水やり(灌水)とは、植物の成長を助けるために人為的に水を与えることです。植物は成長の為に大量の水を必要としますが、人為的な環境では水が不足する事もあり、そのような時に必要な作業が水やり(灌水)になります。
このページでは、季節・植物の種類・生育の状態・土壌の乾きなどで変化する水やりの仕方のコツ、水やりを簡単にする方法、水やりを行う時の守るべき注意点などを紹介しています。植物に水やりを行う際の参考にしてみてください。
■水やりのスケジュール
水やりのスケジュールとは、植物の種類・生育期間・休眠期などを考慮しながら、ライフサイクルに合わせて水やりの量(頻度)などを計画することです。植物の成長期や休眠期などを調べて水やりのスケジュールをつくる事で、植物の健康な成長を促進することができます。
春(3月~4月)
植物の多くが茎・葉を伸ばして活発に成長します。そのため、たくさんの水を必要とします。
水やりの方法
- 草花:土の表面が乾いたらたっぷりの水を与える。
- 庭木・花木:土の表面または表層が乾いたらたっぷりの水を与える。
- 観葉植物:土の表面が乾いたらたっぷりの水を与える。
- 多肉植物:土の表層が乾いたらたっぷりの水を与える。※水を欲しがる種類は表土が乾燥したら与える。
夏(6月~8月)
夏に入ると気温は30度を超える日も多く、暑さに強い植物以外は、成長が停滞したり、成長が完全に止まり休眠したりします。そのため、植物の種類により水やりの頻度などが変わってきます。
水やりの方法
- 草花:生育期(~生育緩慢期)の植物は土の表面または表層が乾いてきたら水を与える、 休眠期の植物は土が乾かない程度に湿らせて乾燥気味に管理する。
- 庭木・花木:土の表面または表層が乾いたらたっぷりの水を与える。
- 観葉植物:土の表面が乾いたらたっぷりの水を与える。
- 多肉植物:夏型の多肉は土の表層または表面が乾いたら水を与える、春秋型の多肉は生育緩慢になるため土の表層または鉢内が乾燥したら水を与える、冬型の多肉は休眠するため水やりを止めて葉水を与える。
秋(9月~10月)
植物は春と同様に成長を始めるため、植物の成長に合わせてたくさんの水が必要になります。一方で冬の低温期に向けて耐寒性を上げるために、秋頃から水を与える量を減らしハードニング(cold hardening)がされる事もあります。※細胞内の水分が減ると細胞液の濃度が上がり、凍結しにくくなるため、細胞の損傷を抑えられる。
- 草花:土の表面が乾いたらたっぷりの水を与える。※耐寒性が弱い植物は、耐寒性を上げるために冬に入る数週間前から水の量を減らして順応させる事があります。
- 庭木・花木:土の表面または表層が乾いたらたっぷりの水を与える。
- 観葉植物:土の表面が乾いたらたっぷりの水を与える。
- 多肉植物:土の表層が乾いたらたっぷりの水を与える。※水を欲しがる種類は表土が乾燥したら与える。
冬(11月~12月)
冬に入ると多くの地域は、低温または氷点下を下回る温度になるため、植物の成長は緩慢になり、また多くの植物は休眠します。そのため、成長のための水分が殆ど必要なくなり、水やりも減らして乾燥気味に管理されるのが一般的になります。
- 草花:生育期(~生育緩慢期)の植物は土の表面または表層が乾いてきたら水を与える、 休眠期の植物は土が完全に乾かない程度に湿らせて乾燥気味に管理する。
- 庭木・花木:生育期(~生育緩慢)の植物は土の表層が乾いてきたら水を与える、休眠期の植物は土が乾かない程度に湿らせて乾燥気味に管理する。
- 観葉植物:土の表面または表層が乾いたらたっぷりの水を与える。
- 多肉植物:春秋型の多肉は生育緩慢になるため土の表層または鉢内が乾燥したら水を与える、夏型の多肉は休眠するため水やりを止めて葉水を与える、冬型の多肉は土の表層または表面が乾いたら水を与える。
