- 原産:マダガスカル
- 科:トウダイグサ(Euphorbiaceae)
- 属:ユーフォルビア/トウダイグサ(Euphorbia)
- 種:ユーフォルビア・ミリー(Euphorbia milii)
- 和名:ハナキリン
- 別名:茨の冠(crown of thorns)/キリスト・プラント(Christ plant)/キリストズ・ソーン(Christ’s thorn)/シャム・ラッキー・プラント(Siamese Lucky Plant)
- 品種:イエロークリーム(Euphorbia milii ‘yellow cream’)
- 開花時期:4月~8月(理想的な環境であれば周年)
- 花の色:クリーム色
- 葉の色:緑色
- 分類:常緑低木
- 生育型:
- 草丈:最大100cm
- 株張り:約
- 誕生花:10月19日/11月9日
- 花言葉:純愛・自立・独立・逆境に耐える・冷たくしないで
- 用途:カラーリーフ/背が高い花/多肉植物/ロックガーデン
- 購入方法:ハナキリン(イエロークリーム)を楽天で購入
■ハナキリン(イエロークリーム)の特徴
- 学名:Euphorbia milii ‘yellow cream’
- 花(総苞)の色:クリーム色
- 葉の形:倒卵形・倒披針形
- 葉の色:緑色
- 樹高:最大100cm
- 備考:クリーム色の花が可愛い印象を感じさせる品種です。
■ハナキリンとは!?
ハナキリンの学名は Euphorbia milii 、別名では「茨の冠(crown of thorns)」「キリスト・プラント(Christ plant)」「キリストズ・ソーン(Christ’s thorn)」等とも呼ばれる常緑低木です。
ハナキリンの原産地はマダガスカルにあり、自生地は岩石の多い丘陵地や低木の多い場所等にあります。
■ハナキリンの語源(由来)
- 属名のEuphorbiaは、ヌミディア王国の王であるユバ二世に仕えた、ギリシャの医師のEuphorbusへの献名です。
- ギリシアの医師であるEuphorbusは、ユーフォルビアが強力な下剤であると記しており、後にカール・リンネ(Carl Linnaeus)が医師に敬意を示して属全体にユーフォルビアという名前をつけました。
- 種小名のmiliiは、この植物をフランスに紹介した、フランス人の男爵であるPierre Bernard Milius( 1773-1829 )への献名です。
■ハナキリンの特徴(魅力)
- 主な特徴と魅力
- ハナキリンの特徴は、樹形が半ツル性で茎は自立して直立したり途中で倒伏して横に広がったりするためクネクネとした見た目になりやすい所、葉は古くなると脱落して棘状の托葉を残すため、上部だけ葉が残り下部では棘が密生している所、開花は春から夏ですが温度と日照が十分であれば一年を通して花が咲く所、花はトウダイグサ特有の杯状花序が茎の頂部付近で集散に集まり半球状の花房をつくる所、花(総苞)の色は鮮やかなため鑑賞価値が高い所、茎を切断すると白色の樹液がでる所、樹液は基本的に有毒で触ると炎症を引き起こしたり目に入ると失明するリスクがある所等にあります。
- ハナキリンは、クネクネとする独特な茎の姿・刺々しい危険な見た目・華やかな色の花を鑑賞する目的で栽培されたり、またイエス・キリストの茨の冠として知られているため伝承をテーマにするお庭で楽しまれたり、乾燥に強いためロックガーデンやドライガーデンで利用されたり、鉢植えの中で成長を制御して狭い空間の中で楽しまれたりしています。
- 外観の特徴
- 樹高は約100~180cm、樹形は半ツル性、茎の向きは直立・横臥茎(上部で湾曲して地表を這う)、茎は半多肉質、若い茎の色は緑色、古くなると木質化して灰色・灰褐色・赤褐色、茎表面には鋭い棘が密生しており、棘の長さは約1~3cm、棘の色は灰色・灰褐色をしている。※茎にある棘を他の植物などに引っ掛けてツル植物のように登ることもある。
- 葉序は互生葉序、葉は古い茎の部分は落ちて頂部付近に集まる傾向がある、葉身の長さ約2~5cm、葉身の幅は約1~2cm、葉身の形は倒卵形・倒披針形、葉の色は緑色、葉が落ちると葉の根元にある棘状の托葉が剥き出しになる。
- 花序は杯状花序が茎の頂部で集散に集まる、杯状花序は総苞・腺体・雄花・雌花で構成されています。
- 総苞:総苞とは花の基部にある特殊化した葉です。総苞片は対になり、形状は横に長い楕円形、色は赤色・桃色・白色をしている。
- 腺体:腺体とは分泌物(蜜)を生産・放出する部分です。腺体の数は5個、腺体の形状は楕円形、腺体の色は黄色・橙色をしている。
