フトモモは属の中に約1123種がありますが、一般に園芸で親しまれている種は幾つかの種とその園芸品種です。例えば、花の蕾に濃厚な香りがありスパイスとしても利用されているチョウジ(クローブ)、花後にできる紅色の果実が食用としても利用されるレンブ、他のフトモモ属の種と比べて耐寒性が高く花後にできる果実が紫色をしているムラサキフトモモ等が親しまれています。
フトモモ属の種ごと育て方は写真か育て方をクリックすると出てくる為よかったらそちらをご覧下さい!
このページでは主な種の種類と特徴、園芸品種の種類と特徴を紹介しています。
フトモモの主な種の目次 | |
①チョウジ(クローブ) 開花時期: | ②フトモモ 開花時期:5月~7月 |
③レンブ 開花時期:4月~5月 | ④ムラサキフトモモ 開花時期:3月~4月 |
原産:インドネシア
学名:Syzygium aromaticum
草丈:約800~1200cm
分類:常緑小高木
開花時期:1月~2月/7月~9月(地域や国によって時期はことなり通常は年2回で期間はそれぞれ1~2ヶ月程)
花色:緑色●赤色●橙色●
葉色:緑色●
耐暑性:強い
耐寒性:弱い
誕生花:3月3日/12月14日
花言葉:「高貴」「威厳」「神聖」「貴重さ」
特徴:チョウジ(クローブ)は学名Syzygium aromaticum、別名「チョウコウ(丁香)」や「ザンジバル・レッドヘッド(Zanzibar Redhead)」等とも呼ばれる常緑小高木です。チョウジ(クローブ)はインドネシアが原産でマルク諸島に自生しています。
チョウジ(クローブ)の語源(由来)
- 属名のシジギウム(Syzygium)はギリシア語で「一緒に/同じ」を意味する「syn」とギリシア語で「クビキ」を意味する「zygon」の2語の造語で「団結」や「結合」を意味しており、シジギウムを命名したアイルランドの医師兼植物学者のPatrick Browneによると枝に対生につく葉の姿からつけたとそうです。
- 種小名の(aromaticum)はラテン語で「芳香性の」を意味しており花(つぼみ)の香りに由来します。
チョウジ(クローブ)の特徴(魅力)
- 花の蕾にはシナモン等にも例えられるスパイシーで濃厚な香りがある
- ↳肉料理のスパイス等に利用されます
- ↳様々な薬効(抗菌・効真菌作用や抗酸化作用等)があります
- 花の蕾は釘の様な形と表現されることが多く
- ↳緑色から赤色(~橙色)へと成熟したら収穫の合図になります
- 種子から育てると花の蕾の収穫まで7~8年かかる
- ↳寒さに弱く日本では植物園の温室等で栽培されています
チョウジ(クローブ)の樹皮は灰褐色で滑らかな質感があり、成熟すると高さ約8~12mまで成長する常緑小高木です。葉は緑色で光に当たると反射する光沢があり、形は長さ約7(12)cm × 幅約2(5)cmの楕円形をしていて、革の様な質感をもっています。花は多数の小花が枝の先に集まって集散花序をつくり、また個々の花は蕾が緑色から赤色へと成熟すると花開き多数の白色(~薄黄色)の雄蕊が溢れでます。
開花時期は1月~2月/7月~9月(地域や国によって時期はことなり通常は年2回で期間はそれぞれ1~2ヶ月程)、花色は緑色や赤色、白色(薄黄色)で、個々の花は釘の様な形をした萼から多数の雄蕊と1本の雌しべをだします、花序は小花が枝先に集まり集散花序をつくります。樹形は直立で高さは約800(1200)cm × 幅は約300(600)cmまで成長します。葉色は緑色で、葉身は楕円形、葉序は対生葉序になります。
チョウジ(クローブ)の香りと効果
チョウジ(クローブ)は花の蕾部分に「甘い&辛い」「スパイス」「木の香り」「シナモン」等と表現される濃厚でスパイシーな芳香があり、また辛さの中に甘さがあるスパイシーで濃厚な風味(フレーバー)をもっています。チョウジ(クローブ)の香りの由来となる精油は、7割から8割りを占める「オイゲノール」と、1割から2割を占める「β-カリオフィレン」等からなり、チョウジ(クローブ)の濃厚な香りをつくる元となってます。
チョウジ(クローブ)は精油には「抗菌作用」「抗真菌作用」「抗炎症作用」「抗酸化作用」「鎮痙」「殺虫作用」等の様々な効果があり、例えば「抗酸化作用」がある事から活性酸素の発生や働きを抑制して、老化防止、ガンや生活習慣病の予防等が期待出来ます。また「抗菌作用・抗真菌作用」がある事からカビやバクテリアの増殖を抑制したり殺菌するため、食品の腐敗を防ぐ効果や、口内のバクテリアを退治して口の中を爽やかにする効果等が期待できます。その他にも「抗炎症作用」がある事から胃の炎症を抑え胸焼け等にも効果が期待できます。
