植物の形態とは、植物の根・茎・葉・花・果実・種子などの器官や構造のことをさしています。
ここでは、植物の根・茎・葉・花・果実・種子の器官や構造の名称や特徴などを写真やイラスト付きで紹介しているため、植物を観察する際などに利用しやすくなっています。ご活用ください。
■根の形態
根とは、水分や養分を吸収したり、植物体を支える働きを持っている植物の器官の一つで、分布している場所により地中根・気根・水中根の三種類に分類されています。
ここでは根を地中根・気根・水中根に分類して、更にそれぞれ細分類しながら写真付きで特徴などを紹介しています。
- 地中根(terrestrial root):土中にある根です。
- 普通根(ordinary root):形態的・機能的に通常の見た目と働きをする根です。定根および不定根も分類されます。
- 定根(root):幼根が発達して太く伸びた主根と、主根から生じる側根を合わせた根です。
- 主根(main root):種子が発達して幼根が主軸として伸びて太く発達した根です。
- 側根(lateral root):主根の側方に生じた根です。
- 不定根(adventitious root):幼根以外から生じる根です。茎の節から生じる根、ひげ根などがこれに分類されます。
- ひげ根(fibrous root):主根の成長が早期に止まり、不定根が発達して、ひげ状の根となったものです。主根と側根の区別がありません。
- 定根(root):幼根が発達して太く伸びた主根と、主根から生じる側根を合わせた根です。
- 貯蔵根:地中根が肥大・変形していて、肥大した根の中にデンプンやイヌリンなどの養分や水分を蓄えている特殊な根です。
多肉根(succulent root):主根(一部は肧軸)が肥大したもので、大根や人参などで見られます。
塊根(tuberous root):根が塊状に肥大していて、栄養繁殖に役立ちます。主にダリアやさつまいも等で見られる。
牽引根(traction root)・収縮根(contractile root):ユリやグラジオラスなどの生育初期の子球から生じる不定根で、不定根が伸長した後、乾燥期に収縮することで子球を地中に引き込む働きがある根です。
- クラスター根(cluster root)・プロテオイド根(proteoid roots):短い側根がブラシ状に密生して発達しており、リン酸が欠乏した土壌でリンを効率よく吸収する仕組みを持っている根です。主にヤマモガシ科の植物で見られますが、マメ科・クワ科・ヤマモモ科などでもこの根が発見されている。
- 普通根(ordinary root):形態的・機能的に通常の見た目と働きをする根です。定根および不定根も分類されます。
- 気根(aerial root):茎から空気中に伸びだした根です。
付着根(adhesive root):ツル植物などの地上茎から生じる気根で、気根が他物に付着する事で植物体を支える働きがあります。
支柱根(prop root):支柱根は地上部の茎から生じて、地面の方に垂れ下がって伸びる根です。支柱根が地面に到達すると、地中で普通の機能を持った根になり、地上部に露出している根は棍棒のようになって地上部の植物体を支える役目をします。※一本の木から複数の支柱根が伸びる事があるため、単体の木で森のような外観をつくる事があります。
保護根(protecive root):地上茎から多数の気根が生じて、絡み合いながら厚い層をなして、茎を覆う形態をもっている気根です。保護根は茎の保護や水分保持、支柱のように支える役目をもっています。
呼吸根(respiratory root):地上部に根の一部を露出させて、露出した根で呼吸を行い酸素を取り込む働きをする気根です。主に湿地などの地中に酸素が乏しい環境で自生している植物で見られる根になります。
吸水根(absorptive root):降雨時や霧が出た時などに、空気中の水分を吸水する役目をもっている気根です。主にランなどの着生植物でよく見られ、根の表面が根被と呼ばれる綿状の組織で覆われています。
板根(buttress root):横走する根の背面が局所的に肥大して屏風のようになっており、板根の下端は切れていて、ほとんど下に伸長せず地面に単に乗ってることが多い根です。板根の役割は木を支えて倒伏を防いでいると考えられています。
寄生根(parasitic root・Haustorial roots):寄生植物が、宿主の体内に根を差し込んで水分・養分を奪い吸収する働きを持っている根です。
- 同化根(assimilation root):同化根は葉緑体を含んでおり、葉の代わりに光合成を行います。同化根はクモランなどの植物で見られ、茎・葉が発達しておらず、根の形が扁平または棒状になって、色は緑色をしています。
- 根針(root spine):地上茎から生じる硬い針のような根です。根針はクリオソフィラ(Cryosophila) などで見られます。
水中根(aquatic root):水中の中で伸びている根です。水中根は植物体を支える働きはせず、吸水を行います。根毛や根冠は発達が悪かったり、ない場合があります。
■茎の形態
茎とは、葉・花・果実を支える働き、水・養分・光合成産物を茎の中にある維管束を通じて各所に運ぶ働きがある器官です。
●茎の働き
- 器官の保持:葉・花・果実を支えて持ち上げる働きがある。
- 輸送機能:茎の中にある維管束(木部・師管)を経由して、根から水や無機養分を各所に輸送したり、光合成産物の有機養分を根・花などの各所に輸送したりします。
- 貯蔵:一部の植物は茎の中に栄養素を貯蔵します。
●節と節間
- 節:葉芽・花芽・不定根・まきひげ等を発生させる部分です。
- 節間:節と節の間を隔てる部分です。
●幹と枝(側枝)
- 幹(trunk):木の主軸となる地上から伸びた太い茎で、分枝する枝などを支えます。
- 側枝(lateral branch):木本の幹や草本の茎から出る枝です。
- 枝(branch):幹から分枝した茎です。幹から派生した茎全般をさしており、腋芽・不定芽が発達したものが枝になります。
- 一次側枝:幹や茎から直接でる一番目の枝です。
- 二次側枝:一次側枝から 分枝する枝です。
- 当年枝・一年枝:春以降に伸びた新しい枝で、冬を越したら二年枝になります。
- 前年枝・二年枝:前年に伸びて冬越しをした枝で、また春から翌年の冬越しまでの期間が前年枝の範囲になります。
●長枝と短枝
- 長枝(long branch):最も一般的な枝で、節間が長い。
- 短枝(short branch):節間が著しく短く短縮した枝です。
●樹皮
- 樹皮(bark):幹・枝・根の器官の最も外側にあり、周皮(コルク皮層・コルク形成層・コルク組織)が発達した時に、古くなった最外側の表皮が枯死した部分を一般的に樹皮と呼びます。
皮目(lenticel):気孔に変わって呼吸を助ける役割を果たしており、空気の出入口となる。皮目の形は樹種によって違い、幹・枝の伸長に対して縦向きまたは横向きに裂け目が入り隆起します。
- 樹皮の模様
滑らかな樹皮:樹皮の表面が滑らかですべすべとしている。
亀甲状の樹皮:樹皮の表面が亀の甲羅のように割れる。
ひび割れ模様の樹皮:樹皮の表面が細かくひび割れる。
鱗片状に剥がれる樹皮:樹皮の表面が鱗状に剥がれる。樹皮が剥がれた時に、樹皮の内側にある周皮との色の差で鹿の子模様が出来ることがある。
短冊状に割れる樹皮:樹皮の表面が短冊状(細長い長方形)に割れる。
縦に裂ける樹皮:樹皮の表面が縦に裂ける。
割れ目が深い樹皮:樹皮の内側のコルク層がよく発達するため、樹皮の表面は隆起して深い割れ目がある。
リボン状に剥がれる樹皮:樹皮の表面が薄い帯状に剥がれる、また剥がれそうな状態です。樹皮が剥がれた時に樹皮の内側にある周皮との色の差で美しいコントラストがみられる事がある。
棘がある樹皮:樹皮の表面に刺がある。
●地上茎と地下茎
- 地下茎(subterranean stem):地中にある茎です。
根茎(Rhizome):鱗茎・球茎・塊茎のような特殊化が見られない、普通の根っこのように見える地面下にある茎です。普通の地上茎と同様に節があり、そこから芽や根を出すことができます。
- 横走根茎(horizontal rhizome):根茎が地中を横(水平)に伸びる。
- 直立根茎(vertical rhizome):根茎が地中を垂直に伸びる。
- 珊瑚状地下茎(coral-shaped stem):節の部分にムカゴを形成する。
- 尾状地下茎(scaly Rhizome):地下茎の先端で鱗片葉が形成されて、松かさのような見た目となっている。
- 念珠状地下茎・念珠茎(ringed stem):根茎の節間が膨れて念珠状になっている。
- 鱗茎(bulb):短縮茎に葉が重なり層状になっている球根です。葉の形は特殊で、肥大化していたり、変形していたりしています。
層状鱗茎・有皮鱗茎(tunicated bulb):最も外側の鱗片葉が薄皮になり、鱗茎全体を覆っている。
鱗状鱗茎・無皮鱗茎(non – tunicated bulb):鱗茎の最も外側に薄皮がなく剥き出しになっているものを無皮鱗茎と呼びます。
球茎(corm):茎が肥大化して卵状または球状になっており、外側が薄皮で包まれている球根です。一個の球茎からは複数の芽がでることもあります。
塊茎(tuber):茎が肥大化して塊状(球形・不定形)になっている球根です。球茎と似ていますが、塊茎は外側が薄皮に包まれていません。一個の塊茎からは複数の芽がでることもあります。
- 地上茎(terrestrial stem):地上にある茎です。
- 直立茎:茎がほとんど垂直に伸びる。
- 傾状茎:茎は横に張って伸びて途中で先端が立ち上がる。
- 斜上茎:茎は斜めに伸びる。