- 雄花:雄花とは雄蕊があり雌蕊がない花です。杯状花序の中に雄花の数は複数あり、雄花に雄蕊は一本、雄蕊の葯の色は黄色です。
- 雌花:雌花は雌蕊があり雄蕊がない花です。杯状花序の中に雌花の数は一個あり、雌花に雌蕊は一本、雌蕊の色は黄色・緑色です。
- 主な用途
- ハナキリンは、イエス・キリストが磔にされた際の茨の冠に使われたという伝承があります。そのため、キリストをテーマにするお庭などによく合うでしょう。
- ハナキリンは乾燥に強いことから、岩や砂の多いロックガーデンなどで育てられることもあります。ただし、寒さにあまり強くないことから温暖な地域じゃないと屋外で育てるのは難しいかもしれません。
- ハナキリンは鉢植えの中に入れて成長を制御しながら身近な場所で楽しまれることもあります。ただし棘があり、鉢を超えて横に成長する事もあるため、置き場所には注意が必要です。
- 栽培時の注意点
- 栽培する際は「土の通気性」「過湿」「氷点下」「樹液」に注意する必要があります。
- 土の通気性とは、水や空気がしっかりと流れ、根の呼吸や成長を邪魔しないような土です。通気性が悪いと根腐れを引き起こす事もあるため、植物を育てる用土はしっかりと選ぶ必要があります。※詳しくは育て方からご覧下さい。
- 過湿とは、何時までも土壌がジメジメしているような状態です。基本的に他の多肉植物と同様に、乾燥に強いですが、水分が過剰な状態を苦手にしています。そのため、水のやりすぎないこと、長雨に当てないことが大切になるでしょう。
- 氷点下とは、0℃以下の気温、つまり冬の寒さを苦手にしています。ハナキリンは氷点下や軽い霜に耐える事が出来ますが、個体によっては氷点下や霜に耐えられずに枯れる事もあります。そのため、冬の間は氷点下を下回らない環境で育てた方が良いでしょう。
- 樹液は植物が傷ついた時などに流れる液体です。ハナキリンの樹液は基本的に有毒で、皮膚に接触すると炎症や水膨れを引き起こしたり、目に入ると充血・痒み・熱をもったり最悪失明する危険があります。皮膚についた場合は直ぐに石鹸で洗い流し、必要に応じて医師に相談しましょう。
- 棘とは、植物体の表面から突起していて先端が鋭く尖る硬い突起物です。ハナキリンは葉の縁部分と先端に鋭い棘を持っているため、洋服に触れると引っかかったり、触れると皮膚を傷つけて怪我をすることがあります。そのため、手入れする時は長袖・手袋・保護メガネをしてから作業した方が安全です。
■ハナキリンの園芸品種を紹介
■ユーフォルビア(トウダイグサ)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■ハナキリンの育て方
花壇の土づくり
環境
ハナキリンは、自生地が丘陵の岩石の多い環境などに生息しています。
そのため、お庭の中では岩や砂を組み合わせて作られたロックガーデンなどで育てられる事も多いです。
日当り
ハナキリンは光のよく当たる場所で最もよく成長して、沢山の花を咲かせます。
そのため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。また半日影までで育てる事も出来ます。
- 日向とは、直射日光が6時間以上当たる場所です。
- 半日影とは、直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。また基本的には午前中のみ日が当たり午後から日陰になる場所になります。
- 明るい日陰とは、直射日光が二時間程度まで、または間接光だけが当たるような比較的に明るい場所です。
- 暗い日陰とは、森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
土壌の土質
基本的に岩や砂の多い場所を好み、乾燥気味で栄養の少ない痩せた土地でも育つ植物です。そのため、土質は砂土または砂壌土になるようにします。
植え付けの前に土壌診断を行い、土質が悪い場合は、改良用土(日向土・軽石・川砂・パーライト)を使って通気性・排水性を改善しましょう。腐葉土等の有機物は、蒸れる原因にもなるため多くは入れずに少なめに入れます。
土壌診断と改善の行い方
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土やバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
- PHを測る専用の道具を用意して診断します。※詳しくはPHを診断からご覧下さい。
