庭に蝶々を呼ぶためには「蜜源」「食草」「空間」の3つが大切な要素です。
蜜源となる花をおくことで蝶々が遊びに来るようになりますが、蝶々毎に好む花色が違い、また花の高さによっても来る蝶々の種類がことなるため様々な花を植えて上げる必要があります。また蝶々を1年を通して呼ぶためには食草も必要です。食草はアゲハ蝶はミカン類やサンショウ類、ヤマトシジミであればカタバミの葉と好む食草がことなるため理解した上で植えて上げることが必要でしょう。また蝶々の羽はとても傷付きやすく壊れやすいため薮のよう障害物の多い場所は好まず、開けた空間のあるお庭を好みます。
これを考慮してお庭づくりすれば蝶々が毎日遊びに来るような素敵なお庭になるでしょう。
- 花を選ぶポイント
- 様々な花色の花を植える
- 植栽する花の高低差をつける
- 原種に近い花を使う
- 花を絶やさない
一般的に殆どの蝶々は「赤色」や「紫色」や「黄色」や「白色」等の花色を認識して花の蜜を吸いにきますが、モンシロチョウでは赤色が認識出来ない様に1部蝶々では花色によって吸蜜しに来ない色があります。
そのため一つの色ではなく様々な色の花を植える事が大切です。また1部花には花蜜標識(ネクターガイド)と呼ばれる紫外線で見れる印があり、これを参考に昆虫が花蜜を探す事もあります。
蝶々は種類により普段飛んでいる高さが異なります。食草が高い所にあるアゲハ蝶等は比較的高所を飛翔していますが、逆に食草が低い所にあるモンシロチョウやシジミチョウ等は低い所を飛翔しています。蝶々の飛翔の高さによってフォーカスされる花がことなるため様々な高さの違う植物を植える事も大切です。
品種改良された花は、人が感じる美しさだけが追求され昆虫が求める花蜜が少なくなっている事があります。花を選ぶ際は原種に近いものを選ぶと花蜜が多く蝶々に好まれる事があります。
花が咲いてないと蝶々がなかなか訪れなくなります。蝶が活動する3月から11月頃まで一年生植物や多年生植物、低木等を織り交ぜて花がたえないようにしましょう。
①ランタナ(カマラ)
ランタナカマラは別名シチヘンゲとも呼ばれ花の中央から外側に向かい色変わりする花です。開花期間が6月から11月頃までと長く殆ど休みなく咲き続けます。またアゲハやツマグロ、シロチョウ等の種類を問わず多くの蝶を惹き付けるためバタフライガーデンにおいては欠かせない植物です。一方で受粉後に出来る種は家畜や人に対して有毒なため国際自然保護連合の種の保全委員会では侵略的外来生物ワースト100に選ばれています。現在はブルーミファイ等の種を付けないランタナがあるため、そちらを選んで植栽するのもいいでしょう。
②三尺バーベナ
三尺バーベナは草丈が高くアゲハ蝶の訪蝶率がとても高い花です。開花期間が6月~11月までと長く殆ど休みなく咲き続けます。また非常に丈夫で夏の暑さや冬の寒さで枯れる事は殆どありません。多くのバタフライガーデンでも植栽されています。
③ブットレア
ブットレアは別名バタフライブッシュ(蝶々の茂み)とも呼ばれ、香りの良い小花を円錐状の穂状に咲かせる低木植物です。名前からも分かる通り蝶々や花蜂に非常に人気が高くバタフライガーデンにおいて欠かせない蜜源植物です。
④エキナセア
エキナセアは別名パープルコーンフラワーとも呼ばれ蝶を惹き付ける花として知られる多年草です。開花期間は7月~10月、花色が豊富にあり舌状花と硬く長い筒状花をもちます。
⑤ペンタス
ペンタスは開花期間がとても長く、丈夫で育てやすい花です。アゲハチョウやツマグロヒョウモン等が好んで訪蝶します。
⑥アベリア
アベリアは開花期間が長く、丈夫で育てやすい低木です。アゲハチョウやツマグロヒョウモン等が好んで訪蝶します。
⑦ルドベキア
ルドベキアは、人間には見えない美しい花蜜標識(ネクターガイド)をもっており、紫外線を感受できる蝶や花蜂を惹き付けます。
⑧ジニア(百日草)
百日草(ジニア)は開花期間が長く、丈夫で育てやすい一年生植物です。アゲハチョウやツマグロヒョウモン、モンシロチョウ等が訪蝶します。
⑨マリーゴールド
マリーゴールドは開花期間がとても長く、丈夫で育てやすい一年生または多年生植物です。アゲハチョウやモンシロチョウ等、蝶種を問わず訪蝶します。
⑩アガスターシェ
アガスターシェは蜜源植物としてとても優秀な花です。開花期間中はモンシロチョウやツマグロヒョウモン、花蜂等がひっきりなしに訪問しにきます。
蝶々は夏場の暑い時期になると体温調節や給水のために、水たまり等に水を吸いに訪れる姿をよく見かける様になります。
庭にも給水場所を置いてあげると、蝶々がそこで給水しに訪れてくれる様になるでしょう。給水場所は鳥の水浴びする場所の様に水で満たされたプールを用意する必要はなく、皿などに川砂を入れ水で湿らせておくだけで大丈夫です。必要に応じて水を追加してあげましょう。
食草は蝶々毎に限られており、アゲハであればミカンやサンショウ等の低木、キアゲハであればセリやパセリ等の草本植物、シロチョウであればアブラナ科植物やマメ科植物等ことなります。これらを庭に植えておくことでメスの蝶々が卵産むために訪蝶する様になり、卵から幼虫、成虫まで蝶々のライフステージを全てカバーするお庭になります。
アゲハチョウ | シロチョウ |
シジミチョウ | タテハチョウ |
チョウ類で最も大きく色鮮やかな翅色と、高い飛翔で優雅にひらひらと飛ぶ姿から愛好家が最も多い蝶々です。
観察時期:4月~11月
成虫:35〜60mm
花:三尺バーベナ/ランタナ/ブットレア/エキセアナ/アザミ/ペンタス/アガスターシェ/ツツジ等
食草:サンショウ/イヌザンショウ/カラスザンショウ/柑橘類
観察時期:4月~11月
成虫:35〜70mm
花:三尺バーベナ/ランタナ/ブットレア/エキセアナ/アザミ/ペンタス/アガスターシェ/ツツジ等
食草:セリ/ミツバ/ニンジン/パセリ等
生息地域:全国
環境:人家/公園/森林等
タテハ蝶は翅色が濃く、ゴツゴツとした見た目のものが多く男性的イメージをもたせる蝶です。前足は退化して短く普段は4本足でとまる。
シロチョウは白地や黄色地の優しい色合いの翅をもつ、やや小型のチョウです。庭では複数の個体が同時に見られることも多く、賑やかにしてくれますが。農家にとっては農作物を食い荒らす大害虫の嫌われ者として扱われる事もあります。
シジミチョウはお庭で最も見かける事の多い蝶です。非常に小型で、色合いや模様が豊富にあります。