- 横臥茎:茎は直立または斜上した後に湾曲して横に倒れ地表を這う。
匍匐茎(creeping stem):茎が地表面を張って伸びるもので、節からは不定根が生じます。また広義で単に匍匐して広がる茎を呼ぶ場合もあります。
走出枝・ランナー(runner):茎は地表面を張って伸びて、先端からのみ芽や根を出して子株をつくり繁殖する。
- ツル(vine):茎は基本的に柔軟で自立せずに、他物を支えにしながら伸びる。また他物がない場合は地面を張って広がり、ツル植物が木本の場合はある程度成長するとツルが太く硬くなり自立する事もある。
- 花茎(scape):花を付けずに頂部に花のみをつける茎です。
- 花柄(pedicel):ひとつの花だけを支える柄です。
- 花梗(peduncle):複数の花を支える柄です。
●特殊な茎
短縮茎(dwarf stem):節間が極端に短い茎です。節間が短いため葉が密生して、ロゼットを形成しやすい傾向にあります。短縮茎の植物は、タンポポやキャベツやアガベなどがあります。
桿・カン(culm):茎の節以外の内部が中空になっていて、外側が比較的に硬い茎です。イネ科の竹類やイネなどで見られます。
挺幹・テイカン・コーデックス(caudex):通常はヤシやソテツなどの枝を出さずに頂部に葉を密生させる幹の部分をさしますが、
地際付近にある塊状に太くなっている茎の部分をさす事もあります。
茎針(stem spine):茎の一部が短縮して先端が尖り棘状または鈎状になったもの。主にボケやミカンなどでみられる。
葉状茎(cladophyll):茎の形状が扁平または線状で “葉” のような見た目をしており、また光合成を行い葉と同様の働きをしている茎です。サボテン類やカンキチクなどで見られ、葉状茎を持ってる植物は葉が退化している事が多いです。
多肉茎(succulent stem):茎が多肉化していて、水分や養分を蓄えており、ふつう緑色で光合成をしています。主にサボテンやトウダイグサ科の植物で見られ、葉が退化していることが多い。
偽鱗茎・偽球茎(pseudobulb):茎の節間が肥大して球形や卵形になっており、肥大した部分は貯蔵器官になっていて水分や養分を蓄えている。園芸では “バルブ” とも呼ばれており、ラン類やセロジネ属などで見られます。
帯化(fasciation):茎・根・花・果実が奇形化して、形状が扁平になったり、リボン状に波打ったり、異常に伸びたする。園芸では、植物によって商品価値が高まったり下げたりする事があり、
トサカゲイトウは帯化が普通の状態となる。
- ムカゴ(propagule):ムカゴは定芽に養分が貯まったもので、親から離脱して地面に落ちると、地面で発芽して繁殖する。
■葉の形態
●茎葉(茎生葉)と根出葉(根生葉)
- 茎葉(cauline leaf):地上茎についている葉です。
- 根出葉・根生葉(radical leaf):地際の茎についている葉で、根から生えているように見える。実際は根じゃなく地際の茎または地下茎の節から出ている。
●葉の構成

葉の構成はふつう「葉柄」「托葉」「葉身」の3つからなっており、上記の3つが揃っている葉を完全葉といいます。植物の種類によっては上記の3つが欠けている葉もあり不完全葉と呼ばれています。
- 葉柄(petiole):茎と葉身の間にあり、葉身を支える茎のような部分です。葉柄は葉身を支えたり、葉身の角度を決めたり、物質の輸送経路になる働きがあります。
- 托葉(stipule):葉の基部にあり、形状は葉状・突起状など様々です。托葉は若い芽や葉を支え保護する働きがあります。若い芽や葉を保護する働きをもっている事から、托葉は葉が展開した後は落ちる傾向があり、生育が早い段階で離脱する托葉は早落性といいます。
- 葉柄間托葉:葉柄と葉柄の間の節部分にある。
- 合成托葉:葉柄に沿って合着している。
- 葉身(blade):葉の本体と言える部分になり、一部を除いて、ふつうは扁平で広がった形をしています。葉身の部分では光合成・呼吸・蒸散などの働きをしています。
- 葉脈(vein):葉身の中に分布している維管束です。物質の輸送経路として働いています。
- 単一脈(simple venation):葉の中央に主脈(中央脈)が一本だけあり、主脈からの分枝はない。
- 二又脈(dichotomous venation):葉脈が二又に分かれることを繰り返す。
- 平行脈(parallel ventilation):葉脈は平行に並び、葉脈は分枝をしない。
- 網状脈:葉身の中で葉脈が網目状になる。
- 主脈:最も太い葉脈になり、普通は葉の中央を貫いています。
- 側脈:主脈から派生する葉脈です。
- 細脈:側脈間にある細かな葉脈です。
- 葉脈(vein):葉身の中に分布している維管束です。物質の輸送経路として働いています。
●葉序
葉序とは、茎に葉が配列する時の規則性を表しています。
互生葉序(alternate phyllotaxis):茎に葉が交互に並び、各節に1枚の葉が付きます。
- 螺旋葉序(spiral phyllotaxis):互生葉序の一種で、葉は各節に1枚、開度※1は殆ど一定で、螺旋状に配置されます。
コクサギ型葉序(orixate phyllotaxis):互生葉序の一種で、葉の配置の見た目が右・右・左・左となっており、実際は開度が180°・90°・180°・270°という周期で繰り返されている。
- 二列互生葉序(distichous phyllotaxis):互生葉序の一種で、葉は各節に1枚、開度は180°、直列線は2本となる。
- 三列互生:互生葉序の一種で、葉は各節に1枚、開度は120°、直列線※2は3本となる。
- 四列互生:互生葉序の一種で、葉は各節に1枚、直列線は4本となる。
- 輪生状:互生葉序の一種で、節間が著しく短いため輪生しているように見える。
- 偽対生:互生葉序の一種で、上下の葉の節間が著しく短いため対生しているように見える。
対生葉序(opposite phyllotaxis):茎に葉が対になって並び、各節に2枚の葉が付きます。
輪生葉序(whorled leaf):茎に葉が輪になって並び、各節に3枚以上の葉が付きます。
- 三輪生:各節に3枚の葉が付きます。
- 四輪生:各節に4枚の葉が付きます。
- 五輪生:各節に5枚の葉が付きます。
束生(fascicled):節間が著しく短いため1箇所から沢山の葉が出ているように見える。葉序は植物によって違い互生・対生・輪生がある。
ロゼット(rosette):葉が束生して放射状に広がる場合、ロゼットと呼ばれることがあります。※ロゼットの由来は葉の配列を上から見た時に薔薇のように見える所からきています。


※1:開度とは、茎と葉の位置を真上から平面に投影して、2枚の隣接する葉を茎軸を中心に繋いだ時にあらわれる角度です。
※2:直列線とは、葉の着点を繋いで線にした時に、茎軸に平行な直線となるものです。
●葉身の概形

- 楕円形(ellipticus):葉身の形は楕円形、葉身の幅は中間が最も長く、上下に極端な膨らみの差がなく、縦横比は2:1から3:2ほどになる。
- 広楕円形(late ellipticus):葉身の見た目は丸みがあり、葉身の幅は中間が最も長く、縦横比は6:5ほどになる。
- 長楕円形・狭楕円形(narrowly elliptic):葉身の見た目はほっそりとし丸みがあり、葉身の幅は中間が最も長く、縦横比は6:1から3:1ほどになる。
- 円形(orbiculate):葉身の形は円形に近く、葉身の幅は中間が最も長く、縦横比は1:1ほどになる。
- 卵形(ovate):葉身の見た目は卵に似ており、葉身の幅は中間より下が最も長く、縦横比は2:1から3:2ほどになる。
- 広卵形(broadly ovate):葉身の見た目は膨らんだ卵で、葉身の幅は中間より下が最も長く、縦横比は6:5から3:2ほどになる。
- 倒卵形(obovate):葉身の見た目は逆さにした卵に似ており、葉身の幅は中間より上が最も長く、縦横比は2:1から3:2ほどになる。
- 広倒卵形(late obovatus):葉身の見た目は逆さにした膨らんだ卵形、葉身の幅は中間より上が最も長く、縦横比は6:5から3:2ほどになる。
- 披針形・狭卵形(lanceolate):葉身の見た目はダガーに似ており、葉身の幅は中間より下が最も長く、縦横比は3:1ほどになる。
- 狭披針形(narrow lanceolate):葉身の見た目は太めの針に似ており、葉身の幅は中間より下が最も長く、縦横比は6:1ほどになる。
- 線状披針形:葉身の見た目は線のように細く、葉身の幅は中間より下が最も長く、狭披針形よりも細い。
- 倒披針形(oblanceolate):葉身の幅は中間より上が最も長く、縦横比は3:1から6:1ほどになる。
- 心形・ハート形(cordate):葉身の見た目は逆さまのハートで、葉身の基部の中央に凹みがあり、基部の外側は丸みを帯びる、葉身の先端は尖る。
- 倒心形(obcordate):葉身の見た目は可愛いハートで、葉身の基部はくさび形、基部の外側は丸みを帯びる、葉身の先端は中央に凹みがあり、先端の外側は丸みを帯びる。
- 腎臓形(reniform):葉身の見た目は丸みのあるハートで、葉身の基部の中央に凹みがあり、基部の外側は丸みを帯びる、葉身の先端は鈍形または円形になる。
- 三角形(deltoid):葉身の見た目は三角形で、葉身の幅は下部が最も広い。
- 倒三角形(obtriangular):葉身の見た目は三角形で、葉身の幅は上部が最も広い。
- 線形(linear):葉身は線を描いたように細長く、先端が針形のように尖らない、縦横比は12:1ほどになる。
- 針形(subulate):葉身の形は線形で、先端が針のように尖り、質感が硬い。