■水やりのタイミング
水やりのタイミングとは、植物が水を欲しがるタイミングを見つけて、水やりをすることです。
植物が水を欲しがるタイミングは”土壌の乾き具合”や”植物の種類(耐乾性)”や”生育の状態”などにより変化します。そのため、植物に水をやる時はこれらの状況を観察しながら水を与えることが大切になります。
●土壌の乾き具合
土壌の乾き具合とは、土が乾いているか湿っているかの状態を見ることです。植物の水やりは、土壌の乾き具合を確かめて行うことが大切になるため、土壌の乾燥の確認方法を知っておく事は大切になります。
土壌の表面が乾燥
土壌の表面とは、土壌の最も上の部分にあり、土壌の表面の乾燥とは最も上の部分が乾燥していることです。
土壌の表面が乾燥したタイミングで、水やりが行われる植物は、一般的に耐乾性が普通の植物や、また耐乾性が弱い植物になります。
乾燥の確認方法
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみて、土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
土壌の表層が乾燥
土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
土壌の表層が乾燥したタイミングで、水やりが行われる植物は、一般的に耐乾性の強い植物になります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
●耐乾性
耐乾性とは、植物が乾燥に耐える能力の事をいいます。耐乾性は乾燥に対する耐性の能力の度合いで「強い」「普通」「弱い」と表現されており、耐乾性の違いで水やりの頻度などが変わってきます。
- 耐乾性が強い
- 耐乾性が普通
- 耐乾性が弱い
耐乾性が強い
耐乾性が強いとは、乾燥に強い植物になります。
主な特徴と水やり方法
- 自生地:砂漠・荒地・海岸沿い・岩場など
- 主な植物:多肉植物・サボテン・着生植物・乾生植物など
- 外観の主な特徴:植物体に毛が多く生えており霧などから水を得やすくなっている。葉が退化してなくなっていいる。茎・葉に水や養分を蓄える能力が備わっていて多肉質になっている。根が深くまで張る。
- 注意点:植物体に水がかかり、長期間濡れると真菌などの病原菌に感染して腐敗しやすい。過湿環境に弱く、根腐れを引き起こしやすい。
- 水やり方法:水やりは、基本的に土壌の表層や鉢内が乾いたタイミングで行う。一般的に乾燥気味に管理した方がよいと思われていますが、生育旺盛な時期はしっかり水を与えた方がよく、休眠期は土が完全に乾燥しない程度に管理する。
耐乾性が普通
耐乾性が普通とは、乾燥に強くも弱くもない一般的な植物になります。
主な特徴と水やり方法
- 自生地:草地・山地など
- 主な植物:一般的な草花・庭木など
- 注意点:植物の種類によって乾燥に強め弱めがあるため、植物に合わせて微調整を行う。過湿が長期間続くと、根腐れを引き起こして枯れる事もある。
- 水やり方法:水やりは、基本的に土壌の表面が乾いたタイミングで行う。ただし生育旺盛な期間と休眠期で水やりのタイミングを変える必要があり、休眠期は乾燥気味に管理をします。
耐乾性が弱い
耐乾性が弱いとは、乾燥に弱い植物になります。
主な特徴と水やり方法
- 自生地:熱帯雨林・湿地・森林の中など
- 主な植物:アジサイ・カラー・アイリス・アンスリウム・ミント・シダ植物など
- 外観の主な特徴:成長が早めで茎・葉が柔らかな傾向がある。根が浅い傾向がある。
- 注意点:乾燥すると葉が枯れて落ちたり、花が上手く咲かなかったり、生育不良になったりする傾向がある。
