- 原産:日本/東アジア
- 科:アサ(Cannabaceae)
- 属:カラハナソウ(Humulus)
- 種:カナムグラ(Humulus japonicus)
- 別名:律草(リツソウ)/ジャパニーズ・ホップ(Japanese hop)
- 品種:バリエガータス(humulus japonicus ‘variegatus’)
- 開花時期:8月~10月
- 花の色:緑色●
- 葉の色:緑色●白色〇
- 分類:一年草
- 登攀能力:巻き付き茎/鈎・刺
- 草丈:約100~600cm
- 誕生花:
- 花言葉:力強い
- 用途:カラーリーフ/壁面緑化
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
カナムグラ(バリエガータス)とは!?
カナムグラ(バリエガータス)は、葉の葉脈からふち部分に掛けて履けるように白色の班が入るため、明るく輝く様な印象を与えるカラーリーフとしても楽しめる園芸品種です。
カナムグラとは!?
カナムグラは学名Humulus japonicus、別名「律草(リツソウ)」や「ジャパニーズ・ホップ(Japanese hop)」等とも呼ばれる日本と東アジアが原産の一年草です。日本では北海道から九州まで広く分布しており、荒地や道端等に自生しています。
カナムグラの語源(由来)
- 属名のHumulusの由来は諸説あり、語源不明ですが、ゲルマン語の「homele」や「Humel」などが、ある時点でラテン語かされたものと考えられています。
- 種小名のjaponicusは「日本の」を意味しており、自生地に由来しています。
- 和名のカナムグラ(鉄葎)の由来は、ツルが「鉄」のように強靭で、雑草のようにツルが絡み合い繁茂する様子から「葎(広範に渡り生い茂る雑草のこと)」からきています。
カナムグラの特徴(魅力)
- カナムグラは、ツルが強靭で旺盛に成長して絡み合い薮のようになり制御不能になりやすい事から雑草として見られる事が多く、近縁のホップのように魅力的な花を咲かせない事から園芸目的で育てられる事は少ない植物です。
- 草姿はツル性、茎は柔軟で基本的に自力せず倒れやすい傾向にあり、巻き付き茎や鉤爪状の毛を他の植物や物体に絡ませたり引っ掛け自らの体を固定します。
- 巻き付き茎とは、茎自体が他の植物や物体に巻きついて登る習慣がある茎の事です。巻き付き茎は茎頂が物体に接触すると、茎の先端が時計回りに旋回するように動き、他の植物や物体に茎を巻き付けて体を固定して登る事が出来ます。
- 巻き付き茎は巻き付く事が出来ない岩壁等は登る事が出来ません。そのため、ツルを巻き付けるトレリスやバーゴラ等の資材を準備して育てましょう。
- 茎には鉤爪状の硬い棘が下向きに生えており、鉤爪状の棘を他の植物体や物体に引っ掛ける事で植物体を固定して、安定して登る事が出来ます。
- また近縁のホップと比較して、カナムグラは鉤爪状の硬い棘の他に短い毛が密生しています。
- 巻き付き茎とは、茎自体が他の植物や物体に巻きついて登る習慣がある茎の事です。巻き付き茎は茎頂が物体に接触すると、茎の先端が時計回りに旋回するように動き、他の植物や物体に茎を巻き付けて体を固定して登る事が出来ます。
- 開花は晩夏から秋、花は雌雄異株のため雄花を咲かせる雄株と雌花を咲かせる雌株が別個体にあります。
- 雌株の雌花は「松かさ」のようなコロンとした小さな花を付け、花弁状の苞が外側で何枚も重なり、本物の小さな花を保護しています。
- 雌花は成熟すると「針葉樹」や「柑橘類」を想像させる香りがありますが、近縁のホップ程の香りはありません。
- 雄株の雄花は、花軸が円錐状に枝分かれして、1個1個の花が緩く離れた状態で花を咲かせます。
- 雌株の雌花は「松かさ」のようなコロンとした小さな花を付け、花弁状の苞が外側で何枚も重なり、本物の小さな花を保護しています。
- 葉は掌状に中裂から深裂しており裂片が5~9個あります。
- そのため葉に裂片がない、または裂片が3~5個ある近縁のホップと比べる事が可能です。
- 葉はふつう緑色ですが、明るく爽やかな印象を与える黄色の葉色等があるため、品種を選んでカラーリーフとして楽しむ事も出来ます。
- カナムグラは、精油やアルファ酸が不足しているため、ホップのようにビールの原料として利用される事はほとんどありません。
- カナムグラは近縁のホップ程ではありませんが、花や葉がハーブとして利用される事もあります。
- カナムグラは健胃効果・利尿作用などがあるとされています。
- カナムグラは成長が速く強靭なツルが奔放に伸びて複雑に絡み合い薮のようになります。またツルは硬く棘があり撤去が難しい事もある事から有害な雑草として扱われる事もあります。
- 特にアメリカなどでは環境に害を及ぼす外来種として扱われており、欧州では輸入や増殖も禁止されています。
- カナムグラは駆除したい場合は、茎に生えた棘で怪我をする事があるため、長袖の作業着を着て厚手の軍手などを付けて作業しましょう。基本的に一年草のため毎年枯れますが、土壌に種が残っている場合は、種の寿命が尽きるまで除草を続ける必要があります。
- 花が種をつけて、種を土壌に撒かれると数年は種が生き残ってしまうため、種をつける前に除草剤で枯らすか、ツルを剪定して撤去します。
- 土壌に種が残っている場合は、数年間様子を見ながら除草剤で枯らしたり、花をつける前に剪定して撤去したり、また種が発芽しないように防草シートを敷いて様子を見るのもひとつの方法です。
カナムグラの草姿はツル性(巻き付き茎・鈎・刺)、茎の長さ約100(~600)cm、茎の色は緑色もしくは赤みを帯び、茎には稜に沿うように鉤爪状の鋭い棘が並び、短い短毛が密生します。
※巻き付き茎は茎頂が物体に接触すると、茎の先端が時計回りに旋回するように動き、他の植物や物体に茎を巻き付けて体を固定します。
