- 原産:アメリカ合衆国(中部・東部)
- 科:オオバコ(Plantaginaceae)
- 属:ペンステモン(Penstemon)
- 種:ジギタリス(Penstemon digitalis)
- 別名:シロツリガネヤナギ/フォックスグローブビアードタン(foxglove beard-tongue)/タラススロープペンステモン(talus slope penstemon)/ホワイトビアードタン(white beardtongue)
- 品種:ダークタワーズ(Penstemon digitalis ‘husker red’)
- 開花時期:5月~8月
- 花の色:白色・桃色
- 葉の色:濃緑色・赤紫色・暗紫色
- 香り:
- 生活形:多年草
- 草丈:約50~80cm
- 誕生花:6月6日
- 花言葉:あなたに見とれています
- 用途:カラーリーフ/背が高い花
- 購入方法:ペンステモン(ダークタワーズ)を楽天で購入
■ペンステモン(ダークタワーズ)の特徴
- 学名:Penstemon digitalis ‘husker red’
- 花の色:白色・桃色
- 葉の色:濃緑色・赤紫色・暗紫色
- 草丈:約50~80cm
- 備考:葉の色は濃緑色から赤紫色または暗紫色を呈し、格式の高さを感じさせるカラーリーフとして楽しめる品種です。花の色は白色を基調として、花冠筒部が桃色をしているため、開花期には可愛らしさを演出することができます。
■ペンステモン・ジギタリスとは!?

ペンステモン・ジギタリス(学名: Penstemon digitalis)は、別名で「シロツリガネヤナギ」「フォックスグローブビアードタン(foxglove beard-tongue)」「タラススロープペンステモン(talus slope penstemon)」「ホワイトビアードタン(white beardtongue)」と呼ばれるオオバコ科ペンステモン属に分類される多年草です。
ペンステモン・ジギタリスの原産地はアメリカ合衆国(中部・東部)で、自生地は草原や開けた潅木地、人為的攪乱を受けた道端や牧草地などに見られます。
■ペンステモン・ジギタリスの語源(由来)
- Penstemonの語源:古代ギリシア語で「5」を意味する「πεντα(penta)」と、古代ギリシア語で「糸」を意味する「στήμων(stḗmōn)」の2語で構成されており、形態の異なる稔性の4本の雄蕊と不稔性の1本の雄蕊があり、雄蕊の数が実際は5本あることに由来します。
- digitalisの語源:ラテン語で「指の」を意味する「digitālis」から来ており、本種の花が「指ぬき」に似ている点に由来します。
■ペンステモン・ジギタリスの特徴(魅力)
- 草姿:本種は春から秋にかけて生育し、地面から垂直に伸びる多数の茎を伸ばして、ライン状の洗練された草姿を形成し、冬になると茎が枯れてロゼット葉のみが残り地表を覆います。そのため、四季折々の姿が楽しめる植物です。
- 花の美しさ:5月~8月の開花期になると、垂直に伸びる茎に花が穂状に並び開花するため、洗練された花姿が楽しめます。花は指ぬきのように穴のあいた個性的な見た目をしており、白色と紫色(淡い桃色)の花色が上品な印象を感じさせます。そのため、エレガントなお庭などによく調和します。
- カラーリーフ:葉の色は一般的に緑色をしていますが、園芸品種の中には紫色・赤紫色・暗紫色をしている品種もあります。そのため、開花期以外もお庭を彩ることが可能になり、また紫色の葉がお庭を上品に彩ります。
- 蜜源:花は蜜源として花蜂を引き寄せる働きがあります。花蜂が花の筒部に顔を入れて、蜜を集める姿はとても可愛らしいため、これを観察して楽しみたい人などにおすすめの植物です。
■ペンステモン・ジギタリスの生活形と形態
●生活形・茎の形態
- 生活形:多年草
- ライフサイクル:春から秋に茎を伸ばし、冬は茎が枯れてロゼット葉だけ残し越冬する。
- 草丈:約90~150cm
- 生育型:一時ロゼット型または叢生型に分類されます。
- 一時ロゼット型:ある期間をロゼットで過ごしますが、その後に茎が直立して根生葉が枯れるもの。
- 叢生型:地際から茎が何本も出て叢生(株立ち)するもの。
- 茎の種類:根茎・直立茎
- 根茎:見た目が根に似ている地中にある茎です。
- 直立茎:茎がほとんど垂直に伸びる。
- 分枝:花序以外では殆どない
- 茎の毛:基本的に無毛ですが、腺毛が生えることもあります。
- 茎の色:緑色・紫色・赤紫色・暗紫色
●葉の形態
- 葉の位置:根生葉・茎葉
- 葉序:対生葉序
- 葉柄:根生葉は有柄で、茎葉は無柄です。
- 葉身の長さ:約3~20cm
