原産:北アメリカ
科:キク(Asteraceae)
属:エキナセア(Echinacea)
種:パープレア(purpurea)
英名:Echinacea
別名:ムラサキバレンギク/パープルコーンフラワー(purple coneflower)/ヘッジホッグ コーンフラワー(hedgehog coneflower)
品種:バタフライキス(butterfly kisses)
開花時期:5月~9月(6月~8月に最も開花)
花の色:桃色●
葉色:緑色●
分類:多年草
草丈:約50cm
誕生花:8月20日/10月13日
花言葉:優しさ/ただよう気品/深い愛/あなたの痛みを癒します
用途:開花期間長い/背が高い花/切り花
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
エキナセア(バタフライキス)とは!?
エキナセア(バタフライキス)は一般的なエキナセアと比較して高さが50cm迄と背が低く、枝分かれの良い茎をもっています。また花の直径が約7cmと大きく、花の中央にある桃色の筒状花が通常よりも長くなり、チアで使うポンポンの様な個性的な花姿をつくる魅力的な園芸品種です。
開花時期は晩春から秋、花色は桃色、花序は筒状花と舌状花の小花が集まり頭状花序をつくります。草姿は直立で高さ約50cm × 幅は50cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は楕円形もしくは披針形で、葉序は互生葉序もしくは根生葉につきます。
エキナセアとは!?
エキナセアは学名Echinacea purpurea、一般的に単にエキナセアというと属全体をさすかこの種(Echinacea purpurea)を指している事が多く、英名でも単に「Echinacea」と呼ばれており、また別名では「ムラサキバレンギク」や「パープルコーンフラワー(purple coneflower)」等とも呼ばれる北アメリカが原産の多年草です。
エキナセアの語源(由来)
- 属名のEchinaceaは古代ギリシャ語で「ハリネズミ」「うに」を意味する「ἐχῖνος(ekhînos)」からきており、花の中心部にある硬く棘を思わせる様な筒状花に由来します。
- 種小名のpurpureaは「紫」を意味する「purpuro」と、接尾辞で「色」を意味する「-ea」の2語からきており、花の色に由来します。
- ムラサキバレンギクの由来は、花色が「紫(ムラサキ)」をしており、花の姿が纏から垂れ下がる細長い飾りの「馬簾(バレン)」に似ている所からきています。
エキナセアの特徴(魅力)
- エキナセアの花は非常に個性的で、中央に硬く半球状に盛上がる筒状花と下垂する様に反り返る舌状花がある所が特徴です。
- ↳ただし園芸品種が多く筒状花が花弁化して八重咲きする品種も沢山あります。
- 花は直径約7~15cmと非常に大きく華やです。
- 個性的な形の花は切り花やフラワーアレンジメントの花材としても人気が高いです。
- ↳切り花は管理の仕方や場所にも左右されますが7日~10日程度の日持ちがあります。
- 花の中央にある筒状花は蜜が豊富なため開花期には蜜を求め優雅に飛び回る蝶々の姿が見られます。
- 自生地の北アメリカでは野生のエキナセアを伝統医学のハーブとして利用していました。
- ↳現在もエキナセアの根が健康食費などで利用されています。ただし多くの園芸品種は効力の殆どが失われています。
- 種から育てる事も出来るため大量植栽しやすいです。
- エキナセアは夏の暑さや冬の寒さに強く非常に丈夫です。
- ↳また乾燥に非常に強く肥料も基本的に不要な事から放ったらかしで育てる事が出来ます。
エキナセアは地面下に塊状の太い地下茎をもち、ひげ根は深くまで張り活着すると乾燥に強くなります。茎は春になると伸び初めて、殆ど分枝することなく垂直に伸び高さ60(~120)cmの間で成長します。葉は根生葉と茎葉があり、茎葉は互生葉序に配置され、葉の大きさは長さ約5(~30)cm幅約5(~12)cmあり、葉身は披針形から楕円形で縁部分に鋸歯があります。花序は直径約7(~15)cmで筒状花と舌状花が組み合わさる頭状花序、舌状花は長さ3(~8)cmあり後方に反り返り、筒状花は中央で多数集まり半球状に盛り上がり硬く棘の様な感触をもちます。花後の果実は痩果です。
エキナセアの切り花の楽しみ方
- エキナセアの収穫は朝の涼しい時間帯におこないましょう。
- 収穫の前に水を入れたバケツを準備しておきます。
- エキナセアの収穫は花の舌状花が完全に開いていない物を選びましょう。
- 収穫したエキナセアはバケツの中で不要な葉を取り除きます。
- 葉を取り除いたら水に漬けて水切りを行いましょう。
- 水切りしたら花瓶に生けて楽しみます。
- ↳日持ちは管理の仕方で変わりますが約7~10日程度です。
- 管理は数日(約1~3日)ごとに水換えと水切りを行います。
水切り
水切りとは茎の根元を水の中に浸けた状態で、茎の根元から上に約1~5cmの部分でハサミを使い斜めにカットして、吸水面を広げ水揚げしやすくする方法です。水の中で切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。※導管に気泡が入ると水揚げが悪くなり萎れやすくなります。
エキナセアの栽培方法
園芸では、個性的で華やかな花を鑑賞する目的で育てられたり、また切り花として利用する目的で育てられたり、蝶々が飛び交うようなお庭(バタフライガーデン等)をつくる目的で育てられたりします。茎は垂直に伸びて、比較的に背が高くなるため花壇の中央や後方等に植えて高さと立体感を出したり、管理のしやすい鉢植えに植えて様々な場所で楽しまれたりします。
エキナセアを育てる際に注意する事は「日向に植える」くらいです。一度活着すれば水やりや肥料を与える事が基本的に不要になるため放ったらかしでも育ちます。また夏の暑さや冬の寒さにも強いため一度植えれば毎年花が楽しめます。
エキナセアの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
エキナセア(コーンフラワー)の珍しい種類、主な種と園芸品種の紹介【2021】
