原産:地中海沿岸
科:ナデシコ(Caryophyllaceae)
属:ナデシコ/ダイアンサス(Dianthus)
種:カーネーション/カリュオピュッルス(caryophyllus)
英名:カーネーション(carnation)
別名:オランダナデシコ/ジャコウナデシコ/ダイアンサス・カリュオピュッルス/ボーダー・カーネーション(border carnation)/グローブ・ピンク(clove pink)
花の色:赤色●桃色●黄色●橙色●紫色●青色●緑色●白色〇
分類:多年草
草丈:約20~90cm
草姿:直立
開花時期:4月~10月(4月~6月に最も開花)
誕生花:5月10日/5月11日/5月15日/6月15日
花言葉:愛情/魅惑/魅力/名声
用途:香りが良い/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
カーネーションとは!?
カーネーションは学名Dianthus caryophyllus、別名「オランダナデシコ」や「ジャコウナデシコ」等とも呼ばれる地中海沿岸が原産の多年草です。
カーネーションの語源(由来)
- 属名のDianthusの由来はギリシャ語の「Dios(神聖な)」と「Anthos(花)」の2語からきており神聖な花を意味しています。
- 種小名のcaryophyllusはラテン語で「ナッツ」「カーネル(アーモンド)」を意味する「caryo」と、ラテン語で「葉」を意味する「phyllus」の2語からきており、香りのする葉に由来します。
- カーネーションの由来はラテン語で花輪や王冠を意味する「コロナ(corona)」もしくは戴冠式を意味する「coronation」が転訛したものと考えられており、カーネーションは元々ギリシャの儀式様の王冠として使用された花の1つでした。
カーネーションの特徴(魅力)
- カーネーションは切り花タイプとガーデンタイプに分けられる事があります。
- 切り花用は茎が長く主に温室等で栽培されます。
- ガーデンタイプは病気に強く強健で庭植えしやすい所が魅力です。
- カーネーションは1個の茎に1個の花がつく品種と沢山の花がつく品種があります。
- 1個の茎に1個の花がつく品種はスタンダードタイプと呼ばれます。
- 1個の茎に沢山の花がつく品種はスプレータイプと呼ばれます。
- 花の大きさは直径約3~7.5cmあり花弁が5個もしくは八重咲きします。
- 花弁は波打つ事が多いためフリルドレスの様な華やかな外観をつくります。
- カーネーションの花は成熟してくると2本の雌蕊が伸びてきます。
- 花には甘い蜂蜜やスパイシーなクローブ(丁子)を思わせる心地よい香りがあります。
- カーネーションは切り花としても人気が高く管理の仕方にも左右されますが約5~14日の日持ちがあります。
- カーネーションはエチレンの感受性が非常に高いため管理場所等に注意が必要です。
- カーネーションの茎や葉は白粉を帯びているため灰緑色の柔らかな外観をしています。
カーネーションの草姿は叢生型(根元から多くの茎が出る)で、茎は直立(殆ど垂直に伸びる)に伸び高さ約20(~90)cm、幅が約20(~45)cmに成長します。葉序は対生葉序、葉色は緑色で白粉を帯び灰緑色の外観をしており、葉身の長さ約6(~15)cm、葉身の形は線形もしくは狭楕円形です。花序は単頂花序もしくは集散花序です。個々の花は直径約3(~7.5)cm、花弁の数は5(~多数)、雄蕊は10個、成熟するにつれ雌蕊が2個伸びる。花後に出来る果実は蒴果で、種子は黒色です。
カーネーションの切り花の楽しみ方
- カーネーションの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- カーネーションは蕾から花弁が出て真っ直ぐたっている状態のものを収穫すると日持ちが良いです。
- 収穫したら水揚げを悪くする葉を出来るだけ取り除きましょう。
- 水に漬けて水切りを行います。
- 水切りしたら延命剤(栄養入り)入りの花瓶に生けましょう。
- 延命剤の効果によって蕾が開きやすくなったり日持ちが長くなります。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)でエチレン発生源から離した場所で楽しみましょう。
- 高温環境では極端に日持ちが悪くなり、またエチレンの感受性が非常に高い事からエチレンが発生する場所の近くに置くと花が萎れやすくなります。
- 管理は数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行い雌蕊が伸びてきたら取り除きましょう。
- 雌蕊はエチレンの生成量が多く取り除く事で花弁の老化を遅らせる事が出来ます。
- 管理場所や管理の方法でも左右されますが日持ちは5~14日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
