鉢植えで植物を健康的に育てたい場合は幾つかの事に気をつけないといけません。例えば、鉢植えは花壇よりも「土(培養土)の質」が大切になります。何故なら鉢植えの中という閉鎖空間の中では十分に根を張れないため、欲しい時に欲しいだけの「水」や「栄養」をえる事が難しいからです。また鉢植えで植物を育てる場合は目的(栽培・観賞)に合わせてどの鉢を選ぶか等も大切になるでしょう。
このページでは培養土の作り方や鉢植えの選び方、植付けの方法等を目的や理由を添えて紹介しています。
鉢植えの培養土の作り方
鉢植えの培養土とは!?
培養土とは、植物を栽培する目的で、単体もしくは複数の用土が組み合わされて作られる土です。用土とは鉢栽培や土壌改良等のために用意された園芸のための土で、植物が根を張るための適した環境を作るために様々な種類の用土が用意されています。
培養土は通気性の良い土壌を好む一般的な植物や、著しく多湿を嫌い水分の停滞で根腐れを引き起こしやすい植物、乾燥を嫌う根の浅い植物等のために、それぞれに合った用土を配合して作られています。
鉢植えで利用される用土の種類
鉢植えで利用される用土は、基本用土と改良用土の2種類に分類される事があります。基本用土とは植物を育てる基本(ベース)となる土をさしており用土の中で割合が最も高くなります。改良用土とは基本用土を改良するために準備された用土で、通気性・保水性・保肥力・化学性・微生物性等の基本用土に足りない部分を改善する目的で利用される用土です。
用土の中にはニッチなものもありますが、基本的には下記で紹介しているもので、植物を育てるための鉢植えの培養土をつくる事ができます。
基本用土 |
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赤玉土 |
通気性◎/保水性◎/保肥力◎/PH6程度/仮比重0.8 赤玉土とは関東ローム層の中層にある赤土を乾燥させて、粒の大きさごとに分けた用土です。粒の大きさは大粒(約1.2~2cm)・中粒(約0.6~1.2cm)・小粒(0.3~0.6cm)・細粒(0.1~0.3cm)の4種類があります。 赤玉土は通気性・保水性・保肥力のバランスが非常に良いため鉢植えの培養土に最も利用されています。 欠点①赤玉土はリンを吸着しやすいため、土壌にリンがあっても植物が利用出来ない状態を作ってしまいます。対策としては、赤玉土に堆肥を混ぜたり、ゼオライト等を混ぜて、リンを植物が利用しやすい状態にしておく必要があります。 欠点②赤玉土は粒状態である限りは擬似団粒構造を作っているため素晴らしい用土となります。しかし水分や圧力等が原因で土粒が崩れてしまうと、元の粘土質な赤土になってしまうため通気性が悪くなります。そのため長期の使用は見込めません。対策として定期的に植え替えが必要です。 |
鹿沼土 |
通気性◎/保水性〇/保肥力〇/PH4~5程度 鹿沼土とは関東ローム層の赤土の下にある軽石の総称で、粒の大きさごとに分けられています。粒の大きさは大粒(約1.3~2.5cm)・中粒(約0.6~1.3cm)・小粒(0.2~0.6cm)・細粒(0.1~0.2cm)の4種類があります。鹿沼土の名前の由来は栃木県鹿沼市で産出される事からきています。 鹿沼土は通気性が非常に優れており、また元が粘土の赤玉土には劣りますが、鹿沼土も孔隙が多いため保水性が高く、また保肥力もあるため赤玉土と同様に草花の培養土によく利用されます。また軽石のため衝撃には弱いですが、基本的に潰れにくく劣化しにくいため長く使える所も魅力です。 欠点①鹿沼土はPH4~5と強酸性のため中性から弱酸性を好む一般的な草花には向きません。利用する場合は他の用土と組み合わせたり、また酸性を好むツバキやサツキ等の酸性を好む植物に利用します。 |
川砂(山砂・海砂) |
通気性◎/保水性△/保肥力×/PH6~7/仮比重1.4 川砂(山砂・海砂)とは岩石(花崗岩・石英・長石等)が風化して生じる灰白色をした砂で、産地により川砂や山砂や海砂等と呼ばれています。一般的に砂の大きさは2mmから1/16mmの間にありますが、それ以上の砂礫も含みます。 川砂は通気性が非常に高い一方で、保水性や保肥力が殆どないため基本用土として利用する場合は乾燥に強い植物や肥料を殆ど必要としない植物に利用され、また通気性を高める改良用土として利用されることもあります。 欠点①川砂は保水性が殆どなく保肥力は全くありません。そのため一般的に草花を育てるのには向かないかもしれません。 欠点②川砂は比重が非常に大きいため、培養土が重くなり作業性が悪くなったり、容器が劣化しやすくなる可能性があります。 |
黒土 |
通気性△/保水性◎/保肥力◎/PH5.5~6.5/仮比重0.5~0.8 黒土とは、母材である火山灰土と有機物が分解された腐植で構成された土です。一般的に腐植が多い程に黒土は黒色が強くなります。 黒土は肥沃で保水性が高い用土のため、乾燥に弱い植物や肥沃な土壌を好む植物等に向きます。 欠点①黒土は一般的な草花を育てる基本用土として鉢植えで使うには通気性が非常に悪いです。そのため利用する場合は通気性の良い改良用土を必要とします。 欠点②黒土はリンを吸着しやすいため、土壌にリンがあっても植物が利用出来ない状態を作ります。そのため黒土に堆肥やゼオライト等を混ぜてリンを植物が利用しやすい状態にしておいたり、リンを多めに施したりする等の対策が植物によっては必要です。 |
田土(荒木田土) |
