- 原産:北アメリカ
- 科:キク(Asteraceae)
- 属:ヒマワリ/ヘリアンサス(Helianthus)
- 種:キクイモ(tuberosus)
- 別名:アメリカイモ/ブタイモ/エルサレム・アーティチョーク(Jerusalem artichoke)/サンチョーク(sunchoke)/サンルート(sunroot)/ワイルド・サンフラワー(wild sunflower)/アース・アップル(earth apple)/トピナンバー(topinambur)
- 開花時期:8月~10月
- 花の色:黄色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:多年草
- 草丈:約150~300cm
- 誕生花:9月26日
- 花言葉:陰徳/美徳/恵み/気取らぬ愛らしさ
- 用途:切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
キクイモとは!?
キクイモは学名helianthus tuberosus、別名では「ブタイモ」や「エルサレム・アーティチョーク(Jerusalem artichoke)」とも呼ばれる北アメリカが原産の多年草です。日本では1859年に食用やアルコール原料を目的として導入され、その後逸出して全国各地に帰化しており、畑地や荒地、草地等の様々な場所で自生しています。
キクイモの語源(由来)
- 属名のHelianthusは古代ギリシア語で「太陽」を意味する「λιος(hḗlios)」と「花」を意味する「ἄνθος(ánthos)」の2語からきており、太陽を思わせる様な花の形に由来します。
- 種小名のtuberosusはラテン語で「コブ」「塊」を意味する「tuber」と、接尾辞の「-ōsus」の2語からきています。
- キクイモの由来は「キク」の様な花を咲かせ「イモ」をつくる所からきています。
キクイモの特徴(魅力)
- キクイモは一般的に秋もしくは冬に塊茎を掘り起こし収穫して食べる目的で育てられる多年草です。
- キクイモの花は晩夏から秋に咲きます。
- 花は直径約5~10cmの大きさがあります。
- キクイモの花は切り花としても利用されており管理の仕方にも左右されますが約5~8日の日持ちがあります。
- キクイモの葉は細く長く株の下部では最大30cmの長さになります。
- 葉序は下部では対生葉序になり上部では互生葉序になり並びがことなります。
- キクイモは地面下に不定形な大きな塊茎をもちます。
- 塊茎は食用でナッツの様な風味とサクサクシャキシャキとした食感があります。
- 調理(茹でる等)すると柔らかくなります。
- キクイモの塊茎はジャガイモとよく比較されますがデンプンを含まず代わりにイヌリンを含んでいます。
- キクイモの塊茎に含まれる食物繊維のイヌリンは人間の消化器系では分解されず腸内にいる酵母菌等の働きで分解されます。
- 食物繊維のイヌリンは腸内細菌の餌になり腸内環境を改善する働きがあります。
- また血糖の上昇を抑える働きや血中の中性脂肪を低減させる働き等が期待できます。
- ただしイヌリンは大量に摂取すると腹痛や下痢を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
- キクイモは要注意外来生物に指定されています。
- 根茎や塊茎により急速に広がり断片からも再成長するため適切に管理しないと制御が難しくなる可能性があります。
キクイモは地面下に塊茎をもち、塊茎は白色(~黄色)もしくは赤色(~紫色)をしており、大きさは長さ約7.5(~15cm)、厚さ約3.5(~5)cmあります。茎の色は緑色もしくは赤みを帯びており、白色の短い毛が生えます。茎は直立して枝分かれしながら高さ約150(~300)cmの間で成長します。葉序は下部では対生葉序、上部では互生葉序になり、葉色は緑色、葉身は長さ約10(~30)cm、葉身の形は卵形もしくは披針形です。花序は直径約5(~10)cmの頭状花序で2種類の小花(筒状花・舌状花)で構成されています。舌状花の色は黄色で約10(~20)個が花序の外周を囲むようにつきます。筒状花は一つの花序に60個以上つきます。花後の果実は痩果です。
キクイモの切り花の楽しみ方
- 収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 開花してるものを好みの長さで切りバケツに入れて収穫します。
- 水揚げは水に漬けて水切りと必要に応じて湯揚げを行います。
- 茎は産毛等の影響でバクテリアが増えやすく導管が詰まったり腐敗する原因となるため浅水の花瓶に延命剤(抗菌剤)もしくは漂白剤を1滴垂らして花瓶に生けましょう。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)で楽しみましょう。
- 高温環境では日持ちが悪くなり花が萎れやすくなります。
- 管理は数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行い、水揚げが悪いと感じる場合は必要に応じて湯揚げをしましょう。
- 管理場所や管理の方法でも左右されますが日持ちは5~8日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
湯揚げ法
湯揚げ法とは、切り花の切り口をお湯の中と冷水につけて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
湯揚げは、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果があります。またお湯で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
湯揚げの方法
- お湯(約60~100度)と冷水を準備します。
- 切り花の花や葉が湯気で弱らないように、新聞紙で切り花を覆います。ただし、切り口の部分はお湯につけるため、茎の下部は新聞紙から出しておきましょう。
- 切り口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- お湯(約60~100度)の中に切り口を付けて、切り口から空気が出てこなくなるのをまちます。お湯につける時間はおおよそ20~60秒です。
