- 原産:バルカン半島/トルコ/コーカサス地方
- 科:キジカクシ(Asparagaceae)
- 亜科:ツルボ(Scilloideae)
- 属:ムスカリ(Muscari)
- 種:ブドウムスカリ/アルメニアカム(Muscari armeniacum)
- 別名:ムスカリ・アルメニアカム/グレープ・ヒアシンス(grape hyacinth)/アルメニア・グレープ・ヒアシンス(Armenian grape hyacinth)/ガーデン・グレープ・ヒアシンス(garden grape-hyacinth)
- 品種:ダブルビューティ(Muscari armeniacum ‘double beauty’)
- 開花時期:3月~5月
- 花の色:水色・白色
- 葉の色:緑色
- 香り:
- 生活形:多年草
- 草丈:約10~20cm
- 誕生花:1月30日/2月26日
- 花言葉:失望/失意/通じ合う心
- 用途:グランドカバー/景観植物/切り花/球根植物/ロックガーデン
- 購入方法:ムスカリ(ダブルビューティ)を楽天で購入
■ムスカリ(ダブルビューティ)の特徴
- 学名:Muscari armeniacum ‘double beauty’
- 花の色:水色・白色
- 草丈:約10~20cm
- 備考:花の色は水色から白色をしており、清潔感や爽やかさを感じさせる品種です。花は不稔性のため花持ち抜群です。花は八重咲き、花梗の先端に多数の壺形の花が密生するため、花穂全体的はモコモコとした不定形な見た目になりやすいです。そのため、ムスカリ特有の可愛らしさはなく、奇形っぽさがあります。そのため、個性的な花が好きな人に好まれる品種です。
■ブドウムスカリとは!?

ブドウムスカリ(学名: Muscari armeniacum)は、別名で「ムスカリ・アルメニアカム」「グレープ・ヒアシンス(grape hyacinth)」「アルメニア・グレープ・ヒアシンス(Armenian grape hyacinth)」「ガーデン・グレープ・ヒアシンス(garden grape-hyacinth)」とも呼ばれるキジカクシ科ツルボ亜科ムスカリ属に分類される多年草です。
ブドウムスカリの原産地はバルカン半島、トルコ、コーカサス地方で、自生地は森林(落葉樹林)の林床や丘陵地の草原などに見られます。
■ブドウムスカリの語源(由来)
- Muscariの語源:ギリシャ語で「麝香」を意味する「muschos」からきており、ムスカリ属の植物の中に麝香の香りがする種があることに由来します。
- armeniacumの語源:ラテン語でアルメニアを意味しており、本種の自生地に由来します。
- ブドウムスカリの語源:花穂の形がブドウに似ていることに由来します。
■ブドウムスカリの特徴(魅力)

- 形態と生活形:生育形は球根から葉と花を展開するロゼット型であり、球根が増え多数の葉や花を叢生させる叢生型です。基本的に秋になると球根から葉が出て、冬も葉が残り、春になると生育が活発になり葉が大きく展開し花が咲き誇り、夏になると休眠します。
- 近縁種との比較:葉の向きが直立し、成熟しても地表にだらしなく倒れにくいため、洗練された印象を与えやすいです。また花穂を形成する花の形が球形に近い壺形をしているため、可愛らしさが際立ち、花が密に集まる姿も果物の葡萄を思わせます。
- 花の魅力:本種はムスカリ属の中で最も広く親しまれており多種多様な品種があり多彩な花色が楽しめる種です。花序は総状花序で、花が穂状に密生し、この花は壺形ですが球形に近いため、果物の葡萄を思わせる可愛らしい見た目をしています。そのため、スイーツをテーマにするような可愛いお庭やメルヘンチックなお庭などによく調和します。花の色は青色・紫色・桃色・白色が見られ、また色調の幅も広いため、好みの色が探しやすい点も魅力です。
- 強健:本種は多年草で、基本的に日照条件がよく、土壌の通気性・排水性が整っていれば、放ったらかしで栽培できるほどに強健です。また繁殖力も高く、球根は自然分球して増えていきます。
- 景観:本種は球根で増殖し群生を形成し、地面から約10~25cm付近で花が一斉に開花するため、地面の上に青色や桃色などの絨毯が敷いたような美しい花絨毯の景色を作り出すことができます。
- 寄せ植え:本種は単体で群生させても美しいですが、チューリップやスイセンなどの球根の植物と組み合わせて栽培するのもおすすめです。