オイゲノールは「クローブ」「甘い&辛い」「スパイス」「木の香り」「シナモン」等に例えられる濃厚でスパイシーな香りがあり、風味(フレーバー)は辛さの中に甘さがあるスパイシーな味です。一般に植物ではクローブやシナモン、バジル等に含まれており、精油は食品の香料やアロマセラピー等の様々な場面に使われています。オイゲノールの精油の効果には「抗菌作用」「抗真菌作用」「抗炎症作用」「抗酸化作用」「鎮痙」「殺虫作用」等の複数の効能が知られています。
β-カリオフィレンは「クローブ」「甘い&辛い」「木の香り」等に例えられるスパイシーな香りがあり、風味(フレーバー)は辛さの中にウッディな味です。一般に植物ではクローブやアサ等に含まれ、また多くの自然食品にも含まれています。
チョウジ(クローブ)の利用方法
チョウジ(クローブ)は乾燥させた花の蕾が食用として利用されており、釘の様な形そのままに香り付けとして料理に使われる事もありますが、多くの場合は粉末にして利用されています。チョウジ(クローブ)には食欲を刺激する辛みと甘味を感じさせるスパイシーな香りがあり、風味も同様に辛さと甘さの混じるスパイシーな味をもつのが特徴です。また沢山の薬効もあるため適量であれば健康にもよいでしょう。
料理では、主に香りを高めるスパイスとして「カレー」や「シチュー」等の煮込み料理等に使われます。また「クッキー」等の焼き菓子に混ぜてスパイシーな味を楽しんだり、また紅茶に牛乳やシナモン、クローブ等を混ぜて煮込み本格的なチャイを楽しまれたりします。
チョウジ(クローブ)の栽培
チョウジ(クローブ)は冬の寒さに極端に弱いため、屋外で地植えして育てるのは難しいかもしれません。増やし方は種を撒いて増やす事が出来ます。
チョウジ(クローブ) |
原産:東南アジア
学名:Syzygium jambos
草丈:約300~1500cm
分類:常緑小高木
開花時期:5月~7月
花色:黄色●白色〇
葉色:緑色●
耐暑性:強い
耐寒性:普通
誕生花:
花言葉:
特徴:フトモモは学名Syzygium jambos、別名「ローズアップル(rose apple)」や「パンネラル(Pannerale)」等とも呼ばれる東南アジア原産の常緑小高木です。
フトモモの語源(由来)
- 属名のシジギウム(Syzygium)はギリシア語で「一緒に/同じ」を意味する「syn」とギリシア語で「クビキ」を意味する「zygon」の2語の造語で「団結」や「結合」を意味しており、シジギウムを命名したアイルランドの医師兼植物学者のPatrick Browneによると枝に対生につく葉の姿からつけたとそうです。
- 種小名のjambosはポルトガル語で「巨大の/特大の」を意味しています
フトモモの特徴(魅力)
- 花が終わると食用の果実が出来る
- ↳ビタミンCが豊富で生で食べられる
- ↳フトモモの果実はクリーム色でワックスが塗られた様な光沢があり
- ↳バラの様な香りがするため別名「ローズアップル」と呼ばれています
- ↳果実はサクサクした食感があり梨を薄め様な味がします
- 現地では幾つかの病気の治療に使われる薬用植物です
フトモモの樹皮は灰褐色で滑らかな質感があり、幹は枝分かれが少なく成熟すると高さ約8~15mまで成長する常緑小高木です。葉は緑色で光沢があり、形は長さ約10(22)cm × 幅約2.5(6)cmの長楕円形から披針形をして葉先は鋭く尖ります。花は腋生して総状花序になり、個々の花は花弁が4個で長い雄蕊が多数出てブラシの様な外観をつくります。また花の後に出来る果実は白色(~薄黄色)でワックスを塗ったかのような光沢があり、形は直径約2~4cmの円形から楕円形の洋梨の様な形で、齧るとサクサクとした食感でバラの様な香りがあります。※実の結実は種から育てた場合、早くて4年後からになります。
開花時期は晩春から夏、花色は白色から黄色、個々の花は花弁が4個で長い雄蕊が多数突出して、花序は腋生して総状花序につけます。樹形は直立で高さは約300(1500)cm × 幅は約300(600)cmまで成長します。葉色は緑色で、葉身は長楕円形もしくは披針形、葉序は対生葉序になります。
フトモモの栽培
フトモモは、成熟した株であれば軽い霜に耐えられますが基本的には寒さに弱いため、霜の降りない地域以外での屋外での越冬は難しいかもしれません。そのため管理のしやすい鉢植えの中で育てられる事も多く、春から秋は屋外の日向で育てて、冬の間は温室や日当たりの良い屋内に入れられ管理されます。増やし方は種を撒いて増やす事が出来ます。
フトモモ |
原産:マレーシア/大スンダ列島
学名:Syzygium samarangense
草丈:約800~1200cm
分類:常緑小高木
開花時期:4月~5月
花色:白色〇
葉色:緑色●
耐暑性:強い
耐寒性:弱い
誕生花:
花言葉:
