夏越しとは、植物が夏の高温を耐えて秋まで生き残ることです。また夏越しを行うとは、住んでいる地域の暑さ等に適応出来ていない植物を、保護して夏越しさせる事になります。
ここでは、植物の夏越しの必要性の調べ方、植物の夏越しを行う方法などを紹介しています。植物を育てる際の参考にしてみてください。
■夏越し対策が必要か調べる
夏越しとは、植物が夏の暑さを耐えて秋まで生き残ることです。
夏越し対策の必要性は、住んでいる地域の気候、植物の特徴(夏越しの耐性)によって変化します。上記の二つを調べて、総合的に夏越し対策の必要性を判断して、植物が弱い部分への適切な対策を取り入れて夏越し対策を行いましょう。
●住んでいる地域
日本の気候の殆どは、一般的に温帯の中にある温暖湿潤気候と冷帯の中にある湿潤大陸性気候に属しています。ふたつの気候は、夏場の過ごしやすさに大きく影響しており、植物の夏越しの必要性にも関連しています。
そのため、自分の住んでる地域の気候を調べて、夏越しの必要性を判断しましょう。
☆夏越し対策が必要?
日本の温帯湿潤気候(Cfa)は、一般的に夏は暑く、最高温度が40℃を超える事があり、また真夏日も60日前後あります。
降水量も多くジメジメとしがちで、夏場は高温とも重なるため、多くの植物が苦手にする高温多湿になります。そのため、植物にかかる環境ストレスは大きめです。
夏越し対策の必要性は、育てる植物の種類や自生地によって変わりますが、温帯湿潤気候は夏越し対策の必要性が高い場所となります。
☆夏越し対策不要?
湿潤大陸性気候(Dfa・Dfb・Dwa・Dwb・Dsa・Dsb)は、日本の中で北海道や北陸や高地にあり、夏の温度は22℃前後と比較的に過ごしやすい一方で、冬はかなり寒く明確な気温差と四季がある所が特徴です。
また降水量も平均的なためジメジメとすることもあまりありません。そのため、夏場の環境ストレスは少なく、あまり夏越し対策をしなくても大丈夫な傾向にあります。
●植物の夏越し耐性を調べる
植物の中には夏越しが必要な植物、夏越しが不要な植物があります。これは、住んでる地域の環境によっても変化しますが、植物の耐性でも変わってきます。
夏越しで必要になる耐性は、耐暑性・耐光性・耐湿性・耐乾性・耐病性などがあり、植物が何に強くてなんに弱いかをしる事で適切な夏越し対策ができるようになります。
☆耐暑性
耐暑性とは、植物が夏の高温に耐える能力のことです。
植物は高温環境におかれると、光合成能力が低下して成長が止まったり、呼吸が増えて株が消耗したり、タンパク質が変性して多くの機能が失活したりして生育不良を引き起こします。そのため、植物の耐暑性を調べて対策をとる事が必要になります。
耐暑性の調べ方
- 耐暑性:耐暑性は「強い」「弱い」で表記される事があります。耐暑性が強いとは、高温に対する耐性が強く、耐暑性が弱いとは高温に対する耐性が弱いことを示しています。そのため、耐暑性が弱い植物を温帯の温暖湿潤気候で育てる場合は夏越し対策を行った方がよいでしょう。
- Heat Zone(耐暑性ゾーン):Heat Zoneとは、年間の気温が30度を超える日にちを1~12までのレベルに分類して、住んでる地域の真夏日の日数と植物が耐えられる真夏日の日数を組み合わせて総合的に植物が夏越し出来るかを判断する方法です。日本の真夏日は60日前後あるためHeat Zone 7 となります。植物を調べてHeat Zone 1~6 の範囲にある場合は、真夏日が1~45日の範囲で耐えられる植物のため、夏越し対策を行った方がよいでしょう。Heat Zone 7以上の数字である場合は一般的に夏越し対策がなくても育てられます。
- 気候:気候とは地球のある地域の気温や降水量などを長期間平均して見た時の大気の状態です。植物が育ってきた場所の気候を調べる事で、夏の気温や降水量等をしる事が出来るため、住んでる地域と植物の自生地の気候を比べて、夏越し対策が必要かどうかを総合的に判断することが出来ます。例えば、日本は温帯の中にある温暖湿潤気候が広く分布しているため、植物の育つ環境が熱帯や乾燥帯であれば高温対策は不要になります。一方で冷帯や温帯(一部)であれば、寒い気候で育っているため、日本の高温多湿に耐えられない可能性があります。そのため、夏越し対策が必要になるでしょう。※世界の気候に関しては気候と夏越しの関係をご覧下さい。
耐暑性の弱い植物の対策一覧
