
原産:イタリア
科:マメ(Fabaceae)
属:レンリソウ(Lathyrus)
種:スイートピー(odoratus)
英名:スイートピー(sweet pea)
別名:ジャコウエンドウ/カオリエンドウ/ジャコウレンリソウ
品種:ライラックリップル(lathyrus odoratus ‘lilac Ripple’)
開花時期:4月~6月(春撒き6月~7月)
花の色:紫色●白色〇
葉色:緑色●
分類:一年草
草丈:50cm~240cm
草姿:ツル性
花言葉:「門出」「別離」「ほのかな喜び」「優しい思い出」
誕生花:3月20日/2月8日
用途:壁面緑化/香りが良い/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
スイートピー(ライラックリップル)とは!?
スイートピー(ライラックリップル)は花弁が優雅に波打ち、またラベンダーを連想させる上品な灰紫色の花色が、心を癒す様な優しい空間とエレガントな雰囲気をつくる魅力的な園芸品種です。
開花時期は春から初夏(春撒き6月~7月)、花色は薄紫色と白色、個々の花は蝶形花で直径約2cm~4cm、花序は花が穂状に集まり総状花序に花を咲かせます。草姿はツル性で高さ約50(240)cm × 幅は約60(90)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は羽状複葉して小葉は楕円形で先端にまきひげがあり、葉序は互生葉序につきます。
スイートピーとは!?
スイートピーは学名Lathyrus odoratus、別名「ジャコウエンドウ」や「カオリエンドウ」とも呼ばれるイタリア原産の一年草です。
スイートピーの語源(由来)
- 属名のLathyrusはギリシャ語の「Lathyros」に由来しており、非常に(La) + 情熱的な(thyros)の2語からなります。
- 種小名のodoratusはラテン語で「香りの良い」を意味しており、花の香りに由来します。
- スイートピー(sweet pea)は香りがよい事を表す「スイート(sweet)」と豆を意味する「ピー(pea)」の2語からなり、花に甘い香りがある事に由来します。
スイートピーの特徴(魅力)
- スイートピーの花には甘く繊細な香りがあります。
- スイートピーの花は宿根スイートピーと比べて大きく華やかな傾向にあります。
- 花はフリルして蝶々が羽ばたいている様な優雅な形をしています。
- 花は色鮮やかな花色からパステルカラーまで様々あるためお庭の雰囲気に合わせて品種選びが出来る所も魅力です。
- スイートピーは切り花としても魅力的で管理の仕方にも左右されますが7日程度の日持ちがあります。
- スイートピーの茎は巻ヒゲを絡ませながら構造物を登ります。
- そのため支柱等の巻き付きやすい資材を準備して育てるといいでしょう。
- 種から容易に育てられるため大量植栽しやすい所も魅力です。
- アブラムシを引き寄せるため囮として庭の端に植えておけばバンカープランツになります。
- 農薬の量が減り益虫を増やす効果が期待出来ます。
スイートピーの茎には翼があり、ツル性で構造物にまきひげ絡めながら高さ50~240cmまで成長します。葉は茎に対して互生葉序につき、葉色は緑色、葉身は羽状複葉、小葉は楕円形で糸状のまきひげを備えます。花序は総状花序、花の大きさは通常直径約2~(~4)cmあり、花冠は蝶形花冠で旗弁(1個)・翼弁(2個)・竜骨弁(2個)からなります。花後の果実は豆果で莢の中に種子(豆)があります。豆は有毒なため食べられません。
スイートピーの香りの印象や成分
スイートピーには「フローラル」や「柑橘系」等と表現される上品で甘い香りがあり、香りの由来となる精油には「オシメン」「リナロール」「ネロール」「ゲラニオール」等が含まれています。
オシメンは「マンゴー」「柑橘類」「ウッディ(木の香り)」等に例えられるトロピカルな香りがあります。一般に植物ではスイートピー等に豊富に含まれており、精油は香水等にふくまれています。
リナロールは「フローラル」「柑橘系(オレンジ)」「ブルーベリー」「ローズ」等に例えられる華やかな香りがあり、風味(フレーバー)は甘くフルーティーです。一般に植物ではイングリッシュラベンダーやスズラン等に豊富に含まれており、精油は化粧品やアロマテラピー等の様々な場面にも使われています。リナロールの香りの効果にはイライラや興奮といった神経系の過活動を抑える働き(鎮静効果)や、不安や緊張を和らげる効果(抗不安効果)があるため、落ち着きたい時や集中したい時などに嗅ぐとよいでしょう。
ネロールの香りは「レモン」「ライム」「バラ」「フルーティ」「柑橘系」等に例えられる甘い香りがあり、風味(フレーバー)はフルーティーで苦味を感じさせます。一般に植物ではレモングラスやカレープラント等に含まれており、精油は香水等に利用されています。
ゲラニオールは「フローラル」「柑橘系」「甘い」「ローズ」等に例えられるマイルドな香りがあり、風味(フレーバー)はフルーティーです。一般に植物ではゼラニウムやクチナシ等に含まれており、精油は食品の香料やアロマオイル等に利用されています。ゲラニオールの精油の効果には、まだ研究段階で科学的根拠が不十分なものもありますが「抗菌・抗真菌作用」「抗酸化作用」「抗炎症作用」「抗がん効果」等があります。
スイートピーの切り花の楽しみ方

- スイートピーの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 収穫は2個以上の蕾が残っている花を選びましょう。