- 根生葉の概形:ヘラ形・倒卵形・倒披針形
- 茎葉の概形:披針形・長楕円形
- 葉の縁部分:全縁・鋸歯
- 葉の毛:無毛
- 葉の光沢:有り
- 葉の色:緑色・赤紫色・紫色・黒色
●花の形態
- 花序:花軸の1節から2本の集散花序が発生し、総状に配置される密錐花序です。また見た目から円錐花序に分類されることもあります。
- 苞:花梗の基部にある。
- 苞の形:披針形・線状披針形
- 苞の色:緑色・紫色・赤紫色
- 花:花托・萼・花冠(花弁)・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 花托:萼・花冠(花弁)・雄蕊・雌蕊を支えている。
- 萼:萼片の数は5枚、萼片の形は披針形で、色は緑色または紫色をしています。
- 花冠:2唇形の合弁花冠です。花冠筒部は筒状で途中でやや膨らんで大きくなり、花冠裂片の数は5枚、上側に2枚、下側に3枚ある。花冠の色は白色・紫色、花冠筒部の基部や花脈が紫色になる傾向がありますが、基本的に白色です。
- 雄蕊:稔性の雄蕊が4本、不稔性の仮雄蕊が1本で、合計5本あります。稔性の雄蕊は2本ずつペアになり、上側の花冠裂片に沿うように配置されます。不稔性の仮雄蕊は下側の裂片に沿うように配置され、髭のような毛が生えます。
- 雌蕊:1本(心皮2枚・子房上位、花柱1本、柱頭1個)
●果実・種子の形態
- 果実の分類:蒴果に分類されます。子房の心皮の数が2枚の多心皮性子房で、果実が成熟すると2室に裂開して種子が露出します。
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■ペンステモン・ジギタリスの園芸品種を紹介
●ハスカーレッド

学名:Penstemon digitalis ‘husker red’
花の色:白色・紫色
葉の色:濃緑色・赤紫色・暗紫色
草丈:約50~80cm
備考:葉の色は濃緑色から赤紫色または暗紫色を呈し、格式の高さを感じさせるカラーリーフとして楽しめる品種です。花の色は白色を基調として、ほんのりと紫色が乗るため、開花期には明るさと上品さを演出することができます。
■ペンステモン属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■ペンステモン・ジギタリスの育て方
花壇の土づくり
●バイオーム
- 主なバイオーム:温帯広葉樹林・温帯草原
- 原産地:アメリカ合衆国(中部・東部)
- 自生地:草原や開けた潅木地、人為的攪乱を受けた道端や牧草地などで見られます。
- 気候:主に温暖湿潤気候・亜寒帯湿潤気候・ステップ気候に属します。気温は夏に高温になる地域から冷涼な地域まであり、冬は寒冷な地域では氷点下になります。降水量は温暖湿潤気候から亜寒帯湿潤気候では中程度ですが、ステップ気候では乾燥しています。 本種は比較的耐乾性がある一方で、夏場の高温多湿を苦手にしています。また耐寒性が非常に高いため、原産地よりも寒い地域でも生育可能です。
- 日照:草原や開けた潅木地などに自生しており日向から半日陰を好みます。
- 土壌:通気性・排水性・保水性のバランスがよく、適度に肥沃な土壌を好みますが、肥沃過ぎる土壌は好みません。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
●日照条件
ペンステモン・ジギタリスは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的に日向で育てることが理想ですが、半日陰までで育てることが可能です。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日陰:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:基本的に通気性と排水性が十分であれば幅広い土壌に適応しますが、特に砂壌土や壌土で栽培するのが理想です。土壌が砂質で極端に水捌けが良いと乾燥が早まって萎れたり葉が落ちやすくなったり、栄養が極端に少ない土壌では生育が悪くなることがあります。また粘土質で硬い土壌は根張りが悪くなり、ジメジメとした過湿が続く土壌は根腐れを引き起こす可能性があるため避けた方が良いでしょう。
- 肥沃さ:過度な肥沃さは必要ありません。土壌の状態を見ながら、痩せていると感じる場合は適度に堆肥を入れるとよいでしょう。肥沃すぎる土壌は、特に夏場に蒸れやすく、根腐れの原因となるため注意が必要です。