☆耐光性
耐光性とは、太陽の強い光に耐える能力のことです。
植物は強すぎる光に当たると、光合成に必要な細胞・タンパク質を壊してしまったり、活性酸素が蓄積して細胞死を引き起こします。そのため、植物の耐光性を調べて対策をとる事が必要になります。
耐光性の調べ方
耐光性の調べ方は、植物を植える場所を調べた時に出てくる日当たりの範囲を見る事でわかります。
基本的に植物を育てる場所は、日向・半日影・日陰の三種類があるため、記載されている適切な場所で管理するとよいでしょう。
ただし、耐暑性の弱い植物を育てる場合は、暑さ・乾燥・強光の複合ストレスで植物がより弱りやすくなるため、夏場だけ日陰に移動した方がよい場合もあります。
耐光性の弱い植物の対策一覧
☆耐湿性・耐乾性
耐湿性・耐乾性とは、湿度や乾燥に耐える能力の事です。
耐湿性・耐乾性の2タイプは、ある程度の相関性があり、一般的に耐湿性がある植物は乾燥に弱かったり、乾燥に強い植物は多湿に弱かったりします。
耐湿性・耐乾性の調べ方
耐湿性・耐乾性の強さ弱さは、育て方の情報・植物の特徴・自生地・気候などを調べて総合的に判断する事ができます。そのため、両方の強さ弱さを見ながら、どのような夏越し対策が必要か判断するとよいでしょう。
- 育て方:植物の育て方の水やりの場所や夏越しの場所を調べると、多湿に強い・弱い、または乾燥に強い・弱い情報があることがあります。多湿や乾燥に弱い植物であればそれを参考にして夏越し対策を行うとよいでしょう。
- 植物の特徴:植物には環境に適応して様々な特徴を持つようになります。例えば、乾燥に強い植物は茎・葉が多肉質になっていて水分・養分を蓄えていたり、植物体に毛が多く水蒸気を効率よくキャッチする働きを持っていたりです。このような植物は逆に多湿に弱い傾向があり、高温多湿環境で根腐れや病気にかかりやすくなります。一方で、多湿に強い植物は葉が柔らかかったり、葉が薄かったり、蓮の葉のように水分を弾く性質を持っていたり、根が浅かったり、自生地が日陰にあったりする傾向があります。このような植物は逆に乾燥に弱い傾向があり、乾燥すると葉が落ちたり枯れたりしやすいです。
- 自生地:植物は水分の少ない環境や多い環境で、様々な形で適応した進化をしています。そのため、植物の自生地を調べる事で、植物の耐湿性・耐乾性を知ることが出来ます。例えば、植物が日陰や湿地に自生している場合は水分が多い場所にいるため基本的に多湿に強く、また逆に土壌が砂や石などの鉱物でほとんどが構成されている場合は、水分が保持されにくい環境にいるため基本的に乾燥に強い植物となります。
- 気候:気候とは地球のある地域の気温や降水量などを長期間平均して見た時の大気の状態です。植物が育ってきた場所の気候を調べる事で、降水量の傾向を知ることができるため、植物が乾燥に適応しているか、多湿環境に適応しているかを調べる事が出来ます。基本的に乾燥帯や夏に雨の少ない地中海性気候などで育つ植物は乾燥に強く多湿に弱い傾向があり、熱帯(1部除く)や夏場の降水量が多い地域は多湿に強い傾向があります。
耐湿性・耐乾性の弱い植物の対策一覧
■夏越しを行う方法
日差しを避ける
日差しを避けるとは、日差しの当たる場所を避けて植物を育てることです。
- 環境ストレス対策:高温・強光・乾燥・紫外線
- 対象の植物:高温・強光・乾燥に弱い植物 など
- 方法:植物が育つのに必要な日当たりを調べて、夏の暑さが耐えられないような植物であれば、できるだけ日の当たらない場所に植える。鉢植えで育てる場合は、夏の期間だけ植物が健康に育てられる範囲の中で日陰に移動する。
- デメリット:
日除けをつくる
日除けをつくるとは、太陽との間に遮光ネットを張って太陽光を遮り、遮光ネットの下に日陰をつくることです。
- 環境ストレス対策:高温・強光・乾燥・紫外線
- 対象の植物:高温・強光・乾燥に弱い植物 など
- 方法:遮光ネットなどを準備します。 植物を育てている花壇などに遮光ネットを上から張るか、遮光ネットを張っている場所に植物を移動する。
- デメリット:
雨避けをつくる
雨避けをつくるとは、植物の上に雨避けを張り、雨が植物に当たらないようにすることです。
- 環境ストレス対策:冠水・多湿過湿・病原菌・ウィルス
- 対象の植物:多湿・病気に弱い植物 など
- 方法:雨避けを準備します。 植物を育てている花壇などに雨避けをつくるか、雨避けを張っている場所に植物を移動する。
