原産:ギリシャ/トルコ
科:キンポウゲ(Ranunculaceae)
属:クリスマスローズ/ヘレボルス(helleborus)
種:オリエンタリス(orientalis)
英名:レンテンローズ(Lenten rose)
別名:ハルザキクリスマスローズ/ヘレボルス・オリエンタリス/クリスマスローズ・オリエンタリス
開花時期:2月~4月
花色:白色〇桃色●紫色●黄色●緑色●
葉色:緑色●黄色●
分類:多年草
草丈:約30cm~45cm
誕生花:2月13日
花言葉:「大切な人」「固い友情」「私の心を慰めて」
用途:日陰植物/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
レンテンローズとは!?
レンテンローズは学名helleborus orientalis、別名「ハルザキクリスマスローズ」や「ヘレボルス・オリエンタリス」等とも呼ばれるギリシャ及びトルコが原産の常緑多年草です。
レンテンローズの語源(由来)
- 属名のヘレボルス(helleborus)の由来は古代ギリシャ語のἐλλέβορος (elléboros)からきていて、「小鹿」を意味する「ἐλλός (ellós)」と、「食事する」を意味する「βιβρώσκω(bibrṓskō)」の2語からきていて、文字通り子鹿に食べられる植物という意味をもちます。
- 種小名のオリエンタリス(orientalis)はラテン語で「東」を意味しています。
- 英名のレンテンローズの由来はキリスト教の復活祭の前日46日前から復活祭前日迄の期間内の「Lenten(四旬節)」に開花する事からきています。
- 和名のハルザキクリスマスローズの由来は春にクリスマスローズの花を咲かせる所からきています。
- ↳クリスマスローズの由来は英名のバラ(ローズ)からきており、バラの様な花をクリスマスの時期に咲かせる事からきています。
レンテンローズの特徴(魅力)
- レンテンローズは冬に咲く一般的なクリスマスローズよりも開花が遅く春頃に開花します。
- レンテンローズは花茎の先に1~4個の花を咲かせます。
- クリスマスローズは1個(稀に数個)
- レンテンローズは交配が盛んで最も栽培されており花形や花色が豊富にあります。
- 花は直径が最大約10cmと大きくバラの様に華やかな形をしている一方で俯くように開花する姿が可憐な雰囲気ももちます。
- 花は成熟すると雄蕊や花弁(蜜腺)が落ちますが美しい萼と膨らむ心皮が残り長期間に渡り装飾的な見た目を保ちます。
- 俯き気味に咲く可憐な花は切り花としても魅力的です。
- 雄蕊が落ちて種が出来始めた頃に収穫すると花が萎れにくく約7~2週間楽しめます。
- 無茎種のため茎葉はありません(苞葉はある)
- 葉は掌を思わせる独特なテクスチャーをしていてロゼット状に地面を被覆します。
- 幾つかの品種では白色(~薄黄色)の班が入るためカラーリーフとしても楽しめます。
- 木陰等の理想的な環境であれば放ったらかしでも育ちます。
- 全草が有毒です食べられません
レンテンローズは無茎種のため茎葉は無く(苞葉はある)、基部から出る根生葉と花茎のみで構成されています。葉は長い葉柄を伸ばし通常立ち上がりますが古い葉(特に冬以降)は地面に倒れる事もしばしばあり、掌状複葉に鋸歯のある楕円形の小葉を7~9個つけます。花は花茎の頂部(苞葉のある場所)で枝分かれして1~4個の花が集まり咲き、個々の花は直径約5~10cmで花弁の様に見える萼片が5個以上と小さな花弁(蜜腺)が雄蕊を取り巻く様に配置され多数の雄蕊・中央に雌蕊があります。雌蕊が受粉すると雄蕊や花弁は落ち萼片と心皮が残り、種子が大きくなるに連れて心皮も大きく膨らみ、乾燥すると心皮が割れ種子が出てきます。
開花時期は晩冬から春、花色は白色や黄色、緑色や桃色、紫色等があり、個々の花は5個以上の萼片と多数の雄蕊があり、花序は1つの花茎に1~4個の花を咲かせます。草姿はロゼット状で短い根茎があり高さは約30(45)cm × 幅は約30(45)cmまで成長します。葉色は緑色で品種により黄色等があり、葉身はは掌状複葉に楕円形の小葉が7~9個つき、葉序は根生葉につきます。
レンテンローズの切り花の楽しみ方
- レンテンローズの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 収穫の前に水を入れたバケツを準備しておきます。
- レンテンローズの収穫は雄蕊が落ちて種鞘が出来ている花を選びましょう。
- 何故なら花が未熟なレンテンローズを切り花として利用すると茎が柔らかく萎れやすいからです。
- 水揚げは湯揚げ・燃焼・深水(40度のぬるま湯)で行いましょう。
- 水揚げしたら花瓶に生けて楽しみます。
- 収穫のタイミングや管理の方法でも左右されますが日持ちは7~14日程度です。
- 管理は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)で数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行い、水揚げが悪いと感じる場合は必要に応じて燃焼もしく湯揚げで水揚げしましょう。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