- pH:pHは6.0~7.0の弱酸性から中性を好みます。土壌のpHを測定して適正範囲外にある場合は土壌改良材などを用いてpHを調整しましょう。pHが適正範囲から極端に外れた土壌では微量要素などの栄養を上手く吸収出来ずに生育不良になる場合があります。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
鉢土づくり
●日照条件
ペンステモン・ジギタリスは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的に日向で育てることが理想ですが、半日陰までで育てることが可能です。
●培養土
ペンステモン・ジギタリスの培養土を購入する場合は、一般的な草花の培養土で良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:自生地は野原や人為的攪乱を受けた道端、牧草地などにあり、栄養の乏しい砂質の土壌からやや粘土質な土壌まで幅広く適応します。そのため、一般的な草花の培養土を作成すると良いでしょう。また本種は弱酸性から弱アルカリ性の土壌を好むため、極端にPhが傾く土壌改良材は控えた方が良いでしょう。
- 土壌改良材(無機質):通気性・排水性・保水性を改善する目的で、赤玉土や日向土や鹿沼土などの土壌改良材を6割~8割を目安に配合します。用土の土粒は小粒・細粒を利用します。大きすぎる土粒を使うと、培養土の中に大きな空隙が出来て根の活着が悪くなり、保水性も悪くなり植物の生育が悪くなる原因となるため避けてください。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの有機資材は2~4割を目安に培養土の中に配合します。腐葉土などの有機物は土壌の物理性・化学性・生物性を改善して、根の活着を高めて根張りをよくしたり、栄養素を含有しており、微生物の働きを促進して土質を改善したり、植物の栄養補給に寄与する働きがあったりします。ただし、有機質の土壌改良材を入れ過ぎると夏場に蒸れて根腐れを引き起こす事もあるため注意が必要です。またピートモスはpHが酸性のため、これを利用すると培養土のpHを下げることができます。
培養土の配合例
- 基本の配合:赤玉土(小粒)7割+腐葉土3割+元肥適量
- 培養土が劣化しにくい配合:日向土(細粒・小粒)4割+硬質赤玉土(小粒)3割+ピートモス(調整済)2割+くん炭1割+元肥適量
- 比重が軽い配合:赤玉土(小粒)4割+パーライト3割+バーミキュライト1割+腐葉土2割+元肥適量
土壌改良材(無機質)
- 赤玉土:赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた土壌改良材です。
- 特徴:赤玉土は通気性・排水性・保水性のバランスが抜群に良いことから擬似団粒構造をした土壌改良材とも呼ばれています。無菌で雑菌が繁殖しにくく、雑草の種も含まれないため挿し木用土やインドアグリーンの土としても使われる。
- 比較:鹿沼土と比べて赤玉土の方が保水性・保肥力に優れており、PHが中性に近い弱酸性のため幅広い植物で利用しやすい。赤玉土は鹿沼土よりも粒が崩れて劣化しやすいため、使い続けると微塵が出て通気性・排水性を悪化させる事がある。
- 注意点:赤玉土はリン酸を固定してしまい、植物が吸収出来る状態で無くす事があるため、リン酸の肥料を多めにやる必要がある。赤玉土の粒はやや崩れやすいため再利用出来る割合が少ない傾向があり、微塵は粘土質になり通気性・排水性を悪くする事がある。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。無菌のため挿し木・種まき用土・インドアグリーンの培養土などに利用される。
- 硬質赤玉土:硬質赤玉土は赤玉土を高温で焼いて硬質化したものです。
- 比較:硬質赤玉土は赤玉土と比べて、粒が硬いため砕けて劣化しにくく、通気性・排水性が高くなっています。一方で保水性が悪くなっているため、一般的な草花で使うと土壌が乾きやすくなり水やりの頻度が増えやすいです。
- 用途:多肉植物・サボテン・山野草などに使われる事が多い。
- 鹿沼土:鹿沼土は栃木県鹿沼地方で産出される、風化した軽石の総称です。
- 特徴:鹿沼土は通気性・排水性が抜群に優れており保水性・保肥力も高いため、培養土の通気性・保水性・保肥力のバランスをとりたい時に重宝されます。PHが4~5と酸性になります。
- 比較:赤玉土と比べると鹿沼土は粒が頑丈で崩れにくいため再利用しやすく、PHは酸性に強く傾いており、保水性が劣ります。一般的な軽石と比べると鹿沼土は保水性に優れており、やや粒が脆い傾向にあります。
- 注意点:酸性度が強めなため、アルカリ土壌を好む植物を育てる場合は避けた方がよい。
