- 原産:北アメリカ
- 科:ハナシノブ(Polemoniaceae)
- 属:フロックス(Phlox)
- 種:ディバリカータ(Phlox divaricata)
- 別名:ワイルドブルー・フロックス(wild blue phlox)/ウッドランド・フロックス(woodland phlox)/ワイルドスイート・ウィリアム(wild sweet william)
- 品種:ブルーパフューム(Phlox divaricata ‘blue perfume’)
- 開花時期:3月~6月
- 花の色:淡い紫色
- 葉の色:緑色
- 香り:花
- 分類:多年草
- 草丈:約30cm
- 花言葉:強調・合意
- 用途:カラーリーフ/グランドカバー/香りが良い
- 購入方法:フロックス(ブルーパフューム)を楽天で購入
■フロックス(ブルーパフューム)の特徴
- 花の形:集散花序
- 花冠裂片:倒披針形(先端は凹まない)
- 花の色:淡い紫色
- 株のサイズ:株の高さ約30cm
- 備考:花には甘みを感じさせるような独特な芳香がある。淡い紫色は、高貴さを感じさせたり鎮静効果があるため、格式高い印象を与えるエレガントなお庭や、心と体を癒すヒーリングガーデンなどにおすすめです。
■フロックス・ディバリカータとは!?
フロックス・ディバリカータの学名はPhlox divaricata、別名では「ワイルドブルー・フロックス(wild blue phlox)」や「ウッドランド・フロックス(woodland phlox)」等とも呼ばれる多年草です。
フロックス・ディバリカタの原産地は北アメリカ、自生地は森林や野原等にあります。
■フロックス・ディバリカータの語源(由来)
- 属名のPhloxは古代ギリシア語で「炎」を意味する「φλόξ」からきており、花の色に由来しています。
- 種小名のdivaricataはラテン語で「広がる」を意味しており、草姿が横に広がっていく事に由来します。
■フロックス・ディバリカータの特徴(魅力)
- 主な特徴と魅力
- フロックス・ディバリカータの特徴は、茎・葉が細く華奢な見た目をしているため繊細な印象を与える所、花はパステル調の柔らかな色合いをしているため自然と調和して優しい雰囲気をつくる所、花茎には稔性・不稔性の両方の花をつけ、特に不稔性の花は香りがよい所、草姿は叢生で根茎・ほふく茎で広がって群生をつくる所などにあります。
- フロックス・ディバリカタは、花を鑑賞する目的・カラーリーフを楽しむ目的・地面を覆う地被植物として利用する目的等で栽培されています。
- 外観の特徴
- 草丈は約25~50cm、根茎またはほふく茎で広がり、草姿は叢生して群生をつくる、茎は直立、分枝はあまりなく、茎は有毛、毛の色は白色で粘着性があり、茎の色は緑色です。
- 葉序は対生葉序、葉柄は無柄で抱茎する、葉身の長さ約2.5~5cm、 葉身の形は楕円形・卵形・披針形・線形の範囲で変化する、葉は有毛、葉の色は緑色です。
- 花序は集散花序、花冠は高杯形(高盆形花冠)、高杯形の直径は2.5~5cm程度、高杯形の形状は下部の筒部が細くて長く上部が皿状に開き裂片が5個、裂片の形は倒卵形(先端が凹む事もある)、花の色は全体的にパステル調で紫色・青色・桃色・白色の範囲である。
- 主な用途
- フロックス・ディバリカタは、花を鑑賞する目的で利用されることが多いです。花の色はパステル調で柔らかく、茎・葉・花が小振りなため華奢で可憐な花姿となります。そのため自然で楚々とした印象を感じさせたり、また淡い紫色の花が心を落ち着かせて癒す働きをもちます。
- フロックス・ディバリカタの一部品種は、葉の色が白色からクリーム色をしているため、明るさや可愛らしさを感じさせるカラーリーフとして楽しまれたりもします。
- フロックス・ディバリカタは、草丈が高くならずに、根茎やほふく茎で広がるため、地面を覆う緩めの地被植物として利用されます。地被植物としては、踏圧にあまり強くないため、基本的に人が歩かない場所、木の下などで利用されます。
■フロックスの主な原種を紹介
クサキョウチクトウ
学名:Phlox paniculata
分類:多年草
開花時期:6月~9月
花の形:円錐花序
花の色:赤色・桃色・紫色・白色
株のサイズ:40~120cm程度
備考:草丈が高くなる。茎は基本的に分枝せずに直立するため見た目の行儀がよい。花房が巨大でボリューム感がある。
キキョウナデシコ
学名:Phlox drummondii
分類:一年草
開花時期:5月~7月
花の形:円錐花序
花の色:赤色・桃色・黄色・紫色・白色・黒色
株のサイズ:10~50cm程度
備考:花の形や色のバリエーションが豊富にある。種から育てられるため大量植栽しやすい。
ツルハナシノブ
学名:Phlox stolonifera
分類:多年草
開花時期:4月~6月
花の形:集散花序
花の色:桃色・紫色・白色
株のサイズ:約10~25cm
備考:草姿はほふく性でマット状に広がるため地被植物として利用される。花はほふく茎から分枝した茎が直立してその先に咲く。細い茎に緩く花が数個付いて咲くため、可憐な花姿が楽しめる。