- 水やり方法:水やりは、基本的に土壌の表面が乾いたタイミング、または土の表面が常にほんのりと湿っている状態で管理する。※こまめな水やりができない場合は、水を受け皿に貯めておいたり、自動灌水装置などを活用する。
●生育の状態
植物の生育の状態は、ライフサイクルや季節の中で変化があり、生育期(成長期)・生育緩慢期・休眠期などに分類されます。
生育の状態で、植物が欲しがる水の量が変化するため、植物のライフサイクルや季節などで水やりの方法も変化します。
- 生育期(成長期):茎・葉・根を成長させたり、花を咲かせたり、結実させたりする期間です。成長のために沢山の水分と養分を必要とするため、水やりもしっかり行う必要があります。
- 生育緩慢期:植物の成長が緩慢になる期間です。一般的に暑さ・寒さ・乾燥で植物が成長するのに適さない季節(夏・冬)や、休眠に入る前の期間に、生育緩慢の状態になります。植物の成長は停滞して、水分もそれほど必要としなくなるため、水やりの頻度は少なくして、やや乾燥気味に管理をします。水を必要としない期間に水分を与えすぎると、根腐れを引き起こす事もあるため注意が必要です。
- 休眠期:植物の成長が停止している状態です。一般的に植物の成長が適さない季節(夏・冬)や、花を咲かせて結実した後などに休眠に入ります。植物の成長が止まるため、水やりを止めるか、または土壌が完全に乾燥しないように土壌の乾燥状態を見ながら軽く湿らせる程度の水やりを行います。
■水やりを楽にする自動灌水装置
自動灌水装置とは、植物に自動で水を与える装置です。自動灌水装置には、蛇口から直接水を補給して水やりを行うタイプと、水を容器の中に貯めておいて容器から給水して植物に水やりするタイプがあります。それぞれにメリットとデメリットがあるため環境や目的などに合わせて利用すると良いでしょう。
●容器タイプの特徴
- 安心感:水を容器に貯めておいて、そこから使用するため、水漏れからの水道代の心配をする必要がありません。
- 場所を選ばない:お部屋の中や玄関など蛇口のない場所でも利用できて手軽です。
- お手軽:基本的に植物の傍に容器を置いて使用出来るため、蛇口タイプのように長くホース(チューブ)を伸ばす必要がありません。
- 利用目的:普通はお出かけ時などの一時的な水やりの補助として利用されます。ソーラーポンプタイプで、しっかり散水出来るタイプであれば普段の水やりの代わりとして利用する事も可能です。
●蛇口タイプの特徴
- 十分な水分量:容器タイプと違い、蛇口タイプは植物の成長に必要な水分量を蛇口からいくらでも補給して与える事ができます。そのため、外出時などの一時的な水やりではなく普段から利用できます。※ソーラーポンプタイプの製品にも十分な水量を植物(土壌全体)に与えられるものもあり、また基本的に必要な水分量がすくない植物であれば容器タイプでも問題ありません。
- 高い水圧:容器タイプと比べて蛇口の水圧は高いため、たくさんの植物に一気に水やりをすることが出来ます。そのため、広い庭で散水する場合は時間短縮にも繋がります。
- 長期間の運用:蛇口にタイマー付きの本体を設置して、水やりの日時を予め設定しておけば、何もしなくても長期間に渡り水やりの運用をしてくれます。ただし、経年劣化などによる水漏れなどには注意が必要です。
- 利用目的:普段の水やりと同様の水分量を植物(土壌全体)にしっかりと与えたい場合や、広いお庭で運用したい場合などでは、蛇口タイプの灌水装置がおすすめです。
●自動灌水装置の主な製品
容器タイプ
★ソーラーポンプ式の自動灌水装置
水やり花子
- 本体は太陽光の力で動き、内蔵電池リチウムイオン18650が2本、フル充電で長期間働き、予め決められ分・時日を細かく設定する事で決まった間隔で散水が行えます。
