランイランノキ」「フローラル(花)」「フルーツ」を想像させる濃厚な甘い香りがあり、ゲッカコウ(チューベローズ)の主要な精油には「安息香酸ベンジル」「安息香酸メチル」「サリチル酸メチル」等が含まれています。
- 安息香酸ベンジルは「イランイラノキ」「バルサミコ酢」「フローラル」等に例えられる甘く快い香りがあり、風味(フレーバー)はフルーティでバルサミコ酢の様な味をもっています。一般に植物ではイランイラノキやゲッキツ等に含まれています。
- 安息香酸メチルは「イランイラノキ」「アーモンド」等に例えられる甘く心地よいフローラルな香りがあります。一般に植物ではフェイジョア等に含まれており、精油は香水等に利用されます。
- サリチル酸メチルは「ウィンターグリーン」「フルーティー」「ミント」等に例えられる甘く快い香りがあります。一般に植物ではウィンターグリーン等に含まれ、また精油は食品や医薬品等に含まれます。
ゲッカコウ(チューベローズ)の切り花の楽しみ方
- ゲッカコウ(チューベローズ)の収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 花が半分以上咲いているのを選び収穫すると日持ちがよくなります。
- 収穫したら水に漬けた状態で水切りを行います。
- 花を生ける花瓶には延命剤(栄養入り)いれましょう。
- 延命剤の効果が高く蕾が開きやすくなったり日持ちが長くなります。
- 管理は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)で数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行います。
- 日持ちは管理の仕方で変わりますが約7日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
ゲッカコウ(チューベローズ)の栽培方法
園芸では、濃厚な香りがする純白の花を鑑賞する目的であったり、優雅に広がる美しい葉を鑑賞する目的で育てられる事が多いです。園芸品種には、八重咲きする桃色の花が甘くロマンチックな雰囲気をつくる「ピンク・サファイア(pink sapphire)」や白色の花弁(花被片)が幾重にも重なり八重咲きする「the pearl」等があり、それぞれお庭の雰囲気に合わせて品種を選ぶと良いでしょう。
ゲッカコウ(チューベローズ)の育て方
花壇の土づくり
日当り
ゲッカコウ(チューベローズ)は日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。ただし暑さの厳しい地域では、暑さや乾燥を避けるため西日の当たらない半日影で育てた方がよい事もあります。そのため、植える場所は地域に合わせて直射日光が6時間以上当たる日向もしくは、午前中のみ日が当たる半日影で育てましょう。
土壌の土質
ゲッカコウ(チューベローズ)は水捌けと通気性がよければ基本的に問題なく育ちます。
植付けの前に土壌診断を行いましょう。
①土を掘る時に硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
②土を濡らして握った時にバラバラと崩れる場合は保水性がない可能性があります。逆に土の塊が出来ても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。
③肥沃な土の場合は土の色が黒っぽくなるため、土の色が薄い場合は土壌の肥沃さが足りない場合があります。
土壌診断後、必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れたり、保水性や保肥力を高める田土や黒土を混ぜたり、肥沃さが足りない場合は牛ふん堆肥や腐葉土等の堆肥を混ぜこみ土壌改善を行いましょう。
植付けの方法
ゲッカコウ(チューベローズ)を植え付ける深さは10cm程度です。
鉢土づくり
日当り
ゲッカコウ(チューベローズ)は日当り好むため、直射日光が6時間以上当たる日向もしくは、午前中のみ日が当たり午後から日陰になるような半日影で育てましょう。
培養土
ゲッカコウ(チューベローズ)は一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
冬越しする方法
Hardiness:7b~10a
ゲッカコウ(チューベローズ)は寒さに比較的に強く、暖地であればそのまま植えっぱなしでも冬が越せます。
鱗茎を掘り起こし保管する場合は、地上部の葉が黄変して枯れるまで待ちましょう。葉が枯れたら鱗茎を掘り起こし、余分な土を落として1~2週間乾燥させます。乾燥したら、塊茎をバーミキュライトの中に入れて極端な寒さが当たらない冷暗所(約10度)に保管しましょう。春になり霜の降りる心配がなくなったら、再度植え直して下さい。