- 蕾は花瓶の中で開く事が出来ます。
- 収穫したら水揚げを悪くする葉を出来るだけ取り除きます。
- 水揚げは水切りと必要に応じて湯揚げを行いましょう。
- 花を生ける花瓶には延命剤(栄養入り)いれましょう。
- 延命剤の効果によって蕾が開きやすくなったり日持ちが長くなります。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)でエチレン発生源から離した場所で楽しみましょう。
- 高温環境では日持ちが悪くなり、またエチレンの感受性が非常に高い事からエチレンが発生する場所の近くに置くと花が萎れやすくなります。
- 管理は数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行い、水揚げが悪いと感じる場合は必要に応じて湯揚げをしましょう。
- 萎れた花を手で丁寧に摘み取ると蕾の花が咲きやすくなります。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが5~7日程度です。
水切り
水切りとは茎の根元を水の中に浸けた状態で、茎の根元から上に約1~5cmの部分でハサミを使い斜めにカットして、吸水面を広げる水揚げ方法です。水切りを行う目的は「細菌」「空気」「その他」が原因で茎が詰まり水揚げが悪くなってる部分を、水の中で切り戻して正常な状態に戻し水揚げを改善する事です。水切りは水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。
湯揚げ
湯揚げとは約80度に沸騰させたお湯に切り花の切り口をつけて、内部の気泡(空気)を膨張させて外に押し出し、水揚げを改善する方法です。
①湯上げする際は熱や水蒸気が余計な部分に当たらないように切り花の下部(約20cm)を残して花全体を新聞紙で包みます。
②切り花をお湯につけた後は冷水に浸ける必要があるため、予めバケツ等に冷水を入れて準備しておきましょう。
②鍋で沸騰させたお湯(約80度)に約30秒ほど切り花の切り口をつけましょう。
③お湯に浸け終わったら予め準備しておいた冷水に浸けて2時間程度水揚げを行います。
④水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い再度花瓶に生けて楽しみます。
エチレン
エチレンは植物の世界では植物ホルモンの一つとして働いています。一般的には植物の成長の阻害や老化、成熟等に関与しており、切り花の世界では日持ちが短縮する要因として知られています。エチレンの感受性が低い切り花(キク・ガーベラ等)はエチレンの影響を受けにくいですが、エチレンの感受性が高い切り花(カスミソウ・スイートピー等)はエチレンの発生源から遠ざけて管理した方が良いでしょう。
エチレンの発生源
果実(バナナ・リンゴ・アボカド等)・枯れた植物(花がら等)・植物が病原菌に感染した部位・植物が損傷部位・たばこ・線香の煙・排気ガス等
おすすめの延命剤
スイートピーの既知の危険性
スイートピーは種に「アミノプロピオニトリル」と呼ばれる有機化合物が含まれているため絶対に食べてはいけません。スイートピーの種を多量に摂取するとラチリズムと呼ばれる症状を引き起こす事があり、人では下肢の麻痺と筋萎縮が起こす可能性があります。
スイートピーの栽培方法
園芸では、ひらひらとした優雅な花姿と香りを楽しむ目的だったり、その花を収穫して切り花として利用する目的で育てられます。スイートピーはまき髭を絡めて構造物を登ることから、支柱に仕立てたりネットを準備してグリーンカーテンの様に育てると良いでしょう。
スイートピーは寒冷地であれば春、暖地であれば秋に種を撒き、花を楽しんだ後に枯れる一年草として楽しみます。基本的に太陽のよく当たる場所を好み、また直根性で移植を嫌うため、植える場所は吟味したうえで種を撒いたり植え付けを行いましょう。その他にも肥沃な土壌を好むため種を撒く(苗の植付け)前にしっかりと土壌の改善をしておく必要があります。
スイートピー(レンリソウ)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
スイートピー(レンリソウ)の珍しい種類、主な種と園芸品種の紹介【2022】
スイートピー(ライラックリップル)の育て方
花壇の土づくり
日当り
スイートピー(ライラックリップル)は日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。
土壌のPH
スイートピー(ライラックリップル)は土壌のPH7.0~7.5の中性から弱アルカリ性を好みます。PHが高すぎたり低すぎたりすると生育不良になる可能性が高くなります。そのため植付け前にPHを診断して、PHが高い場合はピートモスを入れたり、PHが低い場合は苦土石灰を入れる等してPHの改善を行いましょう。
土壌の土質
スイートピー(ライラックリップル)は水捌けと通気性がよく、肥沃な土壌を好みます。
植付けの前に土壌診断を行いましょう。
①土を掘る時に硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
②土を濡らして握った時にバラバラと崩れる場合は保水性がない可能性があります。逆に土の塊が出来ても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。
③肥沃な土の場合は土の色が黒っぽくなるため、土の色が薄い場合は土壌の肥沃さが足りない場合があります。