- フラワーアレンジメント:花は収穫して小さな花瓶に生けて切り花として楽しむことができます。切り花とすることで、お部屋の中で花を気軽に楽しむことが出来て、可愛らしいインテリアとして空間を彩ります。 花瓶の中での寿命は管理の仕方でも変わりますが一般的に5~7日ほどです。
- 水耕栽培:本種は土を使わずに水耕栽培で花を咲かせることが可能です。土を使わずに栽培するため、比較的清潔感があり、根の伸長の様子も観察出来るため、ムスカリの成長を実感できます。ただし、開花は出来ても、翌年の開花のためにエネルギーを球根に上手く蓄えさせることが難しい傾向にあります。
ブドウムスカリの切り花の楽しみ方

- 収穫:切り花の収穫は花が十分水分を含んでいる朝の涼しい時間帯もしくは夕方に行います。
- 水揚げ:茎の切り口は斜めにカットします。
- 花を生ける:花瓶の中に浅く水を入れて花を生けます。これは、茎が水に浸かると腐敗しやすいためです。
- 管理:直射日光を避けた15~20度の涼しい環境で管理すると日持ちがよくなります。また徐々に水揚げが悪くなるため、必要に応じて茎をカットして水換えをしましょう。管理の方法にも左右されますが日持ちは5~7日程度です。
■ブドウムスカリの生活形と形態

●生活形・茎の形態
- 生活形:多年草
- ライフサイクル:秋は休眠から覚めて葉を展開し始めます。冬は生育が緩慢ですが葉が枯れずに残ります。春は生育が活発になり葉が大きく展開して花が咲きます。夏は地上部が枯れて休眠します。
- 草丈:約10~25cm
- ラウンケルの生活形:地中植物
- 生育型:ロゼット型・叢生型
- ロゼット型:地際から出る根生葉がロゼットを形成する。
- 叢生型:地際から葉や花茎が何本も出て叢生(株立ち)するもの。
- 茎の種類:鱗茎・花茎
- 鱗茎:短縮茎に葉が重なり層状になっている球根の一種です。球根の形は円錐形から球形をしており、親球の周りに子球を付けます。
- 花茎:葉を付けず花のみをつける茎です。
- 茎の毛:無毛
- 茎の色:緑色をしていますが、花軸が赤色や紫色を呈すこともあります。
●葉の形態
- 葉の位置:根生葉
- 葉序:束生(1球根あたり約2~7枚)
- 葉の向き:初期は直立し、成熟するにつれて湾曲しながら倒れます。
- 葉身の長さ:約10~35cm
- 葉身の概形:線形
- 葉の毛:無毛
- 葉の色:緑色
- 備考:肉厚で表面に光沢があります。
●花の形態
- 花序:総状花序で、花軸に花が密集し、先端の花は不稔性で花の大きさや色が異なります。
- 花柄:有柄で、色は緑色または花と同色になる傾向があります。
- 花:花被・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 花被:6枚の花被片が合着する壺形花冠です。花冠筒部は中央より下部の幅が最も広く上部は狭くなりくびれ、見た目は壺に似ており丸い膨らみがある、花冠裂片はふつう小さく外側に反ります。花冠の色は青色・紫色・桃色・白色があり、花序の上部の花の色は明度が高くなります。
- 雄蕊:6本
- 雌蕊:1本
●果実・種子の形態
- 果実の分類:蒴果で、子房の心皮の数が3枚からなり、果実が成熟すると3室に裂開して種子が露出する。
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■ブドウムスカリの園芸品種を紹介
●ジュリア
学名:Muscari armeniacum ‘Julia’
花の色:淡い緑色・薄い青色
草丈:約10~20cm
備考:花穂の先端の花が淡い緑色をした、薄い青色の花が、爽やかでクールな雰囲気を醸し出す品種です。
●タッチオブスノー

学名:Muscari armeniacum ‘touch of snow’
花の色:青色・白色
草丈:約10~20cm
備考:花の色は、花穂の先端の花が白色で、下部の花が濃い青色をしています。そのため、心を落ち着かせ回復させるようなお庭にピッタリな品種です。
●ダブルビューティ
学名:Muscari armeniacum ‘double beauty’
花の色:水色・白色
草丈:約10~20cm
備考:花の色は水色から白色をしており、清潔感や爽やかさを感じさせる品種です。花は不稔性のため花持ち抜群です。花は八重咲き、花梗の先端に多数の壺形の花が密生するため、花穂全体的はモコモコとした不定形な見た目になりやすいです。そのため、ムスカリ特有の可愛らしさはなく、奇形っぽさがあります。そのため、個性的な花が好きな人に好まれる品種です。
●ナイトアイズ