- 糸状(filiform):葉身は糸のように細く柔軟な傾向がある。
- ヘラ形(spathulate):葉身の基部が著しく幅狭になり、先端が楕円形から円形に丸みを帯びる、そのため見た目が匙(サジ)やスプーンに例えられる。
- 矢尻形(sagittate):葉身の基部の中央に凹みがあり、基部の外側はやや尖る、葉身の先端は尖る。
- 鉾形・矛形(hastate):葉身の基部の中央に若干の凹みがあり、基部の両端は横に張り出して尖る傾向がある、葉身の先端は尖る。
- 菱形(rhomboid):葉身の辺は概ね四つあり、辺の長さが同程度ある。
- 楯形(peltate):葉柄が葉身のなかほどについている。楯着とも呼ばれる。
- 鎌形(falcate):鎌のように細長く先端が湾曲した形をしている。
●分裂葉と複葉


- 分裂葉(lobed leaf):葉の中に大きな切れ込みが入り、葉身の概形が大きく変わるものです。分裂葉の切れ込みの場所は一般的に側脈を主脈に見立てるように二本の側脈の中間に入る、切れ込みの深さで浅裂・中裂・深裂・全裂の変化があり、また切れ込みにより出来た突起は部分は裂片(lobe)と言います。※分裂葉は完全に分裂していなければ、複葉ではなく単葉にあたります。
- 羽状浅裂(Pinnately lobed):葉の縁部分、側脈との間に浅い切れ込みが入る。切れ込みの深さの程度は曖昧で、凡そ主脈と葉縁の中間に達しない程度になる。
- 羽状中裂(Pinnately cleft):葉の縁部分、側脈との間に中程度の切れ込みが入る。切れ込みの深さの程度は曖昧で、凡そ主脈と葉縁の中間にある。
- 羽状深裂(Pinnately parted):葉の縁部分、側脈との間に深い切れ込みが入る。切れ込みの深さの程度は曖昧で、凡そ主脈と葉縁の中間より深く切れ込みがある。
- 羽状全裂(Pinnately dissected):葉の縁部分、側脈との間に主脈に達する深い切れ込みがはいる。
- 掌状浅裂(palmately lobed):葉の縁部分、主脈(掌状脈)との間に浅い切れ込みが入る。切れ込みの深さの程度は曖昧で、凡そ基部と葉縁の中間に達しない程度になる。
- 掌状中裂(palmately cleft):葉の縁部分、主脈(掌状脈)との間に中程度の切れ込みが入る。切れ込みの深さの程度は曖昧で、凡そ基部と葉縁の中間にある。
- 掌状深裂(palmately parted):葉の縁部分、主脈(掌状脈)との間に深い切れ込みが入る。切れ込みの深さの程度は曖昧で、凡そ基部と葉縁の中間より深く切れ込みがある。
- 掌状全裂(palmately dissected):葉の縁部分、主脈(掌状脈)との間に基部に達する深い切れ込みがはいる。
- 複葉(compound leaf):1枚の葉の中に複数の小葉(leaflet)が集まっており、小葉はふつう小葉柄があるため独立した1枚の葉のように見えます。複葉は小葉のついている位置により羽状または掌状に分かれます。※小葉が単葉か複葉の一部かは脇芽の有り無しで判断され、複葉の一部である場合は脇芽がありません。
- 羽状複葉(pinnate compound leaf):葉の中心部に葉軸があり、葉軸の左右に小葉が並ぶ。また小葉どうしは平行で等間隔に並ぶ傾向があります。
- 奇数羽状複葉(impari-pinnate):羽状複葉の頂点に頂小葉があり、小葉の合計が奇数になる。
- 偶数羽状複葉(paripinnate):羽状複葉の頂点に頂小葉が無く、小葉の合計が偶数になる。
- 2回羽状複葉(bipinnate compound leaf):羽状複葉の葉軸の左右に、さらに羽状複葉が並ぶ。
- 3回羽状複葉(tripinnate compound leaf):羽状複葉の葉軸の左右に、さらに羽状複葉が並び、さらに左右に羽状複葉が並ぶ。
- 掌状複葉(palmate compound leaf):葉柄の頂点から小葉が放射状に広がる、小葉どうしは基本的に一定の角度をもって広がる。
- 三出複葉・三出掌状複葉(ternate compound leaf):葉柄の頂点で3又に分かれて、合計3枚の小葉をつける。
- 二回三出複葉(biternate compound leaf):葉柄の頂点で3又に分かれた後に、再度それぞれの小葉柄の頂点で3又に分かれて、合計9枚の小葉をつける。
- 五出掌状複葉(palmately compound leaf):葉柄の頂点で5又に分けれて、合計5枚の小葉をつける。
- 多出掌状複葉:小葉が5枚以上になる
- 鳥足状複葉(pedately compound leaf):葉柄の頂点で3又に分かれて、そのうちの2本の葉柄が途中で2又に分かれ、合計5枚の小葉をつける。掌状複葉の一種に分類されている。
- 三出複葉・三出掌状複葉(ternate compound leaf):葉柄の頂点で3又に分かれて、合計3枚の小葉をつける。
- 羽状複葉(pinnate compound leaf):葉の中心部に葉軸があり、葉軸の左右に小葉が並ぶ。また小葉どうしは平行で等間隔に並ぶ傾向があります。
●葉の先端・基部・縁部分
葉の先端

- 円形:葉先端が丸い
- 突形:葉の先端に三角形状の突起がある
- 微突形:葉の先端に細く短い突起がある
- 鋭突形:葉の先端に細長い二等辺三角形状の突起がある
- 尾形:葉の先端に鋭突形と芒形の中間の細長い突起がある
- 芒形:葉の先端に細長い二等辺三角形状の突起がある
- 鈍形:葉先端で左右の葉縁が交差する時に角度が90°以上で鈍角になり丸みがある
- 鋭形:葉先端で左右の葉縁が交差する時に角度が90°未満で先細りしない
- 切形:葉先端は途中で切り取られたような見た目をしている
- 凹形:葉先端に凹がある
- 小凹形:葉先端に小さな凹がある
- 咬歯状:葉先端は途中で切り取られ獣に食いちぎられたようにギザギザしている
葉の基部

- 鈍角
- 鋭形
- くさび形
- 漸尖形
- 円形
- 心形
- 切形
- 鉾形
- 矢尻形
- 耳形
- 斜形
●葉・葉柄・茎の特殊な付き方
抱茎(amplexicaular):葉柄または葉身の基部が広くなり、茎を抱くようについている。
沿着(decurrent):葉身の基部がしだいに狭まり、葉柄や茎に沿って続いている。
突き抜き(perfoliate):茎が葉身の中ほどを貫いている。
盾着(peltate):葉柄が葉身のなかほどにつく。一般的な葉は葉柄が葉身の基部につく縁着(marginal)です。
●特殊な葉
- 子葉(cotyledon):発芽後に初めて作られる葉っぱです。子葉の最初は種の中にあり、胚乳のない種子では子葉の中に蓄えているデンプンなどの栄養で植物の初期生育を助ける働きがあります。
- 鱗片葉(bulb scale):普通の葉と違う変態葉※1が、比較的に小さくて多数ある場合に鱗片葉と呼ばれることがあります。鱗片葉は芽・球根・地下茎・シュート・枝などについていることが多く、熱や物理的な衝撃から守る働きがあります。
苞(bract):一個の花の基部にあり花芽を保護する働きがある変態葉※1で、普通葉と基本的にサイズ・形・色の見た目が違います。苞と普通葉のサイズ・形・色が全く同じ場合は基本的に苞と呼ばれません。苞は花芽を保護する以外にも、花弁のように大きく目立つ色をしていることも多いため、虫媒花において虫を引き付ける働きをもっている事もあります。※苞は一般的に一個の花を保護しますが、広義では花序の基部にある変態葉も総苞と同様に苞と呼ぶことがあります。
浮葉(floating leaf):水生植物で見られる、水面に浮かんでいる葉です。スイレン属やオオオニバス属などの植物で見られます。
- 水葉(water leaf):水生植物で見られる、水中にある葉です。別名では沈水葉や水中葉とも呼ばれます。
葉巻きひげ(leaf tendril):ツル植物でよく見られる変態葉※1で、葉(托葉・葉柄・小葉・葉身)の一部が紐状で他物に巻き付きます。
葉針(leaf spine):葉の全体または一部が硬い棘に変化したものです。サボテン科の植物やメギでよく見られます。
捕虫葉(insectivorous leaf):食虫植物で見られる変態葉※1で、昆虫や小動物を捕獲出来るように変化した葉になります。捕虫葉の形状や捕虫の方法は植物により様々です。
多肉葉(succulent leaf):葉の中に水分や養分を蓄えて多肉化しており、普通葉と比べて葉に厚みがあって葉脈が観察出来ないことが多いです。主にアガベやアロエなどの植物で見られます。
胞子葉(fertile leaf):シダ植物において胞子をつける葉です。
※1 変態葉:普通の葉と著しくことなる機能をもっている葉です。
■花の形態
- 花の構成
- 花冠
- 花序
- 一重咲き・半八重咲き・八重咲き
- 完全花・不完全花
- 有花被花・無花被花
- 単生花・両性花・中生花
- 二数花・三数花・四数花・五数花
- 整形花・不整形花・異形花
- 異花柱花
- 子房上位花・子房中位花・子房下位花
- 閉鎖花・開放花
- 風媒花・水媒花・虫媒花・鳥媒花・コウモリ媒花
●花の構成

花とは雌しべ・雄しべ・花被片(萼・花弁)・花托の四つで構成されているものです。また花は葉が変形したものの集合体と考えられており、雄しべ・雌しべ・萼片・花弁は特殊な葉と考えられているため、これらを花葉(floral leaf)ということもあります。
※花柄・花梗・花茎は花ではなく茎に含まれており、苞は葉に含まれます。
- 雌しべ・雌ずい(pistil):雄しべは、心皮と呼ばれる特殊な葉で形成されており、一般的に基部から上に向かって子房・花柱・柱頭の3つで構成されています。雌しべは、一般的に花の中央にあり、ひとつの花に一個であることが多いですが、雌しべが2個から多数ある場合もあり、雌しべが複数の時は雌ずい群(gynoecium)と呼ばれます。