通気性△/保水性◎/保肥力◎/PH5.0~6.5/仮比重1.1 田土(荒木田土)とは、水田の下層土や河川等に堆積する灰褐色の粘土質な土です。 田土(荒木田土)は保水性や保肥力が高く比重が大きい所が魅力です。一般的に蓮等の水生植物の土として利用される事が多く、また比重が大きい土は植物体が安定するため重い土を好むキクや芍薬等の土としても利用されています。 欠点①田土(荒木田土)は基本用土として鉢植えで使うには通気性が非常に悪く、単用すると粘土質なため固まりやすい所があります。利用する場合は通気性の良い改良用土と合わせて利用します。 欠点②田土(荒木田土)は比重が大きいため培養土が重くなり作業性が悪くなる可能性があります。 |
軽石 |
通気性◎/保水性〇/保肥力△/PH5.5~6.5 軽石とは多孔質で気孔が多く、密度の小さい火山砕屑物の一種です。 軽石は一般的に土壌や培養土の通気性や排水性を高める目的で利用されますが、孔隙が多いため保水性も比較的に優れています。一般的にはラン等の培養土に利用されています。 欠点①軽石は基本的に通気性と排水性の向上を目的に利用されるため、多用すると土が乾きやすくなる傾向にあります。 欠点②軽石は個々の粒が大きい傾向にあり、その場合は他の用土との組み合わせが難しいです。 |
花壇の土 |
花壇の土とは花壇の中にある土です。一般的にはデメリットもあるため培養土として使用される事は少ないですが、花壇の土を使ったからと言って育たないというわけではありません。むしろ使う土(病気の多い土は避ける等)をしっかり選べば問題ない場合の方が多いです。 欠点①水やりが頻繁になるため土粒(団粒構造)が崩れやすく、通気性が悪くなりやすいです。対策としては通気性を向上させる用土(パーライト等)や膨軟性を高める(腐葉土等)を入れましょう。 欠点②花壇の土には雑草の種が含まれています。雑草は鉢植物と競合して光や栄養を奪い合い、大きくなると引き抜くのも大変です。対策としては、雑草を許容するかこまめに抜きましょう。 欠点③花壇の土の中には病原菌や害虫の卵が含まれる場合があります。対策としては、太陽光で殺菌するか土壌殺菌剤を利用します。 |
改良用土 |
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腐葉土 |
通気性◎/保水性◎/保肥力◎/PH5.5~7程度/仮比重0.2 腐葉土とは、広葉樹の落ち葉が腐熟して土状になったもので、最も一般的に利用される改良用土です。 腐葉土は基本用土と混ぜると通気性・保水性・保肥力を高め、また比重が少ないため軽くなったり、膨軟性が上がったりします。また腐葉土を分解しようと微生物がよってくるため土着の微生物が増えます。また分解された際に出てくる養分は、肥料程の効果はないものの植物の健康な成長を促すための必要な栄養となります。 欠点①腐葉土は比重が軽いため多様し過ぎると根の活着が悪くなり、植物体が安定しません。 欠点②腐熟が十分でない、未熟な腐葉土がある場合があります。未熟な腐葉土を利用した場合は土の中で発酵して根を傷める原因ともなります。対策としては、全体的に色が黒っぽく葉が原形で残っているような腐葉土は避ける。購入した場合は土に混ぜこまずにマルチングとして利用する。 欠点③腐熟しすぎている、腐葉土がある場合があります。悪くはないのですが、通気性や膨軟性は悪くなっている可能性(イメージとしては腐植の多い黒土)があります。対策としては、通気性を上げるパーライト等の改良用土を別に使用するといいでしょう。 |
ピートモス |
通気性〇/保水性◎/保肥力〇/PH3.5~4.5(無調整)/調整済PH5.5~6.5(調整済)/仮比重0.15 ピートモスとは水苔類やヨシ・スゲ等の植物が堆積して腐植し泥炭化した用土です。産地により堆積した植物や構成比が違い、品質や特徴にも違いがあります。 ピートモスは養分を殆ど含まないため、腐葉土の様に微生物を活性化する力は弱く、また無菌のため清潔感があり屋内の観葉植物の用土として向きます。弾力がありまた比重も軽いため培養土に膨軟性が出たり、軽量化に繋がったりします。そのためハンギングバスケットの用土に向き、また作業性の向上にも繋がります。 欠点①無調整のピートモスは強酸性のため、改良用土として利用しすぎた場合は培養土が酸性に強く傾く場合があります。対策としては、使用量を控えめにして他の改良用土と合わせて利用したり、苦土石灰を自分で混ぜて調整(土1L当たりに必要な苦土石灰の量は1.5~2g)します。 欠点②ピートモスは完全に乾燥すると撥水してしまい、均一に水が染み込まず生育が偏ったり、保水性が悪くなったりします。また再度水をかけても戻らなくなる事があります。対策としては、土壌を完全に乾燥させない、撥水防止剤を利用する。 欠点③産地や製造業者により品質に偏りがある場合があります。例えばきめ細かくなり過ぎたピートモスは汚泥の様になり通気性が悪くなり根腐れしやすくなります。逆に腐熟が進んでおらず水苔の原形が残る様なピートモスは水捌けが良くなりすぎたり、培養土が軽くなり過ぎるため鉢植え用土には不向きです。 欠点④植物によっては単品として利用される事もありますが、比重が非常に軽いため多様し過ぎると根の活着が悪くなり、植物体が安定しません。 |
バーク堆肥 |