- 酸性土壌を改善して土壌を中性またはアルカリ性にしたい場合は、苦土石灰を利用します。PHを1上げるのに必要な苦土石灰の量は1平方メートルあたり150g程度です。土壌に苦土石灰を撒いた後は、石灰が塊にならないようによく混和します。
- アルカリ性土壌を改善して酸性に傾けたい場合は無調整ピートモス(PH4程度)を利用しましょう。ピートモスを腐葉土のかわり等に利用して、よく混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ハナキリンは光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。
そのため基本的には日向で育てる方が良いでしょう。また半日影までで育てる事も出来ます。
培養土
培養土を購入する場合は通気性・排水性の高い多肉・サボテン・山野草の培養土などがおすすめになります。
培養土を自作する場合
- 岩や砂の多い場所に自生している事からも分かる通り乾燥に強い植物です。逆に多湿を苦手にしています。そのため、通気性・ 排水性が優れている培養土をつくります。
- 栄養の少ない痩せた土地に自生している事からも分かる通り、肥沃さはあまり求められません。しかし多少の肥沃さが開花の促進や生育の促進に寄与するため、少量の堆肥を入れてあげた方がよい場合もあります。ただし堆肥が多いと夏場に蒸れて根腐れする原因にもなるため注意が必要です。
- 用土は極端に粒子が大きい(粗い)と根の定着が悪くなり、生育にも悪影響を与えるため粒子が大きすぎる用土は避けましょう。
- 水やりの頻度を考えて、保水性のよい用土を増やしたり、通気性・排水性の良い用土を増やし配合する。
培養土の配合例
- 川砂+赤玉土(小粒)+腐葉土+くん炭=3:4:2:1
- 日向土(細粒・小粒)+赤玉土(小粒)+ピートモス(調整済)+竹炭=4:3:2:1
- 赤玉土(小粒)+桐生砂(細粒・小粒)+パーライト+腐葉土+木炭=3:2:2:2:1
- 軽石+硬質赤玉土+日向土+ゼオライト=2:3:4:1
培養土は基本用土を単体で使うか、または基本用土をベースにしながら改良用土を組み合わせて作ります。
植物の育ってきた環境、水やりの頻度、用土の費用などを考えて培養土を作ると良いでしょう。
基本用土
- 赤玉土:赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた土壌改良材です。
- 特徴:赤玉土は通気性・排水性・保水性のバランスが抜群に良いことから擬似団粒構造をした土壌改良材とも呼ばれています。無菌で雑菌が繁殖しにくく、雑草の種も含まれないため挿し木用土やインドアグリーンの土としても使われる。
- 比較:鹿沼土と比べて赤玉土の方が保水性・保肥力に優れており、PHが中性に近い弱酸性のため幅広い植物で利用しやすい。赤玉土は鹿沼土よりも粒が崩れて劣化しやすいため、使い続けると微塵が出て通気性・排水性を悪化させる事がある。
- 注意点:赤玉土はリン酸を固定してしまい、植物が吸収出来る状態で無くす事があるため、リン酸の肥料を多めにやる必要がある。赤玉土の粒はやや崩れやすいため再利用出来る割合が少ない傾向があり、微塵は粘土質になり通気性・排水性を悪くする事がある。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。無菌のため挿し木・種まき用土・インドアグリーンの培養土などに利用される。
- 硬質赤玉土:硬質赤玉土は赤玉土を高温で焼いて硬質化したものです。
- 比較:硬質赤玉土は赤玉土と比べて、粒が硬いため砕けて劣化しにくく、通気性・排水性が高くなっています。一方で保水性が悪くなっているため、一般的な草花で使うと土壌が乾きやすくなり水やりの頻度が増えやすいです。
- 用途:多肉植物・サボテン・山野草などに使われる事が多い。
- 鹿沼土:鹿沼土は栃木県鹿沼地方で産出される、風化した軽石の総称です。
- 特徴:鹿沼土は通気性・排水性が抜群に優れており保水性・保肥力も高いため、培養土の通気性・保水性・保肥力のバランスをとりたい時に重宝されます。PHが4~5と酸性になります。
- 比較:赤玉土と比べると鹿沼土は粒が頑丈で崩れにくいため再利用しやすく、PHは酸性に強く傾いており、保水性が劣ります。一般的な軽石と比べると鹿沼土は保水性に優れており、やや粒が脆い傾向にあります。
- 注意点:酸性度が強めなため、アルカリ土壌を好む植物を育てる場合は避けた方がよい。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。特にPHが酸性のため酸性土壌を好む植物に利用される事が多いです。
