有用な微生物の種類や働きを知って、増やしていこう！

目次

1. 有用な微生物とは
2. 有用な微生物の働きと増やし方
3. 乳酸菌
4. バチルス菌
5. トリコデルマ菌
6. 放線菌
7. AM菌
8. 光合成細菌
9. 酵母菌

乳酸菌

バチルス菌

乳酸菌は代謝により糖類から乳酸を産生し、悪臭の原因となるような腐敗物質をつくらない細菌類を呼びます。

働き

・乳酸菌が作り出す乳酸は周囲のPHを酸性に傾け、糸状菌や細菌の活動を抑え込みます！

・牛乳等を原料に乳酸菌を増やすとカルシウム等のミネラルの補給にも繋がり植物体が丈夫になります。

増やし方①

1.ビニールに米ぬか1キログラムと水0.1リットルを加え、ビニールを密封し嫌気状態(酸素が無い状態)を保ち１ヶ月程放置します。

2.腐敗臭がせず酸っぱい匂いがすると完成です。

増やし方②

1.事前に市販のヨーグル100グラム、牛乳1リットル、ヨーグルトメーカーを準備する。

2.ヨーグルトと牛乳を混ぜ合わせ、ヨーグルトメーカーに40℃設定の8時間置き。

3. 固まったら完成です。水で500倍程度に薄め使用します。

使用法

土壌にまく、または水で500倍に希釈して葉面に散布する。

枯草菌は、土壌や植物に普遍的に存在している細菌で、納得等の食材や防カビ材、また分解能力が高いため下水処理でも活躍しています。

最適生息温度は25～35℃ですが、環境ストレスに強く高温や乾燥にも胞子で生き残ります！

ただし好気性のため酸素のない環境では生育ができません。

働き

病原菌のエサである有機物を先に奪い、抗菌性活性リポペプチドや強力な界面活性を示す物質で植物を守ります。

・土壌では有機物質(病葉)の分解を行い、病原菌の住処を奪います。

増やし方①

1.米ぬか1kgと水500cc、3種類の納豆を半パックずつ使用する。

2.バケツ等の容器に米ぬかと水を入れて、よく馴染むまで攪拌を行う！

3.米ぬかに納豆を入れ全体が馴染むように攪拌して蓋をしめる！

4.１週間程寝かし発酵した匂いがしたら完成です。

増やし方②

1.リットルの水(※豆乳でも可)と納得1グラム(3種類利用)、黒砂糖30グラムを利用する。

2.これを容器に入れ、エアレーションしながら一、二日程待ち発酵した匂いがしたら完成です。

使用法

1～2週間おきに葉面や土壌に10倍程度に薄めた菌液をジョーロや噴霧器等でかけましょう。

その際、先に有用微生物の餌となる米ぬかを撒いておけば定着率が高くなります！

放線菌

フンタマカビ綱ボタンタケ目ボタンタケ科に属する子嚢菌です。

森林土壌など植物遺体の多い場所、枯れ木や朽ち木等によく繁茂しいて、薄緑色をしています。

働き

・トリコデルマ菌の出すセルラーゼは有機物の中のセルロースを分解する。

・トリコデルマは菌類(病気の八割は菌類が原因と言われる)に寄生し病害の防除に用いられます。

増やし方

1.事前にトリコデルマの種菌、米ぬか、藁、木酢液(200倍で希釈)を準備する。

2.上記のものを混和して、温度上昇のためにビニールで被覆しておく。その際酸素不足が発生しないように時折ビニールをあげる。

3.上手く増えると表面に緑色のカビが発生する。

放線菌は糸状菌のように菌糸を伸ばし増殖する少し珍しい細菌です。

普段は森林や堆肥等の肥沃な土の表層やその下10cm辺りまででよく見られ、白っぽい綿上の菌糸と土特有の香りが特徴になります。

働き

微生物の外殻のキチン質を溶かすキチナーゼ酵素が微生物の外殻の物質を溶かし糸状菌や細菌、線虫、甲虫等の働きを抑える！

増やし方①

1⃣カニがら、くん炭、藁を事前に準備しておき。

2⃣上記を水適量と混ぜ合わせます。

3⃣放線菌が繁殖してくると白っぽい粉が生じます。

増やし方②

1⃣事前に放線菌堆肥、水1リットル、黒砂糖30グラムを準備する。

2⃣容器に上記のものを全て入れる。

3⃣エアレーションしながら7日～10日間おけば完成。

使用法

1～2週間おきに葉面や土壌に500倍程度に薄めた菌液をジョーロや噴霧器等でかけましょう。

その際、先に有用微生物の餌となる米ぬかを撒いておけば定着率が高くなります！

AM菌(VA菌根菌)

光合成細菌

グロムス門に属する150種程度の特殊な菌類で、根の細胞内に菌糸を侵入させ樹枝状体または嚢状体を形成し植物と共生をします。

またAM菌(VA菌根菌)は効果が確認された、微生物で唯一の政令指定土壌改良資材になります。

働き

・植物から｢糖｣を貰う代わりに、｢リン｣｢ミネラル｣｢水分｣を植物に供給する。

・根の周囲に抗菌性物質を産出して、病原性微生物の働きが抑制される。

・根端に菌鞘を作り出し物理的に根を守る。

増やし方

単独での培養は難しいので事前に種菌を入手して、植物に感染させて増やしていきます。

使用法

種蒔の時や定植時に直接根に触れるように与えてください。

この時に木炭やくん炭を補助材として利用すると定着がよくなります。

｢紅色硫黄細菌｣｢紅色非硫黄細菌｣｢緑色硫黄細菌｣｢緑色非硫黄細菌｣｢滑走性細菌｣等があり、光合成が行える細菌をさしていて、普段は池や沼地、田んぼ等で生息していています。

酸素があると生育できない絶対寄生菌なので水中や土中深く等の酸素のない場所にいる事が多い菌ですが、納豆菌等の好気性菌が出す粘質物質の中で嫌気状態を保ち外気に触れた場所でも生息している事があります。

働き

・納得菌等と糖を供給する

・光合成細菌はビタミンやアミノ酸、糖等を産生して植物に供給、健康な成長を助けます。

・有用微生物である放線菌の餌になります。

増やし方

1.事前に光合成細菌の種菌を入手しておく。

2.透明なペットボトルに水1ℓと糖蜜(米糠でも可)20cc、土を少量、種菌20ccを入れ

3.陽の当たりのいい場所に保管。夏場なら１週間、冬場なら2週間程です。

その際、毎日ペットボトルの蓋を開けてガス抜きしてください。

使用法

1～2週間おきに葉面や土壌に500倍程度に薄めた菌液をジョーロや噴霧器等でかける。

酵母菌

広義には生活環の一定期間において栄養体が単細胞性を示す真菌類の総称です。

単細胞で球形をしており、出芽(分裂)しながら数を増やします！カビの仲間ですが菌糸が作られません。

働き

・糖を餌に｢アミノ酸｣や｢ホルモン｣｢ビタミン｣｢ミネラル｣等を作り出し、死骸になっても土壌の豊富な栄養素となります。

・酵母が活動する際に出す二酸化炭素は、土をほぐし土壌を団粒構造にかえます。

・酵母が産生する、植物ホルモンのオーキシンは植物の成長を促す効果があり、挿し木の発根促進剤等にも使用されます。

増やし方

1.事前に豆乳、砂糖、ドライイーストを準備する。

2.容器に豆乳と豆乳量に対し3％程の砂糖、イースト菌を入れる。

3. 2日～3日ほどたったら完成です。

使用法

菌液を水で300倍程に薄めたものを葉面や土壌に散水する。