燃焼法
燃焼法とは、切り花の切り口の先端を火で炙り炭化させた後に、冷水に漬けて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
燃焼は、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果があります。また火で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
燃焼は湯揚げと原理が似ていますが、燃焼な向いているのは、茎が硬く水揚げが悪い花材等に向きます。水分を多く含んでいて柔らかい茎の花材には向きません。
燃焼の方法
- 切り花の花や葉が熱気で弱らないように、濡れた新聞紙で切り花を覆います。ただし、切り口の部分は火につけるため、茎の下部は濡れた新聞紙から出しておきましょう。
- 切り口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- 切り口の先端(約1~3cm)を火で炙り、炭化するまで待ちます。
- 切り口が炭化したら、火から離して、冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い花瓶に生けて楽しみます。
湯揚げ法
湯揚げ法とは、切り花の切り口をお湯の中と冷水につけて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
湯揚げは、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果があります。またお湯で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
湯揚げの方法
- お湯(約60~100度)と冷水を準備します。
- 切り花の花や葉が湯気で弱らないように、新聞紙で切り花を覆います。ただし、切り口の部分はお湯につけるため、茎の下部は新聞紙から出しておきましょう。
- 切り口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- お湯(約60~100度)の中に切り口を付けて、切り口から空気が出てこなくなるのをまちます。お湯につける時間はおおよそ20~60秒です。
- お湯から切り花を出して、そのまま冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い花瓶に生けて楽しみます。
レンテンローズの毒性(既知の危険性)
レンテンローズは全草に毒性のあるプロトアネモニンを含み、人間や家畜(犬や猫等)に対して有毒です。主な症状としては樹液が皮膚や粘膜に接触すると人によっては痒み・炎症・発疹・水疱などを引き起こします。また摂取した場合は嘔吐・目眩・痙攣・吐血・胃腸炎・麻痺・黄旦・急性肝炎等の症状を引き起こす可能性があります。エグ味があり食べられたものではないとされますが、有毒なため食べられません。
レンテンローズの交配と種の採取方法
交配の方法
- 父系のレンテンローズと母系のレンテンローズを準備します
- 自家受粉を防ぐために母系のレンテンローズが半開きになったらピンセットで雄蕊を抜きます
- 父系のレンテンローズから雄蕊を採取して
- 採取した雄蕊の花粉を母系のレンテンローズにつけて受粉させましょう
種の採取
- 花が受粉して心皮(子房)が膨らんできたら袋(茶こし袋等)をかけます
- 株の消耗を防ぐ為に採取する花を除いて他の花は切り取りましょう
- 種子が大きくなるにつれて心皮は膨らみ最終的に乾燥すると心皮が割れ種子が放出されます
- 種子を袋から出して直ぐ播種するか秋まで冷暗所で保存しておきましょう。
レンテンローズの栽培方法
園芸では、バラ(ローズ)にも例えられるレンテンローズの華やかな花を楽しむ目的で育てられる事が多いですが、独特なシルエットをもつ葉は一年を通してあるため地被植物としても魅力的で、また幾つかの品種では白色(~薄黄色)の班が入るものもありカラーリーフとしても楽しめます。植える場所は花壇の縁沿いに植えて縁どりとして利用されたり、またコンパクトで管理がしやすい鉢植えにして玄関周り等に飾られたりします。その際、花がやや下向きに咲く事が多いため、少し高めの場所に飾られて楽しまれる事が多いようです。
レンテンローズを育てる際に注意する事は「夏の強い日差し」「乾燥」「過湿」の3つです。レンテンローズは環境がよい場所(木の下等)に植えて上げれば、水やりや肥料も殆ど不要で放ったらかしでも育ちますが、強い日差しの当たる場所で育てると葉やけを引き起こし葉がボロボロになったり乾燥で枯れる事もあります。また長雨等で浸水したりジメジメとした過湿が続く場所もカビ性の病気を招く事になるため注意が必要です。
クリスマスローズ(ヘレボロス)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