- 用途:一般的な草花・花木・多肉・サボテン・山野草・水生植物など幅広い植物の土壌改良材として利用されます。特にPHが酸性のため酸性土壌を好む植物に利用される事が多いです。
- ☆硬質鹿沼土:硬質鹿沼土は従来の鹿沼土から硬質なものを選別した用土です。その名前が示すとおり、鹿沼土よりも硬く丈夫で劣化しにくい用土です。
- パーライト:パーライトは、真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温で熱して中に含まれる水分を発泡させ多孔質にした資材です。
- 特徴(真珠岩系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 特徴(黒曜石系):表面に光沢があり滑らか、通気性・排水性に非常に優れている、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 用途:土壌の通気性・排水性を改善する目的、真珠岩系では通気性・排水性・保水性をバランスよく改善する目的で利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などに欠かせません。
- バーミキュライト:バーミキュライトは、蛭石を高温処理して膨張させた土壌改良用土です。蛭石を膨張させた事で、薄板が層に重なりアコーディオンのような形状をしています。
- 特徴:保水性・保肥力が抜群に優れているため植物が欲しい時に水分や栄養を供給してくれる働きがあります。また何層にも重なり大きな隙間があるため通気性を改善する働きもあり、雑菌が発生しにくく、比重が0.1程度と小さく軽い。
- 欠点:比重の重い用土と組み合わせると粒が破壊されて通気性が悪くなる事もあるため注意が必要です。
- 用途:土壌の保水性・保肥力を改善するのに利用されます。一般的な草花の育成などでよく利用されており、比重が軽いため培養土の軽量化などでも利用されます。
- 日向土(ボラ土):日向土は別名でボラ土とも呼ばれる、宮崎県南部で産出される軽石です。
- 特徴:通気性と排水性に非常に優れており、多孔質なため保水性も適度に確保出来ている、比重は約0.6とバランスがよい。※鹿沼土と比較すると頑丈で形状が崩れにくいため再利用しやすく、PHが殆ど中性なため扱いやすい、一方で鹿沼土と比べると保水性がそれほど高くない。
- 用途:土壌の通気性や排水性を改善するのに利用されます。草地・岩場・高山地帯・砂地に自生する植物などを育てるのに向いており、一般的な草花から多肉・サボテン・山野草などの育成でも利用されます。す。
土壌改良材(有機質)
- 腐葉土:腐葉土は広葉樹の落ち葉を腐熟させた改良用土です。
- 腐葉土を選ぶ基準:腐葉土は完熟していて湿り気のある物を選びましょう。完熟していると、見た目が黒っぽくなり、葉の断片が小さくなっています。逆に油脂成分の多い針葉樹の葉が入っていたり、未熟な茶色の葉が混じっていたり、断片が大きく乾燥していたりする腐葉土は、植物の根を傷める原因にもなるため避けた方が良いでしょう。
- 腐葉土の特徴:土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の通気性・保水性・保肥力を高めるため植物が育ちやすい環境となる。腐葉土は微量要素を含んでいるため植物が栄養を補給して健康に成長する助けとなり、また微生物の働きも活性化するため土壌が肥沃になる。PHが中性のため扱いやすい。
- 用途:土壌の保水性・保肥力・通気性を改善したり、微生物を活性化して土壌を肥沃にしたりする働きがあるため、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されます。
- ピートモス:ピートモス は水苔類やヨシ・スゲ等の植物が堆積して腐植し泥炭化した用土です。
- 特徴:腐葉土と比べて養分を殆ど含んでいないため、微生物を活性化する力が弱く無菌で清潔感がある。土壌の膨軟性を高めるため空気の通りが良くなり根の成長を助ける。土壌の保水力を高める効果が高く、通気性・保肥力も改善する。PHは基本的に強い酸性になる。
- 注意点:PHが3~4の強い酸性のため、一般的な植物を育てる際は調整済のピートモスを使用するか、アルカリ性の土壌改良材を入れて使用した方がよいでしょう。
- 用途:土壌の膨軟性を高めて、保水性・保肥力・通気性を改善するのに利用されたり、PHを酸性に調節する目的で利用されたり、無菌で雑菌が繁殖しにくいためインドアグリーンの植物の改良用土として利用されたり、挿し木や種まき用の培土として利用されたり、多くの植物を育てる際の改良用土として利用されたりしています。