- デメリット:
雨の当たらない場所に移動する
雨の当たらない場所に移動するとは、植物を雨が当たらない場所に移動することです。
梅雨から夏場は降水量が増えて、植物は多湿・病気などの様々な悪影響を受けて弱りやすくなります。そのため、多湿や病気に弱い植物などは雨を避けて育てた方が無難です。
- 環境ストレス対策:冠水・多湿過湿・病原菌・ウィルス
- 対象の植物:多湿・病気に弱い植物 など
- 方法:長雨が続く場合などは、植物を育てている鉢植えを軒下などに移動して、雨宿りをさせて上げるとよいでしょう。
- デメリット:
土壌の改善をする
土壌の改善とは、植物を健康に育てるために、植物に合わせて土壌の改善を行うことです。
夏場は、土壌が乾きやすかったり、また降水量が増えてジメジメとしやすいです。そのため、植物に合わせて土質を改善する事が大切になります。
- 環境ストレス対策:乾燥・冠水・多湿過湿・病原菌・ウィルス
- 対象の植物:多湿・乾燥・病気に弱い植物 など
- 方法:土壌の状態を調べます。育てる植物を調べて、乾燥が苦手な植物の場合は保水性の高い土壌改良材を入れて、多湿を苦手にしている植物であれば鉱物系の土壌改良材などをいれましょう。
- デメリット:
⥥下記のページも参考にしてみてください。
灌水をする
灌水をするとは、植物に水やりをすることです。
夏場は乾燥して、植物は萎れたり、枯れたりしやすいため、他の季節よりも多めの水やりが必要になる傾向があります。※休眠中の植物を除く。
- 環境ストレス対策:乾燥
- 対象の植物:全植物
- 方法:土壌の乾き具合を見て、表面または表層が乾燥してきたら、水やりを行いましょう。
- デメリット:
⥥下記のページも参考にしてみてください。
切り戻しする
切り戻しとは、伸びた茎を途中で切る剪定方法です。
梅雨から夏場は降水量が増えて、植物は多湿・病気などの様々な悪影響を受けて弱りやすくなります。そのため、多湿を苦手にする植物などは、梅雨の前後に茎を途中で切って、風の通りをよくしたり、太陽が株元まで当たるようにしたりして、多湿・病気を予防します。また葉の量を減らす事で蒸散量も減るため、乾燥対策にもなります。
- 環境ストレス対策:乾燥・多湿過湿・病原菌・ウィルス
- 対象の植物:多湿・病気に弱い植物 など
- 方法:剪定の方法は植物によって変わります。そのため、個別の植物の育てかたからご覧下さい。
- デメリット:
マルチング
マルチングとは、地面の表面を資材で覆うことです。
マルチング資材が地面を覆うことで、夏場の強い日差しから地面を遮り、急激な地温の上昇を防ぎます。また高温による蒸発や、泥はねからの病気の感染なども防いでくれます。
- 環境ストレス対策:高温・乾燥・病原菌・ウィルス
- 対象の植物:病気・乾燥に弱い植物
- 方法:バークチップや藁などのマルチング資材を準備します。準備したマルチング資材を、育てている植物の周りに入れます。
- デメリット:
打ち水をする
打ち水とは、道路や庭などに水を撒いて、水が蒸発する時に気化熱を奪い、地面や大気の温度を下げる事です。
- 環境ストレス対策:高温・乾燥
- 対象の植物:高温・乾燥に弱い植物
- 方法:打ち水は気温が上がりきらない朝や、夜温を効果的に下げる夕方に行うのが効果的です。ホースやジョウロ等を使用して、地面に満遍なく散水しましょう。
- デメリット:湿度が高まると病原菌が繁殖しやすくなるため、多湿・過湿に弱い植物や病気に弱い植物は注意が必要です。
葉水を行う
葉水とは、植物の茎や葉に水をかけることです。
葉水で植物についた水滴は、蒸発する時に気化熱を奪うため植物の温度を下げる効果があります。また植物の周囲の湿度も上げるため蒸散が抑制されて乾燥対策としても働きます。
- 環境ストレス対策:高温・強光・乾燥・紫外線
- 対象の植物:高温・強光・乾燥に弱い植物
- 方法:葉水は気温が高い時間を避けて朝にやるのが最適です。葉に向けて、ハス口をつけたジョウロで柔らかな水をかけてあげるとよいでしょう。※注意点、強い勢いの水を植物にかけると枝葉が折れる事があるため水圧には注意しましょう。多湿を苦手にしている植物は植物体に水がかかると病気にかかるリスクが高まるため葉水は避けます。花に水をかけると傷んだり病気に感染するリスクを高めるため水をかけないようにしてください。