- ☆硬質鹿沼土:硬質鹿沼土は従来の鹿沼土から硬質なものを選別した用土です。その名前が示すとおり、鹿沼土よりも硬く丈夫で劣化しにくい用土です。
- 日向土(ボラ土):日向土は別名でボラ土とも呼ばれる、宮崎県南部で産出される軽石です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。草地・岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、一般的な草花から多肉・サボテン・山野草などの育成でも利用されます。す。
- 桐生砂:桐生砂とは群馬県桐生市近辺で産出されるやや風化の進んだ赤褐色の火山礫です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHがやや酸性に傾く中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、多肉・サボテン・山野草・東洋ラン・盆栽等の育成でよく利用されます。
- 軽石:軽石は溶岩が急冷されガスが吹き出す事で、多孔質で脆く軽くなった火山礫です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.4~0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくい、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、多肉植物・サボテン・東洋ラン・盆栽・山野草などの育成でよく利用されます。
- 川砂:川砂は岩石(花崗岩・石英・長石等)が風化して生じる灰白色をした砂で、採られる場所により富士川砂・矢作砂などと呼ばれたりもしています。
- 特徴:粒子が大きく通気性・排水性が優れており、保水性と保肥力が殆どない。比重が約2.5~2.6と大きく安定感があるため植物をしっかりと支える事が出来る。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、多肉・サボテン・山野草・盆栽等の育成でよく利用されます。
改良用土
- 腐葉土:腐葉土は広葉樹の落ち葉を腐熟させた改良用土です。
- 腐葉土を選ぶ基準:腐葉土は完熟していて湿り気のある物を選びましょう。完熟していると、見た目が黒っぽくなり、葉の断片が小さくなっています。逆に油脂成分の多い針葉樹の葉が入っていたり、未熟な茶色の葉が混じっていたり、断片が大きく乾燥していたりする腐葉土は、植物の根を傷める原因にもなるため避けた方が良いでしょう。
- 腐葉土の特徴:土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の通気性・保水性・保肥力を高めるため植物が育ちやすい環境となる。腐葉土は微量要素を含んでいるため植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。PHが中性のため扱いやすい。
- 用途:土壌の保水性・保肥力・通気性を改善したり、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする働きがあるため、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されます。
- ピートモス:ピートモス は水苔類やヨシ・スゲ等の植物が堆積して腐植し泥炭化した用土です。
- 特徴:腐葉土と比べて養分を殆ど含んでいないため、微生物を活性化する力が弱く無菌で清潔感がある。土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の保水力を高める効果が高く、通気性・保肥力も改善する。PHは基本的に強い酸性になる。
- 注意点:PHが3~4の強い酸性のため、一般的な植物を育てる際は調整済のピートモスを使用するか、アルカリ性の土壌改良材を入れて使用した方がよいでしょう。
- 用途:土壌の膨軟性を高めて、保水性・保肥力・通気性を改善するのに利用されたり、PHを酸性に調節する目的で利用されたり、無菌で雑菌が繁殖しにくいためインドアグリーンの植物の改良用土として利用されたり、挿し木や種まき用の培土として利用されたり、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されたりしています。
