花壇に植物を植えるうえで最も大切な事は「日当たり」と「土壌の改善」の2つです。植物によって必要な日光量に違いはありますが、基本的に植物は光がないと光合成が出来ず成長しません。また土壌も同様に大切で硬い土に植物を植えると根が張れず水分や栄養が上手く植物が吸収出来ずに枯れてしまう等してしまうでしょう。
日光量は場所によってことなるため場所に合わせて植物を選ぶ必要があり、また植物が混みあった場合は剪定する等して日光を確保する必要があります。
土壌の改善は「作土層の膨軟性」「石の除去」「土質(土性)の改善」「肥沃な土壌と生物性」「植物に合わせたPH」の5つが主となり大切な要素です。
植物が必要な日光量
花壇で植物を育てる上で必要な日光量は一般的に「日向」「半日影」「日陰」の3つで表されています。苗のラベル等に記載される事は殆どありませんがネットで調べるとある程度はでてくるため、それを参考にして植物を選んだり植える場所を選んで上げてください。
基本的に植物を植える場所は「日向」「半日影」「日陰」の3つを参考にして植えるといいのですが、季節によって太陽光が強くなり必要以上の光量となったり、植物が必要な光量が減る場合もあります。
特に夏は強い日射しが植物の細胞を傷付け葉を枯れさせる事があります。その様な場合は植物を日向から半日陰や部分的な日陰等に移動してあげる必要が出るでしょう。また冬になり温度が下がると植物は光合成をあまりしなくなるため必要な光量も落ちてきます。
それ以外でも、花壇が広いと植物同士が光を奪い合い矮性な植物等は日陰に追いやられ枯れてしまう事もあります。その様な場合は定期的な間引きや切り戻し等の剪定が必要です。
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花壇の土づくりで大切なポイントは「作土層の膨軟性」「石の除去」「土質の改善」「肥沃な土壌と生物性」「PHの改善」の5つです。
作土層の膨軟性
作土層とは土壌の表層にあり柔らかな土の部分を呼びます。作土層が浅かったり硬かったりすると、植物はしっかりとした根を張れず成長が抑制されてしまいます。そのためスコップで深くまで土を掘り柔らかくする必要があります。
作土層の深さは支柱を土に軽く刺した時に入る深さではかります。植物によって根を張る深さはことなるものの一般的には深さは30cm程度が必要です。
スコップで土を掘り返し、土を柔らかくしましょう!その時に大きな石がありどうしても深く掘れない場合もあります。その場合は土を別の場所から持ってくる等して嵩上げを行い対処しましょう。
石の除去
花壇にある石は、植物の根張りのスペースを奪い、水分や養分の保持能力を低下させるため残しておいても殆どメリットがありません。そのため労力はかかりますが取り除いてあげる必要があります。
取り除く方法は基本的には土ふるいが必須です。手作業で1つずつも行えますが、時間がかかる上に見落としが増えるためあまり現実的ではないでしょう。また除去の難しい雑草の根茎や球根を同時に取り除く事もでき、プランターの土を再生する時にも使うため1つは持っておくと便利です。
土ふるいはホームセンターにも売ってあり、楽天でも購入出来ます。広いお庭であれば作業効率も考えて大きな土ふるいをおすすめしますが、培養土の再生等、必要に合わせて網の目を変えられる土ふるいもおすすめです。
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土質の改善
土質(土性)は大きくわけると「壌土」「砂土」「埴土」の3タイプにわけることが出来ます。砂や粘土、シルト等が混ざり合いその割合で土壌の土質が決まっており、植物の成長に非常に大きな影響を与えています。
基本的に植物を育てる場合は保水性や通気性のバランスがいい壌土で育てるのが理想ですが、植物に合わせて壌土に砂を少し入れた砂壌土や粘土が多めの埴壌土等と対応して土壌を作る事も大切でしょう。