- 心皮(Carpel):雌しべを形成する葉的な要素になり、心皮は基部から子房・花柱・柱頭に分化して、子房部分では杯珠をミカンの皮のように包んでいます。心皮は一個の雌しべに対して1枚から数枚で形成され、複数枚の場合は縁部分が癒合して、杯珠がある部屋が複数の部屋に分かれることもあります。
- 子房(ovary):雌しべの基部で膨らんだ部分であり、心皮が分化して杯珠を包んでいる。受精後は発育して果実となる。
- 花柱(style):雌しべの中間で子房と柱頭を繋ぐ細長い柱の部分になり、花粉管を杯珠まで伸長させる通路がある。
- 柱頭(stigma):雌しべの先端部分にあり、花粉を受け取るのに特化した器官です。
- 心皮(Carpel):雌しべを形成する葉的な要素になり、心皮は基部から子房・花柱・柱頭に分化して、子房部分では杯珠をミカンの皮のように包んでいます。心皮は一個の雌しべに対して1枚から数枚で形成され、複数枚の場合は縁部分が癒合して、杯珠がある部屋が複数の部屋に分かれることもあります。
- 雄しべ・雄ずい(Stamen):花粉を形成する器官で、葯を支える糸状の花糸(filament)と、花粉嚢(pollen sac)を含む葯(anther)で構成されています。
単体雄ずい(monadelphous):全ての雄しべが融合して一束になっている。
二体雄ずい(diadelphous stamen):雄しべの全体が二束になっている。※マメ科の植物は雄しべ10本のうち9本が束になり1本は独立している。また写真のホウガンノキは黄色の部分と赤色(花糸)の部分で雄しべの束がくっきりと分かれる珍しい植物になる。
多体雄ずい(polyadelphous stamen):雄しべの束(雄ずい群)が3束以上に分かれている。また3束に分かれる場合は3体雄ずい、5束に分かれる場合は5体雄ずいとも呼ばれます。
四強雄ずい(tetradynamous stamen):雄しべ6本のうち4本が長い、アブラナ科でよく見られる。
- 二強雄ずい(didynamous stamen):雄しべ4本のうち2本が長い、シソ科やキツネノマゴ科などでよく見られる。
集葯雄ずい(syngenesious):雄しべは複数で、花糸の部分では離れていますが、葯の部分で融合している。※写真のキッコウハグマの頭花には花の中に3本の雄しべがあり、葯の部分で融合している。
偽副冠(staminal cup):花糸の基部が広がる事で、雄ずい群の下部で融合してカップ状になっており、花糸の中ほどから上で分離します。そのため、雄ずい群は王冠のような見た目をしています。
- 仮雄ずい・仮雄しべ(staminode):雄しべが退化したり変形したりして正常な機能を失い、不稔性の雄しべになっているもの。仮雄しべは花弁のように変化しているものもあり、虫媒花において昆虫を引き付ける働きがあるものもあります。
- 花被片(taple):生殖には関連せず、雄しべと雌しべを保護する器官になります。ふつう花被片はサイズ・形・色が異なる萼片と花弁に分かれているため、それぞれの別の名称で呼ばれていますが、萼片と花弁が似ている場合はまとめて花被片と呼ばれています。
- 萼片(sepal):花被片の中の一種で、花弁と見分けがつく場合に外側の花被片を萼片または萼片全体をさして萼(calyx)と呼びます。また花弁と見分けがつかない場合は外側の花被片を外花被と呼びます。萼片は花弁より頑強な傾向があり、蕾の時期により強く花の内部を保護する働きがあります。
- 合片萼(gamosepalous calyx):萼片が相互に合着している。
- 離片萼(chorisepalous calyx):萼片が相互に合着していない。
- 萼筒(calyx tube):萼片が合着して筒状になっている、また筒上部の裂片は萼裂片(calyx lobe)と呼ぶ。
- 復萼(accessory calyx):萼の基部にある、萼状のもの。
- 花弁(petal):花被片の中の一種で、萼片と見分けがつく場合に内側の花被片を花弁または花弁全体をさして花冠(corolla)と呼びます。花弁は萼と同様に内部の雄しべや雌しべを保護する働きがありますが、虫媒花において昆虫を引き付ける働きもあります。
- 萼片(sepal):花被片の中の一種で、花弁と見分けがつく場合に外側の花被片を萼片または萼片全体をさして萼(calyx)と呼びます。また花弁と見分けがつかない場合は外側の花被片を外花被と呼びます。萼片は花弁より頑強な傾向があり、蕾の時期により強く花の内部を保護する働きがあります。
- 花托(tros):花柄の先端にあり、雌しべ・雄しべ・花被片がつく台座になる。
特殊な器官
副花冠(corona):内花被(花弁)と雄しべの間にある付属物です。※写真はスイセン、副花冠がラッパ状に前に長く突出しています。
距(spur):萼または花冠の一部が変化して、中空の角状になり後ろに突出して伸びるもの。ふつう蜜腺があり、中に蜜をためています。
ずい柱(column):雄しべと雌しべが癒合している。ラン科などでよく見られる。ラン科の植物でみられます。
花に関わる茎・葉
- 花茎(scape):花を付けずに頂部に花のみをつける茎です。
- 花柄(pedicel):ひとつの花だけを支える柄です。
- 花梗(peduncle):複数の花を支える柄です。
- 苞(bract):一個の花の基部にあり花芽を保護する働きがある変態葉※1で、普通葉と基本的にサイズ・形・色の見た目が違います。苞と普通葉のサイズ・形・色が全く同じ場合は基本的に苞と呼ばれません。苞は花芽を保護する以外にも、花弁のように大きく目立つ色をしていることも多いため、虫媒花において虫を引き付ける働きをもっている事もあります。※苞は一般的に一個の花を保護しますが、広義では花序の基部にある変態葉も総苞と同様に苞と呼ぶことがあります。
- 総苞片(involucral bract):苞の一種で、花序の基部にあり花を保護する働きがある変態葉で、普通葉と基本的にサイズ・形・色の見た目が違います。また複数の総苞片が密集して集まったものは全体で総苞と呼びます。総苞片は萼のような見た目で花を保護する物から、花弁のような派手な見た目で虫を引き付ける働きをもっているものもあります。
- 仏苞片(spathe):サトイモ科の植物で見られる苞になり、苞は肉穂花序の基部に付いていて、比較的にサイズが大きく、花序をロール状に包む傾向があります。総苞片の一種と考えられています。
- 杯状体(cyathophyll):トウダイグサ属の植物で見られる苞になり、苞は杯状花序の基部に付いている皿状のもので、分泌物を生産する腺体を付随しています。
- 小苞(bracteole):腋に花を付けず、花柄・花梗についている小さな苞です。
- 総苞片(involucral bract):苞の一種で、花序の基部にあり花を保護する働きがある変態葉で、普通葉と基本的にサイズ・形・色の見た目が違います。また複数の総苞片が密集して集まったものは全体で総苞と呼びます。総苞片は萼のような見た目で花を保護する物から、花弁のような派手な見た目で虫を引き付ける働きをもっているものもあります。
●花冠
花冠(corolla)とは、ひとつの花の中にある全ての花弁の総称です。花冠は、花弁の付き方で離弁花冠・合弁花冠の二種類に分かれ、また花冠の形によって幾つかの種類に分類されています。
離弁花冠・合弁花冠
- 離弁花冠(choripetalous corolla):花弁は互いに合着せず、独立して花托についている。
- 合弁花冠(sympetalous corolla):花弁同士が合着して筒部をつくる。
- 花冠筒部・花筒(floral tube):合弁花冠の筒部の名称です。
- 花冠裂片(corolla lobe):合弁花冠の先端の裂けている場所の名称です。
花冠の形の種類
- 放射相称花冠(actinomorphic corolla):花冠の形が放射状に相称な形をしています。条件は花冠の中心を通る線を引いた時に、左右相称になる線が3本以上作れることです。
十時形花冠(cruciate corolla):離弁花冠の一種、花弁の数は4枚、花弁が相対してつき見た目が十字になる。アブラナ科の植物でよく見られます。
バラ形花冠(rosaceous corolla):離弁花冠の一種、花弁の数は5枚、花弁が花托から放射状に広がり、花弁は水平に平開するか、花弁の上部がやや上に湾曲して浅い皿状になる。バラ科の植物でよく見られます。
ナデシコ形花冠(caryophyllaceous corolla):離弁花冠の一種、花弁の数は5枚、花弁は長い萼筒に収まる細い爪部※4と、萼筒から開出する舷部※5からなります。ナデシコ属の植物でよく見られる。
車形花冠(rotate corolla):合弁花冠の一種、花冠筒部は短く、花冠裂片のサイズは大きく開出して殆ど水平にひらく。ナス科・ムラサキ科・アカネ科などの植物で見られる。
高盆形花冠・高つき形花冠(hypocrateriform corolla):合弁花冠の一種、花冠筒部は長く、花冠裂片は開出して平開するか皿状になる。サクラソウ科などの植物で見られる。
鐘形花冠(bell shaped corolla・campanulate corolla):合弁花冠の一種、花冠筒部は長め、花冠筒部は基部から先端にかけて鐘形に広がっていき筒部は若干膨らむか膨らまない、花冠裂片は花冠筒部と平行するか若干外側に広がる。キキョウ科やツツジ科などの植物で見られる。
漏斗形(infundibular corolla):合弁花冠の一種、花冠筒部は長め、花冠筒部は基部から先端にかけて漏斗状に大きく広がる、花冠裂片は小さい傾向がある。ヒルガオ科やナス科などの植物で見られる。
