ヤエムグラは属の中に約650種がありますが、一般に園芸で親しまれている種は幾つかの種とその園芸品種です。例えば、花や葉にココナッツや干し草を想像させる様な香りがあり地被植物としても利用されるクルマバソウ、黄色の小花を非常に密にちけてボリューミーな花を咲かせるセイヨウカワラマツバ等が親しまれています。
ヤエムグラ属の種ごとの育て方は写真か育て方をクリックすると出てくる為よかったらそちらをご覧下さい!
このページでは主な種の種類と特徴、園芸品種の種類と特徴を紹介しています。
ヤエムグラの主な種の目次 | |
①クルマバソウ 開花時期:5月~7月 | ②セイヨウカワラマツバ 開花時期:7月~9月 |
③ヤエムグラ 開花時期:4月~6月 |
原産:日本/アジア/ヨーロッパ
学名:galium odoratum
草丈:約30~50cm
分類:多年草(宿根草)
開花時期:5月~7月
花色:白色〇
葉色:緑色●
耐暑性:普通
耐寒性:強い
花言葉:「復活」「永遠の命と歓喜」
特徴:クルマバソウは学名galium odoratum、別名「スイート・ウッドラフ(sweet woodruff)」や「スイートセンテッド・ベッドストロー(sweetscented bedstraw)」とも呼ばれる日本およびアジア、ヨーロッパが原産の多年草(宿根草)です。
クルマバソウの語源(由来)
- 属名のガリウム(galium)は、ギリシャ語で「牛乳」を意味する「gala」に由来しており、牛乳を硬めチーズを作っていた事からきています。
- 種小名のオドラタム(odoratum)は「香りが良い」事を意味しており葉の香りに由来しています。
- 和名クルマバソウの由来は、茎に対して輪生につく葉が車輪をイメージさせる所からきています。
クルマバソウの特徴(魅力)
- 葉や花には「ココナッツ」や「バニラ」や「干し草」に例えられるクマリン由来の甘い香りがあります
- ↳香りは特に葉を傷付けた時(踏んだ時)に強く香り立ちます
- また乾燥するとクマリンが増加するため香りが強くなります
- ↳そのためポプリの素材として高い人気があり
- ↳以前はマットレスの詰物にも利用されていました
- 葉はアルコール類の香り付け風味付けとして利用されます
- ↳ただし腎臓にダメージを与えるクマリンを含むため多量の摂取は出来ません
- 耐陰性が高く日の当たらないシェードガーデン等に利用出来ます
- 地面下の根茎により広がり地面を被覆するためグランドカバーになります
- ↳ただし冬になると地上部は枯れます
クルマバソウは地面下に根茎をもっており環境が合えば広範にひろがり群生をつくります。茎は根茎から出て、分枝する事なく直立して高さ約15~30cmの間で成長します。葉は緑色 、大きさは長さ1.5(~4)cm幅は約0.3(1.3)cmあり長楕円形もしくは倒披針形で、茎に対して輪生葉序に殆ど同じ大きさの葉が6~10個配置されます。花は茎の頂部で複集散花序に小花が集まり、個々の花は白色、漏斗形で花先が4裂(4個の裂片)して直径約0.4~0.7cmの大きさになり4個の雄蕊をもちます。
開花時期は晩春から夏、花色は白色、個々の花は漏斗形で裂片は4個あり、花序は茎の頂部に小花が集まり複集散花序をつくります。草姿は直立で根茎により広がり高さ約30~50cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は倒披針形もしくは長楕円形、葉序は輪生葉序につきます。
クルマバソウの既知の危険性
クルマバソウは肝臓に有害なクマリンを含有しています。少量であれば問題ありませんが大量に摂取もしくは長期間摂取した場合に肝臓障害を引き起こす可能性があります。また特に体重の少ない子供には害が大きくなりやすいためドイツではお菓子に使用する事が禁止されています。※大人のアルコール飲料に関しては禁止されていません。
クルマバソウの栽培
園芸では、香りの良い葉や花を楽しむ目的や、シェードガーデンの地被植物として利用するために育てられます。育てる際に注意する事は「日当り」と「乾燥」です。環境が合えば放ったらかしでも育てられますが、夏の暑さや乾燥が厳しい地域では、生育が衰えたり、枯れる可能性があります。そのため、植える場所や土質等には気をつける必要があるでしょう。クルマバソウは挿し木や種によっても増やせますが、一般的には簡単な株分けで増やされます。
クルマバソウ |
