- 原産:ヒマラヤ(ネパール・ブータン・チベット等)
- 科:バラ(Rosaceae)
- 亜科:ナシ(Maloideae)
- 属:トキワサンザシ/ピラカンサ(Pyracantha)
- 種:カザンデマリ(Pyracantha crenulata)
- 別名:ネパール・ファーンソーン(Nepal firethorn)/ヒマラヤ・ファーンソーン(Himalayan firethorn)
- 開花時期:4月~5月
- 果実時期:8月~12月
- 花の色:白色〇黄色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:常緑低木
- 草丈:約100~500cm
- 誕生花:10月26日/11月23日
- 花言葉:慈悲/防衛/愛嬌/燃えゆる想い/美しさは貴方の魅力
- 用途:
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
カザンデマリとは!?
カザンデマリは学名Pyracantha crenulata、別名では「ネパール・ファーンソーン(Nepal firethorn)」や「ヒマラヤ・ファーンソーン(Himalayan firethorn)」等とも呼ばれるヒマラヤ(ネパール・ブータン・チベット等)を原産とする常緑低木です。
カザンデマリの語源(由来)
- 属名のPyracanthaはギリシャ語で「火」や「熱」を意味する「pur」と、ギリシャ語で「棘」を意味する「akantha」の2語からなり、真っ赤に実る果実と、棘のある枝に由来します。
- 種小名のcrenulataは「小さな丸い歯をもつ」を意味しています。
カザンデマリの特徴(魅力)
- カザンデマリは、枝を覆うように咲く花姿と赤色(赤橙色)の果実が魅力の植物です。
- 園芸では果実や花を鑑賞する目的で庭木として育てられたり、境界を囲う生垣として利用されたり、底の浅い鉢植えに植えられて盆栽として育てられたりしています。
- 樹形はブッシュ状で枝分かれがよく、生育旺盛なため徒長枝などがよく出て枝が暴れる傾向にあります。
- 枝には多くの鋭い棘があります。
- 花は短枝に半球状に小花が集まるためボリュームある花姿をつくり、また枝を覆うように花が咲きます。
- 果実は赤色で大きさは直径約0.8cm、形はやや潰れた球形をしており、晩夏頃から冬にかけて房状に実ります。
- 果実は渋く苦いため人が食べる事はありませんが、鳥にとっては貴重な食料源となっているため、木に集って橙色の果実を食べる鳥の姿を観察する事が出来ることもあります。
カザンデマリの樹高は約100(~500)cm、樹形はブッシュ状(Bushy)で枝分かれがよく密に枝が茂ります。枝には多くの棘があり、樹皮の色は黄褐色から赤褐色、新鞘には毛があります。
葉序は互生葉序、葉色は光沢のある緑色、葉柄は0.2(~0.6)cm、葉身の大きさは長さ約2(~7)cm、幅約0.5(~1.8)cm、葉身の形は狭楕円形もしくは倒披針形、縁部分に鋸歯があります。
花序は散房花序、散房花序は半球状(花柄が茎下部ほど長く茎頂部ほど短い)に花が多数集まります。花は直径約0.6(~0.9)cm、形は平開して、花弁は5個、花弁の色は白色もしくは薄い黄色です。
果実はナシ状果(偽果とも呼ばれており、子房を包む花托が肥大して多肉質になり果実の大部分を占める)、ナシ状果は直径約0.8cm、形は球形、色は赤色もしくは赤橙色です。
カザンデマリの園芸品種の紹介
ピラカンサ(トキワサンザシ)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ピラカンサ(トキワサンザシ)の珍しい種類、主な種や園芸品種の紹介【2022】
カザンデマリの育て方
花壇の土づくり
日当たり
カザンデマリは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
作土層
カザンデマリがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約30cmまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
カザンデマリは通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土を好みます。基本的には幅広い土壌で育てる事が出来ますが、粘土質な土壌は生育不良を引き起こす可能性があるため避けた方がよいでしょう。植え付け前にしっかり土壌診断を行い、通気性と保水性のバランスがよく肥沃な壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
カザンデマリは日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
培養土
カザンデマリは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+鹿沼土(小粒)+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
地植え
カザンデマリは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし土の中に指を入れて湿り気がない場合、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