学名:Muscari armeniacum ‘night eyes’
花の色:濃青紫色・白色
草丈:約10~20cm
備考:花の色は濃青紫色を基調にして、裂片に白色の縁どりがあります。そのため、重厚的で格式高い雰囲気を感じさせる品種です。
●バレリーフィネス
学名:Muscari armeniacum ‘valerie finnis’
花の色:灰水色
草丈:約10~20cm
備考:花の色な全体的に大人っぽい落ち着いたグレイッシュなトーンをしており、灰緑水色です。そのため、大人っぽいエレガントなお庭などによく調和します。
●ピンクサンライズ

学名:Muscari armeniacum ‘pink sunrise’
花の色:淡い桃色・白色
草丈:約10~20cm
備考:花の色は、花穂の先端の花が白色をした、淡い桃色をしているため、女性的な可愛らしさを感じさせる品種です。
●ブルースパイク
学名:Muscari armeniacum ‘blue spike’
花の色:濃い青色
草丈:約10~20cm
備考:花の色は濃い青色です。花は不稔性のため花持ち抜群です。花は八重咲き、花梗の先端に多数の壺形の花が密生するため、花穂全体的はモコモコとした不定形な見た目になりやすいです。そのため、ムスカリ特有の可愛らしさはなく、奇形っぽさがあります。そのため、個性的な花が好きな人に好まれる品種です。
●ペパーミント

学名:Muscari armeniacum ‘peppermint’
花の色:水色・白色
草丈:約10~20cm
備考:花穂の先端の花が白色をした、淡い水色の花が、川の水などを想像させて、爽やかでクールな雰囲気を醸し出す品種です。
●ファンタジークリエーション
学名:Muscari armeniacum ‘fantasy creation’
花の色:青紫色
草丈:約10~20cm
備考:花の色は青紫色です。花は不稔性のため花持ち抜群です。花は八重咲き、花梗の先端に多数の壺形の花が密生するため、花穂全体的はモコモコとした不定形な見た目になりやすいです。そのため、ムスカリ特有の可愛らしさはなく、奇形っぽさがあります。そのため、個性的な花が好きな人に好まれる品種です。
●ホワイトパール
学名:Muscari armeniacum ‘white pearl’
花の色:白色
草丈:約10~20cm
備考:花の色は白色を呈し、清潔感や上品さを感じさせる品種です。
■ムスカリ属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■ブドウムスカリの育て方
花壇の土づくり
●バイオーム
- 主なバイオーム:地中海植生・温帯草原・ステップ
- 原産地:バルカン半島、トルコ、コーカサス地方
- 自生地:森林(落葉樹林)の林床や丘陵地の草原などに見られます。
- 気候:主に地中海性気候(Csa)・ステップ気候(BSk)・高地地中海性気候(Dsa)に属します。気温は夏に高温になる地域から冷涼な地域まであり、冬は寒冷な地域では氷点下になります。降水量は少なく、特に夏場は少なく乾燥している傾向があります。
- 日照:日向から半日陰
- 土壌:主にカンビソル(Cambisol)・レプトソル(Leptosol)・ 栗色土(Kastanozem)・チェルノーゼム(Chernozem)が分布します。このように、痩せた土壌から肥沃な土壌まで幅広い場所に生育します。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
●日照条件
ブドウムスカリは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的に日向で育てることが理想ですが、半日陰までで育てることが可能です。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日陰:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:基本的に通気性と排水性が十分であれば幅広い土壌に適応しますが、特に砂壌土や壌土で栽培するのが理想です。粘土質で硬い土壌は根張りが悪くなり、ジメジメとした過湿が続く土壌は根腐れを引き起こす可能性があるため避けた方が良いでしょう。
- 肥沃さ:有機物をしっかりと含む肥沃な土壌を好みます。腐葉土やピートモスなどの有機物を入れることで、土壌の団粒化が促されて物理性(通気性・排水性・保水性)が向上したり、陽イオン交換容量が高くなり保肥力が向上したり、植物が必要とする栄養分を含有するため成長を補助したりする効果が期待出来ます。