基本的に砂の多い砂土は保水性がなく、1部のサボテン等を除いて殆どの植物には向きません。また粘土の多い埴土も土が硬くなったり多湿になるため一般的な園芸植物にはあまり向かないでしょう。
土性は湿らせた土を指で捏ねて簡易的に診断します。
土を湿らせた時に、粘土は指で捏ねるとかたまりますが、砂は塊になりません。その性質を利用して指で捏ねた時にどれだけ細くなるかで土壌の性質を診断しましょう。
壌土 指で捏ねると鉛筆程度まで細くなる | 砂壌土 指で捏ねると親指程度に細くなる |
埴壌土 指で捏ねるとマッチ棒程度に細くなる
| 砂土 指で捏ねても土は固まらない |
埴土 指で捏ねるとコヨリ程に細くなる |
診断後に土壌に問題があった場合は改良用土を投入と混和して改善をはかりましょう。花壇の土が砂土であった場合は田土やバーミキュライトを使い保水性や保肥力の向上をはかります。埴土であった場合は川砂やパーライトを土壌に混ぜ通気性の改善を行いましょう。
PHの改善
PHは植物の栄養となる鉄やマンガン、リンやカルシウム等の溶解に広く影響し植物の栄養吸収能力に関わります。また微生物の増減にも影響を与え土壌や植物の健康にも大きな影響がでます。
PHは0~14の数値で示されており酸性(0~6)中性(7)アルカリ性(8~14)の3タイプあります。一般的には日本の土壌は酸性雨の影響でやや酸性の土壌が多いと言われていますが、石灰等の土壌改良材等の入れ過ぎによりアルカリ性に傾いている場合もあります。
PHも植物が好む範囲がありますが、基本的にはPH6~7の間で育てると問題が起こる事はそれほどないでしょう。
PHの診断
PHは測定器もしくは試験紙を懸濁液につけて測定します。ホームセンター等で売っている土壌に突き刺すタイプが手軽で個人的にはおすすめです。楽天でも購入出来るのでどれかひとつは持っておくといいでしょう。
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土壌PHの調整
酸性土壌の場合
極端な酸性土壌でPHを上げる際は石灰を入れるのがが最も一般的です。土壌のPHを1上げるのに必要な石灰の量は約200g。砂土では上記の半分、埴土では1.5倍を必要とします。土壌に石灰を入れ塊にならないようよく混和しましょう。
アルカリ土壌の改良
アルカリ性土壌でPHを下げたい際は、無調整のピートモスを花壇にいれ混和するといいでしょう。また日本では一般的に雨の影響で土壌が酸性に傾きやすいため下層の土と混和すると中性に戻る事があります。
肥沃な土壌と生物性
肥沃とは有機物のたっぷり入った土壌をいい、生物性はミミズ等の昆虫や微生物が豊富にいる土壌です。
有機物は土壌の中において植物に栄養を提供したり、保水性や排水性を上げたり、微生物の働きを活性化、それによる土壌の団粒化や病気の抑制等の様々な有益な効果が期待できます。
肥沃で生物の豊かな土を作る方法
堆肥や有機肥料を使う
堆肥は年に1回、化成肥料のかわりに有機肥料を使い微生物や土壌動物を増やしましょう。堆肥は土壌の通気性や保水性を上げるだけでなく微量要素が含まれるため肥料の必要量をへらします。また有機肥料はアミノ酸やミネラルが豊富にあり植物が丈夫に育ちやすく病気にかかりにくくなります。またこれらの有機物は微生物を増やす働きもあるため土壌の団粒化を促し病原菌の抑制効果が期待できる等、様々な利点をもたらします。
マルチング
土壌を腐葉土やバークチップ等のマルチングで覆いましょう。マルチングは植物や微生物を急激な温度変化や乾燥等から守り住みよい環境を整える働きをします。またマルチングで使われる腐葉土や堆肥は微生物や土壌の動物の働きによってゆっくりと分解され植物の栄養となります。
農薬や殺虫剤を使わないか適切な使用
農薬や殺虫剤を使うと害虫や病原菌だけでなく、それらを抑える益虫や微生物も減らしてしまいます。そのため害虫は手でとったり蜘蛛やシジュウカラ等の鳥に助けてもらい、また病原菌はバチルス菌や放線菌等の有益な微生物を増やしたりマルチングするなどして泥跳ねを防ぎ病気を減らしましょう。