- 蛇口は不要、水を貯めた容器から、太陽光の力で給水して、チューブを通して水が流れて、先端のノズルから散水がされます。
- メーカーの推奨では、一個の本体で10個の鉢植えの散水がおすすめされています。※浸透ノズルであれば、水圧がそこまで必要でなくなるため鉢植えの数を更に増やせるかもしれません。
- ノズルは8種類と多彩にあり、植物に合わせた適切な散水が可能です。
- 防水仕様のため屋外での利用も可能です。
ソーラー充電式で手間いらずなポンプ式自動水やり器セット
- 本体は太陽光の力で動き、またUSBにも対応、バッテリーは2000mah、フル充電で長期間働き、予め決められ日時を設定する事で1時間に1回~9日に1回と決まった間隔で散水が行えます。
- 蛇口は不要、水を貯めた容器から、太陽光の力で給水して、チューブを通して水が流れて、先端のノズルから散水がされます。
- 一個の本体で15~20個の鉢植えの散水が可能です。
- ノズルは三種類、点滴ノズル・水量調節ノズル・ミストノズルがあります。
- 悪天候に強く屋外での利用もできます。
ソーラー 散水タイマー
- 本体は太陽光の力で動き、バッテリーは2500mah、フル充電で長期間働き、予め決められ日時を設定する事で0.5日・1日・2・3・5・7日時間毎に決まった間隔で散水が行えます。
- 蛇口は不要、水を貯めた容器から、太陽光の力で給水して、チューブを通して水が流れて、先端のノズルから散水がされます。
- 一個の本体で15個の鉢植えの散水が可能です。
- 水かけモードは15種類から選択可能です。
- IP68防水防塵仕様のため屋外の悪天候にも対応します。
ZHHML 太陽エネルギー点滴灌漑
- 本体は太陽光の力で動き、バッテリーは2200mah、フル充電で15~20日働き、予め決められ時間の設定をする事で、決まった間隔で散水が行えます。
- 蛇口は不要、水を貯めた容器から、太陽光の力で給水して、チューブを通して水が流れて、先端のノズルから散水がされます。
- 一個の本体で50個の鉢植えの散水が可能です。
- ノズルは一種類、ドリッパーと呼ばれる水を出す部分を、土の中に突き刺して、根元に点滴灌水をおこないます。
自動灌水装置
- 本体は太陽光の力で動き、バッテリーは2200mah、フル充電で長期間働き、予め決められ日時を設定する事で12時間または24時間毎に決まった間隔で散水が行えます。
- 蛇口は不要、水を貯めた容器から、太陽光の力で給水して、チューブを通して水が流れて、先端のノズルから散水がされます。
- 一個の本体で15個の鉢植えの散水が可能です。
- ノズルは一種類、ドリッパーと呼ばれる水を出す部分を、土の中に突き刺して、根元に点滴灌水をおこないます。
- IP67防水防塵仕様のため屋外の悪天候にも対応します。
NFESOLAR 自動散水タイマー
- 本体は太陽光の力で動き、予め決められ6つの水やりモードを設定をする事で、決まった間隔で散水が行えます。
- 蛇口は不要、水を貯めた容器から、太陽光の力で給水して、チューブを通して水が流れて、先端のノズルから散水がされます。
- 一個の本体で15個の鉢植えの散水が可能です。
- ノズルは一種類、ドリッパーと呼ばれる水を出す部分を、土の中に突き刺して、根元に点滴灌水をおこないます。
★動力なしの自動灌水装置
留守宅自動給水やり機
- 蛇口は不要、給水はペットボトルまたはバケツなどの容器に水を入れて、そこから毛細管現象を利用して、植物への給水が行われます。※大きい容器を使えば給水期間が長くなる。
- 給水の速度は一分間に約2滴、1日で約60~80ccです。
鳥型 自動水遣り器