- デメリット:多湿に弱い植物は、植物体に水がかかり溜まると、病気にかかりやすくなります。また湿度が高まると病原菌が繁殖しやすくなるため、多湿・過湿に弱い植物や病気に弱い植物は注意が必要です。
花壇に段差をつくる
花壇に段差をつくるとは、周囲の地面と比べて花壇を一段高い場所につくる事です。
日本の梅雨や夏は降水量が多くなる傾向があり、多湿・過湿になりやすいです。そのため、多肉やサボテン、乾生植物などは土壌の蒸れなどで枯れやすくなります。花壇に段差をつくる事で、排水性が高まり多湿・過湿が改善されて、多湿を苦手にする植物が夏越ししやすくなります。
二重鉢にする
二重鉢とは、植物を植えている鉢植えを、別の容器の中に入れる事です。
二重鉢で鉢植えを保護する事で、外気と強光が遮られるため、急激な温度変化で鉢内が高温になることを防ぐことが出来ます。また温度が上がりにくくなるため、蒸発による乾燥対策にもなります。
- 環境ストレス対策:高温・乾燥
- 対象の植物:高温・乾燥に弱い植物
- 方法:植物を育てている鉢植えを、鉢植えよりも大きな容器の中にいれます。鉢植えと容器の間に、軽石または他の用土を入れて空間を埋めます。鉢植えの入った容器を適切な場所に移動して、秋まで管理します。
- デメリット:
雑草の除去
雑草とは、一般的に人にとって不要な草になり、花壇の中では育てている植物以外の草になります。
雑草は風や太陽光を遮り、多湿を生み出す原因になります。そのため、雑草を抜いて多湿・過湿を改善すると夏越しがしやすくなることがあります。
- 環境ストレス対策:多湿過湿・病原菌・ウィルス
- 対象の植物:多湿・過湿に弱い植物
- 方法:育てている植物の周囲を観察して、不要な草を取り除く。
- デメリット:雑草を抜くと土に直接光が当たり、乾燥を早めてしまう事があります。また生物の多様性が失われるため、逆に病害虫の被害を受けやすくなる場合があります。
■夏の主な環境ストレス(生物ストレス)
環境ストレスとは、植物が成長する過程で環境から受けるストレスです。環境ストレスは、植物の成長を抑制したり、細胞死を引き起こして枯れる原因を作ったりする事があり、植物を育てる際は過剰な環境ストレスを軽減させる事が大切になります。
高温
高温とは、温度が高いことです。 植物の生育適温は一般的に15~30℃の間であり、それ以上の高温になると高温障害と呼ばれる様々な障害を引き起こします。
日本の夏は最高気温が40℃を超える事があり、また30℃を超える真夏日が近年では60日前後あります。このような暑さは、ほとんどの植物にとって強い環境ストレスとなるため、植物の健康な成長のため前述している夏越し方法で紹介した対策が必要になります。
高温障害の症状
- 光合成能力の低下:光合成能力が低下する事で、生育が停止または緩慢になって生育不良になる。
- 呼吸の増加:高温になると植物の呼吸量が増加して光合成で蓄えた糖などを多く消費するため株が消耗しやすい。
- タンパク質の変性:高温でタンパク質が変性して多くの機能が失活してしまい、生育不良を引き起こす。
- 活性酸素の生成:植物が高温ストレスに晒されると、活性酸素が過剰に蓄積される事があり細胞死がおこる。
- 複合ストレス:高温障害状態では、強光ストレス・乾燥ストレス・紫外線ストレス・病原体・多湿にも弱くなるため、複合ストレスとして様々な症状を引き起こす可能性があります。
強光
強光とは、強い光です。植物界では一般的に光合成能力を超えるような強い光になります。
強光である、日差しの強さは太陽が真上(直角)にある程に強くなり、夏場が最も高く真上にきます。そのため、夏場は強光による環境ストレスを受けやすく、前述している夏越し方法で紹介した対策が必要になります。
強光ストレスの症状
- 光阻害:光合成に必要な細胞・タンパク質を壊してしまい光合成能力が落ちます。
- 活性酸素の生成:植物が強光ストレスに晒されると、活性酸素が過剰に蓄積される事があり光合成装置を壊したり細胞死を引き起こします。
- 複合ストレス:強光ストレス状態では、高温ストレス・乾燥ストレスにも弱くなるため、複合ストレスとして様々な症状を引き起こす可能性があります。
乾燥
乾燥とは、水分が不足した状態や湿度が低い状態になることです。
夏場は高温になるため、植物は活発に吸水・蒸散をおこない、また土壌の水分も蒸発して失われやすいです。そのため、乾燥に弱い植物は前述している夏越し方法で紹介した対策が必要になります。