通気性◎/保水性〇/保肥力〇/PH5.5~7.5/仮比重約0.5 バーク堆肥とは針葉樹や広葉樹の樹皮を発酵させて堆肥化された改良用土です。 バーク堆肥は一般的に腐葉土等と比べて、物理的にも微生物的にも分解されにくいため土壌の膨軟性を上げる目的で利用されており、また基本用土と混ぜる事で通気性や保水性、保肥力を高める効果が期待出来ます。またバーク堆肥を分解しようと微生物がよってくるため土着の微生物が増えます。またバーク堆肥は堆肥化する時に栄養分の多い鶏糞や油カス等が混ぜられている事も多いため、微生物によって分解された際は肥料程の効果はないものの植物の健康な成長を促すための必要な栄養にもなります。 欠点①腐熟が十分でないバーク堆肥には植物の成長を阻害するフェノール性物質が含まれているため、植物の生育に影響を与える可能性があります。対策として腐熟が進んだバーク堆肥を選びましょう。見た目からは分かりにくものの樹皮の原型が残るような堆肥は避けます。腐熟が進むとフェノール性物質は不活化します。また購入した場合は低木のマルチング等に利用すると良いでしょう。 欠点②バーク堆肥はC/N比が高く大量に使用すると窒素飢餓を起こしやすいです。C/N比とは有機物に含まれるC(炭素)とN(窒素)の割合で、炭素100に対してNの量により比率が決まります。例えばN(窒素)が10含まれる場合はC/N比は10です。C/N比は概ね20を境にして、微生物が有機物を分解する際に窒素を土壌に放出するか、分解するために土壌から窒素を奪うか決まります。バーク堆肥はC/N比が20より高いため分解される際に土壌から窒素が失われます。対策としてはバーク堆肥を使用する際に油カスの様な窒素肥料を入れる、もしくは使用量を制限(培養土に対して1~2割)する等があります。 |
牛糞堆肥 |
通気性◎/保水性◎/保肥力◎ 牛ふん堆肥とは牛糞にワラやおがくず等を入れて発酵・乾燥させた肥料(堆肥)です。腐葉土等と同様に土壌改良効果があり、また窒素(0.3~1.3)/リン(0.2~4.3)/カリ(0.1~2.1)等の栄養素を豊富に含有しているため、より肥沃な培養土(土壌)をつくりやすく、微生物の働きを活性化したり、植物が健康に育つ助けになります。 欠点①牛糞堆肥は一般的な腐葉土と同じ感覚で利用すると、肥料分が多くなり過ぎて植物によっては肥焼けを引き起こす等の生育不良を引き起こす可能性があります。対策としては使用する量(1~2割程度)を制限しましょう。 欠点②牛糞堆肥がしっかり腐熟していない場合があります。未熟な牛糞堆肥を使用すると土壌の中で発酵して根を傷めたり、臭いで蝿等の虫がよってくる可能性があります。対策としてはしっかり腐熟したものを選びましょう。最近ではペレットタイプもあり、使いやすくおすすめです。 |
くん炭 |
通気性◎/保水性〇/保肥力〇/PH8~10/仮比重約0.1 くん炭とは、もみ殻を炭化させたものです。 くん炭は、空気を含む部分が大きく土の通気性を改善するため、根腐れ防止を目的として、培養土等に少量(1割程度)混ぜこまれます。また弱アルカリ性のため、PHの調整やアルカリ性を好む植物のために利用されます。また植物と共生する菌根菌が増えやすいとも言われており、菌根菌と共生した場合は根腐れ防止に繋がったり、菌根菌から栄養や水分の提供をうけるため栄養が少ない土壌や乾燥しやすい土壌にも耐えやすくなったりします。※土壌改良資材の中にはVA菌根菌資材もあります。 |
パーライト |
通気性◎/保水性△(黒曜石)/保水性〇(真珠岩)/保肥力△/PH7.5/仮比重約0.1~0.2 パーライトとは真珠岩や黒曜石を粉砕して小さくした後に、高温(800~1000度)で熱し、鉱物の中の構造水がガス化して発泡する事で多孔質になった人工砂礫です。 パーライトは粒径の違いや使われた材料により排水性や保水性の違いがありますが、一般的には排水性(水の流れ)と通気性(土壌中の空気量)の向上を目的に利用されます。また非常に軽いため、培養土が軽量化されて扱いやすくなったり、またパーライトの欠点(保水性・保肥力等)を他の改良用土(バーミキュライトや腐葉土等)に補って貰いながら基本用土として利用される事もあります。パーライトは基本的に劣化しにくいため、長期間使用出来たり再利用しやすい所も魅力です。 欠点①パーライトは比重が軽いため多様し過ぎると根の活着が悪くなり、植物体が安定しません。 欠点②パーライトは基本的に通気性と排水性の向上を目的に利用されるため、多用すると土が乾きやすくなる傾向になります。対策としては粒径が小さな商品を利用したり、黒曜石よりも保水性が高い真珠岩を利用したりするといいでしょう。また培養土として利用する場合は保水性の高いバーミキュライトと一緒に使うのもおすすめです。花壇ではバーミキュライトが重さで潰れるためおすすめしません。 |
バーミキュライト |
通気性〇/保水性◎/保肥力◎/PH6~7/仮比重約0.3 バーミキュライトとは蛭石(黒雲母・金雲母)の原鉱石を約800度で加熱して10以上に膨張させた人工用土です。バーミキュライトは薄板が層状になりアコーディオンの様な形をしています。 バーミキュライトは通気性・保水性・保肥力の高い用土ですが、一般的には保水性や保肥力を高める目的で利用されます。また非常に軽いため培養土が軽量化されて扱いやすくなるため、ハンギングバスケット等の培養土によく利用されています。また微生物資材と組み合わせると微生物の住処にもなります。 欠点①バーミキュライトは重い用土と組み合わせると潰れてしまい通気性の良さが消えてしまいます。対策としては比重が重い用土(田土や砂)との併用を避け軽いパーライト等と組み合わせたり、腐葉土等と一緒に使い土壌の膨軟性を高めるといいでしょう。 欠点②バーミキュライトは比重が軽いため多様し過ぎると根の活着が悪くなり、植物体が安定しません。 |