カザンデマリを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。ただし水やりを行い過ぎてジメジメとした環境が続くと根腐れしてしまうため、土が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
カザンデマリはある程度、有機物を含んだ肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としません。肥料は、晩冬から早春に1回だけ肥料を与えれば追肥は不要です。
寒肥の与え方
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料は肥効が長く続く緩効性肥料や有機肥料(配合肥料等)を選びましょう。
- 寒肥の与え方は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 緩効性肥料の場合は株元から少し離れた場所に置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
剪定のやり方
カザンデマリの剪定は生育旺盛で枝が暴れやすいため、成長を制御する目的や、外観を整える目的等で剪定が行われます。剪定する際は前年の枝に花芽がつくため、剪定する時期や花芽を切らないなどの対策が必要です。
庭木として剪定する方法
- 剪定する時期は普通は開花後ですが、晩冬から早春に行う場合もあります。
- 開花後の剪定は花芽や果実を出来るだけ落とさないように剪定したい場合に行われる剪定です。
- 晩冬から早春に行われる剪定は強く切り戻して樹形を大幅に小さくしたい時に行われる剪定です。晩冬から早春は休眠しているため株にストレスがかかりにくく、春からの強い成長で回復しやすい等のメリットがあります。
- 株全体を観察して枯れた茎・損傷した茎(折れてる茎等)・病気の茎を探して、これを根元から間引き剪定して取り除きます。
- 何故ならこれらの茎は日当りや風通しを阻害するため健康に成長している茎に悪影響を及ぼしたり、エネルギーが分散してしまうため健康な芽の成長を阻害するからです。
- 徒長枝は花を付けにくく外観を崩すため、枝分かれしている根元から間引き剪定して取り除きます。分枝を促し樹形をつくりたい場合は枝の途中で切り戻し剪定する事もできます。
- 株全体のバランスを見ながら、外観を崩す不要枝を間引き剪定しましょう。
- 外観を崩す不要枝とは自然に反して、枝(下がり枝)が下向きに成長したり、ふつうとは逆方向に成長したりする枝などです。※詳しくは不要枝のリンクからご覧下さい。
剪定をプロに任せる
剪定を自分で行う事が不安な場合は、剪定のプロに任せて綺麗に仕上げて貰う事も出来ます。また剪定する時間がとれない、他にも庭の作業を依頼したい時などもプロに作業を任せてしまう事が可能です。
- 剪定作業を自分で行う時に不安がある時
- 剪定は重労働になるため体力が最後までもつか不安がある。
- 大きな木を剪定する時は高所作業になるため怪我をするリスクがあり不安がある。
- 間違った剪定を行う事で、数年後に不格好な樹形になったり、スカスカした生垣になるかもしれない不安がある。※必要な枝と不要な枝の見極めが素人には難しい場合があり、太い枝や古い枝などを残すと不格好な樹形になることもある。
- 剪定を行う時間がとれず放ったらかしになっている
- 生垣の管理が疎かになると枝が暴れるため見た目が悪くなったり、枝が歩行者の邪魔になり怪我をさせるリスクがある。
- 木がどんどん成長していくと管理が難しくなったり、鑑賞したい花が上の方に咲いてしまったり、電線の近くだと枝が電線にかかる可能性がある。
- 剪定の他にも作業を依頼したい
- 庭の草が育って薮のようになっている、芝が伸びてボウボウになっている、庭石を並べたり外壁工事を頼みたい、庭にある不要物を撤去して欲しい等の相談も、剪定依頼をする時に一緒に行うことが可能です。
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夏越しする方法
カザンデマリは夏の暑さに強いため、基本的に夏越し対策は不要です。
冬越しする方法
Hardiness:6b~9a
カザンデマリは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
カザンデマリは挿し木によって増やす事ができます。
挿し木の方法
- カザンデマリの挿し木時期は初夏から夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約7~10cmにわけします。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂の切り口を水の中に30分程浸けて水揚げを行います。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 水揚げした挿し穂の切り口に発根促進剤をつけます。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
カザンデマリの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
カザンデマリの種子は休眠状態にあり、そのまま撒いても発芽までに時間がかるため、播種する前にいくつかの手順を踏むことがあります。
一般的には自家採取した種は外の果肉を取り温水に1晩つけます。その後、秋にそのまま播種して寒さを経験させて春の発芽を待つか、冷蔵庫(約4度)に約12週間置いて休眠打破を行います。
植物の病気
カザンデマリの病気
カザンデマリの害虫
- ハマキムシ