- べラボン:べラボンはヤシの実を特殊加工して作られた園芸資材です。
- 特徴:非常に軽く空気を多く含んでいて、水を含んだ時の膨張と乾燥した時の収縮比率が高いため、培養土などに混ぜ込むと通気性が大きく改善して根張りがよくなります。通気性はもちろん保水性・保肥力も高いため優れた土壌改善効果があり、単体でも植物を育てる事が出来る。
- 用途:土壌の膨軟性・通気性・保水性・保肥力を改善する目的で使用することができます。培養土としてべラボン単体で一般的な植物を育てる事ができます。非常に軽量なため吊り鉢やハンギングバスケットなどの培養土にもおすすめです。樹木に着生する洋ランなどの植物の培養土にも利用されます。
- パーライト:パーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温で熱して中に含まれる水分を発泡させ多孔質にした資材です。
- 特徴(真珠岩系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 特徴(黒曜石系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 用途:土壌の通気性・排水性を改善する目的、真珠岩系では通気性・排水性・保水性をバランスよく改善する目的で利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などに欠かせません。
- くん炭:くん炭は、もみ殻を炭化させたものです。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PH8前後の高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
- 木炭(竹炭):木炭(竹炭)は木材または竹材を材料にして低酸素状態で高温に加熱して作られる炭です。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PHが8~10と高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
- ゼオライト:ゼオライトは沸石とも呼ばれる鉱物の一種です。
- 特徴:水質浄化・脱臭効果・高い保肥力などにあります。そのため、根腐れ防止や肥料の流失や肥効の継続に効果を発揮します。一方で、入れすぎると肥料が効きにくくなるなどのデメリットがあるため、土壌や培養土に5%程度混ぜて使われる事が多いです。
植え替え
植物を育てていると、培養土が劣化したり、根詰まりを引き起こす事があります。そのため、成長の早さにも左右されますが数年に一度の頻度で植え替えが必要になります。
根詰まりのサイン
- 成長が悪くなる
- 鉢穴から根が出てきている
- 培養土の乾燥が早い
植え替え方法
- 植え替えに適した時期
- 植え替えの適期は、株の素早い回復が見込める早春が適しています。
- 植え替え手順
- 植え替えの前日にはしっかり水やりをしておきます。
- 根の回り具合に合わせて、そのままの鉢を使用するか、一回り大きな鉢を使います。
- 古い鉢から株を取り出して、根を優しく解すように、風雨で劣化したり、根の侵食で劣化した古い土を軽く落とします。
- 長い根や腐った根がある場合は、必要に応じて軽く剪定して切り詰めます。
- 鉢の中に新しい培養土と株を入れて植え直します。
水やりの仕方
ハナキリンは自生地が丘陵の岩石の多い環境などにあり、耐乾性の高い植物です。そのため、一度根づいてしまえば、水やりがほとんど必要なくなります。しかし水やりの効果で株が大きくなる事もあるため、生育期間中は必要に応じて水やりをしてあげるのもよいでしょう。
注意することは、生育期間以外に頻繁に水遣りをしたり、長期間に渡り過湿状態にしてしまう事です。これらは、病原菌が増えて株が腐敗する原因を作ったり、根の呼吸を邪魔して根腐れを引き起こす原因になったりします。そのため、水やりする季節や頻度には注意が必要となります。
水やりの与え方
- 春・夏・秋:土の表土が乾いたタイミングで水を与えます。乾燥に強い植物ですが、成長期に水を与える事で、株がしっかりと成長します。
- 冬:株は生育が衰えるため、乾燥気味に管理する。水やりの頻度は月に1~2回程度で、土を軽く湿らせる程度に与えます。
水やりのタイミング
- 表土の乾いたタイミング
- 土の表土(表面)の色が、濡れているなら黒っぽく、乾いたら白っぽくなるため、目視で乾いたのを確認する。