苦土石灰 |
苦土石灰とはドロマイトを粉砕後加工された、マグネシウムを含有する石灰資材の一種です。 苦土石灰は一般的にPHをアルカリ性に調整したい時に利用されます。また炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムを含むため、土壌にこれら微量要素が補給する働きもあります。苦土石灰は土壌との反応が緩やかなため植物への影響が少なく、消石灰と違い土に馴染ませる期間(約2週間)が不要です。 苦土石灰の使い方 土1L当たりの苦土石灰の使用量は1.5~2gです。黒土等の保肥力の強い土の場合は2~3gで、砂土等の保肥力のない土の場合は約1gです。 例:一般的な培養土10LのPHを1上げる場合は苦土石灰を15~20g入れます。 |
培養土を配合する際の注意点
培養土の配合は、基本的に植物が好む土壌を目指して用土を配合します。例えば、植物の傾向に合わせて乾燥が苦手で保水性や保肥力を求める植物であれば黒土や田土を基本用土にして通気性や膨軟性を高める改良用土を使ったり、多湿が苦手な一方で乾燥に強く栄養も殆ど必要としない植物であれば基本用土に鹿沼土やボラ土を使ってみたり、腐葉土を減らしてパーライト等を入れてみるのもよいでしょう。
また一般的には通気性や保水性がよく、比重0.4~0.6の培養土がよいとされます。何故なら、鉢植えの土は花壇の土と比べて水やりの回数が多く水分が停滞する傾向にあります。そのため土粒が劣化しやすく、通気性が悪くなり植物の生育と悪くなったりするからです。また鉢植えは花壇と比べて乾燥しやすく、夏場は特に水不足になりがちです。そのため通気性や保水性の用土が一般的には求められます。比重に関しては軽すぎると根の活着が悪くなり植物が不安定になったり、また培養土が重いと作業性が悪くなったりします。もちろん一般的な事であり、一概ではありません。そのため植物に合わせて培養土を作るのが一番いいでしょう。
培養土の配合例
殆どの草花に対応する土の作り方
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
一般的な草花は欲しい時に水分や養分がとれて、土壌の中には空気がしっかりあり何時でも根が呼吸出来る様な培養土を好みます。
赤玉土と腐葉土の組み合わせは、赤玉土が擬似団粒構造をつくるため、通気性が非常によく、また元は赤土(粘土)のため保水性や保肥力も抜群によく、また腐葉土が膨軟性や微生物性等の赤玉土に足りない部分を補っており、また簡単に作れるため広く一般的に利用される配合例です。
赤玉土と腐葉土の組み合わせは非常に凡庸性が高く、植物の性質に合わせて、後からパーライトや鹿沼土を混ぜて通気性を高めたり、黒土やバーミキュライト等を混ぜて保水性を高める事が出来ます。そのため、赤玉土と腐葉土の組み合わせの培養土を作り過ぎた場合も腐ることがありません。作りすぎた場合もしくは大量に作って取り置きしときたい場合等は、袋等の中に入れて、雨の当たらない冷暗所で使うまで保管しておくといいでしょう。ただし作った培養土は多少劣化する可能性があり、また袋も破れにくいものを使わないと大変な事になりやすいです。
この培養土の欠点は赤玉土がやや高価で、また水分が含まれると重み等の圧力で潰され劣化しやすく、赤土(粘土)に戻ると通気性が悪くなってしまう所にあります。そのため、必要に応じて定期的な植え替えが必要です。
通気性のよい土の作り方
- 赤玉土(小粒・中粒)+鹿沼土(小粒・中粒)+腐葉土=3:3:4
- 赤玉土+ボラ土(細粒)+腐葉土=4+2+4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
この組み合わせは、通気性や保水性のバランスを保ちながら、通気性や排水性を更に高めた培養土です。一般的な草花や、水分が停滞すると根腐れを起こしやすいような草花等に向きます。
保水性のいい土の作り方
- 黒土+腐葉土+パーライト(極小粒)=5:3:2
- 黒土+腐葉土+赤玉土=5:3:2
- 赤玉土+腐葉土+バーミキュライト=5:3:2
- 荒木田土+腐葉土+川砂=5:3:2
保水性の高い土を好む植物を育てる場合は、保水性の良い基本用土に通気性のいい改良用土を混ぜたり、基本用土の赤玉土に保水性の高い改良用土を混ぜてさらに保水性を高くするといいでしょう。
軽い土の作り方
- パーライト+バーミキュライト+ピートモス=4:3:3
- バーミキュライト+ピートモス+ココナツチップ=4:3:3
軽い培養土は、吊り鉢やハンギングバスケット等で植物を育てる際に落下するリスクが軽減されます。また軽いため作業性も向上します。一方で比重が小さく軽いため植物体を支える事が難しくなる場合があります。基本的には小さな植物向きです。
洋ランの土の作り方
- 水ゴケ=10
- バークチップ(洋ラン用)=10
洋ランを育てる際は一般的に水ゴケもしくはバークチップ(洋ラン用)が使われます。水ゴケは保水性がよいため根腐れのリスクがありますが水やり回数は少なくすみます。バークチップは排水性が高いため根腐れが軽減されますが、水やり回数が増える傾向にあります。