※鈎・刺とは、枝や葉柄、托葉や根などが変化して、刺状もしくは鈎状の突起物になり、植物体の表面から突起したものです。鈎・刺を他の植物体や物体に引っ掛けて登る事が出来ます。
葉序は対生葉序(稀に互生葉序)、葉色は緑色、葉柄はあり、葉身は長さ幅ともに約5(1~15)cm、葉身の形は心形、葉のふち部分は掌状に中裂(~深裂)して裂片が5(~9)個あり、裂片の形は楕円形、葉は微細な毛があり粗い手触りがあります。
花は雌雄異株、雌雄異株は雄株と雌株があり、それぞれ別個体(雄株・雌株)に雄花と雌花が生じます。雌花の花序は穂状花序、穂状花序の形は楕円形、花(小花)を保護するように外側に花弁状の苞が重なるように何枚もあり、苞の色は緑色または黄色、苞の長さは約0.7(~1)cm、苞の形は卵形、穂状花序は葉腋から腋性します。雄花の花序は円錐花序、円錐花序は緩く枝分かれしながら円錐状に花(小花)を付け、花(小花)は5個の萼片、5個の雄蕊があります。
果実は痩果(果実は成熟すると乾燥して裂開せず、中に1個の種子を包みます)、雌花が受粉すると赤紫色を帯び果実をつくります。
カナムグラの園芸品種の紹介
ホップ(カラハナソウ)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
カナムグラ(バリエガータス)の育て方
花壇の土づくり
日当り
カナムグラ(バリエガータス)は、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため基本的には日向(直射日光が6時間以上)で育てましょう。また半日影(直射日光3時間~5時間)までで育てる事が出来ます。
土壌の土質
カナムグラ(バリエガータス)は基本的に水はけの良い土壌を好みます。水分が停滞するようなジメジメした土壌では生育不良を引き起こす事もあるため避けた方が良いでしょう。植え付けの前に土壌診断を行い、通気性がよくしっかり腐葉土等が入った肥沃な土壌に改良しましょう。
土壌診断と改善の行い方
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
カナムグラ(バリエガータス)は、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため基本的には日向(直射日光が6時間以上)で育てましょう。また半日影(直射日光3時間~5時間)までで育てる事が出来ます。
培養土
カナムグラ(バリエガータス)は一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
培養土の配合例
- 赤玉土(小粒・中粒)+ピートモス(PH調整済)=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
地植え
カナムグラ(バリエガータス)は乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし土の中に指を入れて湿り気がない場合、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
カナムグラ(バリエガータス)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。ただし水やりを行い過ぎてジメジメとした環境が続くと根腐れしてしまうため、土が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
カナムグラ(バリエガータス)は、活発に成長するため多くの肥料を必要とします。そのため肥料は、晩冬から早春に1回、初夏に1回、計2回行います。基本的に肥沃な土壌を好むことから、晩冬から早春は堆肥と寒肥を与え、活発に成長する初夏には追肥を与えます。
寒肥と堆肥の与え方
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料の種類は、肥沃な土を好むため有機肥料(配合肥料)が理想ですが、緩効性肥料でも問題ありません、成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)また窒素が多めの肥料を選びましょう。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
追肥の与え方
- 追肥は初夏(6月)に行います。
- 追肥は肥料の効きが早い速効性肥料(化成肥料)もしくは、緩やかに長く効く緩効性肥料を選びましょう。
- 化成肥料や緩効性肥料などの固形肥料を与える場合は、袋に規定された量を施します。
- 液体肥料で与える場合は、規定された分量で希釈して約14日に1回のペースで水やりの際に一緒に液肥を与えるとよいでしょう。
- ただし開花が始まったら液肥を与えるのを止めます。
剪定のやり方
カナムグラ(バリエガータス)は剪定せずに育てる事も出来ますが、剪定しない場合はツルが旺盛に広がり逸出する事があります。そのため、必要に応じて春にツルの数を減らしたり、ツルが逸出する場合は不要な部分を剪定して取り除きましょう。
またカナムグラは茎が基本的に自立しないため、茎が巻き付くための資材を準備してあげる必要があります。
ツル誘引の目的と方法
カナムグラは地被植物として利用される事もありますが、自らの茎を他の植物や物体に螺旋状に巻き付けて体を固定ながら登る事も出来ます。そのため、壁面緑化植物として利用する場合は茎を巻き付けやすい園芸資材を準備してあげる必要があります。
ツルを這わせる資材を準備しておけば、自らの力で茎を固定して成長するため誘引は基本的に不要です。ただし最初は上手くツルが巻き付けない事もあるため、必要に応じて支柱とツルを麻紐などで固定してあげると良いでしょう。