クリスマスローズ(ヘレボルス)の珍しい種類、主な種と園芸品種の紹介【2022】
レンテンローズの育て方
花壇の土づくり
日当たり
レンテンローズは強い日差しや乾燥を苦手にしています。そのため基本的には午後から日陰になるような半日影から、間接光のみが当たるような日陰までで育てましょう。
土壌の土質
レンテンローズは長雨等で浸水して通気性の悪くなる様な土壌では根腐れやクラウンの腐敗を招きます。通気性がよく有機物のしっかり入る肥沃な土壌に植えましょう。
植付けの前に土壌診断を行いましょう。
①土を掘る時に硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
②土を濡らして握った時にバラバラと崩れる場合は保水性がない可能性があります。逆に土の塊が出来ても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。
③肥沃な土の場合は土の色が黒っぽくなるため、土の色が薄い場合は土壌の肥沃さが足りない場合があります。
土壌診断後、必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れたり、保水性や保肥力を高める田土や黒土を混ぜたり、肥沃さが足りない場合は牛ふん堆肥や腐葉土等の堆肥を混ぜこみ土壌改善を行いましょう。
鉢土づくり
日当り
レンテンローズは日向から間接光のみが当たるような日陰迄で育てられますが、午前中のみ日が当たり午後から日陰になる半日影が理想的環境です。
培養土
レンテンローズは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土4割+腐葉土3割+パーライト3割+元肥
- 赤玉土5割+腐葉土3割+ヤシ殻チップ2割+元肥
水やりの仕方
レンテンローズはやや湿り気のある土壌を好みます。
水やりの頻度は環境(植える場所や土質)にも左右されますが、基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで行うといいでしょう。また乾燥を防ぐために腐葉土等でマルチングするのもおすすめです。
肥料の与え方
レンテンローズは有機物のしっかり入る肥沃な土壌では多くの肥料を必要としません。
肥料の与え方
- 春に土質を改善する堆肥を株元に入れて緩効性肥料を与えます
- 秋(10月)に再度バランスのよい緩効性肥料を追肥として与えます。
剪定のやり方
レンテンローズの剪定は「花がら摘み」「古葉とり」の2つに分かれます。
花がら摘み
レンテンローズの花は長期間に渡り萼片が残り装飾的ですが、種をつけると株が弱り翌年の開花に影響が出ます。そのため必要に応じてある程度、花を楽しんだら出来るだけ早く株元から約5cmの場所で切り取りましょう。
古葉とり
レンテンローズは冬(12月頃)に古い葉を根元から剪定して取り除きましょう。剪定する事で、花に栄養がまわり、病気の持ち越しも防げます。
夏越しする方法
レンテンローズは夏の暑さに耐えますが、乾燥や強い日差しを苦手にしています。そのため必要に応じて夏越し対策が必要です。
レンテンローズの夏越し対策
- 鉢植えで育てている場合は、日差し乾燥対策として、西日の当たらない半日影や間接光のみがあたる明るい日陰に移動するといいでしょう。
- 乾燥対策として地植えした株でも土の表面が乾燥してきたらしっかり水やりを行います。
- ↳鉢植えで育てている場合は、より乾燥が早くなるため注意が必要です。
冬越しする方法
Hardiness:3a~7b
レンテンローズは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にありません。
挿し木や株分けで増やす
株分け
レンテンローズは根が痛むと回復までが遅く定着に時間がかかります。しかし親株と同じ性質の株を増やす場合は株分けで増やす方法が一般的です。
株分けの方法
- 株分けの時期は秋もしくは春です
- スコップを使い根を傷つけないように株を掘りあげます
- 木質の根茎部分に芽が3芽以上つくようにナイフ等で切り分けます
- 出来るだけ根を傷めないように個々に株を分けて下さい
- 個々の株を植え付けて
播種で増やす
レンテンローズの種蒔の方法
播種時期:4月~6月・9月~10月
発芽適温:約20度
発芽日数:30日~180日
発芽条件:
レンテンローズの種は一般的に採取後直ぐに撒かれますが、秋に撒く事も出来ます。秋に種を撒く場合は発芽が春になる事もあります。
土は通気性と保水性のいい培地に種を撒きます。指で種を上から軽く押し(鎮圧)て、上から土を1cmほど被せましょう。
1度撒いた種は乾燥させると極端に発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりをしっかり行い管理します。
植物の病気
レンテンローズの病気
- 斑点病
- べと病
- 灰色カビ病
- 立枯病
- ブラックデス
- ウィルス病
レンテンローズの害虫
- ハダニ
- カイガラムシ