■フロックスの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■フロックス(ブルーパフューム)の育て方
花壇の土づくり
環境
フロックス(ブルーパフューム)は、森林・草原などの湿潤環境に自生しており、定着するとある程度の乾燥にも耐えます。そのため、基本的には湿潤環境を好みます。
日当り
フロックス(ブルーパフューム)の自生地は森の中などにあり、あまり開けた場所は好みません。
涼しい季節であれば日向でも問題ないですが、暑さが厳しい時期は半日影や明るい日陰などが良いです。
そのため、基本的には半日影で育てるか、季節によって葉の付き方がかわる落葉樹の下で育てるのがおすすめです。
- 日向とは、直射日光が6時間以上当たる場所です。
- 半日影とは、直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。また基本的には午前中のみ日が当たり午後から日陰になる場所になります。
- 明るい日陰とは、直射日光が二時間程度まで、または間接光だけが当たるような比較的に明るい場所です。
- 暗い日陰とは、森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
土壌の土質
土壌は、通気性・排水性・保水性のバランスが良く、有機物がしっかり入る肥沃な土壌を好みます。
注意することは、雨の後に水がたまるような水捌けの悪い場所で育てたり、ジメジメとした状態が続くような粘土質な土壌で育てる事です。水分が停滞するような土壌で育てると根腐れを引き起こして生育不良になったり、枯れたりすることがあります。
そのため、植え付けの前に土壌診断を行い、土壌の通気性と保水性のバランスを改善して、腐葉土等の有機物を入れ肥沃な土壌に改善しましょう。
土壌診断と改善の行い方
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土やバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
- PHを測る専用の道具を用意して診断します。※詳しくはPHを診断からご覧下さい。
- 酸性土壌を改善して土壌を中性またはアルカリ性にしたい場合は、苦土石灰を利用します。PHを1上げるのに必要な苦土石灰の量は1平方メートルあたり150g程度です。土壌に苦土石灰を撒いた後は、石灰が塊にならないようによく混和します。
- アルカリ性土壌を改善して酸性に傾けたい場合は無調整ピートモス(PH4程度)を利用しましょう。ピートモスを腐葉土のかわり等に利用して、よく混和しましょう。
植付け時の注意点
- 植え付け方法
- 植付け方法は標準植えで行います。苗(根鉢)の1.5~2倍または30cm程度の深さまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除き、標準植えで植え付けを行いましょう。
水やりの仕方
フロックス(ブルーパフューム)は、基本的にやや湿り気のある土壌を好みます。そのため、土壌の土質や周囲の環境にもよりますが、必要に応じて水やりが必要です。
注意することは、土壌を極端に乾燥させたり、水分の多い過湿状態に長くしない事です。乾燥は、葉が枯れてチリチリとなったり、生育不良を引き起こす原因となります。また湿り気のある土壌を好むとはいえ、過湿は根腐れを引き起こして生育不良を引き起こす原因になります。そのため、水やりの頻度には注意が必要となります。
水やりの頻度と与え方
- 水やりのタイミングは、土壌の表面が2~5cm程度乾いてきたら行うといいでしょう。乾燥の確認方法は、土の色の変化を見たり、土の中に指を入れて確認する方法等があります。不安な場合はサスティーを利用すると良いでしょう。
- 水やりの頻度は季節や気候・周囲の環境・土質によっても左右されるため一概ではありません。土壌の状態をみながら水やりを繰り返して、少しづつ掴んでいくと良いでしょう。
肥料の与え方
フロックス(ブルーパフューム)は、土壌に十分な肥沃さがあれば基本的に肥料は不要です。
早春に一度だけ株の周りに堆肥を入れて上げたり、有機肥料や緩効性肥料を入れて上げるとよいでしょう。
堆肥の与え方
- 堆肥を入れる時期
- 植え付け時、または冬から早春に堆肥を入れます。
- 堆肥の入れ方
- 地植えの場合は土壌改良を行い堆肥(腐葉土や牛糞堆肥等)をいれて混和するか、株の上に堆肥を盛るか、周囲に穴を掘り堆肥を入れましょう。
- 鉢植えの場合は、植え替え時に牛糞や腐葉土のしっかり入る新しい培養土を使うか、古い土を再利用する場合は、古い土の中に二割から五割ほど新しい土を混ぜて再利用しましょう。
- 肥料を与える時期
- 晩冬から早春
- 肥料の選び方
- 肥沃な土壌を好むため有機肥料や配合肥料などがおすすめですが、使い勝手の良い緩効性肥料もおすすめです。
- 肥料の与え方
- 有機肥料を与える場合は、規定された分量を規定された場所に与えます。有機肥料を土に剥き出しにすると分解が遅くなったり、虫が寄ってくる事もあるため、基本は土の中に埋めます。株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を埋めるとよいでしょう。※地面にそのまま置き肥する場合もあります。