乾燥ストレスの症状
- 水分不足:植物が水分不足になると水ポテンシャルの低下・細胞の脱水などがおこります。
- 気孔の閉鎖の閉鎖と光合成の抑制:水分の損失を抑えるために気孔が閉鎖する。気孔が閉鎖すると光合成が抑制されるため生育が緩慢になるか停止する。
- 成長の抑制:茎・葉の伸長による成長が抑制される。
- 細胞死:細胞内で脱水が行ったり、強い環境ストレスで活性酸素が過剰に生成されて蓄積される事で細胞死を引き起こす。
- 落葉:乾燥ストレスにより葉が離脱しやすくなる。
- 複合ストレス:乾燥ストレス状態では、強光ストレス・高温ストレス・紫外線ストレス・病原体・栄養欠乏にも弱くなるため、複合ストレスとして様々な症状を引き起こす可能性があります。
冠水
冠水とは、洪水などで田畑や作物などが水に浸かる事です。
日本は温暖湿潤気候で、梅雨や夏場は降水量が多くなる傾向にあります。雨が長期間続いたり、一気に降ると冠水してしまうため、前述している夏越し方法で紹介した対策が必要になります。
冠水ストレスの症状
- 低酸素:土壌中の酸素が極端に減るため、根が呼吸出来なくなり、根腐れを引き起こします。
- 根腐れ:植物根が腐敗してしまい、水分や養分を吸収出来なくなっている状態です。そのため、植物は水不足・栄養不足の症状が出たり、またそれが原因で枯れてしまったり、真菌などの病気の感染源となってしまったりします。
- 発行代謝:土壌が冠水して酸欠になり、根の呼吸が抑制されると発酵代謝が行われます。発酵代謝でエネルギーの転換が行われると、エネルギーの枯渇したり、エタノール蓄積による毒性がもたらされて、根が傷み根腐れを引き起こす原因になる。
- 土壌の還元化:土壌中の酸素が少なくなると微生物の種類が好気性から嫌気性に変化して、還元物質が溜まり還元状態になる。そのため、有毒な物質が増加して植物に悪影響を及ぼす場合がある。
- 活性酸素の生成:植物が冠水ストレスに晒されている状態の時には活性酸素の生成は抑制されますが、嫌気性の状態から酸素が一気に増えると活性酸素が過剰に生成されて蓄積します。活性酸素が蓄積されると根の細胞に酸化的損傷を与えて細胞死を引き起こします。
病原菌・ウィルス
植物の病原菌・ウィルスとは、植物に病気を引き起こさせる真菌と細菌、またはウィルスです。
夏場は高温多湿で病原菌が増えやすく、植物が病気にかかるリスクがあがります。そのため、適切な対策が必要になります。
病原菌・ウィルスの症状
- 植物が病原菌またはウィルスに感染すると「細胞の壊死」「水分の移動を阻害」「光合成の阻害」「生育阻害」「免疫低下」などを引き起こす事がある。
紫外線(UV)
太陽光に含まれる光の一種で、地表に届く光の中で最も波長が短いものです。
紫外線(UV)ストレスの症状
- 活性酸素の生成:植物が紫外線ストレスに晒されると、活性酸素が過剰に蓄積される事があり細胞死がおこる。
- 色の変化:花・茎・葉に含まれるアントシアニンが紫外線を吸収して赤みが強くなる傾向があり、また活性酸素の蓄積で茎や葉に病斑ができる事がある。
- 成長抑制:紫外線(UV-C)は、光合成に必要な細胞を破壊してしまうため、光合成能力が落ちて成長を抑制します。
- 突然変異:紫外線が増加すると、DNAを複製する時に突然変異を引き起こす可能性が高くなる。
多湿・過湿
多湿・過湿とは、空気中または土壌中の湿度が高い状態をさしています。
日本は温暖湿潤気候で、梅雨や夏場は降水量が多くなる傾向にあるため、多湿・過湿には注意が必要です。
多湿・過湿の症状
- 低酸素:土壌中の酸素が極端に減るため、根が呼吸出来なくなり、根腐れを引き起こします。
- 根腐れ:植物根が腐敗してしまい、水分や養分を吸収出来なくなっている状態です。そのため、植物は水不足・栄養不足の症状が出たり、またそれが原因で枯れてしまったり、真菌などの病気の感染源となってしまったりします。
- 土壌の還元化:土壌中の酸素が少なくなると微生物の種類が好気性から嫌気性に変化して、還元物質が溜まり還元状態になる。そのため、有毒な物質が増加して植物に悪影響を及ぼす場合がある。
- 軟弱化:水分が過剰になると茎・葉は徒長して成長して軟弱化しやすく、病気や害虫の影響を受けやすい。
