原産:ヨーロッパ/アジア
科:オオバコ(Plantaginaceae)
属:ベロニカ(Veronica)
種:スピカータ(spicata)
同義語(syn.):Pseudolysimachion spicatum
別名:ヒメルリトラノオ/スパイク・スピードウェル(spiked speedwell)
品種:ウルスターブルードワーフ(ulster blue dwarf)
開花時期:6月~10月(6月~7月に最も開花)
花の色:青色●
葉色:緑色●
分類:多年草
草丈:約30cm
誕生花:6月16日
花言葉:忠実/名誉
用途:切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)とは!?
ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)は、長くて太い青色の花穂と、高さ30cmまでのコンパクトな草姿が魅力的な園芸品種です。ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)は非常に背が低いため花壇の縁どりや寄せ植え等に使いやすく、色鮮やかな青色の花は、単体でも落ち着きのある雰囲気を作りますが、様々な色(赤色・黄色等)を組合せるとカラフルなお庭も作れます。
開花時期は初夏~秋、花色は青色、個々の花は筒状で裂片が4個あり2個の雄蕊が突出して、花序は総状花序です。草姿は直立で高さ約30cm × 幅は約30cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は披針形でふち部分に鋸葉があり、葉序は対生葉序に付きます。
ベロニカ(スピカータ種)とは!?
ベロニカ(スピカータ種)は学名Veronica spicata(syn.Pseudolysimachion spicatum)、別名「ヒメルリトラノオ」や「スパイク・スピードウェル(spiked speedwell)」とも呼ばれるヨーロッパ及びアジア原産の多年草です。
ベロニカ(スピカータ種)の語源(由来)
- 属名のVeronicaは、十字架を背負いゴルゴダの丘へと歩くイエス・キリストを憐れみ、額の汗を拭うようヴェールを差し出した聖ヴェロニカ(Saint Veronica)への献名です。
- 種小名のspicataはラテン語で「穂状の」「尖った」を意味しており、長い花穂に由来します。
- 英名のspeedwellは花の開花から散るまでが早い事に由来します。
ベロニカ(スピカータ種)の特徴(魅力)
- ベロニカ(スピカータ種)は地際にある短い地下茎から垂直に何本も茎を伸ばします。
- 茎は分枝がほとんど無く垂直に伸びるため洗練された草姿をつくります。
- ベロニカ(スピカータ種)はロンギフォリア種と比べて背が低い傾向にあります。
- そのため花壇の縁どりや寄せ植え等に利用しやすいです。
- 花は小さな花が穂状(総状花序)に集まり長さ約10~30cmになります。
- 花(花穂)は下部から上部に向かい開花しますが英名スピードウェル(開花から散り迄が早い)からも分かる通り上部の花が咲く頃には下部では種が作られてる事もあります。
- ベロニカ(スピカータ種)の花は花蜂の蜜源として利用されます。
- 開花期には花の周りを元気に飛び回る花蜂の姿が見られるでしょう。
- ベロニカ(スピカータ種)の花は洗練された姿から切り花として高い人気があります。
- 管理の仕方にも左右されますが日持ち5~7日程度です。
- ベロニカは開花が一段落する夏から晩夏にかけて下葉が落ちて生育が衰える傾向にあります。
- 開花後に切り戻しを行うと返り咲きします。
ベロニカ(スピカータ種)は地面下に短い地下茎をもちます。茎の色は緑色で白色の毛が生えており、通常は殆ど分枝せずに直立(殆ど垂直に伸びる)して、高さ約10(~90)cmの間で成長します。葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉身は披針形、ふち部分に鋸歯をもちます。花序は直径約10(~30)cmの総状花序をつくります。個々の花は筒状で裂片は4個あり、2個の雄蕊が突出します。花後の果実は蒴果です。
ベロニカ(スピカータ種)の切り花の楽しみ方
- ベロニカ(スピカータ種)の収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 収穫は3分の1以上開花したタイミングで行います。
- 収穫したら水に漬けて水切りを行います。
- 水切りしたら花瓶に生けましょう。
- 管理場所は出来るだけ直射日光の当たらない低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)で楽しみましょう。
- 管理は数日(約1~3日)ごとに水換えと水切りを行います。
- 管理場所や管理の方法でも左右されますが日持ちは5~7日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
ベロニカ(スピカータ種)の栽培方法
園芸では、細長く洗練された花を鑑賞する目的や、花を収穫して切り花として利用する目的で育てられます。ロンギフォリア種と比べると矮性な品種が多いことから、花壇の前面や中央部に並べて楽しまれたり、管理のしやすい鉢植えに植えて様々な場所で楽しまれたりします。
ベロニカの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
色々なベロニカの種類とおすすめの品種の紹介【2021】
ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)の育て方
花壇の土づくり
日当り
ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)は日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。日当たりの悪い場所では開花が悪くなったり細く弱々しい茎が徒長して倒伏しやすくなったりするため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。
土壌の土質
ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)は良好な水捌けがない場合、根腐れを引き起こし生育不良になる可能性があります。そのため粘土質な土壌は避け、通気性と保水性が良く、有機物もしっかり入った肥沃な壌土で育てましょう。