壺形花冠(urceolate corolla):合弁花冠の一種、花冠筒部は中央より下部の幅が最も広く上部は狭くなりくびれる、花冠の見た目は壺や卵に似ており丸い膨らみがある、花冠裂片はふつう小さく外側に反る。ツツジ科やクレマチスなどの植物で見られる。
- 筒状花冠・管状花冠(tubular corolla):合弁花冠の一種、花冠筒部が長く、花冠裂片は5個あり小さい、一般的にキク科でよく見られる頭状花序の中心部にある花をさしています。キク科の植物でよく見られる。
ユリ形花冠(liliaceous corolla):離弁花冠または合弁花冠、花被片の数は6枚、花冠の見た目は鐘形から漏斗形になる。ユリ科の植物で見られる。
- 左右相称花冠(zygomorphic corolla):花冠の形が左右で同じ形をしています。条件は花冠の中心を通る線を引いた時に、左右相称になる線が1本作れることです。
蝶形花冠(papilionaceous corolla):離弁花冠の一種で、花弁の数は5枚、花弁は旗弁1枚・翼弁2枚、竜骨弁3枚で構成されていて、花冠の見た目は蝶々に例えられる。マメ科の植物で見られる。
かぶと状花冠(galeate corolla):離弁花冠の一種で、花弁ではなく花弁状の萼片(頂萼片)の形が兜になっている。トリカブト属の植物で見られる。
スミレ形花冠(violaceous corolla):離弁花冠の一種で、花弁の数は5枚、花弁は上弁2枚・側弁2枚、唇弁1枚および距で構成されていて、花冠の見た目は蝶々に例えられる。スミレ科の植物で見られる。
唇形花冠(labiate corolla):合弁花冠の一種で、花冠はふつう横向きになり、花冠は上下に2深裂する、花冠筒部は細長く、花冠裂片は上側の上唇※2と下側の下唇※3に分かれる。シソ科やゴマノハグサ科などの植物で見られる。
仮面状花冠(masked personate corolla・personate corolla):合弁花冠の一種で、花冠はふつう横向きになり、花冠は上下に2深裂する、花冠筒部は細く、花冠裂片は上側の上唇と下側の下唇に分かれ、下唇の基部が膨れるように突起して花喉部※1が塞がる。キンギョソウなどの植物で見られる。
キンチャク形花冠(calceolate corolla):合弁花冠の一種で、花冠はふつう横向きになり、花冠は上下に2深裂する、花冠裂片は上側の上唇と下側の下唇に分かれて、下唇の部分が袋状に大きく膨らんでいる。カルセオラリア属などの植物で見られる。
- 舌状花冠(ligulate corolla):合弁花冠の一種、花冠筒部は短く、花冠裂片の中のにある1個(花弁の1枚)が上部で広がり舌状になっている。一般的にキク科でよく見られる頭状花序の周辺部にある花をさしています。
ラン形花冠(orchidaceous corolla):花被片の数は6枚(内花被3枚・外花被3枚)、内花被のうち中央にある1枚が袋状または唇状か管状になる。ラン科の植物で見られる。
- 非相称花冠(asymmetric corolla):相称面が全くない花冠です。
花冠で使われる特殊な専門用語
- ※1:花喉部とは、花冠筒部と花冠裂片の繋ぎめ付近で花冠裂片の基部です。
- ※2:上唇とは、合弁花冠が深く裂けて上と下に分かれる時、上側をさします。
- ※3:下唇とは、合弁花冠が深く裂けて上と下に分かれる時、下側をさします。
- ※4:爪部とは、花弁の下部が細長く、上部が広がっている時、花弁の下部の細長い部分をさします。
- ※5:舷部とは、花弁の下部が細長く、上部が広がっている時、花弁の上部の広がっている部分をさします。
●花序
花序の仕組み

- 花序軸・花軸(rachis):花序の中央にある茎です。
- 花茎(scape):茎は地下茎・根から出た後、基本的に葉を付けずに花だけをつける茎です。おもにタンポポやシクラメンなどで見ることができます。※厳密には茎の根本付近に束生するロゼット葉がつくことがあります。
- 花梗(peduncle):花を支える茎のうち、複数の花を支える茎です。
- 花柄(pedicel):花を支える茎のうち、ひとつの花を支える茎です。
- 小花柄(pedicel):花序を支える茎の中で、末端の花を支える茎です。
- 苞(bract):一個の花の基部にあり花芽を保護する働きがある変態葉※1で、普通葉と基本的にサイズ・形・色の見た目が違います。
- 小苞(Bracteole):腋に花を付けず、花柄・花梗・小花柄についている小さな苞になります。
花序の種類

- 単一花序(simple Inflorescence):単一の花序で構成されている。
- 無限花序(indefinite Inflorescence):花序軸※1の先端が成長を続けながら、花が腋生に咲き続ける花序です。頂芽に花をつけることはありませんが、脇芽から咲いた花が立ち上がり頂花のようになる事はあります。また無限と名前がありますが、次第に成長力が弱まり開花は止まります。基本的に花の咲く順番は、先端から一番遠い場所の下から順番に咲きます。
総状花序(raceme):花序軸は細く線状、花柄は有り、花柄は花序軸の節に沿って並び、花柄の長さは短めで、花柄の長さは花軸の上と下で大きな差はない、花序全体の見た目はライン状になる。総状花序が見られる植物にはフジ属・ギボウシ属・シンビジウム属などがあります。
穂状花序(spike):花序軸は細く線状、花柄は無し、花は花序軸の側面に直接つける、花序全体の見た目はライン状になる。穂状花序が見られる植物にはテロスマ属(ゲッカコウ)・ドクダミ属・オオバコ属・ワレモコウ属などがあります。
肉穂花序(spadix):花序軸の形状は太く多肉質な円筒状、花柄は無し、花は花序軸の側面に直接つける、花序全体の見た目は棍棒状になる。肉穂花序が見られる植物にはサトイモ科があります。※写真はサトイモ科のスパティフィラム、肉穂花序は手前にあるクリーム色の棒状の部分になり、背面の白色の紙状のものは花序とは関係の無い苞(仏苞片)になります。
散房花序(corymb):花序軸は細く線状、花柄は有り、花柄は花序軸の節に沿って並び、花柄の向きは斜上、花柄の長さは成熟度により次第に長くなるため、花は頂点で平面的に揃う傾向にある。花序の見た目は下部の花柄の長さの度合いにより平面または半球形になる。散房花序が見られる植物にはシモツケ属・ペンタス属・ツツジ属・ボケ属などがあります。
散形花序(umbel):花序軸は節間が殆ど伸長せず長さがごく短い、花柄は節に付くが節間が極端に短いため密生する、花柄の向きは成熟度で上・斜上・水平・斜下・下へと変化する傾向にある、花柄の長さの差は植物で変化があり、花柄の長さの違いで花序全体の見た目が変化する。花序全体の見た目は花柄の長さが均一の場合は球形、花柄の長さが下側ほど長いと平面状から半球形になる。散形花序が見られる植物にはアリウム属・ヒガンバナ科・セリ科・サクラソウ科・クマツヅラ科の植物などがあります。※写真はアリウムとランタナ、アリウムは花柄の長さが均一のなため花序が球形をしており、ランタナは花柄が下ほど長いため花序が平面状か半球形になる。
頭状花序・頭花(capitulum・head):花序軸は先端が短縮して円盤状または長球形になる、花柄は無し、花は花序軸の上面または側面に直接ついている。花序の見た目は平面・半球形・球形になる。また capitulum と head を使い分ける場合は、花軸の変形が球状に頭のようになる方を head Inflorescence と分類する事が多いようです。頭状花序が見られる植物にはキク科・マツムシソウ科などがあります。
- 有限花序(definite Inflorescence):茎の先端で頂花をつくると上への成長が止まり、側枝が成長して頂花が作られると上への成長が止まり、また側枝が成長して頂花を咲かせると上への成長が止まり、その後も上記を繰り返す花序です。ただし単頂花序は例外として1個のみの花をつけます。
単頂花序(solitary Inflorescence・uniflowered inflorescence):枝分かれしない花茎の先、また葉腋や枝先に花が単生する花序です。花茎に単生する植物ではスミレ属・シクラメン属、葉腋や枝先に単生する植物ではツバキ科やモクレン科などがある。※写真は花茎の先端に花を咲かせるシクラメンと、葉腋や枝先に咲くツバキです。
- 集散花序(cyme・cymose Inflorescence):茎の先端で頂花をつくると上への成長が止まり、側枝が成長して頂花が作られると上への成長が止まり、また側枝が成長して頂花を咲かせると上への成長が止まりを繰り返す花序です。また集散花序のうち、1節から出る側枝の本数で、単出集散花序・二出集散花序・多出集散花序に細分化することができます。
- 単出集散花序・単散花序(monochasium):集散花序のうち、1節から出る側枝が1本の花序です。側枝が伸びる方向により、幾つかの種類の花序に分類することが出来ます。
巻散花序・鎌形花序(drepanium):単出集散花序のうち、分枝は片側のみで発生して、側枝が基本的に遠位側の同一方向に向き、平面内で渦巻き状になる花序です。巻散花序・鎌形花序が見られる植物にはムラサキ科などがあります。
扇形花序(rhipidium):単出集散花序のうち、一平面内で側枝が左右交互に伸びる花序です。扇形花序が見られる植物には主にゴクラクチョウカなどがあります。
かたつむり形花序(bostryx):単出集散花序のうち、分枝が片側方向に直角な面で分枝するため、少なくとも初期の花序は渦巻き状になる花序です。かたつむり形花序が見られる植物にはワスレグサ属の植物などがあります。
さそり形花序(cincinnus):単出集散花序のうち、左右相互に直角な面で分枝することで立体的になる花序です。ツユクサ科の植物などで見ることが出来ます。