- 高温多湿:土壌に水分が多い過湿の状態で高温になると、土が蒸れて根腐れを引き起こしやすくなる。また高温多湿の環境は病原菌にとって好適な環境のため、植物が軟弱に育っていたり弱っていたりする場合、病気になりやすい。
■気候と夏越しの関係
- 熱帯(グループA):熱帯とは、赤道を中心にして南北に広がり一年を通して温暖な気候の地域です。熱帯の条件は、最も寒い月の平均気温が18℃以上、年平均降水量が乾燥限界以上ある事です。
- 熱帯雨林気候(Af):熱帯雨林気候は、雨季と乾季が明確に区別されておらず、一年を通じて暖かくて降水量の多い気候です。熱帯雨林気候の条件は、一年を通じて月の降水量は60mm以上、最も寒い月の平均気温が18℃以上あること。
- 熱帯モンスーン気候(Am):熱帯モンスーン気候は、一年を通じて暖かく、季節の中に雨季と乾季があり、冬に弱い乾季がある気候です。熱帯モンスーン気候の条件は、最も乾燥している月の降水量が60mm未満かつ(100-0.04 × 年平均降水量)mm以上、最も寒い月の平均気温が18℃以上あること。
- サバナ気候(Aw・As):サバナ気候(Aw・As)は、一年を通じて暖かく、季節の中には厳しい乾季があるため一年を通して干ばつになる事も多い気候です。そのため、植生は密林はなく疎林で、草原となることが多いです。サバナ気候の条件は、最も乾燥している月の降水量は60mm未満かつ(100-0.04 × 年平均降水量)mm未満、最も寒い月の平均気温が18℃以上あること。
- Awは、冬に乾季があります。
- Asは、夏に乾季があります。
- 乾燥帯(グループB):乾燥帯とは、降水量よりも蒸発量が大幅に上回るため常に干ばつ状態にあり、地面が禿げて、植物が育たないまたは育ちにくい気候です。乾燥帯の条件は、年平均降水量が乾燥限界以下にあり、寒帯の基準である年間を通して10℃を超える日がないに当てはまらないこと。
- 砂漠気候(BWh・BWk):砂漠気候(BWh・BWk)は年間を通して降水がほとんどなく、土の表面は常に乾いていて水分を保持していないため植物がほとんど育たない。砂漠気候の条件は、年降水量が0.5r未満であること。
- 熱帯砂漠(BWh)の”h”は暑いを意味しており年平均気温が18℃以上になる、また夏は焼け付くほどの暑さになる事があり、デスバレーでは56.7℃を記録している。
- 温帯砂漠(BWk)の”k”は冷たいを意味しており年平均気温が18℃未満になる、また夏は暖かく冬は寒い。
- ステップ気候(BSh・BSk):ステップ気候(BSh・BSk)は年間の平均降水量が乾燥限界以下にありますが、砂漠気候ほど乾燥しておらず雨季に少量の雨が降ります。そのため、気温や地域にもよりますが環境に適応した植生があります。ステップ気候の条件は、年降水量が0.5r以上r未満であること。
- BShの”h”は暑いを意味しており年平均気温が18℃以上になる、また夏は暑くて、冬も暖かい気候です。
- BSkの”k”は、冷たいを意味しており年平均気温が18℃未満になる、また夏は暖かく冬は寒い気候です。
- 砂漠気候(BWh・BWk):砂漠気候(BWh・BWk)は年間を通して降水がほとんどなく、土の表面は常に乾いていて水分を保持していないため植物がほとんど育たない。砂漠気候の条件は、年降水量が0.5r未満であること。
- 温帯(グループC):温帯は、一年を通して温暖な気候の地域です。温帯の条件は、最も寒い月の平均気温が-3℃以上で18℃未満、最も暖かな月の平均気温が10℃以上あり、年平均降水量が乾燥限界以上ある事です。
- 温暖湿潤気候(Cfa):温暖湿潤気候は、一年を通して降雨があり、特に日本の夏場は雨が多くて高温、冬の気温は穏やかで、一年の中に四季があります。温暖湿潤気候の条件は、最も暖かな季節の月の平均気温が22℃以上、最も寒い月の平均気温が-3℃以上で18℃未満、月の平均気温が少なくとも4ヶ月は10℃以上、年平均降水量が乾燥限界以上、季節間の降水量に明瞭な差はない。
- 西岸海洋性気候(Cfb・Cfc):西岸海洋性気候は、一年を通して気温と降水量の差が少なく、暑くなりすぎず寒くもなり過ぎない穏やかで過ごしやすい、大陸の西岸で見られる気候です。西岸海洋性気候の条件は、最も寒い月の平均気温が-3℃以上、最も暑い季節の平均気温が10℃以上で22℃未満、年間の平均降水量が乾燥限界以上あること。