エチレン
エチレンは植物の世界では植物ホルモンの一つとして働いています。一般的には植物の成長の阻害や老化、成熟等に関与しており、切り花の世界では日持ちが短縮する要因として知られています。エチレンの感受性が低い切り花(キク・ガーベラ等)はエチレンの影響を受けにくいですが、エチレンの感受性が高い切り花(カスミソウ・スイートピー等)はエチレンの発生源から遠ざけて管理した方が良いでしょう。
エチレンの発生源
果実(バナナ・リンゴ・アボカド等)・枯れた植物(花がら等)・植物が病原菌に感染した部位・植物が損傷部位・たばこ・線香の煙・排気ガス等
おすすめの延命剤
カーネーションの花言葉一覧
カーネーションには様々な花言葉があります。またカーネーションの花言葉は、花の色や花の本数により伝統的もしくは象徴的な意味が変わってきます。そのため事前に調べておき、カーネーションを贈る際などには、花言葉も添えてプレゼントすると喜ばれるかもしれません。
- 白色のカーネーション
- 尊敬
- 純愛
- 私の愛は生きています
- 赤色のカーネーション
- 母への愛
- 熱烈な愛
- 桃色のカーネーション
- 感謝
- 気品
- 上品
- 温かな心
- 美しい仕草
- 黄色のカーネーション
- 美
- 友情
- 橙色のカーネーション
- 純粋な愛
- 清らかな慕情
- あなたを愛します
- 紫色のカーネーション
- 気品
- 誇り
- 青色のカーネーション
- 永遠の幸福
- 緑色のカーネーション
- 癒し
- 1本のカーネーション
- あなたは運命の人です。
- 3本のカーネーション
- あなたを愛しています。
- 4本のカーネーション
- あなたを一生愛し続けます。
- 6本のカーネーション
- あなたに夢中です。
- 8本のカーネーション
- あなたの思いやりに感謝しています。
- 9本のカーネーション
- いつまでも一緒にいよう。
- 11本のカーネーション
- あなたは最愛の人です。
- 40本のカーネーション
- あなたに永遠の愛を誓います。
- 50本のカーネーション
- 永遠
- 99本のカーネーション
- 永遠の愛
- 108本のカーネーション
- 私と結婚して下さい。
カーネーションと母の日の由来
カーネーションは、母の日に感謝を伝えるため贈られる花として知られていますが、同時に母の日が出来たきっかけでもあります。
母の日が出来たりカーネーションが贈られる様になったきっかけはアメリカです。1908年の5月、アンナ・ジャービス(Anna Jarvis)は亡くなった母親のために何百もの白いカーネーションをウェストバージニア州の故郷の協会に送りました。また母親の死から3年後に全ての母親に感謝する記念式典を開催して500本の白色のカーネーションを贈っています。
その後も活動を続け、活動が広まるにつれ白色のカーネーションは母親の愛を象徴する花となりました。また1914年のアメリカでは5月の第2日曜日が「母の日」として制定されています。日本では明治頃からキリスト教を通じてカーネーションを母に贈る習慣が広まり、1931年には皇太后の誕生日である3月6日が「母の日」と1度なりましたが、 1947年に公式に5月の第2日曜日が「母の日」となりました。
カーネーションの栽培方法
園芸では、一般的に病気に強く丈夫なガーデンタイプのカーネーションが利用されており、管理のしやすい鉢植えで育てられたり、また花壇の縁どり等で利用されます。園芸品種には、非常に背が低く赤色と薄桃色の2色の花色が可愛らしくロマンチックな雰囲気をつくる「ピンクキッス」や白色に赤色の縁取りがある花弁が波打ち幾重にも重なりドレスのフリルを連想させる可愛らしい花を咲かせる「ラズベリーリップル」等があり、それぞれお庭の雰囲気に合わせて品種を選ぶと良いでしょう。
カーネーションを育てる際に注意する事は「長雨の浸水」や「高温多湿」です。何故ならカーネーションは長雨による浸水や高温多湿環境になると、根腐れを引き起こしたり、病気になり枯れるリスクが高まるからです。そのため、出来るだけ長雨の影響が少ない場所に植えたり、土壌の排水性を高めておく等の対策が必要でしょう。
ナデシコ(ダイアンサス)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ナデシコ(ダイアンサス)の珍しい種類、主な種や園芸品種の紹介【2022】
カーネーションの育て方
花壇の土づくり
日当たり
カーネーションは日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため基本的には直射日光が6時間以上当たる日向もしくは、午前中のみ日が当たる半日影で育てましょう。
土壌の土質