二出集散花序・岐散花序(dichasium):集散花序のうち、1節から出る側枝が2本の花序です。二出集散花序・岐散花序が見られる植物にはナデシコ科・ベゴニア属・ニシキギ属などがあります。
多出集散花序(pleiochasium):集散花序のうち、1節から出る側枝が3本以上の花序です。多出集散花序が見られる植物にはキリンソウ科・ミズキ属・ヤブガラシ属などがあります。
団散花序(glomerule):多出集散花序のうち、節間や花柄が短く不明瞭なもの。団散花序が見られる植物にはミズ属・レンプクソウ属などがあります。
- 単出集散花序・単散花序(monochasium):集散花序のうち、1節から出る側枝が1本の花序です。側枝が伸びる方向により、幾つかの種類の花序に分類することが出来ます。
- 無限花序(indefinite Inflorescence):花序軸※1の先端が成長を続けながら、花が腋生に咲き続ける花序です。頂芽に花をつけることはありませんが、脇芽から咲いた花が立ち上がり頂花のようになる事はあります。また無限と名前がありますが、次第に成長力が弱まり開花は止まります。基本的に花の咲く順番は、先端から一番遠い場所の下から順番に咲きます。
- 複合花序(compound Inflorescence):複数の花序で構成されている。
- 同形複合花序(isomorphous compound inflorescence):複合花序のうち、同じ種類の花序が組み合わさる花序です。
複総状花序(compound raceme):総状花序が複数組み合わさって出来る花序です。複総状花序が見られ植物にはナンテン属・ユキノシタ属・アオキ属などがあります。
複穂状花序(compound spike):穂状花序が複数組み合わさって出来る花序です。複穂状花序が見られる植物にはドクムギ属・カモジグサ属などがあります。
複散房花序(compound corymb):散房花序が複数組み合わさって出来る花序です。複散房花序が見られる植物にはナナカマド属・シモツケ属などがあります。
複散形花序(compound umbel):散形花序が複数組み合わさって出来る花序です。複散形花序が見られる植物にはセリ科などがあります。
複合頭状花序(Compound capitulum):頭状花序が複数組み合わさって出来る花序です。複合頭状花序が見られる植物にはヒゴダイ属などがあります。
複集散花序(compound cyme):集散花序が複数組み合わさって出来る花序です。複集散花序が見られる植物にはオミナエシ科・アカネ科などがあります。
- 異形複合花序(heteromorphous compound inflorescence):複合花序のうち異なる種類の花序が組み合わさる花序です。花序名の順番は小さな花序が先頭にきて、小さな花序を配置する花序を後につけます。
穂状総状花序(spike-raceme):穂状花序が総状に配列された異形複合花序です。穂状総状花序が見られる植物にはスゲ属・ササ属・イヌタデ属などがあります。
散形総状花序(umbel-raceme):散形花序と総状花序の組み合わせになり、散形花序が総状に並び配列される複合花序です。散形総状花序が見られる植物にはウド・ヤツデ・ドラセナなどで見られる。
巻散総状花序(drepanium-raceme):巻散花序と総状花序の組み合わせになり、巻散花序が総状に並び配列される複合花序です。巻散総状花序が見られる植物にはトチノキなどがあります。
頭状総状花序(capitulum-raceme):頭状花序と総状花序の組み合わせになり、頭状花序が総状に並び配列される複合花序です。頭状総状花序が見られる植物にはオタカラコウ属などがあります。
頭状穂状花序(capitulum-spike):頭状花序と穂状花序の組み合わせになり、頭状花序が穂状に並び配列される複合花序です。頭状穂状花序が見られる植物にはモミジハグマ属などがあります。
頭状散房花序(capitulum-corymb):頭状花序と散房花序の組み合わせになり、頭状花序が散房状に並び配列される複合花序です。頭状散房花序が見られる植物にはオグルマ属・サワギク属などがあります。
- 頭状集散花序(capitulum-cyme):頭状花序と集散花序の組み合わせになり、頭状花序が集散状に並び配列される複合花序です。頭状集散花序が見られる植物にはイグサ科のコウガイゼキショウ属があります。
密錐花序(thyrse):二出集散花序と総状花序の組み合わせになり、二出集散花序が総状に並び配列される複合花序です。密錐花序が見られる植物にはヤナギトラノオ属・クサギ属などがあります。
- 同形複合花序(isomorphous compound inflorescence):複合花序のうち、同じ種類の花序が組み合わさる花序です。
- 植物固有の花序
- 外観からくる花序
円錐花序(panicle):複合花序のうち、花序の見た目が円錐状になるものの相称です。花序は総状花序に由来する複合花序が多い。
輪散花序(verticillaster):集散花序が1節から二本出て総状に配置されており、花梗と花柄があまり伸びないため花が節の周囲を囲んで輪生しているような見た目になる花序です。また花序全体の見た目は節間の長さにもよりますが段々または円筒状になりやすい。輪散花序が見られる植物にはシソ科などがあります。
尾状花序(catkin):花序軸は細長く、花序軸は多くの場合で垂れ下がり、花は無花被花または単花被花の花です。花序は総状花序や複合花序があり、雄花・雌蕊が突出している傾向があるため動物の尾のようなふさふさした見た目をしている。
※1:花序軸(rachis)または花軸とは、花序の中央にあり複数の花を支える茎です。花軸は単一の花を支える花托にもあるため、便宜上こちらでは花序軸とよんでいます。
●一重咲き・半八重咲き・八重咲き
- 一重咲き(single flower):花弁の数が一列に並んで咲く花です。また植物の種の本来の花弁数になります。
- 八重咲き(double flower):花弁の数が二列以上に並んで咲く花です。また植物の種の本来の花弁数よりも多くなります。
- 半八重咲き:普通の八重咲きと比べて花弁の数が少ない時に使われる事があります。また舌状花と筒状花がある場合は、舌状花が八重咲きして、筒状花が中央部にハッキリと出る場合に使われることがあります。
- 超八重咲き:普通の八重咲きと比べて花弁の数がより多い時に使われる事があります。
八重咲きの仕組み
八重咲きは植物学的に奇形の一種になり、いくつかの条件で発生します。
弁化(petaloidy):雌蕊・雄蕊・萼片が花弁状になり八重咲きします。身近な植物ではクリスマスローズ・バラ・ストックなどで見られます。
- 弁の裂け:花弁が縦に裂けることで、花弁(裂片)の数が増えて、八重咲きした花です。身近な植物ではフクシアなどで見られます。
- 花の増加:花托に成長点が出来て新たな花が発生して八重咲きします。カーネーションやペチュニアなどで見られます。
- 花冠の変化:舌状花と筒状花のある頭状花序の場合、中央部にある筒状花が舌状花に変化して八重咲きになります。
- その他:苞は厳密には花ではありませんが、苞の数が植物の種の本来よりも多くなった場合に八重咲き品種として扱われます、
●完全花・不完全花
- 完全花(perfect flower):花の中に雌蕊・雄蕊・花被片(花弁・萼)が揃っている花です。
- 不完全花(imperfect flower):花の中で雌蕊・雄蕊・花被片(花弁・萼)のいずれかが欠けている花です。
●有花被花・無花被花
- 有花被花(achlamydeous flower):花被(花弁・萼)を有している花です。
- 無花被花・裸花(chlamydeous flower):花被(花弁・萼)を持たない花です。身近な植物ではドクダミ・ヒトリシズカ・ポインセチアなどがあたります。
●単生花・両性花・中生花
- 単生花・雌雄異花(unisexual flower):ひとつの花の中に雄蕊または雌蕊の一方しかない、またはどちらかが退化して不稔性(雄性不稔性・雌性不稔性)になっている花です。
- 雌花(female flower):ひとつの花の中に雌蕊しかない、または雄蕊が退化して雄性不稔性になっている。
- 雄花(male flower):ひとつの花の中に雄蕊しかない、または雌蕊が退化して雌性不稔性になっている。
- 両性花(bisexual flower):ひとつの花の中に雄蕊と雌蕊が両方ある。
- 中生花(neutral flower):ひとつの花の中に雄蕊と雌蕊がなく、花被しかない花です。紫陽花などでは装飾花と呼ばれており、虫媒花のなかで虫を引きつける働きがあると考えられています。
●二数花・三数花・四数花・五数花
- 二数花(dimerous flower):花葉(花被片・雄蕊・心皮)の数が2または2の倍数である花です。
- 三数花(trimerous flower):花葉(花被片・雄蕊・心皮)の数が3または3の倍数である花です。
- 四数花(tetramerous flower):花葉(花被片・雄蕊・心皮)の数が4または4の倍数である花です。
- 五数花(pentamerous flower):花葉(花被片・雄蕊・心皮)の数が5または5の倍数である花です。
●整形花・不整形花・異形花
- 整形花(regular flower):花全体を見て、構成する花葉に相称性があり、放射相称性質がある花です。
- 不整形花(irregular flower):花全体を見て、構成する花葉に基本的に相称性があり、放射相称性質がない花です。
- 異形花(heteromorphic flower):花全体を見て、構成する各花葉が異なるサイズや形をしている花です。
●異花柱花
- 異花柱花(heterostly):同一種の植物の中で、花によって雄蕊や雌蕊の長さが異なる。またそのような花を異形花柱花と呼びます。
