原産:ヨーロッパ/アジア
科:キク(asteraceae)
属:ヨモギギク/タナセタム(Tanacetum)
種:ヨモギギク/ブルガリ(vulgare)
英名:タンジー(Tansy)
別名:ヨモギギク/コモン・タンジー(common tansy)/ビター・ボタン(bitter buttons)/カウ・ビター(cow bitter)/ゴールデン・ボタン(golden buttons)
花の色:黄色●
葉色:緑色●黄色●
分類:多年草
草丈:30cm~150cm
草姿:直立
開花時期:6月~9月
花言葉:「抵抗」「あなたに挑む」「婦人の美徳」
誕生花:8月12日/11月7日
用途:カラーリーフ/背が高い花/香りが良い
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
タンジーとは!?
タンジーは学名Tanacetum vulgare、別名「ヨモギギク」や「ビター・ボタン(bitter buttons)」とも呼ばれるヨーロッパ及びアジア原産の多年草です。日本でもエゾヨモギギクと呼ばれる変種が自生しています。
タンジーの語源(由来)
- 属名のTanacetumはギリシャ語で「不滅」「不死」「永遠」を意味する「athanatos=a(否定)+thanatos(死んでいる)」からきており、色褪せることなく長持ちする花に由来しています。
- 種小名のVulgarisはラテン語で「普通の」「ありふれた」を意味しています。
タンジーの特徴(魅力)
- タンジーの花は直径約1cmの花(頭花)が半球状(散房花序)に集まる複合花序です。
- 花は樟脳やローズマリー等に例えられる爽やかな香りがあります。
- 花は乾燥しても色褪せが少ないため収穫されドライフラワーやポプリに利用されます。
- 葉は縁部分が深くカットされているため美しいレースの編み物の様な印象をあたえます。
- 葉の色は通常緑色ですが幾つかの品種では白色(~薄黄色)の班が入るものもありカラーリーフとして楽しまれる事もあります。
- 葉は花と同様に樟脳やローズマリー等に例えられる爽やかな香りがあります。
- タンジーは以前は香料としてアルコールに入れられたり料理に使われていましたが毒性がある事が知られたため食用として利用される事はなくなりました。
- タンジーにはツジョンが多く含有しており大量に摂取すると嘔吐や発作を引き起こす可能性があり脳や腎臓や肝臓にダメージを与えます。
- タンジーは地面下に根茎をもちます。
- 年をおうごとに根茎が広がり茎が何本もでて群生をつくります。
- タンジーは夏の暑さ冬の寒さに強く、水やりも肥料も基本的に不要なため放ったらかしで育てる事も可能です。
- ただし幾つかの地域では侵略的と考えられており雑草化する事もあるため注意が必要です。
タンジーは地面下に根茎をもちます。茎の色は緑色もしくは赤みを帯び、分枝しながら直立に高さ約30(~150)cmの間で成長します。葉序は互生葉序、葉色は緑色もしくは黄色、葉身の長さは約10(~15)cm、葉身は2~3回羽状全裂(~深裂)します。花序は2個の花序が組み合わさる複合花序で、直径約1cmの頭花が半球状に集まり頭状散房花序をつくります。個々の花(頭花)は長さ約0.1(~0.3)cmの高さの筒状花が20(~200)個集まります。花後の果実は痩果です。
タンジーの香りの印象と精油成分
タンジーは花や葉の部分に強い香りがあります。香りは「樟脳」や「ローズマリー」等に例えられる香りがあり、スッキリとした爽やかな芳香です。タンジーの香りの由来となる精油には「樟脳」「シネオール」「ツジョン」等が含まれています。
樟脳は「クスノキ」「防虫剤(衣服)」等に例えられるスッキリと爽やかな香りがあり、風味(フレーバー)はミントの様なスっとした冷感のある味があります。一般に植物ではクスノキやローズマリー等に含まれており、精油は医薬品や防虫剤等に幅広く利用されています。樟脳の精油の効果には「抗菌作用(防腐効果)」「抗ウィルス作用」「防虫作用」等があります。
シネオールは「ユーカリ」「樟脳」「薬」「ミント」等に例えられるスッキリと爽やかな香りがあり、風味(フレーバー)はミントの様なスっとした味があります。一般に植物ではユーカリやローズマリー、月桂樹等に含まれており、精油は食品の香料や化粧品等に利用されています。シネオールの精油の効果には、香りが集中力を高め記憶力を上げる効果があります。また落ち込んだ時には気分を高揚させる働きがあるため、アロマテラピー等にもよく利用されます。
ツジョンは「メントール」「ウッディ(木の香り)」等に例えられる爽やかな香りがあります。一般に植物ではタンジーやニガヨモギ等に含まれており、精油は有毒です。
既知の危険性
タンジーは有毒な化合物を幾つか含有しますが、特に精油の中に多く含まれているツジョンが人に害を与えます。ツジョンは大量に摂取すると嘔吐や発作(痙攣)等を引き起こす事があります。また脳・腎臓・肝臓の細胞に毒性があるため、大量に摂取して重篤になると多臓器不全を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
タンジーのドライフラワーの作り方
- タンジーの収穫は乾燥が続く日の朝(朝露が消えた後)もしくは夕方に行いましょう。
- 収穫のタイミングは花が完全に開き最高の色が出ている花を選びます。
- 茎を好みの長さで剪定ハサミで切って収穫して下葉を取り除きましょう。
- 収穫した花はハンギング法で乾燥させます。
ハンギング法