- 目視で確認が難しい場合は、表土を触って乾燥を確認する。
- サスティーを鉢土に差して、色の変化を確認してから水やりをする。
鉢内または表層が乾いたタイミング透明な鉢植えで育てると土の色の変化が分かるため、目視で確認する。鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、持ち上げてみて土の乾きを判断する。割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串を色と湿り気を見て確認する。- サスティーを鉢土に差して、色の変化を確認してから水やりをする。
※水やりのタイミングに不安がある場合は、サスティーを利用することも出来ます。色の変化を覚えておくだけで簡単に水やりを行うことが可能です。
剪定のやり方
ハナキリンの剪定は形状を整える目的・不要な茎を片付ける目的などで行われます。
剪定のやり方
- 剪定の時期
- 晩冬から早春
- 剪定方法
- 枯れた茎・病気の茎・損傷した茎などを探して健康な部分まで戻り剪定します。
- 株全体を観察して、茎が徒長して外観を乱していたり、茎同士が絡み合い混雑していたり、歩道などに侵入していたりする場合などに必要に応じて切り戻し剪定しましょう。
※剪定する時に注意することは、茎を切断した時に出る樹液に触れないようにする事です。樹液が肌につくと炎症を起こしたり、目に入ると失明に繋がるリスクがあります。そのため、出来れば手袋・長袖・保護メガネを着用して作業した方が良いでしょう。
夏越しする方法
ハナキリンは基本的に夏の暑さと乾燥に強いです。
しかし、多湿を苦手にしており、特に高温と多湿が複合する高温多湿を苦手にしています。そのため、適切な夏越し対策が必要です。
夏越しで重要なポイント
- 直射日光がよく当たる場所
- 日向から半日影で管理しましょう。
- 長雨に当たることが少ない場所
- 鉢植えの場合は長雨に当たらない場所に移動すると良いでしょう。
- 地植えの場合は雨の当たりにく場所で育てると良いでしょう。
- 土壌の排水性がよい場所
- 植付けの際に土壌改良をしっかり行い排水性を高めましょう。
- 土壌改良を行っても、周りから水が集まる場所だと意味がありません。苗をレイズベットやロックガーデン等の周りより高い場所に植えたり、傾斜地に植えると、水が下に流れやすくなり、排水性が高まります。
- 空気の流れがあり風通しがいい場所
- 周りが壁に囲まれていたり、草が繁茂してる場所で管理すると空気が停滞して湿気が溜まりやすくなります。改善しましょう。
冬越しする方法
Hardiness:9~12
ハナキリンは軽い霜であれば耐えられる事があるため、暖地や平地であれば地植えでも冬越し出来る事があります。
ただし基本的に霜や凍結に弱かったり、低温で株が傷みやすいため、冬越し対策を行った方が良いでしょう。
冬越し対策
- 鉢植え
- 鉢植えで育てている場合は、室温が10度以上ある日当りのよい室内に入れて管理しましょう。
- 暖地などの暖かい地域であればカバーを被せるなどの、霜対策を行うだけでも越冬出来る場合があります。※ただし10度以下の環境では低温ストレスで株は傷む傾向があります。
- 地植え
- 株を掘り起こし鉢植えにして屋内などで管理します。
- 株の掘り起こしが難しい場合は、支柱を立ててビニールを張りトンネルを作ったり、カバーをかけてミニ温室を作って上げるのもひとつの対策になります。
挿し木や株分けで増やす
ハナキリンは挿し木や株分けによって増やす事ができます。
挿し木の方法
- 挿し木時期
- 晩春から初夏頃
- 培養土を準備します
- 挿し穂用の培養土は無菌のものを利用して、切り口に雑菌がついて腐敗しないようにしましょう。一般的には赤玉土・日向土・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 挿し穂を採取する
- 挿し穂は今年に新しく成長を始めた枝を利用します。
- 挿し穂を整形する
- 挿し穂の長さを7~10cm程度にわけて、挿し穂の上部の2~4枚の葉を残して、下部の葉を取り除きます。
- 培養土に挿し穂を挿す
- 挿し穂を挿す場所を決めて、培養土の中に、事前に穴を空けておきます。※培養土はほんのりと湿らせておきます。
- 挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。
- 管理
- 明るい日陰で管理しながら、培養土を完全に乾かさないように定期的に水やりを行います。