一般に園芸で使われる肥料には「化成肥料」「有機肥料」があり、それぞれに利点や欠点があります。また植物毎に必要な肥料の量がことなったり、少な過ぎたり多すぎたりする事で植物に害が出る事もあります。
与える肥料の種類によっても頻度が変わり週に1回与えるものから2~3ヶ月に1回でいいものなど様々です。また腐葉土等の堆肥を入れる事でも肥料の必要量を減らすことが出来ます。
肥料には効き方によって「速効性」と「緩効性、」と「遅効性」の3種類のパターンに分かれ、それぞれ効くまでの速さと肥料の効果が続く長さがことなります。
速効性肥料
液肥や粒が小さい固形肥料等の水に溶けやすく肥効が出るまでが早く短期間(7日~15日程度)で肥効が終わる肥料の事を呼びます。肥料をたくさん欲しがる植物や欠乏症状を起こした時等におすすめの肥料です。
緩効性肥料
粒が大きくコーティングされている肥料で施した時から肥効がゆっくりと効き始め長期間(1ヶ月から3ヶ月程)肥効が続きます。プランター植物の追肥や元肥におすすめで、速攻性の肥料と比べて肥焼けしにくいのが魅力です。
遅効性肥料
主に有機肥料に多いタイプです。微生物に分解されて効き始めるため肥効が出始めるまでに少し時間がかかります。効果は約3ヶ月程続き元肥として使われたり、発酵済みの有機肥料では追肥としても使われます。
成分比率の違い
![]() (* ˙-˙ p楽天で購入q | 水平型 N-P-K |
![]() (* ˙-˙ p楽天で購入q | 山型 N≧P≦K P(リン)が多めの山型肥料は、草花や花木等に向き、特に赤玉土や鹿沼土等の火山灰土を多く使うプランター植物はリンが吸着されてしまうため山型の肥料がおすすめです。 |
![]() (* ˙-˙ p楽天で購入q | 下がり型 N≧P≧K N(窒素)が多めの下がり型肥料は、葉色を良くしたり葉茎の成長を促すための肥料です。主に追肥として利用されます。 |
![]() (* ˙-˙ p楽天で購入q | 上がり型 N≦P≦K K(カリ)が多めの上がり方肥料は球根類や根菜類の肥料の他、冬越しの準備に入る草花に与え抵抗性を上げるための肥料として利用されます。 |
谷型 N-P-K 谷型肥料は主に水耕栽培の肥料として利用されます。 |
肥料は大きく分けると「有機肥料」と「化成肥料」の2タイプに分かれ、1部に化成肥料と有機肥料の混じったものがあります。
有機肥料とは有機物を原料にした肥料です。大豆を搾って出来た油カスや動物の骨から出来た骨粉、草や木の枝を燃やして出来た草木灰等があり微生物の分解により植物の栄養となる物が殆どです。化成肥料はチリ硝石やリン鉱石等を合成して作られたもので、無機質のため効果が直ぐに現れる肥料です。
化成肥料と有機肥料の利点と欠点
有機肥料 | 化成肥料 |
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有機肥料の特徴
有機肥料は窒素やリンやカリ等の肥料の3要素の他にもミネラルやアミノ酸等の微量要素を豊富に含んでおり、病気や寒さ暑さに強い植物に育てるといわれています。また有機物はミミズ等の土壌生物や微生物の餌となるためこれらを増やす働きがあり、土壌をふかふかの団粒構造にしたり病気の原因になる病原菌を抑制する等の働きがあります。
有機肥料を使う場合は窒素の多い「油カス」とリンの多い「骨粉」を混ぜて使う等の配合が必要です。初めて使う場合は最初から配合された「有機配合肥料」や「ぼかし肥料」等を使うといいでしょう。またこれらは殆どの場合は、発酵しているため追肥としても使うことができます。
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有機肥料を使用する時の注意
