- 原産:北アメリカ
- 科:マメ(Fabaceae)
- 属:ルピナス(Lupinus)
- 種:ラッセルルピナス(polyphyllus)
- 別名:ルピナス/ノボリフジ(昇り藤)/宿根ルピナス/ルピヌス・ポリフィルス/ガーデン・ルピン(garden lupin)/ラージリーブ・ルピナス(large-leaved lupine)/ビックリーブ・ルピナス(big-leaved lupine)/メニー・リーブ・ルピナス(many-leaved lupine)
- 開花時期:4月~7月
- 花の色:赤色●桃色●橙色●黄色●青色●紫色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:多年草(宿根草)
- 草丈:約50~150cm
- 誕生花:3月10日/3月17日/4月30日/5月31日
- 花言葉:貪欲/空想/想像力/いつも幸せ
- 用途:背が高い花/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ラッセルルピナスとは!?
ラッセルルピナスは学名Lupinus polyphyllus、単にルピナスと呼ぶ場合はこの種を指している事が多く、別名では「宿根ルピナス」や「ルピナス・ポリフィルス」などとも呼ばれる北アメリカ原産の多年草です。
ラッセルルピナスの語源(由来)
- 属名のLupinusはラテン語で「狼」を意味する「lupus」と、接尾辞の「-īnus」の2語からなり、花の内部に狼の牙を連想させる部分がある所に由来すると言われています。
- 種小名のpolyphyllusは古代ギリシャ語で「多くの」「たくさんの」を今する「πολύς」と、古代ギリシャ語で「葉」を意味する「φύλλον」の2語からきており、葉の多さに由来します。
ラッセルルピナスの特徴(魅力)
- ラッセルルピナスは単に「ルピナス」とも呼ばれており、地面を被覆するように広がる掌状に分かれた大きな葉と、垂直に伸びる華やかな花穂が魅力の植物です。
- 花はマメ科特有の蝶形花で大きく、個々の花が穂状に並び豪華な花を咲かせます。
- 花は1個1個の小花が大きく密につくため非常にボリューミーな花穂をつくります。
- 花穂は長く垂直に伸びて背が高くなるため花壇の中で立体感を出したり背景等に利用する事が出来ます。
- 花色が非常に豊富なためカラフルなお庭ではビビットカラーの品種を選んだり、優しい雰囲気のお庭であればパステルカラーの品種を選んだりと出来ます。
- 花は蜜蜂や昆虫の蜜源となるため開花期になると花の周りを元気に飛び回る蜜蜂や昆虫の姿が観察出来ます。
- 葉は小葉が約5~17個あつまり掌状の個性的な葉の形をつくります。
- 葉柄が長く地際から放射状に葉が広がることで地面を優雅に被覆します。
- ラッセルルピナスは他のマメ科植物と同様に根茎菌と共生しており大気中から窒素を固定する事が出来ます。
- そのため栄養の乏しい土壌でも育つ事が可能で、逆に肥沃すぎる土壌では根腐れや病気になるなど、短命になる傾向が強くなります。
- また窒素固定能力がある事から緑肥としても利用されます。
- ラッセルルピナスは有毒なアルカロイドを多く含んでいるため、人間および家畜は食べられません。
ラッセルルピナスは草丈が約50(~150)cm、地面下に根茎があり、茎は基本的に分枝せずに直立です。葉序は根生葉もしくは互生葉序、葉柄は非常に長く、葉色は緑色、葉身の形は掌状複葉、掌状複葉は小葉が5(~17)個、小葉は狭楕円形です。花序は総状花序、花冠は蝶形花、花弁は旗弁1個・翼弁2個・竜骨弁2個(花内部)、花弁の色は青色・紫色・桃色・赤色・橙色・黄色・白色があり、雄蕊10個(5個は短い)、雌蕊は1個あります。果実は豆果(1枚の心皮からなり、腹縫線と背縫線が一方もしくは二方ともが裂けて種子を放出する)、豆果は約5cmの円筒形、色は緑色で白色の毛が密生しており、熟すと暗褐色になり捻れながら腹縫線と背縫線が裂け最大12個の種子を放出します。種子は長さ約0.5cm、形は楕円形、色は褐色です。
ラッセルルピナスの切り花の楽しみ方
- ラッセルルピナスの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 水揚げは水切りもしくは湯揚げを行いましょう。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)で楽しみましょう。
- 管理は必要に応じて数日(約1~3日)ごとに水折りと水換えを行いましょう。
- 萎れた花を手で丁寧に摘み取ると蕾の花が咲きやすくなります。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが5~7日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
湯揚げ法
湯揚げ法とは、切り花の切り口をお湯の中と冷水につけて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
湯揚げは、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果があります。またお湯で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
湯揚げの方法
- お湯(約60~100度)と冷水を準備します。
- 切り花の花や葉が湯気で弱らないように、新聞紙で切り花を覆います。ただし、切り口の部分はお湯につけるため、茎の下部は新聞紙から出しておきましょう。
- 切り口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- お湯(約60~100度)の中に切り口を付けて、切り口から空気が出てこなくなるのをまちます。お湯につける時間はおおよそ20~60秒です。
- お湯から切り花を出して、そのまま冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い花瓶に生けて楽しみます。
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ラッセルルピナスの園芸品種の紹介