- pH:pHは6.5~7.5の中性から弱アルカリ性を好みます。土壌のpHを測定して適正範囲外にある場合は土壌改良材などを用いてpHを調整しましょう。pHが適正範囲から極端に外れた土壌では微量要素などの栄養を上手く吸収出来ずに生育不良になる場合があります。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
●植え付け方法
- 植え付け時期:9月~11月
- 植え付け深さ:球根の2~3倍(約7~10cm)
鉢土づくり
●日照条件
ブドウムスカリは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的に日向で育てることが理想ですが、半日陰までで育てることが可能です。
●培養土
ブドウムスカリの培養土を購入する場合は、一般的な草花の培養土で良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:自生地は森林の林床や乾燥した草原など幅広い場所にあり、肥沃な土壌から栄養の乏しい砂質の土壌まで幅広く適応します。そのため、一般的な草花の培養土を作成すると良いでしょう。また本種は中性から弱アルカリ性の土壌を好むため、酸性に傾く土壌改良材は控えた方が良いでしょう。
- 土壌改良材(無機質):通気性・排水性・保水性を改善する目的で、赤玉土や日向土などの土壌改良材を6割~7割を目安に配合します。土壌改良材の土粒は小粒・細粒を利用します。大きすぎる土粒を使うと、培養土の中に大きな空隙が出来て根の活着が悪くなり、保水性も悪くなり植物の生育が悪くなる原因となるため避けてください。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥を全体の3割~4割を目安に培養土の中に配合すると、土壌の物理性・化学性・生物性を改善して、根の活着を高めて根張りをよくしたり、栄養素を含有しており、微生物の働きを促進して土質を改善したり、植物の栄養補給に寄与する働きがあったりします。
培養土の配合例
- 基本の配合:赤玉土(小粒)6割+腐葉土4割+元肥適量
- 排水性の高い配合:赤玉土(小粒)4割+パーライト2割+腐葉土4割+元肥適量
- 培養土が長持ちする配合:日向土(細粒・小粒)5割+ピートモス(調整済み)4割+くん炭1割+元肥適量
- 大きな鉢向きの肥沃な配合:赤玉土4割+ 腐葉土4割+牛糞堆肥2割+元肥適量
土壌改良材(無機質)
- 赤玉土:赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた土壌改良材です。
- 特徴:赤玉土は通気性・排水性・保水性のバランスが抜群に良いことから擬似団粒構造をした土壌改良材とも呼ばれています。無菌で雑菌が繁殖しにくく、雑草の種も含まれないため挿し木用土やインドアグリーンの土としても使われる。
- 比較:鹿沼土と比べて赤玉土の方が保水性・保肥力に優れており、PHが中性に近い弱酸性のため幅広い植物で利用しやすい。赤玉土は鹿沼土よりも粒が崩れて劣化しやすいため、使い続けると微塵が出て通気性・排水性を悪化させる事がある。
- 注意点:赤玉土はリン酸を固定してしまい、植物が吸収出来る状態で無くす事があるため、リン酸の肥料を多めにやる必要がある。赤玉土の粒はやや崩れやすいため再利用出来る割合が少ない傾向があり、微塵は粘土質になり通気性・排水性を悪くする事がある。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。無菌のため挿し木・種まき用土・インドアグリーンの培養土などに利用される。
- 硬質赤玉土:硬質赤玉土は赤玉土を高温で焼いて硬質化したものです。
- 比較:硬質赤玉土は赤玉土と比べて、粒が硬いため砕けて劣化しにくく、通気性・排水性が高くなっています。一方で保水性が悪くなっているため、一般的な草花で使うと土壌が乾きやすくなり水やりの頻度が増えやすいです。
- 用途:多肉植物・サボテン・山野草などに使われる事が多い。
- パーライト:パーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温で熱して中に含まれる水分を発泡させ多孔質にした資材です。