- お湯から切り花を出して、そのまま冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い花瓶に生けて楽しみます。
浅水法
浅水法とは花瓶等の容器に入れる水の量を減らして、浅い水で花を生ける方法です。
浅水は、水に浸かる茎の面積が減るため、腐敗のリスクを低減することが出来ます。そのため浅水は主に茎が柔らかく腐敗しやすい花等で行われます。
おすすめの延命剤
キクイモの収穫時期や食べ方の紹介
- 食用部分:球根(塊茎)
- 収穫時期:10月~12月(通常は霜が降り地上部が枯れたら)
- 食べ方:サラダ・蒸し・茹で・グリル・炒め物・揚げ物等
- 主な成分:カリウム・鉄分・炭水化物(食物繊維のイヌリン等)
- 効能:食物繊維(イヌリン)の効能により整腸作用や血糖値上昇の抑制、血中の中性脂肪の低減等が期待出来ます。※ただし大量に摂取するとイヌリンが原因で腹痛や下痢を引き起こす事があるため注意が必要です。
キクイモの食べ方
キクイモは秋もしくは冬に土中から収穫されたキクイモの塊茎を食べる事が出来ます。キクイモの塊茎は生もしくは調理されて食べられます。味は生のままでは甘くナッツの様な風味があり、サクサクシャキシャキとした食感があります。一方で調理すると柔らかくなり茹でるとドロドロになる傾向にあります。
- サラダとして食べる場合は、キクイモの塊茎を洗い、輪切りにスライスして葉物野菜の中にいれ食べます。
- 揚げ物として食べる場合は、キクイモの塊茎をポテトチップスの様に薄くスライスしたり、ポテトの様に細く切って油で揚げて食べます。
- グリルとして食べる場合はキクイモを厚くスライスしてアルミホイルに入れてオリーブや塩をかけ包み焼きます。
キクイモの栽培方法
園芸では、地面下に出来る塊茎を収穫して食べる目的や、秋に開花する黄色の花を鑑賞する目的、その花を収穫して切り花として利用する目的で育てられます。比較的に背が高くなる事から花壇の中央等に植えて高さと立体感を出したり、また管理のしやすい鉢植えに植えて様々な場所で楽しまれたりします。
キクイモを育てる際に注意する事は殆どありません。収量を増やしたい場合はしっかり水やりを行う必要がありますが、基本的には乾燥に強く肥料も殆ど不要なため手がかからず、また夏の暑さや冬の寒さにも強いため一度植えれば放ったらかしでも育てられます。
ヒマワリ(ヘリアンサス)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ヒマワリ(ヘリアンサス)の珍しい種類、主な種や園芸品種等の紹介【2021】
キクイモの育て方
花壇の土づくり
日当たり
キクイモは日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の塊茎を生産します。直射日光が6時間以上あたる日向から3時間から5時間の半日陰までで育てる事ができますが、理想的な環境は直射日光が6時間以上当たる日向です。
土壌の土質
キクイモは幅広い土壌で育ちますが、通気性と保水性のバランスがよく肥沃な土壌で最も収量が高くなります。そのため植え付けの前に土壌診断を行いしっかり土作りを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして握って土塊を作ってみます。
- バラバラと崩れる場合は保水性がない可能性があります。必要に応じて保水性・保肥力を高める用土(黒土等)を混和しましょう。
- 土の塊が出来ても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 肥沃な土の場合は土の色が黒っぽくなるため、土の色が薄い場合は土壌の肥沃さが足りない場合があります。
- 必要に応じて堆肥(腐葉土等)を混和しましょう。
植付けの方法
キクイモの塊茎の植付け深さは、塊茎の大きさでも変わります。一般的には深さ約10~15cm、株ごとの間隔は30~50cmあけて植え付けます。
鉢土づくり
日当り
キクイモは日当り好むため、直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。
培養土
キクイモは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
地植え
キクイモは乾燥に強い植物のため、地植えしている場合は降水のみでも育てられます。ただし成長期に十分に水が与えられる事で最も生産性が高まるため、土の表面(数cm)が乾いてきたらしっかり水やりを行いましょう。
鉢植え
キクイモを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
キクイモは肥沃な土壌であれば肥料はそれほど必要ありません。植え付け時に堆肥や元肥を入れておきましょう。
元肥
元肥は植え付け時に与える肥料の事です。元肥は肥効が長い緩効性肥料もしくは配合肥料を選びましょう。
元肥の与え方は花壇の場合も鉢植えの場合も、基本的に土壌に均一に混ぜこむ全面施肥です。
剪定のやり方
キクイモは放ったらかすと300cmまで成長する可能性があります。そのため夏に「切り戻し剪定」される事があります。また必ず必要な作業ではないものの花ではなく塊茎によりエネルギーを送りたい場合は花が咲く前に剪定されることもあります。
草丈を抑える目的で切り戻し
キクイモの切り戻しは真夏(7月~8月)と、必要に応じて秋に行われます。真夏に行われる切り戻しは高さを制限する目的で行われ、また切り戻しを行う事で分枝が促されよりふさふさとした草姿をつくる事が出来ます。秋に行われる切り戻しは花を咲かせず塊茎によりエネルギーを送る目的で行われますが、基本的には不要です。
キクイモの切り戻し剪定のやり方
キクイモの切り戻し剪定の時期は真夏(7月~8月)です。地面から高さ120cm辺りで一律に剪定して切り戻しましょう。
夏越しする方法
キクイモは夏の暑さに強いため、夏越し対策は不要です。
冬越しする方法
Hardiness:3b~9a
キクイモは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にありません。
挿し木や株分けで増やす
キクイモは塊茎を掘りあげて分ける事で容易に増やす事が出来ます。
播種で増やす
キクイモの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:約
発芽条件:
植物の病気
キクイモの病気
キクイモの害虫
- ハダニ