山野草の土の作り方
- 硬質赤玉土(小粒)硬質鹿沼土(小粒)桐生砂(小粒)4:3:3
- 赤玉土(小粒)+鹿沼土(中粒)+ボラ土(小粒)+腐葉土=3:3:3:1
- 軽石(小粒)+桐生砂(小粒)+赤玉土(小粒)=4:4:2
- 鹿沼土(中粒)+ボラ土(小粒)+赤玉土(小粒)+木炭=4:3:2:1
山野草の土は通気性がよく、保水性もある程度もった培養土を好みます。腐葉土を使用する場合は蒸れる原因にもなるため使用しないか、使用量を減らします。
観葉植物の土の作り方
- 赤玉土(小粒・中粒)+ピートモス(調整済)+ゼオライト(or 珪酸塩白土)=5:5:適量
- 赤玉土(中粒・小粒)赤玉土(小粒・中粒)+バーミキュライト+ピートモス+バーク堆肥=3+3+3+1
観葉植物の土に求められる事は、通気性の良さや保水性の良さは当然ですが、屋内で育てる事を考えて鉢植えを移動する時のために軽めの土にしたり、微生物(カビや細菌等)がわかないように無菌で栄養の少ない土(ピートモス等)を使ったりします。もちろん培養土が軽いと重い観葉植物の植物体を支える事が難しくなったり、栄養の少ない土壌では植物の微量要素が無くなってしまう事もあります。そのため植物によって比重の大きな赤玉土を増やしたり、栄養を含む堆肥(バーク堆肥や腐葉土)を入れたり、また活力剤を与えるのも一つの解決策になります。
多肉・サボテンの土の作り方
- 川砂+ボラ土(小粒)+赤玉土+腐葉土=3:3:3:1
- 軽石(小粒)+桐生砂(小粒)+くん炭=5:4:1
- 軽石(小粒)+ボラ土+バーミキュライト=5:3:2
サボテンや多肉の土は水の停滞を嫌うため、排水性がよく適度に保水性をもった土が好まれます。また根腐れ防止を目的として、くん炭やゼオライト等の混ぜるのもよいでしょう。腐葉土を使用する場合は蒸れる原因にもなるため使用しないか、使用量を減らします。
酸性土壌を好む植物の土の作り方
- 鹿沼土(小粒・中粒)+腐葉土=8:2
- 赤玉土(小粒・中粒)+鹿沼土(小粒・中粒)+ピートモス(無調整)=3:3:4
酸性土壌を好む植物には、用土が酸性に傾いてる鹿沼土やピートモス(無調整)を利用します。また他の植物と同様に培養土は通気性や保水性を高める事が大切です。
アルカリ性を好む植物の土の作り方
- 砂土(保肥力がない土)+苦土石灰=10L:10g
- 壌土(保肥力が普通)+苦土石灰=10L:15~20g
- 植土(保肥力高い)+苦土石灰=10L:20~30g
アルカリ性を好む植物の培養土には苦土石灰を混ぜます。ラベンダーやローズマリー等が、アルカリ性土壌を好む植物にあたりますが、ラベンダー等は通気性と排水性の良い培養土を好むため、恐らく砂土に近い壌土を使っていると思います。そのためラベンダーの場合は培養土10Lに対して苦土石灰10~15g程度を目安に使用するといいでしょう。
水生植物の土の作り方
- 田土(荒木田土)=10
- 田土+黒土+腐葉土=7:2:1
- 赤玉土(小粒)+腐葉土=9:1
水生植物の土は一般的な植物と違い、通気性は必要ありません。田んぼの土の様な柔らかでドロドロした用土で育てます。また用土はそのまま使うわけではありません。苗の植え付けの前に、トロ舟等に用土と水を加えて、ある程度練る必要があります。
- 用土(田土等)・トロ舟・バケツ(水入り)・混ぜる道具(スコップ等)を準備します。
- トロ舟に用土(田土等)を入れます。
- トロ舟の中にある用土に水を少しずつ入れながらかき混ぜます。
- ↳水を一気に入れるとヘドロになり植え付け出来なくなるため注意して下さい。
- 用土の中に水を少し加えては混ぜ、少し水を加えては混ぜを繰り返し、用土が「白玉」や「耳たぶ」を思わせる程度に柔らかくなれば完成です。
花壇の土を使った培養土
- 花壇の土+腐葉土+パーライト(小粒)=6+3+1
- 花壇の土+腐葉土+ボラ土=6:2:2
花壇の土を使う場合は、植物のためにも出来るだけいい土を選びましょう。基本的には黒っぽく腐植が多そうな土で、力を入れなくてもスコップが入る様な土を選ぶといいでしょう。イメージとしては黒土です。
花壇の土を使うと幾つかデメリットがありますが、デメリットの中で最もあげられている雑草の種がある事や微生物がいる所は許容しましょう。ただし通気性が悪い所は改善しないといけません。何故なら鉢植えでは水やりが頻繁で、土が劣化しやすく、植物の生育に不向きな硬い土や通気性の悪い土になりやすいからです。
そのため花壇の土を使う時は、黒土を使う時のように通気性や膨軟性を高める改良用土を3~4割くわえるといいでしょう。
プランター(植木鉢)の種類や選び方
プランターとは用土を入れ草花を植えて育てる為に利用される容器です。別名では「鉢」「植木鉢」「フラワーポット」等とも呼ばれます。
プランター(植木鉢)を目的に合わせて選ぶ方法
プランターは素材から形状まで非常に豊富な種類があります。そのため、植物を育てる目的を理解してプランター選びをする事が大切です。例えば、植物を育てる目的が「植物を大きくしたい」「苗を増やしたい」「果実等を収穫したい」等であれば「栽培用の鉢」から選ぶ事が出来ます。また一方で「玄関や花台に飾る」「室内で楽しむ」等が目的であれば鉢も目的に合わせてある程度綺麗な物を選ぶ必要が出てくるはずです。
もちろん両方の機能を兼ね備えたプランター(植木鉢)も多いですが、どちらに重点を置くかを自覚する事で、鉢選びの際に迷ったり、無駄なものを買ってしまう心配が減ります。