- くん炭:くん炭は、もみ殻を炭化させたものです。
- 特徴:通気性と排水性が抜群によいため根腐れ防止効果があります。菌根菌などの有用微生物を活性化させる効果があるため、植物が菌根菌と共生して病気に強くなったり水分・栄養を補給しやすくなる事がある。植物の成長に必要とされるミネラルを含有していて、またケイ酸が50%近く含有しているため茎・葉が頑丈になりやすく病害虫に強くなる傾向がある。PH8前後の高いアルカリ性を示す。
- 用途:根腐れ防止・酸性土壌の改善などのために土壌に10%程度混ぜて使われる事が多いです。
水やりの仕方
ペンステモン・ジギタリスは、比較的耐乾性が強い植物です。そのため、水やりはあまり必要ありません。その一方で、乾燥した環境よりも、生育期に適度に水が与えられる環境の方がより良く成長するため土壌の状態を見ながら水やりをすることが大切になります。
地植えで栽培する場合は、基本的に降雨に任せて育てることが出来ます。ただし、雨が全く降らずに土壌が乾燥していたり、極端な暑さで乾燥が早くなっている場合は水やりが必要となります。一方で、鉢植えで育てる場合は、地植えと比べて乾燥がかなり早いため、定期的な水やりが必要です。培養土の状態を見ながら水やりをする必要があるでしょう。水やりの方法は下記を参考にしてください。
●水やりの方法
- 春の水やり:株は生育旺盛で、多くの水を必要とします。そのため、土壌の表面または表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 夏の水やり:この時期は、特に乾燥しやすいため、水やりの頻度が多くなる傾向があります。ただし、高温多湿に弱く水を与え過ぎると根腐れを引き起こすため注意が必要です。基本的には、多湿にならないよう注意しながら、朝の涼しい時間帯に土壌の表面または表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。注意点は、水やりの時間帯が午後になると、暑さで水分が高温になり根を傷めてしまったり、土壌中が蒸れて根腐れを引き起こしたりする可能性があることです。そのため、株が萎れているなどの緊急な場合を除いて、基本的には朝の涼しい時間帯に水やりを行いましょう。
- 秋の水やり:気候が穏やかになり、再び生育が旺盛になります。そのため、土壌の表面または表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 冬の水やり:生育が緩慢になる季節で、植物は水をそれほど必要としません。土壌の乾燥も他の季節と比べると緩やかに進み、水やりの頻度も少なくなります。ただし、完全に乾燥すると枯れてしまう事もあるため、土壌の表層が乾燥してきたら水を与えましょう。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
ペンステモン・ジギタリスは、多肥を好みません。腐葉土などの堆肥が配合された土壌であれば、生育に必要な一定の栄養が含まれており、肥料がなくても栽培する事ができます。適切な量の肥料には生育を促進する働きもありますが、過剰な栄養は、茎が徒長し草姿を乱す原因になったり、花数を減らす原因になったり、肥焼けして根腐れを引き起こす原因になったりするため注意が必要です。
●肥料の与え方
- 芽出し肥:早春から春頃に新芽が動き出す前に、発芽の促進や初期の成長を促す目的で与えられる肥料です。
- 肥料の成分:窒素・リン酸・カリがバランス良く入る水平型、またはリンが多く入る山型を選びます。
- 肥料の製品:固形肥料(緩効性・BB肥料 など)がおすすめです。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
剪定のやり方
ペンステモン・ジギタリスは基本的に剪定せずに育てる事も出来ますが、開花期間を延長するために花がら摘みがされることもあります。
●剪定方法
- 花がら摘みの方法:花がら摘みを行う時期は開花期間中です。株を観察して、花穂の中の個々の花の多くが萎れ鑑賞価値が落ちたタイミングで剪定します。剪定する場所は、花茎の根元で剪定しましょう。これを行うことで、次の花が咲きやすくなり開花期間が伸びます。
夏越しする方法
ペンステモン・ジギタリスは熱・乾燥には比較的耐性がありますが、高温多湿を苦手にしています。そのため、夏越し対策として多湿・過湿の予防が必要になってくるでしょう。
●夏越し対策一覧
- 多湿・過湿の改善:空気中・土壌中の湿度が高い状態です。原因は様々で、壁に囲まれて空気の流れや太陽光が遮られている場所、雑草などで太陽光が遮られている場所、雨水が貯まりやすい場所、土壌の土質が悪い場所などでおきやすいです。多湿・過湿の改善の方法は幾つかあるため下記を参考にして下さい。