- 特徴(真珠岩系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 特徴(黒曜石系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 用途:土壌の通気性・排水性を改善する目的、真珠岩系では通気性・排水性・保水性をバランスよく改善する目的で利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などに欠かせません。
- 日向土(ボラ土):日向土は別名でボラ土とも呼ばれる、宮崎県南部で産出される軽石です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。草地・岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、一般的な草花から多肉・サボテン・山野草などの育成でも利用されます。す。
- ゼオライト:ゼオライトは沸石とも呼ばれる鉱物の一種です。
- 特徴:水質浄化・脱臭効果・高い保肥力などにあります。そのため、根腐れ防止や肥料の流失や肥効の継続に効果を発揮します。一方で、入れすぎると肥料が効きにくくなるなどのデメリットがあるため、土壌や培養土に5%程度混ぜて使われる事が多いです。
土壌改良材(有機質)
- 腐葉土:腐葉土は広葉樹の落ち葉を腐熟させた改良用土です。
- 腐葉土を選ぶ基準:腐葉土は完熟していて湿り気のある物を選びましょう。完熟していると、見た目が黒っぽくなり、葉の断片が小さくなっています。逆に油脂成分の多い針葉樹の葉が入っていたり、未熟な茶色の葉が混じっていたり、断片が大きく乾燥していたりする腐葉土は、植物の根を傷める原因にもなるため避けた方が良いでしょう。
- 腐葉土の特徴:土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の通気性・保水性・保肥力を高めるため植物が育ちやすい環境となる。腐葉土は微量要素を含んでいるため植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。PHが中性のため扱いやすい。
- 用途:土壌の保水性・保肥力・通気性を改善したり、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする働きがあるため、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されます。
- くん炭:くん炭は、もみ殻を炭化させたものです。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PH8前後の高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
水やりの仕方
ブドウムスカリは、自生地が森林(落葉樹林)の林床や丘陵地の草原などにあり、湿潤な環境から乾燥した環境まで幅広く適応します。ただし過湿が続くと病原菌が増えて株が腐敗する原因となったり、根の呼吸を妨げて根腐れを引き起こす原因になったりします。そのため、水やりの頻度には十分な注意が必要です。
地植えで栽培する場合は、基本的に降雨に任せて育てることが出来ます。ただし、雨が全く降らずに土壌が乾燥していたり、極端な暑さで乾燥が早くなっている場合は水やりが必要となります。一方で、鉢植えで育てる場合は、地植えと比べて乾燥がかなり早いため、定期的な水やりが必要です。培養土の状態を見ながら水やりをする必要があるでしょう。水やりの方法は下記を参考にしてください。
●水やりの方法
- 春の水やり:株は生育旺盛で、多くの水を必要とします。そのため、土壌の表面が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 夏の水やり:この時期は休眠期になり、基本的に水分を必要としません。水分を与えすぎると、球根が腐敗する原因にもなるため、地植えしている場合は長雨を避ける為に土壌から掘りあげ乾燥貯蔵することも考慮する必要があります。
- 秋の水やり:休眠期が終わり、株が成長を始めます。そのため、土壌の表面もしくは表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 冬の水やり:生育が緩慢になり土壌の乾燥も他の季節と比べると緩やかに進むため、水やりの頻度も少なくなります。ただし、球根が乾燥しすぎると枯れてしまうため、土壌の表面もしくは表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