プランター(植木鉢)の置き場所で選ぶ方法
プランターの置き場所は一般的に地面や花台の上に置かれて栽培(鑑賞)されますが、その他にも天井から吊り下げられたり壁に掛けられたり植木鉢をタワーの様に積上げる3個のパターンの楽しみ方があります。ニッチな選択肢かもしれませんが、それぞれがオシャレで人気の高い栽培(鑑賞)方法のひとつです。
置き鉢
置き鉢とは地面や花台等に置いて植物を栽培(鑑賞)する鉢です。
吊り鉢
吊り鉢とは天井やフック等から吊り下げ植物を栽培(鑑賞)する鉢(ハンギングバスケット等)です。
ウォールポケット
ウォールポケットとは壁にかけて植物を栽培(鑑賞)する鉢(ハンギングバスケット等)です。
植木鉢タワー
植木鉢タワーとは鉢の上に鉢を重ねて植物を栽培(観賞)する鉢(ハーベリーポット等)です。
プランターのデザインの種類
普通鉢
普通鉢とは鉢の口径(直径)と深さが同じ、もしくは同程度の大きさの鉢です。植物の栽培に適しており、また使い勝手がよい所も魅力です。
深鉢
深鉢とは鉢の口径に比べて深さが大きな鉢です。一般的に根を深く張る植物(ラン等)を栽培(鑑賞)される際に利用されます。
浅鉢
浅鉢とは鉢の口径に比べて深さがなく、一般的に深さが口径の2分の1程度の鉢です。アザレアやサツキ等のツツジ科の植物や、根域を制限する盆栽や、種まき用の鉢として利用されています。
スクエア鉢
スクエア鉢は鉢の口が正方形もしくは正方形に近い形をしている鉢です。立方体や直方体や四角錐台等があり、洗練された形からオシャレなお店や都会的なお部屋などによく似合う鉢です。
ボウル型プランター
ボウル型(ボール型)のプランターとは、プランターの側面が丸い膨らみをもった鉢です。可愛らしいフォルムをしている事からロマンチックな雰囲気のお庭や可愛いお部屋などによく合う鉢です。
ワイドプランター
ワイドプランターとは鉢の口径の奥行が少なく、横への広がりが大きな鉢です。実用性の高い形状から栽培用の鉢として人気が高い事は勿論、鑑賞用としても道沿いに並べて置かれたり窓辺を飾る鉢としても利用されます。
スタンド付き
スタンド付きのプランターとは、鉢の下にスタンド(足)が付いている鉢です。一般的には足にボウル型(カップ型)の鉢がついており、スタンドカッププランターと呼ばれています。観賞用として草花を育てる際に利用され、ツル系や匍匐系の植物を植えると縁部分から優雅に枝垂れる草姿が見られます。
スリット鉢
スリット鉢とは底に入る特殊なスリットにより根詰まりがしにくい鉢で、別名では「とんでもないポット」とも呼ばれています。根詰まりを引き起こしにくい事から水切れや栄養不足を引き起こしにくいため、栽培用の鉢として適します。
トールプランター
トールプランターとは鉢の口径よりも深さが極端に大きな鉢です。一般的に鉢の口が丸い「ラウンド・トールプランター」と四角い「スクエア・トールプランター」があります。非常に洗練された形状から上品なお店や都会的なお部屋などによく似合う鉢です。
キューブプランター
キューブプランターとは立方体の形をした鉢です。サイズは非常に大型のものから小型のものまで様々ありますが、倒れにくい形状から大型のものは公共の場所等でよく見かけ、また小型のものはコロコロとした可愛らしい形状から多肉植物の鉢等に利用されます。
パーテーション・プランター
パーテーション・プランターとは鉢の幅が長く、深さが極端に大きな鉢です。パーテーションの名前からも分かる通り空間の仕切りをイメージした作りになっていますが、基本的には不安定なため壁際等に置いて利用されます。
模型タイプ
模型タイプのプランターとは「人物(キャラクター等)」「動物(土壌動物含む)」「植物(切り株等)」「道具(自転車等)」等の形を模して作られたプランターです。自然との一体化をイメージしたお庭や、キャラクターの世界観をイメージしたお庭等と、個性的なお庭作りには欠かせません。
自然タイプ
自然タイプの鉢とは「流木」や「溶岩石」等の自然にあるものを、そのまま鉢にして利用したものです。自然にあるものを利用するため、よりナチュラルなお庭をつくる事ができます。
板型
板型の鉢とは、通気性のある板にランや多肉を着生もしくは固定して育成する鉢(広義)です。植物を育てる板にはフェゴ着生ボードやバイオマスプレート等があります。
特定の植物を育てる為の鉢の種類
- 睡蓮鉢(睡蓮等ビオトープにも)
- 菊鉢(菊等)
- ラン鉢(東洋ラン・洋ラン)
- 水耕栽培プランター(水耕栽培用)
- バルブポット(球根植物)
プランター(植木鉢)の素材の種類と選ぶ基準
- 素焼き鉢
- 駄温鉢
- テラコッタ鉢
- 陶器鉢
- プラスチック鉢
- 強化樹脂鉢(FRP)
- 木製鉢
- ブリキ鉢・金属製鉢
- 布鉢
- 紙(パルプ)鉢
- ガラス鉢
- セメント鉢
- 自然素材
素焼き鉢
素焼き鉢とは粘土を原料として形状を整えた後に、釉薬を塗らず約700~800度の温度で焼かれた鉢です。
メリット
- 通気性・透水性が高く植物が根腐れしにくい。
- ↳植物の栽培鉢として最適です。
- 水分が蒸発する際の気化熱の働きにより、鉢内の温度が下がり夏越ししやすくなります。
- 自然で素朴な色合いが落ち着いた雰囲気のお庭によく合います。
- ↳衝撃で欠けた鉢も時間の流れを感じさせてアンティークな雰囲気をつくるため魅力的です。
デメリット