- 植物を移動:植物と育てる場所の相性が悪い場合は、植物を相性の良い場所に移動しましょう。
- 雑草の除去:雑草は風の流れや太陽光を遮り、育てている植物の成長を妨げる原因になると同時に、多湿を生み出す原因にもなります。多様性の一部ではありますが、見た目にも良くないことが多いため定期的に抜きましょう。
- 排水性の改善:雨水などが周囲から集まりやすい環境にあったり、硬盤があったりすると排水が上手くいかない場合があります。対策として排水溝を作ったり、縦穴暗渠(縦穴排水)をつくり雨水が外に流れる仕組みをつくりましょう。
- 花壇を高くする:植物を植える環境を周囲よりも高くして排水性を改善する事も出来ます。花壇をレイズベットにしたり、岩を並べてロックガーデンなどにしたりして、植物を育てるのもよいでしょう。
- 雨避けをつくる:植物の上に雨が当たらないように雨避けを張り、雨から植物を守る方法があります。雨避けの方法は様々ですが、雨避けの製品もあるため探してみるのもよいでしょう。雨避けは病気予防、多湿・過湿の改善にもなります。
- 土壌の改善:土壌は土質により乾燥のしやすさが変わります。植物の植え付け時や植え替え時に、植物に合わせた土壌の改善をしましょう。詳しくは花壇土からご覧下さい。
挿し木や株分けで増やす
ペンステモン・ジギタリスは株分けによって増やす事ができます。
●株分けの方法
- 株分け時期:春の成長が始まる前、または秋の生育が落ち着いてきた頃が最適です。
- 株を観察:株を観察して、株元から複数の芽が発生して株分け出来る状態になっている、または茎や葉が込み合ってきている状態を確認します。
- 株を掘りあげる:株をスコップで掘り起こして、地下茎から発生している根・新しい芽・既に伸びている茎などを観察します。
- 株を分割する:分割する地下茎に、それぞれ一つ以上の根と芽、または芽のかわりに茎が付いた状態になるように、清潔なハサミやナイフを用いて切り離します。
- 株分け後:株分け後は根が乾燥する前に素早く植付けをおこないます。
播種で増やす
ペンステモン・ジギタリスの種蒔の方法
- 播種時期:春・秋
- 発芽適温:約15~20度
- 発芽日数:不定期
- 備考:自然採種した種は生理的休眠をしているため、自然に冬の寒さを経験させるか、低温湿層処理で発芽促進処理を行う必要があります。発芽するのに光が必要な好光性種子のため種は土で覆わない。
発芽促進処理
- 低温湿層処理:自然採種した種は、胚に生理的な成長阻害機構を持ち、発芽が妨げられている状態にあります。そのため、この種子は冬の寒さを自然に経験させるか、または低温湿層処理を行い発芽促進処理を行う必要があります。
- 準備:袋・バーミキュライト・完熟した種を準備する。
- 種子を入れる:袋の中に、軽く湿らせたバーミキュライトを入れて、その中に種を入れる。
- 保管:袋の中の湿潤を保った状態で冷蔵庫(約0~10度)の中に入れて2ヶ月程度保管します。
- 種まき:種まき時期になったら、冷蔵庫から種を取り出して種を撒きます。
種まき手順
- 種まきの時期:春・秋
- 培養土の準備:直播き・移植栽培※移植栽培はコストや手間が増えますが、苗を病害虫から保護したり、温度・水分の管理が楽になり成功率が高まります。
- 直播き:花壇やプランターの土を整えます。
- 移植栽培:プラグトレー・ピートポット・ポリポット・不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどに種まき用の培養土を入れて栽培できます。おすすめは移植の際に根を傷めにくい不織布育苗ポット・ジフィーセブンなどです。
- 種の撒き方:点撒き・すじ撒き・バラ撒き
- 種まき後の管理:種が乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理します。
- 発芽後:発芽が揃ったら、株同士の間隔を見て、混んでる場所の苗を間引きます。また間引きした苗は別の場所に移植することもできます。※直播きする場合は成長に合わせて株同士がくっついているものを状態がいい方を残し間引きするとよいでしょう。
- 定植:本葉が2枚以上になったら定植します。定植が遅れると移植時に根を傷付けるリスクが増えると同時に、苗が老化して定植後の成長も悪くなるリスクが高まります。一方で、移植が早すぎると低温障害にあったり害虫からの食害に合うリスクが高まります。そのため、バランスを見ながら定植を行いましょう。
※鎮圧は土と種の密着度を高め水分の吸収をよくします。