原産:ヨーロッパ/北アフリカ/西アジア
学名:galium verum
草丈:約60~120cm
分類:多年草
開花時期:7月~9月
花色:黄色●
葉色:緑色●
耐暑性:強い
耐寒性:強い
特徴:セイヨウカワラマツバは学名galium verum、別名「ガリウム・ベラム」や「レディース・ベッドストロー(lady’s bedstraw)」とも呼ばれるヨーロッパおよび北アフリカ、アジアが原産の多年草(宿根草)です。またセイヨウカワラマツバは幾つかの亜種があり、日本ではキバナカワラマツバ(Galium verum subsp. asiaticum)が自生しています。
セイヨウカワラマツバの語源(由来)
- 属名のガリウム(galium)は、ギリシャ語で「牛乳」を意味する「gala」に由来しており、牛乳を硬めチーズを作っていた事からきています。
- 種小名のverumはラテン語で「真実の」を意味しています。
セイヨウカワラマツバの特徴(魅力)
- 葉や花は乾燥すると「蜂蜜」や「干し草」を思わせる香りがあります
- ↳以前はマットレスの詰物にも利用されていました
- また古くは牛乳を凝固させる為に使われておりガリウム(galium)の名前の由来にもなっており
- ↳ダブルグロスターチーズに独特な色を与える目的でも利用されていました
セイヨウカワラマツバの茎は直立もしくは這い、地面に接した部分から不定根を出して広がり高さ約60~120cmの間で成長します。葉は緑色 、大きさは長さ1~3cmある線形で、茎に対して輪生葉序に殆ど同じ大きさの葉が8~12個配置されます。花は茎の上部で複集散花序に小花が集まり、個々の花は黄色で4個の花弁があり4個の雄蕊をもちます。
開花時期は夏から秋、花色は黄色、個々の花には4個の花弁があり、花序は茎の上部に小花が集まり複集散花序をつくります。草姿は直立で高さ約60(120)cm × 幅は60(90)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は線形、葉序は輪生葉序につきます。
セイヨウカワラマツバ |
原産:日本/アジア/ヨーロッパ
学名:galium spurium
草丈:約30~50cm
分類:一年草
開花時期:4月~6月
花色:緑色●黄色●
葉色:緑色●
特徴:ヤエムグラは学名galium spurium、別名「スティックウィリー(stickwilly)」や「フォールス・クリーバーズ(false cleavers)」とも呼ばれるヨーロッパおよび北アフリカ、アジアが原産の一年草です。日本でも北海道から九州まで全土に分布しており、道端や荒地などに自生しています。
ヤエムグラの語源(由来)
- 属名のガリウム(galium)は、ギリシャ語で「牛乳」を意味する「gala」に由来しており、牛乳を硬めチーズを作っていた事からきています。
- 種小名のspuriumは古代ギリシャ語で「種子」を意味する「σπορά (sporá)」に由来しています。
- 和名「ヤエムグラ」の由来は幾重にもかさなりムグラ(薮)の様になる草姿からきていると思われます。
ヤエムグラの特徴(魅力)
- 一般的には有害な雑草として見られています
- 茎や葉、果実の棘状の毛は衣服にくっつき嫌われています
- 花は緑色から薄黄色で小さいため殆ど目立ちません
- 花後にできる果実には鉤状の毛があり
- ↳子供達が服にくっつけて遊ぶ事もあるようです
ヤエムグラの茎には稜に下向きの棘がある事で他の植物にひっかかり立ち上がる事が可能で、直立もしくは這い高さ約30~50cmの間で成長します。葉は下向きに剛毛が生え、葉色は緑色 、大きさは長さ1~4cmある倒披針形から線形で、茎に対して輪生葉序に殆ど同じ大きさの葉が約8個配置されます。花は緑色(~薄黄色)で殆ど目立たず、茎の上部で集散花序に小花が集まり、個々の花は4個の花弁があり4個の雄蕊をもちます。花後は花冠の下にある2個の子房が膨らみ果実となり、果実には返しのある鉤状の毛があります。
開花時期は春から初夏、花色は緑色(薄黄色)、個々の花には4個の花弁があり、花序は茎の上部に小花が集まり集散花序をつくります。草姿は直立もしくは這い高さ約30(50)cm × 幅は30(50)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は倒披針形もしくは線形、葉序は輪生葉序につきます。
ヤエムグラ |