- 乾燥しやすく水やりの管理が大変です。
- 衝撃に弱くちょっとした事でも壊れる事があります。
- 鉢表面にカビがつくことがあります。
- ↳表面にコケを吹き付けモスポットとして利用される場合もあります。
駄温鉢
駄温鉢とは粘土を原料として形状を整えた後に、縁部分に釉薬を塗り約900~1000度の温度で焼かれた鉢です。
- 素焼き鉢より高温で焼いているため丈夫です。
- 縁部分に釉薬を塗っているため美しく仕上がっており、丈夫です。
- 素焼き鉢には劣るものの透水性や通気性が高く植物が根腐れしにくいです。
デメリット
- 素焼き鉢と比べて丈夫ですが、衝撃で割れやすいため注意が必要です。
テラコッタ鉢
テラコッタとは、イタリア語で焼いた土を意味しており、素焼きの焼き物を意味しています。テラコッタ鉢とは素焼きの鉢の事を意味しますが、日本では洋風のデザインをした素焼き鉢に使われる事が多いです。
- テラコッタの性質は産地により違いますが、素焼きや駄温鉢と同様に透水性・通気性が良いです。
- デザインが豊富にありオシャレな雰囲気の鉢は観賞用としても魅力的です。
陶器鉢(化粧鉢)
陶器鉢(化粧鉢)とは土を原料として形状を整えた後に、釉薬をかけて約1000~1100度の高温で焼かれた鉢です。一般に美しい光沢がありますが、つや消しされた鉢もあるため一概ではありません。
メリット
- デザインが豊富で様々な色や形の鉢があります。
- 素焼きと違い釉薬の効果で鉢側面にカビ等が生える心配がありません。
デメリット
- 素焼きの様な透水性や通気性はありません。
- 素焼きよりも丈夫ですが衝撃で割れやすいです。
- 重く扱いにくい場合があります。
プラスチック鉢
プラスチック鉢とはプラスチックで作られた鉢です。非常に安価で扱いやすいため栽培用(観賞用)として最も利用される鉢のひとつです。
メリット
- 非常に安価です。
- 軽いため持ち運びが容易です。
- 衝撃に強く割れる事はありません。
- 様々なデザインがあり根が真っ直ぐ伸びるように構造が工夫されたものから水が停滞しない様にした工夫されたもの等があります。
- あらゆるカラーがあるためカラフルです。
デメリット
- 素焼き鉢の様な透水性や通気性は期待できません。
- 高温期は蒸れやすく高温多湿に弱い植物は注意が必要です。
- 衝撃につよい一方で耐荷重は小さくなる傾向があり、重い土だと割れる事もあります。
- プラスチック特有のチープさを感じる場合があります。
強化樹脂鉢(FRP)
強化樹脂鉢(FRP)とは、プラスチックにグラスファイバー(ガラス繊維)等の補強材を加えた後に形成された鉢です。驚く程の耐久性があり、また凝った加工によるデザインの豊富さが魅力です。
メリット
- プラスチック鉢の様に経年で劣化したり割れる事が殆どありません。
- 軽いため持ち運びが容易です。
- 植物のよりよい成長のため根が真っ直ぐ伸びるように構造が工夫されたものから水が停滞しない様にした工夫されたもの等があります。
- 観賞用としてテラコッタ風や木目風等に表面が加工された、オシャレな鉢があります。
デメリット
- 素焼き鉢の様な透水性や通気性は期待出来ません。
- ↳そのため高温期に蒸れる可能性があります。
- プラスチック鉢よりいいお値段がします。
木製鉢
木製鉢とは木の板で作られた鉢です。
メリット
- 木の板部分からも余分な水分がでて透水性と通気性が良いです。
- ↳ただし塗料が塗られている場合は透水性や通気性はありません。
- 断熱性が高く鉢内は外気温の影響を受けにくいため、夏越し冬越しがしやすくなる場合があります。
- 自然素材の鉢のためナチュラルなお庭では調和がとりやすいです。
デメリット
- 水や土に触れ続けるため劣化が早く数年で木は腐敗してしまいます。
ブリキ鉢(金属製鉢)
ブリキ鉢とは、スズでメッキされている鉄の薄板で作られた鉢です。ブリキは、メッキされてる限りは鉄よりも腐食(サビ)効果が高いです。
メリット
- ブリキは昔の玩具等によく使われています。そのため多くの人にとって過去の気持ちを回想させるアイテムとなりアンティークな雰囲気をつくります。
- ↳スズのメッキは傷つき剥がれると中の鉄が錆てしまいます。経年を感じさせ、よりアンティークな雰囲気をつくります。
- 衝撃に強く壊れにくいです。
デメリット
- 透水性や通気性はないため水が停滞する傾向にあります。
- メッキが剥がれた部分に水が溜まると錆びやすいです。
- 殆ど水を必要としない植物の鉢カバーとしても使われたりするため鉢底に穴が開いてない事もあります。
布鉢
布鉢とは一般的に不織布で作られた鉢で、不織布ポットやフェルトプランター等とも呼ばれています。
メリット
- 透水性や通気性が他の鉢と比べても圧倒的に良いです。
- ↳そのため鉢底石も不要です。
- ↳一般的な鉢と違いぐるぐると巻いた根鉢を作りにくく健康的な根を張るため栽培鉢として魅力的です。
- 非常に軽く取手もついていて持ち運び楽です。
- 様々な鉢色があるため色鮮やかな色の鉢を対比をいかして数種揃えるとカラフルでポップな雰囲気を作れます。
デメリット
- 乾燥しやすいです。
- 根が不織布を貫通する事があります。
- 側面にカビやコケが生え見た目が悪くなる可能性があります。
- 持ち運び時に用土が動く根を傷める可能性があります。
紙(パルプ)鉢
紙(パルプ)鉢とは古紙やパルプ(植物繊維)を原料にして作られた鉢です。
メリット
