要素障害の原因と対策
要素障害は、「窒素」「リン」「カリ」の多量要素と「カルシウム」「マグネシウム」「イオウ」等の微量要素が欠乏または過剰な状態にある事で発生する病気です。
主に土壌養分の不足や過剰が原因で起こり、PHが酸性やアルカリ性に強く傾く事でも要素の不溶化や可溶化が発生して要素障害になります。
要素障害が発生したら、まずは植物の外観からどの要素の欠乏または過剰かを診断しましょう。
要素欠乏の場合は原因と思われる要素の葉面散布を三日~1週間おきに行い、症状の収まり具合から原因を特定して追肥を行います。
要素過剰が原因の場合は、大量の水での灌水や下層土や土壌改良材との混和が有効になります。
窒素の働きや要素障害
窒素欠乏症状 植物内で移動しやすい窒素は、新しい葉に優先して窒素を送ります。そのため【古い葉で葉脈間が黄白化】が起こります。 また生育が衰え、1部植物では葉が小型化がおこります。 対策 応急的に、尿素溶液を0.5%程度に薄め葉面散布を数回行う。窒素肥料の追肥を行ってください。 窒素過剰症状 窒素過剰になると【葉色が濃緑】となり、株は【過剰に繁茂して軟弱に成長】します。 対策 |
リンの働きや要素障害
リン欠乏症状 リンが欠乏すると【下位葉が少し赤みを帯び黄色に変色】します。 また生育の悪化や花付きが減少する事があります。 対策 応急処置として【リン酸カリウムを液体肥料を0.1%~0.3%程度に薄め葉面散布】を数回行い、根の付近に追肥をしましょう。 |
カリウムの働きや要素障害
カリウム欠乏症状 生育が衰え、下位葉から葉脈間の黄変や、葉縁・葉先端の枯れ等の症状がでる。また植物によっては葉に斑点ができ、葉の縁が外側に巻いてきます。 対策 【応急処置として硝酸カリウムを0.1%~0.3%程度に薄め葉面散布】を三日おきに数回行い、追肥を行いましょう。 カリウム過剰症状 カリウムが過剰になると、カルシウムやマグネシウムの吸収を抑制してしまい、これらの欠乏症状がでてきます。 対策 |
カルシウムの働きや要素障害
カルシウム欠乏症状 カルシウムが欠乏すると主に【新しい葉の葉先や新芽等に枯れや奇形】が生じます。また1部植物では【葉に斑点】が生じます。 対策 植物体で移動しにくいカルシウムは葉面散布で葉や新芽に直接散布するのが効果的です。また土壌に石灰資材を施用しカルシウムの含量を増やしましょう。 カルシウム過剰症状 カルシウム過剰になるとカリウム・マグネシウムの吸収が抑制されるため、これらの欠乏症状が出ます。 またPHが高くなっている事も考えられる為、アルカリ性で溶けにくい鉄・マンガン・亜鉛等の欠乏症状が発生する事があります。 対策 |
マグネシウムの働きや要素障害
マグネシウム欠乏症状 マグネシウムの欠乏症状は下位葉や古い葉から現れやすく【葉脈間が黄白化】してしまいます。 対策 応急処置として【硝酸マグネシウム溶液を1%~2%に薄め数回葉面散布】する。土壌に苦土石灰を規定量施し含量を増やしましょう。 マグネシウム過剰 一般にはマグネシウムが過剰は起こりにくいですが、マグネシウム過剰になるとカルシウム・カリウムの吸収が抑制されるため、これらの欠乏症状が出る事があります。 対策 |
イオウの働きや要素障害
イオウ欠乏症状 イオウの欠乏症状は窒素が欠乏した時と似ており、【下位葉や古い葉を中心に葉脈間が黄白化】してしまいます。 対策 土壌に【硫酸マグネシウムや硫安を規定量施用】する。 イオウ過剰症状 イオウ過剰になると土壌が酸性化されるため他のミネラルが溶けにくくなり【チッ素・リン酸・カリ・カルシウム等の欠乏症状】が出やすくなります。また急性障害では【葉縁や葉脈間に褐色や赤褐色の斑点】が生じる事があります。 |
鉄の働きや要素障害
鉄欠乏症状 植物内で移動しにくい鉄は、欠乏症状が出ると【葉の先端や新しい葉から葉脈間が黄白化】してしまいます。 対策 応急処置として【硫酸第一鉄溶液を0.1%~0.3%程度に薄め葉面散布】を1週間おきに行いましょう。土壌がアルカリ性に傾いていると発生しやすいのでPHの診断を行い土壌改良を行ってみてください。 鉄過剰症状 一般に鉄過剰が起こることは殆どないですが【1部植物で下位葉の縁や葉脈間が褐色や黒変】します。 対策 |
マンガンの働きや要素障害
マンガン欠乏症状 マンガンが欠乏すると上位葉、下位葉の両方に症状が現れ【葉脈間が黄白化】します。 対策 応急処置として【硫酸マンガン液を0.1%~0.3%程度に薄め葉面散布】を1週間おきに行いましょう。土壌がアルカリ性に傾いていると発生しやすいのでPHの診断を行い土壌改良を行ってみてください。 マンガン過剰症状 主に【下位葉から葉脈間で白~黒い斑点】が生じる。 対策 |
銅の働きや要素障害
銅欠乏症状 銅が欠乏すると主に【上位葉の葉脈間から小斑点】が生じ、【葉脈間が黄白化】します。また【新芽等、先端の葉から萎れや枯れ】が発生する事があります。 対策 応急処置として【硫酸銅溶液(薬害防止のため石灰加用)を0.1%~0.2%程度に薄め葉面散布】を1週間おきに行う。 銅過剰症状 銅が過剰になると根が障害を受け生育が悪くなる、また鉄欠乏症状をおこしやすくなります。 対策 |
亜鉛の働きや要素障害
亜鉛欠乏症状 亜鉛が欠乏すると【葉脈間が黄白化】する。また一部植物ではアントシアニン色素が生じ葉や茎が赤みを帯び、葉が小型化します。 対策 応急処置として【硫酸亜鉛溶液(薬害防止のため石灰加用)を0.1%~0.2%程度に薄め葉面散布】を1週間おきに行う。土壌がアルカリ性に傾いていると発生しやすいのでPHの診断を行い土壌改良を行ってみてください。 亜鉛過剰症状 亜鉛過剰になると【新葉の黄化】や【褐色の斑点】が生じる。 対策 土壌が酸性に傾いていると発生しやすいのでPHの診断を行い、必要に応じて石灰等のアルカリ資材を入れて亜鉛を不溶化する。 |
ホウ素の働きや要素障害
ホウ素欠乏症状 ホウ素が欠乏すると【先端の葉が黄化】し、【茎や葉が硬く脆くなり、茎では亀裂が入る】こともある。 対策 応急処置として【ホウ砂を0.1%~0.3%程度に薄め葉面散布】を数回行う。 ホウ素過剰症状 ホウ素過剰になると【下位葉の葉縁が黄白化】する。また1部植物では【葉脈間に褐色の小斑点】が生じる。 対策 大量の水で土壌中のホウ素を流し出す。 |