特徴:レンブは学名Syzygium samarangense、別名「ジャワフトモモ」や「ワックス・アップル(wax apple)」等とも呼ばれるマレーシアと大スンダ列島を原産とする常緑小高木です。
レンブの語源(由来)
- 属名のシジギウム(Syzygium)はギリシア語で「一緒に/同じ」を意味する「syn」とギリシア語で「クビキ」を意味する「zygon」の2語の造語で「団結」や「結合」を意味しており、シジギウムを命名したアイルランドの医師兼植物学者のPatrick Browneによると枝に対生につく葉の姿からつけたとそうです。
レンブの特徴(魅力)
- 花が終わると食用の果実が出来る
- ↳果実の形は洋梨の様で鮮やかな紅色をしています
- ↳レンブの果実はクリーム色でワックスや蝋が塗られた様な光沢があり
- ↳サクサクした食感でリンゴと梨を合わせたような味わい
- ↳果皮が薄く水分を失いやすいため収穫後は通常直ぐ食べられます
- ↳成熟した株は700個の果実を生産する事があります
- 葉は触ると心地よい芳香が漂います
レンブの樹皮は灰褐色で滑らかな質感があり、成熟すると高さ約12mまで成長する常緑小高木です。葉は緑色で非常に大きく長さ約10(25)cm × 幅約5(10)cmの楕円形をしています。花は多数(3~30)の小花が枝の先に集まって集散花序をつくり、個々の花は花弁が4個で長い雄蕊が多数出てブラシの様な外観をつくります。また花の後に出来る果実は紅色でワックスを塗ったかのような光沢があり、形は約4~6cmの円形から楕円形の洋梨の様な形をしていて、齧るとサクサクとした食感があり梨とリンゴを薄めた様な味があります。
開花時期は春から晩春、花色は白色から黄色、個々の花は花弁が4個で長い雄蕊が多数突出して、花序は小花が多数集まり集散花序につけます。樹形は直立で高さは約800(1200)cm × 幅は約300(600)cmまで成長します。葉色は緑色で、葉身は長楕円形、葉序は対生葉序になります。
レンブの栽培
レンブは、成熟した株であれば軽い霜に耐えられる可能性がありますが基本的には寒さに弱いため、霜の降りない地域以外での屋外での越冬は難しいかもしれません。そのため管理のしやすい鉢植えの中で育てられる事も多く、春から秋は屋外の日向で育てて、冬の間は温室や日当たりの良い屋内に入れられ管理されます。増やし方は種を撒いて増やす事が出来ます。
レンブ |
原産:ミャンマー/スリランカ/アンダマン諸島
学名:Syzygium cumini
草丈:約1000~3000cm
分類:常緑高木
開花時期:3月~4月
花色:白色〇
葉色:緑色●
耐暑性:強い
耐寒性:普通
誕生花:
花言葉:
特徴:ムラサキフトモモは学名Syzygium cumini、別名「ブラック・プラム(black plum)」や「マラバール・プラム(Malabar plum)」等とも呼ばれるミャンマーとスリランカ、アンダマン諸島を原産とする常緑高木です。
ムラサキフトモモの語源(由来)
- 属名のシジギウム(Syzygium)はギリシア語で「一緒に/同じ」を意味する「syn」とギリシア語で「クビキ」を意味する「zygon」の2語の造語で「団結」や「結合」を意味しており、シジギウムを命名したアイルランドの医師兼植物学者のPatrick Browneによると枝に対生につく葉の姿からつけたとそうです。
- 和名ムラサキフトモモの由来は紫色の果実を付けるフトモモからきています。
ムラサキフトモモの特徴(魅力)
- 花が終わると食用の果実が出来る
- ↳果実は緑色~赤色~黒色へと成熟していきます
- ↳果皮はワックスや蝋が塗られた様な光沢があり触ると少しべとつきます
- ↳果実は甘く僅かに酸味があり生で食べられます
- 長命で100年以上の寿命があり30mの高さに達する事があります
- 葉は触ると心地よい芳香が漂います
- 他のフトモモ属と比べてやや耐寒性が強く育てやすい
ムラサキフトモモの樹皮は灰褐色で滑らかな質感があり、成熟すると高さ約30mまで成長する常緑高木です。葉は緑色で非常に大きく長さ約10(25)cm × 幅約5(10)cmの楕円形をしています。
花は多数の小花が枝の先に集まって集散花序をつくり、個々の花は花弁が4(~5)個で長い雄蕊が多数出てブラシの様な外観をつくります。また花の後に出来る果実は成熟するにつれて緑色こら赤色、黒色へと色変わりしたいきワックスを塗ったかのような光沢があり触るとややべとつきます。
開花時期は春、花色は白色、個々の花は花弁が4(~5)個で長い雄蕊が多数突出して、花序は小花が多数集まり集散花序につけます。樹形は直立で高さは約1000~3000cmまで成長します。葉色は緑色で、葉身は楕円形、葉序は対生葉序になります。
ムラサキフトモモ |