有機肥料は化成肥料と比べると肥料の3要素の成分が少なく、また微生物の分解によって肥効が左右されるため化成肥料と比べると使い難さがあります。また未発酵の有機肥料は発酵時に出る熱とガスで根を傷める事があるため置き肥にして使う等して根に当てない工夫をしましょう。
化成肥料の特徴
化成肥料の利点は成分比率が分かりやすく表記してあり、肥料の効果が早く出るため元肥や追肥等の目的に合わせて使い分けがしやすい所にあります。また与える肥料は少量で済み、匂いもなく、分解も促進しない為、プランター植物への肥料としておすすめします。
化成肥料の種類
![]() (* ˙-˙ p楽天で購入q | IB肥料は水分で緩やかに分解していく緩効性肥料です。元肥にも追肥にも利用できる上に、使う量も数粒から十数粒と指定してあり土の上に置くだけと簡単で最もおすすめしたい肥料です。 肥料効果は3ヶ月程度 |
![]() (* ˙-˙ p楽天で購入q | 錠剤タイプの肥料は置くだけ簡単な肥料です。手が汚れず肥料の減り具合も見た目で分かるためおすすめの肥料です。 肥料効果は2ヶ月程度 |
![]() (* ˙-˙ p楽天で購入q | 液肥は速効性が非常に高く、成長が早い植物や花が沢山咲く植物等、肥料が足りなくなりやすい植物におすすめの追肥肥料です。 肥料効果は10日程度 |
![]() (* ˙-˙ p楽天で購入q | スプレータイプは葉色が黄色なった時や、クロロシスを起こした時、要素障害を起こした時に素早く回復する手段としておすすめの肥料です。また根が弱り栄養の吸収が出来ない植物等にも有効です。 肥料効果は3日程度 |
肥料を与える時期や与え方
季節毎の肥料の与え方
元肥の与え方
元肥は植え付け事に土に混ぜるか、多年草等の植えたままの植物では冬期に周囲に穴を掘り土中に混ぜられます。
元肥に使われる肥料は一般的にマグアンプ等の緩効性タイプや有機肥料の遅効性タイプが使われます。特にリン等は水に溶けにくく後から追肥で与えにくいため山型タイプの肥料や水平型の肥料を土に混ぜられて与えられるのが一般的です。
また元肥の肥効は3ヶ月程から1年程まで続くものがありますが、窒素等は水で流亡しやすいため生育に合わせて追肥してあげる必要があります。
※多年草や花木への寒肥は12月から2月の植物が休眠している時期に行います。株から少し離れた場所を円環に浅く掘り、有機配合肥料を土と混ぜ合わせて穴を埋め戻しましょう。
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追肥の与え方
追肥は一般的に春から冬にかけ、植物の生育期間中に足りなくなった肥料を追加する目的で行われます。
追肥には一般的に効果が直ぐに出る速効性タイプと緩やかに長く肥効が続く緩効性タイプの2タイプがあります。速効性タイプは水に溶けやすい固形肥料や液肥等があり、緩効性タイプではコーティングされたIB肥料やぼかし肥料等があります。
速効性タイプは肥効が素早く出る反面、肥効が長く続かないため、10日に1度与える必要があります。また肥料成分が高いため与えすぎると肥焼け等の症状を起こす恐れもあります。
緩効性タイプは肥効が施した時から緩やかに現れ1ヶ月から3ヶ月程と長く続きます。また肥料成分が緩やかに出るため速効性と比べる肥焼けが起こりにくいのが特徴です。
おすすめは緩やかに効き安定した肥効が3ヶ月程効くIB肥料を置き肥として使い、生育が旺盛なものや花を沢山咲かせるもの等の肥料が足らなくなる草花は必要に応じて液肥を与えるスタイルで管理するといいでしょう。
肥料の使い分け
肥料は成長段階に応じて使い分けができます。例えば三月から四月頃に種からの発芽するものや休眠からあけた株が新芽を出し始めるものは茎葉を大きく成長させるため窒素を沢山必要とします。そのため肥料は下がり型肥料や山型肥料を肥料を上げるのがいいでしょう。