- Cfbは、亜熱帯や熱帯の高地に多く、一年を通して穏やかな気候です。Cfbの条件は、月の平均気温で10℃を超えるのが一年の中で4ヶ月以上あり、一年を通して月の平均気温が22℃未満で-3℃以上です。
- Cfcは、冬の期間が長く、夏の期間が短い気候です。Cfcの条件は、月の平均気温で10℃を超えるのが一年の中で4ヶ月未満しかなく、最も寒い月の平均気温が-3℃以上、最も暖かな月の平均気温が通常は18℃未満になる。
- 温帯夏雨気候・温帯冬季少雨気候(Cwa・Cwb・Cwc):温帯夏雨気候または温帯冬季少雨気候は、一年を通して温暖でありながら夏場は暑くなりすぎず冷涼、夏場は雨が多く湿潤で、冬場は雨が少なく乾燥する気候です。温帯夏雨気候の条件は、最も寒い月の平均気温が-3℃以上から18℃未満にあり、最も暑い季節の平均気温が10℃以上、年平均降水量が乾燥限界以上、夏の最も雨の多い月と冬の最も雨の少ない月の降水量の平均の差は10倍以上になる。
- Cwaは、月の平均気温で22℃を超えるのが一年の中で1ヶ月以上あり、月の平均気温で10℃を超えるのが一年の中で4ヶ月以上あること。
- Cwbは、一年を通して最暖月でも月の平均気温は22℃未満にあり、月の平均気温で10℃を超えるのが一年の中で4ヶ月以上あること。
- Cwcは、一年を通して最暖月でも月の平均気温は22℃未満にあり、月の平均気温で10℃を超えるのが一年の中で1~3ヶ月あること。
- 地中海性気候(Csa・Csb・Csc):地中海性気候は、夏の最高気温と冬の最低気温の差が比較的に小さくて一年を通して気温が穏やか、また夏場に降水がほとんどなく乾燥しており、冬場に最も雨が降る気候です。地中海性気候の条件は、最も寒い月の平均気温が-3℃以上から18℃未満、最も暖かい月の平均気温が10℃以上、年平均降水量が乾燥限界以上、夏の最も雨の少ない月の平均降水量が30mm未満、最も雨の多い冬の月の平均降水量は最も少ない夏の平均降水量の3倍以上になる。
- Csaは、最も暖かい月の平均気温が22℃以上、最も雨の多い冬の月の平均降水量は最も少ない夏の平均降水量の3倍以上、夏の最も雨の少ない月の平均降水量は30mm未満です。主に地中海沿岸の広い地域やカリフォルニアなどで見られる気候です。
- Csbは、最も暖かい月の平均気温が10℃以上から22℃未満、月の平均気温で10℃を超えるのが一年の中で4ヶ月以上、最も雨の多い冬の月の平均降水量は最も少ない夏の平均降水量の3倍以上、夏の最も雨の少ない月の平均降水量は30mm未満です。
- Cscは、最も暖かい月の平均気温が10℃以上から22℃未満、月の平均気温で10℃を超えるのが一年の中で3ヶ月以下、最も雨の多い冬の月の平均降水量は最も少ない夏の平均降水量の3倍以上、夏の最も雨の少ない月の平均降水量は30mm未満です。
- 冷帯(グループD):冷帯とは、温帯と寒帯の中間の気候です。冷帯の条件は、最も寒い月の平均気温が-3℃未満で、月の平均気温で10℃を超える月が1ヶ月以上あり、年平均降水量が乾燥限界以上ある事です。
- 亜寒帯湿潤気候(Dfa・Dfb・Dfc・Dfd):亜寒帯湿潤気候は、北緯40度以北、地球上に最も広く分布する気候区です。亜寒帯湿潤気候の条件は、最も寒い月の平均気温が-3℃未満、月の平均気温で10℃を超える月が1ヶ月以上、年平均降水量が乾燥限界以上で、最も雨の多い月が夏にある場合はその月の降水量 ≦ 10 × 最も雨の少ない月の降水量、最も雨の多い月が冬にある場合はその月の降水量 ≦ 10 × 最も雨の少ない月の降水量または最も雨の少ない月の降水量が30mm以上あること。
- Dfaは、最も寒い月の平均気温が-3℃未満、月の平均気温で22℃を超える月が1ヶ月以上あり、月の平均気温で10℃を超える月が4ヶ月以上ある。季節間の降雨量の差はほとんどない
- Dfbは、最も寒い月の平均気温が-3℃未満、一年を通して平均気温が22℃を超える月がない、月の平均気温で10℃を超える月が4ヶ月以上ある。季節間の降雨量の差はほとんどない
- Dfcは、最も寒い月の平均気温が-3℃未満、一年を通して平均気温が22℃を超える月がない、月の平均気温で10℃を超える月が1~3ヶ月ある。季節間の降雨量の差はほとんどない
- Dfdは、最も寒い月の平均気温が-38℃未満、一年を通して平均気温が22℃を超える月がない、月の平均気温で10℃を超える月が1~3ヶ月ある。季節間の降雨量の差はほとんどない