- 蛇口は不要、透明感ある鳥型の可愛い容器の中に水を貯めておき、土壌中の水分が不足した時に滴下が早くなり濡れていると遅くなる仕組みがあり、自動で水が排出されて植物への給水が行われる。
蛇口タイプ
自動水やり機 遠隔操作版
- 蛇口は本体(タイマー)を付けて、予め決められ曜日や時間を設定する事で決まった間隔で散水が出来て、または専用アプリを使うことで遠隔操作をして何時でも散水ができます。
- 本体は単三アルカリ電池四本で半年から一年使用可能です。
■水やり時の注意点
水不足
水不足とは、植物が生きるのに必要な水分が足りていない状態です。
水不足の症状
- 生育不良:吸水量が少なくなると蒸散を抑えるため、気孔を閉じて呼吸の量が減り、二酸化炭素が取り込めなくなって光合成を行うことが出来なくなります。そのため、成長が止まり生育不良になります。
- 開花:蕾が開く時には一般的に多くの水分と栄養が必要になります。水分不足がおこると、蕾が開くのに時間がかかり株全体の花数が減ったり、蕾が開かずに落ちたり、花が小さくなってしまったりすることがあります。
- 茎・葉の萎れ:細胞の脱水がおこり萎れてしまいます。
- 枯れ:水分があるレベルを超えて失われると細胞が死んでしまい、茎や葉の一部または植物全体が変色して枯れてしまいます。
- 複合ストレス:乾燥ストレス状態では、熱ストレス・紫外線ストレス・栄養欠乏ストレス・強光ストレス・病原体ストレスにも弱くなるため、複合ストレスとして様々な症状を引き起こす可能性があります。
水不足の対策
植物と環境に合わせて適切な量の水やりを行います。
過湿
過失とは、土壌の水分量が多くなっている状態です。
過湿の症状
- 低酸素:土壌中の酸素が極端に減るため、根が呼吸出来なくなり、根腐れを引き起こします。
- 根腐れ:植物根が腐敗してしまい、水分や養分を吸収出来なくなっている状態です。そのため、植物は水不足・栄養不足の症状が出たり、またそれが原因で枯れてしまったり、真菌などの病気の感染源となってしまったりします。
- 土壌の還元化:土壌中の酸素が少なくなると微生物の種類が好気性から嫌気性に変化して、還元物質が溜まり還元状態になる。そのため、有毒な物質が増加して植物に悪影響を及ぼす場合がある。
過湿の対策
- 排水性の改善:降水の後などに周囲から水が集まり溜まる場所、溜まった水が排水されない場所では、過湿が長期間続くことがあります。そのため、排水溝をつくったり、暗渠をつくり排水性を改善しましょう。
- 土壌改善:土壌が粘土質だったりして保水性の高すぎると、土壌が乾きにくくなり過湿になります。そのため、土壌の診断を行い通気性・排水性を改善する土壌改良材を入れることが大切です。
- 適切な灌水:植物と環境に合わせて適切な量の水やりを行うことで、過湿を防ぎます。
水やりの量
一度に与える水やりの量は、休眠中などをのぞいて、基本的にたっぷりと与える必要があります。一度に与える水やりの量がすくないと、様々なデメリットが
一度の与える水量を多くする理由
- 根張りの促進:一度に与える水の量が少ないと根が浅い場所に集まり、根が深くまで張らなくなるため、環境が変化して乾燥が続くと水不足におちいりやすくなります。一度に与え水の量を増やすと、根は水を求めて深くまで伸びて、また根の隅々まで水が行き渡るようになるため乾燥に強くなります。
- 空気の入れ替え:水やりの際に、たっぷり水を与える事で、土中の古い空気が水と一緒に押し出されて、新鮮な空気(酸素)と置き換わります。根は酸素がないと窒息して根腐れをおこしますが、新鮮な酸素があると根は呼吸を活発におこない、成長が著しくよくなります。