成長が進み花芽を付ける時期になったら窒素肥料を減らしリンが多めの山型肥料を与えましょう。窒素肥料は花芽を付けにくくし花数を減らすため、窒素は減らす必要があります。 また開花期間の長い植物や花数の多い花は肥料が足りなくなる事もあるので固形肥料の他に液肥を追加で施して上げるのもいいでしょう。
花が終われば翌年のために、カリが多めの上がり型肥料を与えて株を丈夫に育てて上げて下さい。株を丈夫にする事で冬越しの失敗が減り翌年も新芽がしっかりとでます。
商品に記載された決められた量を決められた期間で与える事は、肥焼けや要素障害等を起こさい為にも必要な事ですが、植物によって必要とする栄養の量が多かったり少なかったりする事もあります。
その様な場合は少なめに肥料を与えたり多めに与えたりと植物毎に調整をする必要があります。
主な傾向 | |
肥料少なめに与える | 肥料多めに与える |
・成長がゆっくりの植物 | ・成長が早い植物 |
・成長期間が短い植物 | ・成長期間が長い植物 |
・花が少ない植物 | ・花が多い植物 |
肥料の欠乏や過剰症状一覧
窒素 | |
欠乏症状 | 過剰症状 |
対策 応急的に、尿素溶液を0.5%程度に薄め葉面散布を数回行う。窒素肥料の追肥を行う。 |
対策 窒素は水で溶けやすく流亡しやすい為、大量の水で土壌中の窒素を洗い流す。 |
カリ | |
欠乏症状 | 過剰症状 |
対策 応急処置として硝酸カリウムを0.1%~0.3%程度に薄め葉面散布を三日おきに数回行う。固形のカリ肥料を追肥する。 |
対策 大量の水で土壌中のカリウムを流す。下層の土と混和または土壌改良用土を混和して含量の低下をはかる。 |
リン | |
欠乏症状 | 過剰症状 |
対策 応急処置として【リン酸カリウムを液体肥料を0.1%~0.3%程度に薄め葉面散布】を数回行い、固形肥料を根の付近に追肥する。 |
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カルシウム | |
欠乏症状 | 過剰症状 |
対策 植物体で移動しにくいカルシウムは葉面散布で葉や新芽に直接散布するのが効果的です。土壌に石灰資材を施用しカルシウムの含量を増やす。 |
対策 大量の水で土壌中のカルシウムを流す。下層の土と混和や土壌改良用土を混和して含量の低下をはかる。 |
マグネシウム | |
欠乏症状 | 過剰症状 |
対策 応急処置として硝酸マグネシウム溶液を1%~2%に薄め数回葉面散布する。土壌に苦土石灰を規定量施す。 |
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イオウ | |
欠乏症状 | 過剰症状 |
対策 土壌に硫酸マグネシウムや硫安を規定量施用する。 |
鉄 | |
欠乏症状 | 過剰症状 |
対策 応急処置として硫酸第一鉄溶液を0.1%~0.3%程度に薄め葉面散布を1週間おきに行う。土壌のPHを計りアルカリ性に傾いていれば土壌改良を行う。 |
対策 鉄過剰は酸性土壌や過湿で発生しやすいため、土壌の改良や水の管理を行う。 |
マンガン | |
欠乏症状 | 過剰症状 |
対策 応急処置として硫酸マンガン液を0.1%~0.3%程度に薄め葉面散布を1週間おきに行いましょう。土壌のPHを計りアルカリ性に傾いていれば土壌改良を行う。 |
対策 土壌に石灰等のアルカリ資材を入れる事でマンガンを不溶化して植物への吸収を抑える。 |
銅 | |
欠乏症状 | 過剰症状 |
対策 応急処置として硫酸銅溶液(薬害防止のため石灰加用)を0.1%~0.2%程度に薄め葉面散布を1週間おきに行う。 |
対策 |
亜鉛 | |
欠乏症状 | 過剰症状 |
対策 応急処置として硫酸亜鉛溶液(薬害防止のため石灰加用)を0.1%~0.2%程度に薄め葉面散布を1週間おきに行う。土壌のPHを計りアルカリ性に傾いていれば土壌改良を行う。 |
対策 亜鉛過剰の土を除去、または下層の土と混和や土壌改良用土を混和して含量の低下をはかる。 |