- 長花柱花:雌蕊の花柱が雄蕊よりも高くなる。
- 短花柱花:雌蕊の花柱が雄蕊よりも低くなる。
●子房上位花・子房中位花・子房下位花
- 子房上位花:子房の位置がふつう花托の上に乗っており、花被や雄蕊よりも高い位置にある。
- 子房中位花:子房の位置がふつう花托の中間辺りまで埋まっており、花被や雄蕊が中ほどの位置にある。
- 子房下位花:子房の位置がふつう花托の中に全部埋まっており、花被や雄蕊よりも低い位置にある。
- 分離:子房が花托と分離している。
- 合着:子房が花托と合着している。
●閉鎖花・開放花
- 閉鎖花(cleistogamous flower):花は蕾のまま開花をせずに自家受粉により結実する。身近な植物ではスミレ属の植物などで見られます。
- 開放花(chasmogamous flower):花は開花して昆虫などの力を借りながら受粉して結実する。
●風媒花・水媒花・虫媒花・鳥媒花・コウモリ媒花
- 風媒花(anemophilous flower):花粉が風により運ばれて、雌蕊につき受粉する。一般的に花粉の量が多く、粘性がなく、花被が小さく目立たない傾向があります。
- 水媒花(hydrophilous flower):花粉が水により運ばれて、雌蕊につき受粉する。主に水中植物で見られます。
- 虫媒花(entomophilous flower):花粉が昆虫により運ばれて、雌蕊につき受粉する。一般的に、花は派手で目立っていたり、蜜腺があったり、昆虫を引き寄せる匂いがあったりする。また花粉には粘着性がある傾向があります。
- 鳥媒花(ornithophilous flower):花粉が鳥により運ばれて、雌蕊につき受粉する。身近な植物ではツバキやウメなどの植物で見られ、メジロなどが花粉を運びます。
- コウモリ媒花(chiropterophilous flower):花粉がコウモリにより運ばれて、雌蕊につき受粉する。コウモリ媒花の植物は、一般的に開花が夜で、花が下向きに咲き、花序軸がしっかりしている傾向がある。
■果実の形態
果実とは、子房をもっている植物の花が受精して、子房および付随する部分が発達して出来た器官です。
●果実の構成
- 果皮(pericarp):子房の外側で胚珠を包んでいる子房壁(ovarian locule)が、受精後に発達した部分です。
- 外果皮(exocarp):果皮を三層に分けた時、最も外側に位置する果皮です。
- 中果皮(mesocarp):果皮を三層に分けた時、中間に位置する果皮です。
- 内果皮(endocarp):果皮を三層に分けた時、最も内側に位置する果皮です。
- 核(stone):内果皮が硬化したものです。核は果皮の最も内側で硬い殻になり、種皮を包み保護しています。
●果実の分類
- 単果(monothalamic fruit):1個の花の1個の雌蕊が1個の果実になったものです。多くの植物が単果に分類されます。
- 乾果(dry fruit):果実が熟している時に果皮が乾燥していて、質感が皮質か膜質になっている。
- 裂開果(dehiscent fruit):乾果のうち、果実が熟した時に裂開して種子が露出する果実です。
袋果(follicle):1心皮子房(子房の心皮の数が1枚)からなり、心皮には癒合して出来た縫合線がある。果実が成熟すると1本の縫合線に沿い縦に裂けて種子が露出する。袋果の果実は、キンポウゲ科・モクレン科などの植物で見られる。写真はピンポンノキ
豆果・莢果(legume):1心皮子房(子房の心皮の数が1枚)からなり、心皮には癒合して出来た内縫線と外縫線があり、果実が成熟すると内縫線と外縫線で2片に裂開して種子が露出する。豆果の果実はマメ科などの植物で見られる。
蒴果(capsule):多心皮性子房(子房の心皮の数が2枚以上)からなり、果実が成熟すると数室に裂開して種子が露出する。蒴果の果実はスミレ科・ユリ科・アヤメ科・ラン科などの植物で見られる。写真はスミレ
- 角果:2心皮子房(子房の心皮の数が2枚)からなり、果実が熟すと隔膜(replum)を残して心皮が裂開する果実です。
- 閉果(indehiscent fruit):乾果のうち、果実が熟した時に裂開せず種子が露出しない果実です。
痩果(achene):心皮の数はふつう1枚、心皮が複数枚ある場合もあり、完熟した果実の果皮は薄く乾燥している。果皮は1個の種を密に包み、基本的に果皮と種は分離しているが1箇所のみ繋がっている。また果実が成熟して乾燥しても果皮は裂開しない。タンポポなどのいくつかの植物は痩果の上部に冠毛※1がある場合がある。
穎果(caryopsis):心皮の数は複数枚、完熟した果実の果皮は薄く乾燥している。果皮は1個の種を密に包み、果皮と種子は合着していて分離ができないものです。穎果の果実はイネ科などの植物で見られる。
翼果(samara):果皮の一部が翼状に薄く横に張り出しており、果実が熟した時に裂開せず種子が露出しない。翼の部分が風を受けて滞空時間を伸ばしながら、遠くまで果実(種子)を運ぶ働きをします。翼果の果実はユリノキ属・カエデ属・トリネコ属などで見られます。写真はカエデの果実
堅果(nut):心皮の数は複数枚、果実の中は1室のみで1種子が入っており、果皮は成熟すると木質化して質感は硬い皮質になる。またブナ科の所謂ドングリなどは、果実の基部に苞が発達した殻斗(cupule)があり果実を覆っている。堅果の果実はブナ科・カバノキ科などで見られます。
- 小堅果(nutlet):堅果と比べて小型のもの。痩果との分類が不明瞭で痩果として扱われることもある。小堅果の果実はカヤツリグサ科・カバノキ科・タデ科などで見られます。
- 偽堅果(spurious nut):外見は堅果に似るが、外皮が子房以外の器官(苞・花托・花被など)に由来している。
節果(loment):果実の見た目は豆果に似ますが、果実が熟しても裂開せず、1室ごとに横に割れて分裂する。節果の果実はヌスビトハギ属・イワオウギ属などの特定のマメ科で見られます。
分離果(schizocarp):心皮の数は複数枚、果実が熟すと心皮ごとに縦に分離して複数の果実となる。分離して複数の果実となった部分は分果(mericarp・coccus)と呼ばれます。分離果の果実はカエデ科・シソ科・ムラサキ科・フウロウソウ科などで見られます。
- 裂開果(dehiscent fruit):乾果のうち、果実が熟した時に裂開して種子が露出する果実です。
- 液果(sap fruit):果皮が柔らかく多肉多汁の果実です。
- 漿果(berry):果皮のうち、外果皮以外の中果皮と内果皮が多肉多汁となる果実です。
ナシ状果(pome):子房下位花に由来する果実になり、子房を包む花托が肥大して多肉化した偽果※2の一種です。本来、果実となる子房の部分は、果実の中で凡そ芯と呼ばれる部分を構成しています。ナシ状果の果実はリンゴ属・ナシ属・ビワ属などで見られる。
核果・石果(drupe):中果皮が多肉多汁、内果皮が硬化して硬い核を作り種子を包む果実です。核果の果実はスモモ属などで見られる。
- 乾果(dry fruit):果実が熟している時に果皮が乾燥していて、質感が皮質か膜質になっている。
- 集合果(aggregate fruit):1個の花の中に複数の雌蕊があり、2個以上の果実が集まり、1個の果実のようになったものです。
イチゴ状果(etaerio):花托の部分が肥大して多肉質な果実状の部分となり、正しく果実となる子房の部分は、花托の表面の凹んだ部分に痩果となって散在して多数ついている。イチゴ状果の果実はオランダイチゴ属・ヘビイチゴ属などで見られる。
キイチゴ状果肉・集合核果(etaerio of drupelets):ひとつの花の中にある複数の雌蕊がそれぞれに核果となり、多数の核果がひとまとまりに集まる事で、ひとつの果実のようになったものです。キイチゴ状果の果実はキイチゴ属などで見られる。
バラ状果(cynarrhodium):花托が壺状に肥大して多肉化した偽果※2の一種で、花托の内部に正しく果実となる子房が痩果となり多数はいっているものです。バラ状果の果実はバラ属などで見られる。
ハス状果(nelumboid):花托は円盤状で多数の孔があり、それぞれの孔の中に雌蕊があり、雌蕊は堅果となる。ハス状果の果実はハス属などで見られる。
集合袋果(etaerio of follicles):ひとつの花の中にある複数の雌蕊が、それぞれ袋果となり、複数の袋果がひとまとまりになる事で、ひとつの果実のように見られるものです。集合袋果の果実はシキミ属・オダマキ属・モクレン属などで見られる。
集合痩果(etaerio of achenes):ひとつの花の中にある複数の雌蕊が、それぞれ痩果となり、複数の痩果がひとまとまりになる事で、ひとつの果実のように見られるものです。集合袋果の果実はオダモカ科・キンポウゲ属・センニンソウ属などで見られる。
集合漿果(etaerio of berries):ひとつの花の中にある複数の雌蕊が、それぞれ漿果となり、複数の漿果がひとまとまりになる事で、ひとつの果実のように見られるものです。集合袋果の果実はバンレイシ科・シキミモドキ科・サネカズラ属・マツブサ属などで見られる。
- 複合果(multiple fruit):2個以上の花から出来た果実が互いに癒着して、1個の果実のようになったものです。
イチジク状果(syconium):陰頭花序の壺形をした花軸の内部に沢山の花(雌蕊)があり、それぞれの花(雌蕊)が花軸の中で痩果となって、ひとつの果実のようにみえるものです。イチジク状果の果実はイチジク属などで見られる。
クワ状果(sorosis):複数の雌花が集まってついており、雌花の花被が多肉化して果実状になり、正しく果実となる雌蕊は痩果となり、痩果は多肉化した花被に包まれて、ひとつの果実のようになる。クワ状果の果実はクワ属・パイナップルなどで見られる。