土壌診断後、必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れたり、肥沃さが足りない場合は牛ふん堆肥や腐葉土等の堆肥を混ぜこみ土壌改善を行いましょう。
鉢土づくり
日当り
スイートピー(ライラックリップル)は日当り好むため、直射日光が6時間以上当たる日向もしくは、午前中のみ日が当たり午後から日陰になるような半日影で育てましょう。
培養土
スイートピー(ライラックリップル)の培養土は酸性土壌を嫌うため、PH中性以上の通気性の高い草花の培養土を選びましょう。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土+くん炭=6:3:1
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土+苦土石灰(適量)=5:2:3:
培養土作成時の注意点
スイートピー(ライラックリップル)は酸性土壌を嫌うため、培養土にアルカリ性のくん炭や草木灰等を混ぜこむか、苦土石灰を混ぜ込む必要があります。
苦土石灰を混ぜ込む量は培養土の土質にも左右されますが、スイートピーは一般的なバランス良い土壌を好むため恐らく壌土に近い培養土を使っているはずです。
壌土のPHを1上げるには培養土10Lに対して苦土石灰15~20g程度を目安に使用します。基本的には1Lあたり1.5~2.0gの苦土石灰を混ぜ込むとよいでしょう。ただし培養土を強い酸性に傾ける無調整ピートモスや鹿沼土を利用した場合は話しが変わります。そのため培養土に使う用土は中性のものを利用する事がおすすめです。
水やりの仕方
スイートピー(ライラックリップル)はやや湿り気のある土壌を好みます。
水やりの頻度は環境(植える場所や土質)にも左右されますが、基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで行うといいでしょう。
肥料の与え方
スイートピー(ライラックリップル)は花をしっかり咲かせるために、植付け時に元肥を施し、また生育期間中も持続的に追肥を施す事が大切です。
元肥
元肥は植え付け時に与える肥料の事です。元肥は肥効が長い緩効性肥料を選びましょう。成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)もしくは山型肥料(リン酸が多い)を選びます。
元肥の与え方は花壇の場合も鉢植えの場合も、基本的に土壌に均一に混ぜこむ全面施肥です。
追肥
スイートピー(ライラックリップル)の追肥は生育期間中持続的に行います。基本的には液肥で与えるといいでしょう。液肥で与える場合は10~14日に一度のペースで水やりの際に与えます。
また必要に応じて化成肥料や緩効性肥料を利用すると、省力化に繋がり追肥作業が楽になります。化成肥料や緩効性肥料は山型肥料(リン酸多め)を選び、株から少し離した場所に規定量を置肥しましょう。
剪定のやり方
スイートピー(ライラックリップル)の剪定「摘芯」と「花がら摘み」の2つに分かれます。
摘芯
スイートピーは生育初期の草丈の低い時期に茎の成長点を指やハサミで摘む事で、頂芽の成長を止めてしまい側芽の成長を促す事が出来ます。
摘芯は必ず必要な作業というわけではありませんが、摘芯を行う事で草丈を抑えて茎の数を増やしたり、また茎の数が増える事で花の数が増えます。ただし背が低くなり自然な草姿でなくなったり、花が小さくなる可能性があります。
スイートピーの摘芯のやり方は、成長点を摘むだけです。草丈が10~20cm程度に育ったら頂部の成長点を指で摘んで取り除きましょう。
花がら摘み
スイートピーは開花期間中の花がら摘みが大切です。何故なら枯れた花を残すと見た目が悪いばかりか、種を作り初めて株が弱り生育が衰えたり、新しい花がつくられにくくなったりするからです。 枯れた花を摘む事は、沢山の新しい花を咲かせる事に繋がります。
花がら摘みのやり方は、萎れた花を個々に指もしくはハサミを使い取り除きましょう。
播種で増やす
スイートピーの種蒔の方法
播種時期:3月~4月・10月~11月
発芽適温:15度~20度
発芽日数:約7日~14日
発芽条件:硬実種子
硬実種子
スイートピーの種は硬実種子です。市販の種の場合は発芽促進処理をされているため、そのまま撒く事が出来ますが、自家採種した種は発芽促進処理を行う必要があります。
何故なら、スイートピーの種は水を吸収しにくい構造をしているため、そのまま撒いても水が吸収されず発芽までの期間が不規則になるからです。
スイートピーの発芽促進処理のやり方
①種の硬い種皮をナイフで刻むか、サンドペーパーで擦り物理的に傷つけて水を吸収させやすくします。
②容器に浅くぬるま湯を入れて種を数時間浸します。
③発芽準備の整った種子は膨らみ柔らかくなります。
直根性
スイートピーの根は直根性のため、根が傷つくと生育不良を起こしやすく、また回復までに時間がかかります。そのため、できるだけ根を傷つけない方法で育成する必要があります。
そのため、スイートピーは直撒きして移植を避けるか、ピートポット等の移植しやすいポットを利用して種を撒く方法が一般的です。
スイートピーの種まき手順
- ポットに種まき用の培養土を準備するか、直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に約1cm程度の土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。