- ミナレット(lupinus polyphyllus ‘minarette’)は高さが30~50cm程度しかないため花壇の縁どり等に使いやすく、また様々な花色があるため大量植栽するとカラフルなお庭が作れる魅力的なシリーズです。
- ミニギャラリー(lupinus polyphyllus ‘mini gallery’)は高さが30~50cm程度しかないため花壇の縁どり等に使いやすく、また頂芽優勢が低く一株から次々と現れる花穂、大きな小花が密に付き作る豪華な花穂が魅力のシリーズです。シリーズの中には赤色・桃色・紫色・青色・黄色・白色などの様々な花色があります。
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ルピナスの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ルピナスの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
ラッセルルピナスの育て方
花壇の土づくり
日当たり
ラッセルルピナスは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられますが、花数は減ります。
作土層
ラッセルルピナスがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約30cmまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
ラッセルルピナスは通気性と排水性がよく適度に肥沃な土壌を好みます。水捌けの悪い粘土質な土壌や、有機物が豊富に入る土壌では、浸水したり、夏に蒸れて病気や根腐れ(腐敗)を招き短命になりやすいです。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。必要に応じて田土や黒土などを入れ土壌を改善しましょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ラッセルルピナスは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向で基本的には育てましょう。日陰では上手く開花しないため注意が必要です。
培養土
ラッセルルピナスは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
ラッセルルピナスは健康な成長のために、光と同様に十分な量の水を必要とします。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで、定期的に水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ラッセルルピナスは菌根菌と共生しており、基本的に肥料を必要としません。肥料が多い土壌では花のかわりに葉が多く茂ったり、短命になる傾向が強くなります。
基本的には肥料は不要です。ただし鉢植えで育てている場合は栄養が足りなくなる事もあります。そのため必要に応じて春に軽く肥料を与えましょう。
剪定のやり方
ラッセルルピナスの剪定は「花がら摘み」のみです。
花がら摘み
ラッセルルピナスは開花期間中の花がら摘みが大切です。何故なら花を残すと種を作り初め、エネルギーが分散されて株が弱る原因となったり、次の花が開花しにくくなったりするからです。花がら摘みを行う事で、次の花も開花しやすくなります。
花がら摘みの方法
ラッセルルピナスの花がら摘みのタイミングは花が色褪せ初め、花穂の下部が枯れてきた時です。花穂の下から剪定して、次の開花を促しましょう。
夏越しする方法
ラッセルルピナスは冷涼な夏を好む植物です。高温多湿環境では根腐れや病気を引き起こし枯れてしまう事も多いです。また一般的に短命の多年草であり、開花が終わり夏になると外観が非常に悪くなるため、多くの場合で花が終わったら株が抜かれ一年草として扱われます。その点も踏まえて、夏越し対策を行いましょう。
ラッセルルピナスの夏越し対策
- 高温多湿になる場所を避けて管理しましょう。
- 病気や根腐れの原因となる多湿を避けましょう。
- 鉢植えの場合は長雨に当たらない場所に移動して、地植えの場合は雨の当たりにく場所で育てるといいでしょう。
- 土壌の土質が粘土質だったり腐植が多い場合は、植え付けの前にパーライトや川砂などを混ぜて土壌改善を行っておきましょう。
- 周辺より高い場所に植え付けを行うと土壌の排水性が高くなり、水分が停滞しにくくなります。
- 空気の流れの良い場所で管理しましょう。周りが壁に囲まれていたり、草が繁茂してる場所で管理すると空気が停滞して湿気が溜まりやすくなります。
- 複合的なストレス(日差し・暑さ・乾燥)がかかる環境は避けましょう。
- 一日中日向にある植物は【午後からの暑さ・強い日差し・乾燥】の複合ストレスを強く受け植物へのダメージが酷くなる傾向にあります。基本的には午前中のみ日が当たり午後から日陰になるような環境に移動しましょう。
- 必要に応じて強い日差しと暑さを避けるために遮光ネットを利用しましょう。
- 病気や根腐れの原因となる多湿を避けましょう。
冬越しする方法
Hardiness:4a~8b
ラッセルルピナスは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
ラッセルルピナスは挿し芽や株分けによる増殖が可能です。挿し芽は春に現れる新芽を採取して土に挿します。株分けも出来ますが、基本的に根が傷む事を嫌うため、一般的な方法ではありません。
播種で増やす
ラッセルルピナスの種蒔の方法
播種時期:9月~10月・3月~4月
発芽適温:約15~20度
発芽日数:5日~14日
発芽条件:
ラッセルルピナスの種は硬実種子のため、自家採取して発芽させる場合は事前準備が必要です。なぜなら硬い種皮が水分の吸収を邪魔するため発芽が不規則になるからです。
発芽促進処理のやり方
①種の硬い種皮をナイフで刻むか、サンドペーパーで擦り物理的に傷つけて水を吸収させやすくします。
②容器に浅くぬるま湯を入れて種を数時間浸します。
③発芽準備の整った種子は膨らみ柔らかくなります。
植物の病気
ラッセルルピナスの病気
- うどんこ病
- 灰色カビ病
- 茎腐病
ラッセルルピナスの害虫