エキナセア(バタフライキス)の育て方
花壇の土づくり
エキナセア(バタフライキス)は日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。一方で日当たりの悪い場所では開花が悪くなったり生育が悪くなります。そのため植える場所は、直射日光が6時間以上当たる日向が理想です。
エキナセア(バタフライキス)は幅広い土壌に耐えますが、PH6.5~7.0の間中性を好み、また有機物(腐植)が豊富に入る肥沃な土壌でよく育ちます。
植付けの前に土壌診断を行い、土壌を掘る時に土が硬かったり濡らした土を握った時に塊が崩れない等する場合は、必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れたり、また膨軟性(ふわふわ)を高めたり肥沃さを高める目的で腐葉土や堆肥(牛糞堆肥等)を入れたりして土壌改善を行うといいでしょう。
鉢土づくり
エキナセア(バタフライキス)は日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。
培養土は一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く肥沃な培養土で育てましょう。
培養土の例
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
エキナセア(バタフライキス)は非常に乾燥に強く、一度活着すれば極端に乾燥する場合を除いて、基本的に降水のみで育てられます。
鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になる事があります。基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
エキナセア(バタフライキス)は肥沃な土壌であれば基本的には肥料を必要としません。多過ぎる肥料は花数を減らしたり茎の倒伏を招きます。そのため春に一度だけ堆肥をいれて、必要に応じてその時に少量の肥料も入れましょう。
植え付け時の元肥
植え付け時に肥料を与える場合は、腐葉土等の堆肥をしっかり混ぜ込んだ後に、水平型(肥料成分がバランスよく入る)もしくは山型(リン酸が多い)の緩効性肥料を規定量はかり培養土もしくは土壌に均一に混ぜこみ全面施肥しましょう。
植え付け後の元肥(寒肥)
植え付け後の肥料は毎年晩冬から早春に与えます。エキナセアは基本的に肥沃な土壌であれば肥料を必要としないことから、牛糞堆肥や腐葉土等を株から少し離れた場所にマルチングもしくは、穴を掘って埋めると良いです。肥料を与える場合は水平型もしくは山型の配合肥料を選びます。施し方は株元から少し離した場所に何ヶ所か穴を掘り、その中に肥料を施しましょう。
剪定のやり方
エキナセア(バタフライキス)の剪定は「花がら摘み」と「間引き剪定」の2つに分かれます。
花がら摘み
エキナセアの花がら摘みは晩春から秋の開花期間中に行います。
花がら摘みをせずに育てる事も可能ですが、枯れた花を残すと見た目が悪いばかりか、種を作り初めて新しい花がつくられにくくなります。新しい花の開花を沢山見たい場合は花がら摘みをしっかり行った方がよいでしょう。
花がら摘みの方法は、個々の花を剪定ハサミ等を利用して、個々に切って取り除きます。
間引き剪定
エキナセアの間引き剪定は、花が終わり冬に入る前の晩秋から新しい成長が始まる前の早春までに行いましょう。
間引き剪定のやり方は、花が終わり枯れていく茎(古い茎)を根元付近で強く切り戻し取り除くだけです。
間引き剪定の目的は不要な茎を取り除く事で、主要な茎もしくは新しい芽にエネルギーを優先的に送ったり、光の通りや風通しをよくしたりする事で健康な成長を促す所にあります。
夏越しする方法
エキナセア(バタフライキス)は夏の暑さや乾燥に強く、夏越し対策は基本的に不要で育てられます。
冬越しする方法
Hardiness:3b~8a
エキナセア(バタフライキス)は耐寒性が高く、冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
春からの成長に備えて、株の周囲に堆肥を入れて上げると良いかもしれません。
挿し木や株分けで増やす
エキナセア(バタフライキス)は株分けや根挿しによって増やす事ができます。挿し木もされますが、根が出にくくやや難しいかもしれません。
エキナセアの株分け手順
- エキナセアの株分け時期は春もしくは秋が最適です。
- スコップを使い株を掘りあげます。
- 手もしくはナイフ等を利用して株を個々に切り分けます。
- 株分けした株は、必要な場所に植え直して水をたっぷり与えましょう。
エキナセアの根挿しの方法
- エキナセアの根挿しに適した時期は秋から冬です。
- スコップで株を掘り上げて鉛筆程度の太い根を5~10cm前後で切り取ります。
- 無菌の挿し木用の培養土(バーミキュライトやピートモス等)を準備して少し湿らせておきます。
- 培養土の中に切り分けた根を上面を上にして縦向きに埋めましょう。
- 芽が出るまで培養土を湿らせ管理します。
播種で増やす
エキナセアの種蒔の方法
播種時期:3月~5月・9月~10月
発芽適温:約20~25度
発芽日数:7日~21日
発芽条件:
エキナセアの種まき手順
- ポットに種まき用の培養土を準備するか、直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 基本的に種に土は被せません。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
エキナセアの種が上手く発芽しない場合があります。原因は恐らく種が休眠しており、休眠打破のために低温を経験させないといけないからです。
低温を経験させる最も簡単な方法は秋に種を撒いて、冬の寒さを経験させた後に、春に発芽させる方法です。
もう1つの方法は密閉させた袋の中に種を入れて冷蔵庫(約4度)の中で約1~2ヶ月保管後に種を撒きます。
植物の病気
エキナセアの病気
- 灰色カビ病
- 白絹病
エキナセアの害虫
- フキノメイガ