ハンギング法とは、植物を壁や天井等から吊り下げて自然乾燥でドライフラワーをつくる方法です。ハンギング法は最も一般的に利用されるドライフラワーを作る手順で、用意する物も花材以外には殆ど要らず手軽に作れる所が魅力です。手順は花の茎の下部を固定する物(麻紐・洗濯バサミ等)で抑えて、逆さにし壁や天井から吊り下げます。管理する場所は基本的に直射日光の当たらない涼しく乾燥した場所です。乾燥させる時間は2~4週間程度で、自然乾燥させます。
タンジーの栽培方法
園芸では、爽やかな雰囲気のある黄色の花を楽しむ目的や、香りのある花を収穫してドライフラワーやポプリとして楽しむ目的、幾つかの品種で見られる黄色の葉をカラーリーフとして楽しむ目的で育てられる事が多いです。タンジーの草丈は最大150cmになる高性な品種から30cm程度の矮性な品種があるため、育てる品種に合わせて花壇の中央や後方等に植えて高さと立体感を出したり、花壇の前方や中央部に並べて縁どりとして楽しんだりすると良いでしょう。
タンジーを育てる際に注意する事は「日向に植える」くらいです。一度活着すれば水やりや肥料を与える事が基本的に不要になるため放ったらかしでも育ちます。また夏の暑さや冬の寒さにも強いため一度植えれば毎年花が楽しめます。
ヨモギギク(タンジー)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ヨモギギク(タンジー)の珍しい種類、主な種や珍しい園芸品種の紹介【2022】
タンジーの育て方
花壇の土づくり
日当たり
タンジーは日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。日当たりの悪い場所でも育てられますが茎が細く徒長して倒伏しやすくなったり開花が悪くなったりします。そのため直射日光が6時間以上当たる日向、もしくは3時間~5時間の半日影で育てましょう。
土壌の土質
タンジーは土壌の土質をあまり選びません。基本的には通気性と排水性が良く、適度に肥沃な土壌であれば問題なく育ちます。
植付けの前に土壌診断を行いましょう。
①土を掘る時に硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
②土を濡らして握った時にバラバラと崩れる場合は保水性がない可能性があります。逆に土の塊が出来ても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。
③肥沃な土の場合は土の色が黒っぽくなるため、土の色が薄い場合は土壌の肥沃さが足りない場合があります。
土壌診断後、必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れたり、保水性や保肥力を高める田土や黒土を混ぜたり、肥沃さが足りない場合は牛ふん堆肥や腐葉土等の堆肥を混ぜこみ土壌改善を行いましょう。
鉢土づくり
日当り
タンジーは日当り好むため、直射日光が6時間以上当たる日向もしくは、午前中のみ日が当たり午後から日陰になるような半日影で育てましょう。
培養土
タンジーは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
地植え
タンジーを地植えしている場合は乾燥に強いため、極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。 ただし葉や花が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
タンジーを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
タンジーは、ある程度有機物を含んだ肥沃な土壌であれば肥料を必要としません。
ただし土壌が風雨などで劣化している場合や、栄養が足りないと感じる場合などは必要に応じて堆肥や肥料を与えましょう。
植え付け時の元肥
植え付け時に肥料を与える場合は、腐葉土等の堆肥を混ぜ込んだ後に、水平型(肥料成分がバランスよく入る)もしくは山型(リン酸が多い)の緩効性肥料を規定量はかり培養土もしくは土壌に均一に混ぜこみ全面施肥しましょう。
植え付け後の元肥(寒肥)
植え付け後の肥料は土壌の状態を見ながら、必要に応じて晩冬から早春に与えましょう。タンジーは基本的に肥沃な土壌であれば肥料を必要としないことから、牛糞堆肥や腐葉土等を株から少し離れた場所にマルチングもしくは、穴を掘って埋めると良いです。肥料を与える場合は水平型もしくは山型の配合肥料を選びます。施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か穴を掘り、その中に肥料を施しましょう。
剪定のやり方
タンジーは基本的に剪定は不要です。こぼれ種を防ぐ為に必要に応じて、種をつける前に花がらつみを行いましょう。
夏越しする方法
タンジーは暑さに強く対策不要です。
冬越しする方法
Hardiness:3b~9a
タンジーは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にありません。
挿し木や株分けで増やす
タンジーは株分けによって増やす事ができます。
挿し木
タンジーの株分けする時期は春もしくは秋が適します。
スコップを使い株を掘り起こし、掘り起こした株は芽や根をしっかり付けて個々に切り離し、株分けしましょう。
播種で増やす
タンジーの種蒔の方法
播種時期:3月~5月・9月~10月
発芽適温:約20度
発芽日数:約7日~21日
光条件:
種は通気性と保水性のいい培地に撒きます。種は指で上から軽く押す(鎮圧)のみで覆土は不要です。1度撒いた種は乾燥させると極端に発芽率が落ちるため、必ず土と種を乾燥させないように水やりを行い管理して下さい。
植物の病気
タンジーの病気
タンジーの害虫