- 老廃物の洗い流し:土の中は肥料が蓄積して塩類濃度が高まったり、植物の老廃物が蓄積したりして、植物の健康な成長を阻害することがあります。水やりの際に水をしっかり与える事で、これらの有害な物質が押し流されるため、土壌がリフレッシュされて植物が健康に成長します。
- 乾燥防止:一度に与える水の量がすくないと、土壌の表面から水分が蒸発するだけになり、また鉢内の水分まで上方向に上げて蒸発させてしまい乾燥を早める結果になります。そのため、水をあたえる場合はしっかりと与える必要があります。
- 塩類の蓄積防止:一度に与える水の量がすくないと、肥料などに含まれている塩類が土の表面に集積して、土壌がアルカリ性に傾くこともあります。蓄積を防ぐために、水やりの際には十分な水量を一度に与える必要があります。
水やりの頻度
水やりの頻度とは、植物に水を与える間隔になります。水やりの頻度は、植物の種類と状態、土壌の状態に合わせて行いますが、基本的には湿潤と乾燥を繰り返す事が大切です。
水やりの回数を増やすと、植物の根は土壌の表面に集まるため、適切な根群を発達させなくなります。そうなると、 植物は簡単に水不足に陥りやすくなり致命的なダメージを受けやすくなります。
水やりの頻度を適切におこない、湿潤と乾燥を繰り返す事で、根は水を求めて深くまで伸びて行くため、植物は大きく成長しやすく、また乾燥にも強くなります。
水やりを行う時間帯
水やりを行える時間帯は、朝・昼・夕・夜にわける事ができますが、原則的に水やりは朝に行うことが基本です。
なぜなら、朝は植物が光合成や呼吸(蒸散)を活発におこない水を失うため、沢山の水分が必要になるからです。
水やりの時間帯による違い
- 朝:気温が上がり始めて植物は活動を初めて、呼吸や光合成を行い、水分をたくさん必要とします。そのため、朝は水やりに最も適している時間帯になります。
- 昼:植物は昼間も活発に活動しているため、土壌が乾燥している場合は時間帯にこだわらず直ぐに水やりが必要です。ただし、夏の日中に水やりを行うと土壌の熱が水に伝わりお湯になって植物の根が蒸れてしまい根腐れを引き起こす原因となったり、植物にかかった水が温度差や水滴のレンズ効果で障害を引き起こすことがあります。そのため、どうしても夏場の昼間に水やりを行う場合は、いつもよりも多めに水を与えて、土壌や植物を冷やす気持ちで多めの水やりしましょう。
- 夕:気温が下がり始めて植物は活動を抑えて蒸散や光合成が減退していき、水分をあまり必要としなくなります。また夜間まで水分が過剰に残っていると、光合成で生成した糖のある場所に水が引っ張られて、茎が徒長しやすくなったり、ジメジメとし状態が長く続いてしまい根腐れを引き起こしたり、病原菌の繁殖をおこしやすくなります。そのため、基本的には夕方に水やりは行いません。ただし、夏場は乾燥しやすく朝に水やりをしても、夕方になると土壌の水分がなくなることもあるため、植物によって変わりますが、朝夕に2回水やりが必要になることもあります。
- 夜:植物の活動は減退するため水分はほとんど必要としません。夜は夕方と同様に水分が過剰に残っていると、徒長しやすくなったり、根腐れのリスクが上がったり、病原菌が繁殖して病気にかかるリスクがあがります。そのため、夜に水やりするのは控えましょう。
植物に水をかけない
水やりは、基本的に植物にかけないように、土に直接おこないます。また土に水をかける際も、泥はねがおこらないようにする事が大切です。
植物に水をかける場合も幾つかあり、夏の暑い時期に植物の温度を下げる目的で茎・葉に散水したり、ハダニ予防の目的などで葉水がされる事もあります。
ただし基本的には、花に水がかかって傷んだり、植物の細胞と水の温度差で障害をおこしたり、茎・葉についた水滴から真菌などが増殖・侵入してきて植物が病気にかかる原因になったりするため、植物に水がかからないように水を与える事が大切です。