- 原産:日本/朝鮮/中国/ロシア
- 科:マツ(Pinaceae)
- 属:マツ(Pinus)
- 種:チョウセンゴヨウ(koraiensis)
- 別名:チョウセンマツ/コリアン・パイン(Korean pine)
- 開花時期:5月
- 花の色:緑色●赤色●黄色●
- 葉の色:緑色●青色●黄色●白色〇
- 分類:高木
- 草丈:約2000~3500cm
- 用途:カラーリーフ
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
チョウセンゴヨウとは!?
チョウセンゴヨウは学名Pinus koraiensis、別名では「ヒメコマツ」や「ファイブ・ニードル・パイン(five-needle pine)」とも呼ばれる日本および朝鮮、中国、ロシアが原産の高木です。日本の分布は本州(中部から東北南部以南)と四国(東赤石山)で、日当たりのよい山地に自生しています。
チョウセンゴヨウの語源(由来)
- 属名のPinusはラテン語で「松」を意味する「pine」に由来します。
- 種小名のkoraiensisは「韓国の」を意味しており、朝鮮半島でこの木がよく見られたことからきています。
- チョウセンゴヨウの名前は朝鮮にこの木が多く自生する事からきています。
チョウセンゴヨウの特徴(魅力)
- チョウセンゴヨウは円錐形になる美しい樹形を鑑賞する目的で庭木として育てられたり、底の浅い鉢で成長を制御しながら盆栽とし楽しまれたり、また実(種子)を収穫して食べる目的で育てられたりします。
- チョウセンゴヨウの葉は束生して5個ずつ束になって葉がつきます。
- 葉の長さは6~13cmと大きく日本でよく育てられるゴヨウマツは葉の長さが2~6cmしかありません。
- 葉の色は通常緑色ですが幾つかの品種では黄色(イエローリーフ)の葉色や銀色(シルバーリーフ)の葉色があるためカラーリーフとして楽しまれる事もあります。
- チョウセンゴヨウの実は大きく長さ6~13cmあり受粉後の翌年10月頃に成熟します。
- 種子は松の実(Pine nut)とも呼ばれ商業的に栽培され食用として国際的に取引される松の実(Pine nut)の中の一つです。
- 種子は大きく長さ約2cmあります。
- 松の実(種子)はバターの様な風味とカリカリとした食感があり多くの場合は風味を引き出すためローストする等の調理が行われます。
- 食べ方はサラダに入れたり、パスタに入れたり、肉料理に入れたり、パン生地やパイ等に入れて焼き食べられたりします。
- 松の実(種子)は生で摂取すると味覚障害を引き起こす可能性があると報告されており、味覚障害が発症した場合通常約2週間味覚障害が続き、その後治療なしで治るとされています。
チョウセンゴヨウの茎は木質で樹皮は灰色(~灰褐色)もしくは赤褐色をしており、亀甲状に割れ、亀甲状に粗く剥がれます。樹形は円錐形、幹は垂直で枝は水平に広がり高さ約2000(~3500)cmに成長します。葉序は束生(5個ずつ)、葉色は緑色で白色の気孔が目立つ、葉身の長さ約6(~13)cm、葉身の形は針形です。花は若枝に咲き雌雄同株のため雄花と雌花が個々にわかれて一つの木にあります。雄花は黄色(~紅色)をしていて若枝(穂)に穂状に並ぶ形で咲きます。実(果実)は球果で毬果(松ぼっくり)とも呼ばれます。球果は初め緑色で受粉後翌年の秋頃(10月頃)に熟し褐色になり、球果は長さ約8(~14)cmの卵形、鱗状に種鱗が重なり、種鱗の内側には長さ約1.5(~2)cmの翼のない種子が2個あります。
チョウセンゴヨウの園芸品種
- モーリスブルー(pinus koraiensis ‘morris blue’)は銀色のベールで覆われたかのような灰緑色の美しい葉色と、円錐形をつくる洗練された樹形、成長が緩やかで高さ180~450cmまでの背の低い樹高などが魅力の園芸品種です。
- オキュラス・ドラコニス(pinus koraiensis ‘oculus draconis’)は葉が非常に長く捻れ垂れ下がるため、木全体が枝垂れるような外観を与える園芸品種です。樹高は180~450cmまで成長します。
マツの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
マツ(松)の珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
チョウセンゴヨウの育て方
花壇の土づくり
日当たり
チョウセンゴヨウは成長するために多くの光を必要とするため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。日当りや風通りの悪い環境では下枝が枯れこみやすくなります。
土壌の土質
チョウセンゴヨウは幅広い土壌で育ちますが、雨の後にジメジメした過湿が長く続いたり、雨ですぐに浸水する様な土壌では、葉が黄化する等の様々な生育不良がおきやすくなります。そのため基本的には通気性と排水性がよく適度に肥沃な砂壌土に植えてあげましょう。また排水性や通気性を高めるために植え付け時に土を盛上げて高植えする事も大切です。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
高植え