- 非常に軽量です。
- 透水性や通気性が他の鉢と比べて圧倒的に良いです。
- ↳そのため鉢底石も不要です。
- 紙は経年で分解され根も側面から突き出るためそのまま植え替えが出来ます。
デメリット
- 乾燥しやすいです。
- 側面にカビや苔が生えることがあります。
- ↳経年で分解されます。
- ↳そのため移動しようと持ち上げると鉢が崩れる場合があります。
ガラス鉢
ガラス鉢とはガラスで作られた鉢です。ガラスのため透明感があり、汚れにくく清潔感がある所が特徴ですが、基本的に鉢穴はついていないため育てられる植物は限定されます。
メリット
- 透明感があり非常にオシャレです。
- ガラスのためカビやコケが生える心配がなく清潔です。
- ↳そのためお部屋で植物を育てる際によく利用されます。
- 通気性がなく湿度がたまりやすいため多湿を好む植物などのためにテラリウムとして利用される事もあります。
デメリット
- 透水性や通気性がなく、また鉢穴も基本的にないため育てられる植物は限られます。
- ↳乾燥に強い植物や多湿を好む植物、水性植物等です。
- 素材がガラスのため強い衝撃に弱いです。
セメント鉢・コンクリート鉢
セメント鉢とはセメントで造形された後に固められて作られた鉢です。
- 素焼きと違いセメントを溶いて型に流し込むと作れるため、DIYで自分好みの形の鉢が手作り出来ます。
- 壁面がコンクリートだったりするとセメント鉢との一体が出てオシャレさも出ます。
デメリット
- セメントが非常に強いアルカリ性(PH12~13)のため、アルカリ性を嫌う植物は上手く育たない可能性があります。
- 非常に重いため扱いにくいです。
- 大きな鉢を作ると処分に困る場合があります。
自然素材の鉢
自然素材の鉢とは軽石や流木や岩石などの自然素材をそのままいかして利用される鉢です。メリット・デメリットは自然素材の特性に由来します。
プランター(植木鉢)のサイズと容量
プランターのサイズを表す表記は様々ありますが、一般的には口径の大きさから「号」の単位で表記されます。その他にも号で表せない場合は「小型」「中型」「大型」と表記されたり、「高さ×幅×奥行」等が表記されていたり、容量まで表記されている場合もあります。
プランターの「号」とは鉢の口径を表す数字で、数字が1つ増えるごとに鉢の口の直径が3cm大きくなります。例えば、プランターが9号鉢だった場合は「3cm × 9号 =27cm(口径)」となります。
プランターの容量とは、プランターの中に入れる事が出来る用土の量です。プランターの容量を知る事で、必要な用土の量を知る事が出来ます。プランターには容量が表記している場合もありますが、自分で計算する事が出来ます。また表を参考にして用土を購入する事も出来ます。ただしプランターは千差万別で内寸幅に差があったり、内寸の上下で幅が違う(円錐台)等するため表にある容量も参考にしかなりません。あくまで目安として利用出来ます。
プランターの容量の計算方法
プランターに入れる土を計算する際は、鉢底石を入れたり、ウォータースペースをあける必要があります。そのため計算して出した容量の約6~7割を必要分の用土として計算します。※おおよその容量を求める際にご利用下さい。
1L=1000cm3
箱型(ボックス型)
高さ(cm) × 幅(cm) × 奥行(cm) ÷ 1000 × 0.6(~0.7) = 〇〇L
円柱型
半径(cm) × 半径(cm) × 3.14(π) ÷ 1000 × 6(~0.7) = 〇〇L
号数 | 直径 | 容量目安 |
---|---|---|
3 | 9cm | 約0.3L |
4 | 12cm | 約0.6L |
5 | 15cm | 約1L |
6 | 18cm | 約2.2L |
7 | 21cm | 約3.5L |
8 | 24cm | 約5.1 |
9 | 27cm | 約7.3L |
10 | 30cm | 約8.4L |
11 | 33cm | 約10L |
12 | 36cm | 約14L |
使い方の例
12号鉢の標準鉢で植物を育てます。おおよそ14L(目安)の培養土を必要とするため20L入りの培養土を購入します。
ポット苗の定植手順
- 苗の定植に必要な物を準備する。
- ↳ポット苗・培養土・鉢底石(軽石等)・プランター・スコップ
- プランターに大小様々な軽石を敷き詰める(布鉢・紙鉢は不要)
- ↳鉢底石を入れる深さは鉢の深さの5分の1程度です。
- プランターの中に培養土を少し入れる。
- ポット苗を培養土の上に乗せて高さを調節します。
- ↳苗の高さは鉢の縁から2(~3)cm下です。
- ↳何故ならウォータースペースをあけておかないと水をかけた時に溢れるからです。
- 高さが決まったらポットから苗を取り出します。
- ↳根鉢の状態により根を崩すか崩すさないかきめましょう。
- ↳根が少ない場合もしくは移植を嫌う植物の場合は崩しません。
- ↳根がぐるぐる回っている場合は下部分を解しましょう。
- 苗を培養土の上に置き苗の肩部分に合わせて培養土を入れましょう。
- ↳植物によっては深植え(クレマチス等)や浅植え(過湿が苦手な植物等)を好む植物もありますが、基本的には標準植えです。
- 培養土を隙間なく入れたら一度たっぷり水やりを行いましょう。
- 水がひくと隙間のあった空間にも培養土が入るため量が減るはずです。
- ↳苗の肩部分まで培養土を再度いれてあげましょう。