植物が病気にかからない様にするには“環境作り”が最も大切です。植物の病気の原因は糸状菌(カビ)が八割と言われます。多湿環境で増えやすく植物が濡れた状態が続く事で病気の発症リスクを大きく上げます。
病気は土壌伝染や風媒伝染により胞子や細菌が植物体に付着して感染します。また虫がウィルスを媒介し昆虫伝染したり、病気の植物を扱った道具で健康な植物を扱う事で病気を広がる事もあります。
これらを意識して気を付ける事で病気を予防しましょう。
環境を整える
植物が病気にかかる原因は主に糸状菌と呼ばれるカビの仲間によって引き起こされます。
粘土質で水捌けの悪くなった土壌では、病原菌が繁殖しやすく根腐れ等の病気にかかりやすくなります。
そのため植付け前に土を調べ、深くまで耕しボラ土や川砂等の改良用土をいれる必要があります。また土壌は時間をかけて微生物の力で団粒構造のいい土を作ります。腐葉土や堆肥等を根気よくいれ土壌の膨軟性を高めながら微生物を増やし団粒構造のある病気の少ない土壌をつくりましょう。
分枝型の多年草はよく繁茂し見栄えが美しいですが、繁茂した状態では多湿になりやすく病害虫の発生源となります。そのため定期的に切り戻しを行い風通しや日当たりをよくして病気の発生を抑制する事が大切です。
また残した花がらは灰色かび病等の病気を招きやすいため、多花性の多年草は花がら摘みもかねて切り戻しするといいでしょう。
病気にかかった枝葉は残すと病気の感染源となります。根本または病斑より下で間引き剪定をおこないましょう。
取り除いた病枝や葉は、残すと感染源となってしまうため燃やすか捨てるのが一般的です。
梅雨時期の雨は植物を大きく成長させますが、同時に病気が最も発生する時期です。
降雨や散水時に葉に水滴がつくと、そこで胞子が遊走子となり気孔等から植物内へと侵入します。それを防ぐために病気にかかりやすい植物等は雨の当たらない場所へ移動したり、水やり時は株元に優しくそそぐ等の方法をとります。
また降雨時に飛び散る泥は土壌にいる菌を一緒に跳ね上げ葉に付着し病気の原因となります。そのため土の上にバークチップ等でマルチングを行い泥跳ねを防ぎましょう。
またマルチングには泥はねを防ぐ以外にも夏は土の乾燥を防ぎ、冬は“霜から根を守り、雑草が生えにくくなる等の効果をもっており病気予防以外にも植物の健康な成長を助ける働きがあります。
植物を丈夫に育てる
植物を育てる上で必要な栄養も与えすぎると、土壌の塩類濃度を上げ肥料焼けや根腐れを招いて植物に悪影響を与えます。
さらに窒素肥料の与えすぎで大きく成長した植物は繊維が薄く柔らかくなり病害虫に侵されやすくなるだけでなく、害虫が好む匂いが漏れると言われています。
肥料は記載される適切な量を与えるのはもちろん、肥料焼けのしにくい緩行性肥料や有機肥料を使うのもいいでしょう。
有機肥料は化成肥料と比べ土壌を豊かにする効果をもちます。窒素やカリ、リン等の必須養素以外にも微量要素をバランスよく含んでおり、アミノ酸やミネラルが植物の繊維作りを促進させて病害虫に強い植物体を作ります。
また有機肥料は多くの微生物の餌となって微生物を増やす働きも持っています。植物に寄生する寄生菌の多くは一般の微生物と比べ弱い存在のため微生物が増えると住処を奪われ減っていきます。そのため植物が病気にかかりにくい環境となるのです。
ぼかし肥料
ぼかし肥料は米ぬか/油カス/くん炭/海藻等を混ぜて発酵(微生物にある程度分解)させたのものです。肥料成分が高く即効性があり追肥としても使えます。
石灰
石灰は主に酸性土壌の中和またはカルシウムの補給に使われ植物を丈夫にし老化を抑制すると言われます。またキチン質を含む牡蠣がら石灰であれば土壌に混ぜ込む事で糸状菌や細菌の働きを抑える放線菌を増やすことができ、消石灰を葉面散布すればカルシウムが効率よく吸収され病害虫に害されにくい丈夫な植物体をつくります。
土壌には沢山の土着微生物がいますが、人が外部から病気の原因となる病原菌を持ち込む事もあります。一度病気の苗を持ち込みそこに土着してしまうと同じ植物やその病原菌におかされる植物を植えると毎回病気におかされるようになります。
特に根頭癌腫病を引き起こすアグロバクテリウム等は一度土壌を汚染すると宿主がなくても数年は土壌が汚染され、様々な植物に感染させてしまう恐ろしい病気です。
この様な病気を持ち込まないために、購入時には葉の裏や表を見て病斑がないかをしっかり確認して斑点病や炭素病のない植物を選びましょう。植物萎れている場合は根が病気におかされている可能性があります。治療が困難な上に土壌を汚染して他の植物への害もあるため選んではいけません。バラの苗やキクの苗等を花壇に植え付ける際は株の根本や根には要注意です、コブがあるものは根頭癌腫病の可能性があるため絶対に花壇に植えてはいけません。出来れば廃棄または鉢植え等に植えて隔離しながら育てて下さい。