カーネーションは、雨が降った後いつまでも湿っている様なじめじめした環境を苦手にしています。何故ならカーネーションは萎凋病や根腐れ病等の様々な病気に弱く、じめじめした環境は病気に感染するリスクを上げるからです。そのため土壌の通気性を高めて水分が停滞しないようにして、また適度に有機物の入る肥沃な土壌に改良する必要があります。
植付けの前に土壌診断を行いましょう。
①土を掘る時に硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
②土を濡らして握った時にバラバラと崩れる場合は保水性がない可能性があります。逆に土の塊が出来ても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。
③肥沃な土の場合は土の色が黒っぽくなります。土の色が薄い場合は土壌が肥沃じゃない可能性があります。
土壌診断後、作土層が十分でない場合はスコップで土を深くまで掘り起こし石等を取り除きます。土壌が粘土質な場合は必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れましょう。また肥沃さはそれほど必要ありませんが、必要に応じて腐葉土や牛糞等の堆肥を混ぜこみ土壌改善を行いましょう。
植える際の注意点
カーネーションはじめじめとした多湿環境を苦手にしています。そのため定植する際は、一般的な標準植えではなく、浅植えされるのが一般的です。また長雨に当たると根腐れを引き起こしたり病気になりやすいため、軒下等の雨に当たらない環境で育てた方が良いかもしれません。
浅植え
浅植えとは苗や球根を浅く植える事をさしています。一般的にはポットから出した苗の肩部分や、球根の肩部分を、少し出した状態で定植する事をさしています。
鉢土づくり
日当り
カーネーションは日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。また3時間~5時間の半日影までで植えて育てる事が出来ます。ただし長雨が当たると根腐れや病気を引き起こす原因にもなるため、必要に応じて雨の当たらない場所(軒下等)に移動しましょう。
培養土
培養土は通気性の高い草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土+くん炭=6::3:1
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土+苦土石灰(適量)=4:3:3:
水やりの仕方
カーネーションは水のやり過ぎで浸水したりすると、根腐れを引き起こしたり病気になる等して生育不良を引き起こす可能性があります。そのため土壌の状態を見ながら水やりを行いましょう。
水やりの方法
水やりの最高のタイミングは茎葉が萎れてきたタイミングですが、萎れたタイミングを逃すと株に致命的なダメージを残す可能性があるため、基本的には土の表面(数cm)が乾いてきタイミングで水やりを行うといいでしょう。乾燥の確認は土の色を目視で見て確認するか、指の第1関節まで入れて土の乾燥を確認します。
肥料の与え方
カーネーションの肥料は植付け時に元肥を施し、また春から夏の開花期間中も持続的に追肥を施します。
元肥
元肥は植え付け時に与える肥料の事です。元肥は肥効が長い緩効性肥料を選びましょう。成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)もしくは山型肥料(リン酸が多い)を選びます。
元肥の与え方は花壇の場合も鉢植えの場合も、基本的に土壌に均一に混ぜこむ全面施肥です。
追肥
カーネーションの追肥は、春から夏の開花期間中持続的に行います。
肥料の成分は山型肥料(リン酸多め)を選ぶとよいでしょう。また肥料のタイプには普通化成肥料や緩効性肥料、液肥などがあります。どの肥料タイプでも問題ありませんが、カーネーションはそこまで沢山の肥料を必要としないため、作業量が少なくすむ緩効性肥料がおすすめです。
剪定のやり方
カーネーションの剪定は「花がら摘み」「切り戻し」の2つに分かれます。
花がら摘み
カーネーションは開花期間中の花がら摘みが大切です。何故なら枯れた花を残すと見た目が悪いばかりか、種を作り初めて株が弱り生育が衰えたり、蕾の花が咲にくくなったりするからです。 枯れた花を摘む事は、沢山の新しい花を咲かせる事に繋がります。
花がら摘みの方法は萎れた花を、指で個々に摘み取るか節の部分で切り戻します。
切り戻し
カーネーションの切り戻しは開花が一段落する夏と、開花が終わる秋に行います。
①開花が一段落する夏の切り戻しは株の半分から3分の1程度を目安に一律に切り戻しましょう。これを行う事で、四季咲き性の強い品種では再開花が促されます。
②花が終わる秋に行う切り戻しは、地面から高さ約5cmの場所で切り戻します。古い茎を切り戻し翌年の成長にそなえます。