植付けの前に土壌診断を行いましょう。
①土を掘る時に硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
②土を濡らして握った時にバラバラと崩れる場合は保水性がない可能性があります。逆に土の塊が出来ても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。
③肥沃な土の場合は土の色が黒っぽくなるため、土の色が薄い場合は土壌の肥沃さが足りない場合があります。
土壌診断後、必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れたり、保水性や保肥力を高める田土や黒土を混ぜたり、肥沃さが足りない場合は牛ふん堆肥や腐葉土等の堆肥を混ぜこみ土壌改善を行いましょう。
鉢土づくり
日当り
ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)は日当り好むため、直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。
培養土
ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)は一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)は浸水したり水分が停滞する様な環境を嫌いますが、やや湿り気のある土壌で最も生産性が高まります。
水やりの頻度は環境(植える場所や土質)にも左右されますが、基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで行うといいでしょう。
肥料の与え方
ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)の多くの肥料を必要としません。肥料は植付け時に与える元肥もしくは早春に寒肥を入れるのみです。
元肥
ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)の元肥は植え付け時もしくは、植付け2週間に前(有機肥料の場合)に与えましょう。
元肥は緩効性肥料もしくは配合肥料を選びましょう。肥料の成分は山型肥料(リン酸多め)を選びます。
元肥の与え方は花壇の場合も鉢植えの場合も、基本的に土壌に均一に混ぜこむ全面施肥です。規定された量を入れましょう。
元肥(寒肥)
寒肥とは休眠中の冬から早春に与える元肥の1種です。
寒肥は元肥と同様に肥効が長い物を選びましょう。具体的には配合肥料や緩効性肥料を選びます。また肥料の成分も元肥と同様に水平型肥料(窒素・リン・カリがバランスよく入る)もしくは山型肥料(リン酸多め)を選びます。
寒肥の施し方は株元から少し離れた場所に何ヶ所か穴を掘り、その中に肥料を施すか、株元から少し離した場所に緩効性肥料を置き肥しましょう。
剪定のやり方
ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)の剪定は開花期間中の「花がら摘み」と、真夏に行う「切り戻し」と、冬越し後の早春に行う「間引き剪定」の3つです。
花がら摘み
ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)は開花期間中の花がら摘みが大切です。何故なら枯れた花を残すと見た目が悪いばかりか、種を作り初めて株が弱り生育が衰えたり、蕾の花が咲にくくなったりするからです。 枯れた花を摘む事は、沢山の新しい花を咲かせる事に繋がります。
花がら摘みの方法は萎れた花もしくは枯れた花を、花穂の下で剪定するだけです。
切り戻し
ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)の切り戻しは真夏に入り下葉が落ちて株が弱ってきたと感じたら行います。生産性の落ちた古い茎を切り戻す事で、地際付近から新しい成長がうまれ、暫くすると花も少量ながら開花します。
切り戻しの方法は地面から高さ約10~20cmの場所で剪定するだけです。
間引き剪定
ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)の間引き剪定は、冬越し後の早春に行います。
間引き剪定の目的は不要な茎を取り除く事で、主要な茎もしくは新しく成長する芽にエネルギーを優先的に送ったり、光の通りや風通しをよくしたりする事で健康な成長を促す所にあります。
間引き剪定のやり方は、越冬後に古い茎(前年の枯れた茎)を根元付近で強く剪定して取り除くだけです。
夏越しする方法
ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)は夏の暑さに耐えますが、晩夏になるにつれて下葉が落ちて生育が衰える傾向にあり、また多湿環境では根腐れや斑点病などの病気にもかかることがあります。
花がら摘みを行い株が必要以上に弱る事を防ぎ、花が一段落したら切り戻しを行い新しい健康な成長を促します。
冬越しする方法
Hardiness:4a~8b
ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)は挿し木によって増やす事ができます。
ベロニカ(ウルスターブルードワーフ)の挿し木の手順
- 挿し木時期は生育が活発で発根力が高い晩春から初夏が適します。
- 茎に弾力があり健康な茎をカットします。
- 挿し穂 の長さ約7cmにわけしましょう。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残しましょう。
- 挿し穂を湿らせた培養土に挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりをしっかり行い管理しましょう。
播種で増やす
ベロニカ(スピカータ種)の種蒔の方法
播種時期:3月~4月 9~10月
発芽適温:約15~20度
発芽日数:約15日
光条件:
- ポットに種まき用の培養土を準備するか、直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
ベロニカ(スピカータ種)の病気
- 斑点病
- べと病
- うどんこ病
- 灰色カビ病
ベロニカ(スピカータ種)の害虫
- アブラムシ