高植えとは、木(樹)の根っこの上部が地面より少し高い場所になるように苗を定植する事です。土を盛上げ高植えする事で、土壌の排水性や通気性が高くなり根腐れしにくくなる等のメリットがあります。そのためジメジメとした過湿を苦手にしている植物や乾燥に強い植物等に向く定植方法です。それ以外の植物では土壌が乾燥しやすくなり管理が大変になる事が多いため行われません。
鉢土づくり
日当り
チョウセンゴヨウは日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。日当りや風通りの悪い環境では下枝が枯れこみやすくなるため注意が必要です。
培養土
チョウセンゴヨウの培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土+ボラ土(細粒)+腐葉土=4:2:4
- 赤玉土(中粒)+鹿沼土+バーク堆肥+くん炭=4:2:3:1
水やりの仕方
生育初期
チョウセンゴヨウは植え付けから2年、根が張り活着するまでは、土が完全に乾燥しないように定期的に水やりを行い育てましょう。
地植え
チョウセンゴヨウは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
チョウセンゴヨウを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
チョウセンゴヨウは日当りがよければ痩せた土地でも育ち多くの肥料を必要としません。基本的に肥料は寒肥の1回のみ与えます。
肥料を与える場合(寒肥)
植え付け後の肥料は毎年冬から晩冬(1月~2月)に与えます。肥料の成分は油カスもしくは栄養がバランスよく入る水平型の配合肥料もしくは緩効性肥料を選びましょう。施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か穴を掘り、その中に配合肥料もしくは緩効性肥料を施します。
剪定のやり方
チョウセンゴヨウの剪定(お手入れ)は基本的には不要です。
徒長を防ぎ樹形をコントロールしたい場合等は必要に応じて「みどり摘み」を行い、また健康な成長を促すために必要に応じて「間引き剪定」を行います。
みどり摘み
みどり摘みとは新芽が展開して葉が開く前に適当な長さで摘む事です。みどり摘みを行わない場合は、枝が長く間延びして節間が長く葉が少なくなる傾向にあります。みどり摘みを行う事で節間が詰まり葉が密生する樹形をつくる事が出来ます。
みどり摘みの時期は新芽(新鞘)が発生する5月頃です。
みどり摘みのやり方は、まず1箇所から出てくる新芽を全部で3本にします。中央にある強い新芽1本と弱い新芽を根元から取り除きましょう。次に新芽の上の部分を3分の1から3分の2の間で指で摘みとります。残った部分はそのままにしておき成長させます。
間引き剪定
間引き剪定とは日当りや風通し、樹形を乱す不要な茎を根元から剪定して取り除く事です。
間引き剪定の剪定時期は秋に行います。生育が盛んな春に行うと樹液が流れ見た目が悪くなったり害虫を引き寄せやすくなります。
間引き剪定のやり方は枯れた茎や損傷した茎、病気の茎等の健康な成長を阻害する不要な茎を見つけて根元から間引き剪定します。また樹形を乱す不要な茎(忌み枝)も必要に応じて根元から間引き剪定します。
夏越しする方法
チョウセンゴヨウは夏の暑さに強く、基本的には夏越し対策は不要です。
冬越しする方法
Hardiness:4b~7a
チョウセンゴヨウは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
チョウセンゴヨウは発根しにくく通常は実生で増やされますが、若木であれば挿し木して増やす事が出来ます。
チョウセンゴヨウの挿し木の方法
- チョウセンゴヨウの挿し木時期は晩春から初夏が適します。
- 挿し穂は今年成長したまだ柔らかい茎を長さ10~15cmでとりましょう。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 茎の下部の葉を取り除きます。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 挿し木用の培養土に幾つかの節を入れ挿し穂を深く挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
チョウセンゴヨウの種蒔の方法
播種時期:3月~5月(理想)・何時でも
発芽適温:約20度
発芽日数:
発芽条件:
チョウセンゴヨウは寒さを経験させる事で発芽を揃える出来ます。そのため冷蔵庫(約4度)等に入れて寒さを経験させた後に種が撒かれる事が多いです。
種まき手順
- 種を撒く前に果実(球果)から種子を取り出し、種子を水の中に24時間つけます。
- やや湿らせたバーミキュライトに種を混ぜ密閉される袋の中に入れて、冷蔵庫(約4度)の中で4週間保管して寒さを経験させます。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
チョウセンゴヨウの病気
- 漏脂病
- 枝枯病
- 葉枯病
- 葉さび病
- すす病
チョウセンゴヨウの害虫
- カイガラムシ類
- マツノマダラカミキリ
- マツカレハ
- ハバチ類
- マツバノタマバエ