注意点
- 水やり時間帯:水やりの時間帯は、基本的に植物が水を欲しがりだす朝に与えるのが最適です。昼や夕方に与える事も出来ますが、季節によっては高温で水がお湯のようになり蒸れて根腐れを引き起こす可能性があります。また夕方に水やりを行うと、植物が水分をあまり必要としない夜間にも水がたっぷり残り呼吸を邪魔するなどして根腐れを引き起こす原因になる事があります。そのため、基本的に朝に水をやることが正しいですが、植物が萎れている場合は時間に関係なく直ぐに水やりを行って下さい。
- 水を与える量:1回に与える水の量はたっぷりです。鉢植えで植物を栽培している場合は、鉢底から水がしっかり流れるまで与えます。その際、水を与える場所が1箇所になると水の道が出来てしまい、特定の場所に水が流れないこともあるため水を与える場所を変えながら与えましょう。地植えで水やりを行う場合は、土壌の表面だけでなく奥まで水を染み込ませるつもりでしっかりと水を与えて下さい。
- 水を与える場所:水を与える場所は基本的に株元から少し離れた場所で、植物に直接かけないようにします。植物上に水が溜まると、そこから真菌などが植物の中に侵入し、病気を引き起こし腐敗させる原因になるため注意して下さい。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
ブドウムスカリは土壌が十分に肥沃であれば肥料を施さなくても栽培出来ますが、成長が始まる春に肥料を与えることで、球根を肥えさせ、翌年の開花によい影響を与えることができます。そのため、植え付け時に元肥を入れて、開花後にお礼肥を与えるとよいでしょう。
●肥料の与え方
- 元肥:元肥は植付け前または植付け時に土壌の中にあらかじめ入れて施す肥料です。
- 肥料の成分:リン酸・カリが多く含まれる肥料を選びます。
- 肥料の製品:有機肥料(植付け前)・緩効性肥料・配合肥料(BB肥料など)がおすすめです。
- 施し方:溝施肥
- 溝施肥:球根を植える溝や穴の底に肥料を施します。基本的に球根の植え付け深さは5~10cmになり、穴の中に元肥を入れたら、その上に数センチ土をかぶせてから球根を置き、覆土します。
- お礼肥:花後に消耗したエネルギーを補う目的や、翌年の開花や結実をよくする目的で、植物に与えられる肥料です。
- 肥料を与える時期:花後すぐ与えます。
- 肥料の成分:リン酸・カリが多く含まれる肥料を選びます。
- 肥料の製品:基本的に肥効が素早く出る液肥・固形肥料がおすすめです。
- 施し方(液肥):液肥を規定された分量の水で希釈して、約10~14日の頻度で与えます。液肥は1箇所にかけるのではなく、植物の株元を中心に根が張っている範囲にまんべんなく、全ての根に液肥が行き渡るように施しましょう。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
夏越しする方法
ブドウムスカリは、夏場は乾燥に耐えるため休眠します。植えっぱなしでも問題ありませんが、この時期に球根が極度に湿ると腐敗して枯死するリスクも高まります。そのため、土壌の排水性が悪い場所で栽培していたり、長雨で土壌が長期間湿るようであれば、植木鉢を移動したり、球根を掘りあげて乾燥貯蔵するなどの対策が必要になるでしょう。
●夏越し対策
- 鉢植え:軒下などの雨の当たらない場所に移動して、水やりを止める、または表面を軽く湿らせる程度に水やりをして、秋まで管理します。
- 地植え:雨の影響を受けない場所の場合は、球根は植えっぱなしで管理します。降雨の影響があり、長雨などが降って地面がジメジメするような場所の場合は球根を掘り起こし乾燥貯蔵しましょう。
- 乾燥貯蔵:開花が終わり地上部が枯れたら球根を掘りあげます。球根を傷つけないように土を落として、必要に応じて水で洗い流しましょう。球根が湿った状態では雑菌が繁殖して腐敗するリスクがあります。そのため、球根を貯蔵する前に、外側を乾燥させて、傷ついている部分にはカルスを形成させましょう。球根を乾燥させる場所は、直射日光を避けた日陰の風通しのよい場所です。その場所に数日から1週間程度、仮置きして乾燥させます。球根が乾燥したら、球根をネットに入れる等して、通気性をよくした状態で、植え付け時期まで、直射日光を避けた日陰の風通しのよい場所に保管します。