- 亜寒帯冬季少雨気候(Dwa・Dwb・Dwc・Dwd):亜寒帯冬季少雨気候は、亜寒帯湿潤気候と比べて冬季に降水が極めて少なくて乾燥している気候です。亜寒帯冬季少雨気候の条件は、最も寒い月の平均気温が-3℃未満、月の平均気温で10℃を超える月が1ヶ月以上、年平均降水量が乾燥限界以上で、最も雨の多い夏の月の降雨量は最も雨の少ない冬の月の降雨量の10倍以上になる。
- Dwaは、最も寒い月の平均気温が-3℃未満、月の平均気温で22℃を超える月が1ヶ月以上あり、月の平均気温で10℃を超える月が4ヶ月以上ある。雨の最も多い夏の月の降雨量は、最も雨の少ない冬の月の降雨量の10倍以上になる。
- Dwbは、最も寒い月の平均気温が-3℃未満、一年を通して平均気温が22℃を超える月がない、月の平均気温で10℃を超える月が4ヶ月以上ある。雨の最も多い夏の月の降雨量は、最も雨の少ない冬の月の降雨量の10倍以上になる。
- Dwcは、最も寒い月の平均気温が-3℃未満、一年を通して平均気温が22℃を超える月がない、月の平均気温で10℃を超える月が1~3ヶ月ある。雨の最も多い夏の月の降雨量は、最も雨の少ない冬の月の降雨量の10倍以上になる。
- Dwdは、最も寒い月の平均気温が-38℃未満、一年を通して平均気温が22℃を超える月がない、月の平均気温で10℃を超える月が1~3ヶ月ある。雨の最も多い夏の月の降雨量は、最も雨の少ない冬の月の降雨量の10倍以上になる。
- 高地地中海性気候(Dsa・Dsb・Dsc・Dsd):高地地中海性気候は、地中海性気候のように夏場乾燥して冬場に湿潤になり、また一般に高地にあることで冷帯の基準を満たしている気候です。高地地中海性気候の条件は、最も寒い月の平均気温が-3℃未満、月の平均気温で10℃を超える月が1ヶ月以上、年平均降水量が乾燥限界以上で、最も雨の多い冬の月の降雨量は最も雨の少ない夏の月の降雨量の3倍以上、最も雨の少ない夏の月の降水量は30mm未満です。
- Dsaは、最も寒い月の平均気温が-3℃未満、月の平均気温で22℃を超える月が1ヶ月以上あり、月の平均気温で10℃を超える月が4ヶ月以上ある。雨の最も多い冬の月の降雨量は、最も雨の少ない夏の月の降雨量の3倍以上になり、最も雨の少ない夏の月の降水量は30mm未満です。
- Dsbは、最も寒い月の平均気温が-3℃未満、一年を通して平均気温が22℃を超える月がない、月の平均気温で10℃を超える月が4ヶ月以上ある。雨の最も多い冬の月の降雨量は、最も雨の少ない夏の月の降雨量の3倍以上になり、最も雨の少ない夏の月の降水量は30mm未満です。
- Dscは、最も寒い月の平均気温が-3℃未満、一年を通して平均気温が22℃を超える月がない、月の平均気温で10℃を超える月が1~3ヶ月ある。雨の最も多い冬の月の降雨量は、最も雨の少ない夏の月の降雨量の3倍以上になり、最も雨の少ない夏の月の降水量は30mm未満です。
- Dsdは、最も寒い月の平均気温が-38℃未満、一年を通して平均気温が22℃を超える月がない、月の平均気温で10℃を超える月が1~3ヶ月ある。雨の最も多い冬の月の降雨量は、最も雨の少ない夏の月の降雨量の3倍以上になり、最も雨の少ない夏の月の降水量は30mm未満です。
- 亜寒帯湿潤気候(Dfa・Dfb・Dfc・Dfd):亜寒帯湿潤気候は、北緯40度以北、地球上に最も広く分布する気候区です。亜寒帯湿潤気候の条件は、最も寒い月の平均気温が-3℃未満、月の平均気温で10℃を超える月が1ヶ月以上、年平均降水量が乾燥限界以上で、最も雨の多い月が夏にある場合はその月の降水量 ≦ 10 × 最も雨の少ない月の降水量、最も雨の多い月が冬にある場合はその月の降水量 ≦ 10 × 最も雨の少ない月の降水量または最も雨の少ない月の降水量が30mm以上あること。
- 寒帯(グループE):寒帯は赤道から遠い極地にあり、涼しい夏と非常に寒い冬で構成されている気候になります。寒帯の条件は、最暖月平均気温が10℃未満、降水量などの条件はない。
- ツンドラ気候(ET):ツンドラ気候(ET)は、針葉樹などの植物は育たないが、コケなどの特殊な植物は植生している。ツンドラ気候(ET)の条件は、最暖月平均気温が0℃以上から10℃未満になる。
- 氷雪気候(EF):氷雪気候は、植物が全く育たない。氷雪気候の条件は最暖月平均気温が0℃未満になる。