袋果型多花果(multiple fruit of follicles):複数の花が集まってついており、花の雌蕊が袋果になり、複数の袋果が癒着してひとまとまりになる事で、ひとつの果実のように見られるものです。袋果型多花果の果実はカツラ科・バンクシア属などで見られる。
蒴果型多花果(multiple fruit of capsules):複数の花が集まってついており、花の雌蕊が蒴果になり、複数の蒴果が癒着してひとまとまりになる事で、ひとつの果実のように見られるものです。蒴果型多花果の果実はドクダミ科・フウ科・ヤナギ科などで見られる。
痩果型多花果(multiple fruit of achenes):複数の花が集まってついており、花の雌蕊が痩果になり、複数の痩果が癒着してひとまとまりになる事で、ひとつの果実のように見られるものです。痩果型多花果の果実はミクリ属・プラタナスなどで見られる。
漿果型多花果(multiple fruit of berries):複数の花が集まってついており、花の雌蕊が漿果になり、複数の漿果が癒着してひとまとまりになる事で、ひとつの果実のように見られるものです。漿果型多花果の果実はサトイモ科・サルトリイバラ科などで見られる。
核果型多花果(multiple fruit of drupelets):複数の花が集まってついており、花の雌蕊が核果になり、複数の核果が癒着してひとまとまりになる事で、ひとつの果実のように見られるものです。核果型多花果の果実はミズキ科・アカネ科などで見られる。
葎果 ・ストロビル(strobile):軸の葉腋に多数の苞と果実(堅果または痩果)が密に集まり、ひとつの果実のように見られるものです。葎果 ・ストロビルの果実はカバノキ属・ヤマモガシ科・ハンノキ属などで見られる。
※1 冠毛(pappus):果実の先端で発達した毛状の構造です。冠毛は萼が毛状に変化したもので、果実(種子)が風に乗り遠くまで散布されるのを補助する働きがある。
※2 偽果(false fruit):花托・花被・苞・花柄など、子房以外の器官が多く加わって出来た果実です。偽果は花の中で子房の位置が子房下位花にある事が多く、子房を囲んでいる花托が発達しやすい。主な果実の種類では、ナシ状果・バラ状果・イチゴ状果・ハス状果・イチジク状果などがあります。
真果(true fruit):子房が発達して出来た果実です。果実の大部分は真果に属します。真果は花の中で子房の位置が子房上位花・子房中位花であることが多い。
■種子の形態
●種子の構成

種子とは、種子植物が受粉後に雌蕊にある胚珠が発達して出来たもので、有胚乳種子では種皮・胚・胚乳の三つで構成されており、無胚乳種子では子葉と胚で構成されています。
- 種皮(seed coat):種子の周囲を覆う皮膜です。被子植物のうち原始的被子植物と単子葉植物は一般的に外種皮(outer seed coat)と内種皮(inner seed coat)の二枚からなり、真正双子葉植物と裸子植物は一般的に一枚からなる。
- 硬実・硬実種子(heard seed):種子が不透水性で吸水しない種皮です。自然界では、微生物の働きなどで硬実の種皮が、ゆっくりと分解されて吸水されるようになり発芽準備が整います。硬実種子はマメ科・ヒルガオ科の植物で見られます。
- 胚(embryo):胚珠の中で、ある程度(幼根・胚軸・子葉)まで発達して休眠している幼体です。
- 幼根(radicle):種子が発芽すると主根となる部分になり、胚軸の下側にある。
- 胚軸(hypocotyl):幼根と子葉を繋ぐ軸の部分です。胚軸は幼根の上にあり、子葉(幼葉)の下にある。
- 上胚軸(epicoty):子葉の上にあり、幼芽をつけて茎として成長する部分です。
- 幼芽(plumule):胚の頂端にある芽です。
- 子葉(cotyledon):種子の中の胚の一部で、また発芽後に最初に出来る葉です。子葉は胚軸の上にあります。子葉の枚数は裸子植物では2枚または多数、被子植物の単子葉植物では1枚、被子植物の原始的被子植物と真正双子葉植物ではふつう2枚になります。
- 子葉種子:種子の中に胚乳がなく、かわりに2枚の子葉が肥大して種子の大部分を閉めており、子葉にタンパク質などの養分を貯蔵している。子葉に貯蔵された養分は、発芽した後に栄養を供給するなど初期成長段階で重要な役割を担います。子葉種子の植物には、マメ科・ブナ科などがあります。
- 地上子葉(epigeal cotyledon):種子が発芽した時に、胚軸の伸長とともに子葉が地上に出てくる。
- 地下子葉(hypogeal cotyledon):種子が発芽した時に、子葉が地中に残っている。
- 胚乳(albumen):種子の中にあり、胚の発達や発芽のための養分を貯蔵している組織です。※ただし前述のように子葉種子は種子の中に胚乳をもたない。
- 無胚乳種子(exalbuminous seed):種子の中に胚乳がない。無胚乳種子の植物にはマメ科・バラ科・ブナ科・ラン科などがある。
- 有胚乳種子(albuminous seed):種子の中に胚乳がある。
- その他
へそ(hilum):胚珠と子房が付着していた部分には、種子の表面に痕跡が残る事があり、痕跡をへそと呼びます。
仮種皮・種衣(aril):胚珠の付け根あたりが発達して、種子の一部または全部を包むものです。仮種皮はふつう種皮よりも柔らかで、鳥や大型の動物に食べさせる事で種子の散布に役立っているとも考えられています。仮種皮が見られる植物にはドリアンやパッションフルーツなどがある。
エライオソーム(elaiosome):種子の表面に付着している付属物で、付属物には脂質・タンパク質・糖・ビタミンなどが含まれています。エライオソームはアリを誘引して種子本体をアリの巣またはその近くに運ばせる働きがあり、このような種子の散布方法をアリ散布(myrmecochory)と言います。エライオソームが見られる植物にはスミレ属・ホトケノザ属・カタクリ属・アケビ属などがある。
種髪(coma):種子に生えている毛束です。種髪の毛束は風による散布に役立っています。種髪が見られる植物にはトウワタ・アカバナなどがあります。
種翼(seed wing):種皮の一部が横に張り出して翼状になったものです。種翼は風による散布に役立っています。種翼が見られる植物にはユリ属・カエデ属などがあります。
胎生種子(viviparous seed):種子が親植物についたまま、根・葉を伸ばして幼植物になるものです。幼植物まで発達したら、親植物から落下して成長を続けます。胎生種子が見られる植物にはメヒルギ・オヒルギなどがあります。写真はメヒルギの種
■その他
●毛の形態・質感・生え方
- 形態
腺毛(glandular hair):植物の表皮にある特殊な液体を分泌する毛です。ふつう毛の先端が球状になっており、その中に分泌物が含まれている。腺毛が見られる植物にはモウセンゴケ属などがある。
刺毛(stinging hair):植物の表皮にある刺状の毛です。内部に刺激性の物質が含まれていることがあり、炎症を引き起こすこともある。刺毛が見られる植物にはイラクサなどがある。
- 星状毛(stellate hair):植物の表皮にあり、1箇所から放射状に枝分かれして星のように広がる毛です。
- 乳頭状突起(papilla):植物の表皮にある乳頭状になった短い毛です。ハスやサトイモの葉では、乳頭状突起が水を弾き、降雨の後に水玉をつくることがあります。
- クモ毛(cobwebby):植物の表皮にあるクモの巣のような柔軟で軽い毛です。
- 感覚毛(sensitive hair):植物の表皮にあり、触感を感じることができる毛です。ハエトリグサなどに生えており、昆虫や小動物が触れたことを感じて、葉を閉じる動きをします。
- 質感
- 粗毛のある(hirsute):触感がザラザラしている。
- 剛毛のある(hispid):硬さのある毛です。
- 軟毛のある(pubescent):柔らかな毛です。
- 絨毛・長軟毛のある(villous):長く柔らかな毛です。
- 綿毛のある(wooly):細くて柔らかな綿状の毛です。
- 密綿毛のある・ビロード毛(tomentose):細く柔らかな綿毛が密生している状態です。
- 絹毛のある(sericeous):絹のような光沢がある、伏した真っ直ぐな細い毛です。
- 生え方
- 縁毛(ciliate):葉や花などの縁部分に生えている毛です。
- 圧毛・伏毛(adpressed hair):茎葉の表面に密着するように伏してついている毛です。
- 逆毛(retrorse):成長点に対して逆向き(下向き)に生える毛です。
- 開出毛(patent hair):軸に対してほとんど直角に生える毛です。
- 束毛(fasciculate hair):束状に多数の毛が生えている状態です。
●腺・腺点
- 腺(gland):蜜・粘液・油などの特殊な液体を分泌する所で、ふつう花・葉・茎などにあります。液体の種類は植物によりことなり、触るとべたべたとしたり、触ると精油の香りが広がったり、また蜜を分泌する場合は昆虫を引き寄せたりします。
- 蜜腺(nectary):糖を含む甘い蜜を分泌する。花粉を媒介する昆虫などを引き寄せる効果がある。
- 腺点・油点(puncate gland・oil spot):葉表面などにあり、精油成分を分泌する小点です。腺点は光にかざすと見えることがあります。
●乳液
植物を傷つけた時に出てくる白色の乳状の液体です。乳液の成分は植物の種類により変わりますが、有毒なアルカロイドを含んでいる事もあるため、触れる際には注意が必要です。
●付属体・付属物
様々な器官についている付属物で、専門用語がないときなどに利用されます。