- 緩効性肥料を与える場合は、規定された分量を規定された場所に与えます。基本的には株から少し離れた場所に根があるため、肥料は株から少し離れた場所に与えるようにしましょう。
剪定のやり方
フロックス(ブルーパフューム)は剪定をせずに育てる事もできます。
花が終わったあとに、軽く切り戻しをする事で、多湿が改善されて病害虫に悩まされることが減ったり、見た目がよくなります。
夏越しする方法
フロックス(ブルーパフューム)は、育っている場所が森林の中などにあることからも分かる通り、夏場も比較的に湿潤で涼しい環境になります。
そのため、必要に応じた夏越し対策が必要になるでしょう。
夏越しで重要なポイント
- 西日を避けた場所
- 暑さの厳しい夏場は、高温と日差しの複合ストレスで株が弱りやすいです。そのため、午前中のみ日が当たり午後からは日陰になる場所に移動するか、遮光ネットを利用しましょう。
- 土壌の排水性がよい場所
- 植付けの際に土壌改良をしっかり行い排水性を高めましょう。
- 適切な水分管理
- 土壌の状態を見ながら定期的に水やりを行いましょう。
- 半日影などの乾燥しにくい環境で管理するのもひとつの対策になります。
冬越しする方法
Hardiness:3~8
フロックス(ブルーパフューム)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
フロックス・ディバリカータは株分けや挿し木によって増やす事ができます。
株分けの方法
- 株分けに適する時期
- 春・秋が最適です。
- 株を掘りあげる
- 株をスコップで掘りおこし、土を軽く落として根茎・匍匐茎の広がりと茎(芽)の位置を確認します。
- 株を分割する
- 根茎に数個の芽を付けて、手またはナイフなどを使って株を二つに分割しましょう。
- 株分け後の管理
- 切り離した株は、根が乾燥しないうちに、そのまま土壌に植え付けます。
挿し木の方法
- 挿し木時期
- 挿し木する時期は発根率の高い晩春から夏頃が適します。
- 培養土を準備します
- 挿し穂用の培養土には切り口が腐敗して吸水を阻害しないように、無菌のものを利用します。一般的にはバーミキュライト・赤玉土・パーライト・ピートモスなどが利用されていますが、専用の培養土もあるため近くのホームセンターで探すのも良いでしょう。
- 培養土を容器に入れて事前に水をかけて湿らせておきます。
- 挿し穂を採取する
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットして利用しましょう。
- 挿し穂を整形する
- 挿し穂の長さを7~10cm程度にわけて、挿し穂の上部の葉を残して、下部の葉を取り除きます。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くしておきましょう。
- 培養土に挿し穂を挿す
- 挿し穂を挿す場所を決めて、培養土の中に、割り箸等を利用して、事前に穴を空けておきます。
- 挿し穂の切り口を下向きにして、培養土の中に挿し穂を入れましょう。通常は挿し穂の1/3程をいれます。
- 管理
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
播種で増やす
フロックス・ディバリカータの種蒔の方法
播種時期:春まき・秋まき
発芽適温:約15~20度
発芽日数:約7日~14日
発芽条件:低温湿層処理
フロックス・ディバリカータは、生理的休眠をしているため、温度・水分・空気の条件が整っていても発芽しないことがあります。
発芽させるには冬の寒さを経験させるか、低温湿層処理する必要があるため、秋に種を撒いて冬を経験させて春まで発芽を待つか、低温湿層処理をして発芽準備をさせてから種を撒きます。
低温湿層処理のやり方
- 袋・バーミキュライト・完熟した種を準備する。
- バーミキュライトを水で軽く湿らせてから、袋の中に入れる。
- 袋の中のバーミキュライトの中に種を入れる。
- 袋の中の湿潤を保った状態で冷蔵庫(約4度)の中に入れて2ヶ月程度保管します。
- 種を撒くのによい時期(発芽適温)になったら冷蔵庫から種を取り出して種を撒きます。
種まきのやり方
- 種まきの時期
- 春・秋
- 土の準備
- ピートバンを準備したり、育苗箱と種まき専用の培養土などを準備して育てると失敗が減るでしょう。
- 種の撒き方
- 種は重ならないように、すじまき or 条まきします。
- 種を指で軽く押し込んで鎮圧して、土を数mm程度うすく被せます。※鎮圧は土と種の接着を高め水分の吸収をよくします。
- 種まき後の管理
- 種が乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理します。
植物の病気
フロックス・ディバリカータの病気
- うどん粉病
- 灰色カビ病
- 斑点病
- サビ病
フロックス・ディバリカータの害虫
- アブラムシ
- ナメクジ