- 原産:イラク/レバノン/シリア/パレスチナ/トルコ
- 科:キジカクシ(Asparagaceae)
- 亜科:ツルボ(Scilloideae)
- 属:ヒヤシンス(Hyacinthus)
- 種:ヒヤシンス/オリエンタリス(Hyacinthus orientalis)
- 別名:にしきゆり(錦百合)/飛信子/風信子/ヒヤシンス・オリエンタリス/コモン・ヒヤシンス(common hyacinth)/ガーデン・ヒヤシンス(garden hyacinth)/ダッチ・ヒヤシンス(Dutch hyacinth)
- 品種:フォンダンテ(Hyacinth orientalis ‘pink surprise’)
- 開花時期:2月~5月
- 花の色:淡い桃色・白色
- 葉の色:緑色
- 香り:花
- 生活形:多年草
- 草丈:約15~30cm
- 誕生花:4月11日
- 花言葉(紫色):悲しみ/悲哀/初恋のひたむきさ
- 花言葉(青色):変わらぬ愛
- 花言葉(赤色):嫉妬
- 花言葉(桃色):ゲーム/スポーツ/しとやかなかわいらしさ
- 花言葉(黄色):勝負/あなたとなら幸せ
- 花言葉(白色):控えめな愛らしさ/心静かな愛
- 用途:切り花/香りが良い/インドアグリーン/球根植物
- 購入方法:ヒヤシンス(フォンダンテ)を楽天で購入
■ヒヤシンス(フォンダンテ)の特徴
- 学名:Hyacinth orientalis ‘pink surprise’
- 園芸分類:ローマン系
- 花の色:淡い桃色・白色
- 草丈:約15~30cm
- 備考:花の色は淡い桃色を基調として白色の覆輪が入るため、可愛らしい見た目をしており、また光沢があるためラグジュアリーな印象を感じさせるお庭によく調和します。また、他のヒヤシンス同様に心地よい爽やかな香りが楽しめます。
■ヒヤシンスの園芸分類
●花茎の数
ローマン系(Roman Hyacinths):一個の球根から1本の太く頑強な花茎が伸びます。花穂は大きく豪華で、花は密に付きます。
ダッチ系(Dutch Hyacinths):一個の球根から複数の細い花茎が伸びます。花穂は可憐な見た目で、花が疎らに付きます。
●花の形
一重咲き(Single-flowered):花被片は6枚です。
八重咲き(Double-flowered):花被片が7枚以上で、花被片が重なります。
●花被片の向き
平開:裂片は喉部から真横に広がります。
反転咲き:裂片は外側に大きく反り返ります。
ラッパ咲き:裂片は筒部から斜上に広がり漏斗形になります。
●斑入り
無し:単色です。
覆輪:花被片の縁部分に斑が入ります。
■ヒヤシンスとは!?

ヒヤシンス(学名: Hyacinthus orientalis)は、別名では「にしきゆり(錦百合)」「飛信子」「風信子」「ヒヤシンス・オリエンタリス」「コモン・ヒヤシンス(common hyacinth)」「ガーデン・ヒヤシンス(garden hyacinth)」「ダッチ・ヒヤシンス(Dutch hyacinth)」とも呼ばれるキジカクシ科ツルボ亜科ヒヤシンス属に分類される多年草です。
ヒヤシンスの原産地はイラク、レバノン、シリア、パレスチナ、トルコで、自生地は高地の石灰岩を母材とした岩場や崖地などで見られます。
■ヒヤシンスの語源(由来)
- Hyacinthusの語源:ギリシャ神話に登場する美少年ヒュアキントスの名前に由来しています。神話の物語では、アポロンとヒュアキントスが円盤投げをしている際に、アポロンの投げた円盤が、西風の神ゼフィロスの嫉妬の風で軌道が逸れてしまい、ヒュアキントスは円盤を捉えられず円盤が額に当たってしまい、それが致命傷になって彼は亡くなりました。その際に流れた血液から、ヒヤシンスが生まれたと言われており、この名前は彼の死を悼んだアポロンが名付けました。
- orientalisの語源:ラテン語で「東」を意味しており、本種がヨーロッパから見て東の位置に自生していたことに由来します。
- 飛信子・風信子の語源:1863年に本種が渡来した際に英語の「Hyacinthus」を漢字で当て字したことに由来します。
■ヒヤシンスの特徴(魅力)

- 形態:草丈は約15~30cm、生育形は球根から葉と花を展開するロゼット型であり、球根が増え多数の葉や花茎を叢生させる叢生型です。基本的に秋になると球根から根が出て、花芽や葉の分化が始まり、冬の低温で春化し、春の早い時期から地上に葉と花を展開し、夏になると地上部が枯れて休眠します。
- 花の魅力:花序は総状花序で、花が穂状に密生し、この花がユリの花のような気品のある見た目をしているため、豪華さの中に優美さと気品を感じさせる花姿を呈します。また花の色は赤色・桃色・黄色・橙色・青色・紫色・白色・黒色が見られ、また色調の幅も広いため、好みの色が探しやすい点も魅力です。
- フラワーアレンジメント:花は収穫して花瓶に生けて切り花として楽しむことができます。切り花とすることで、お部屋の中で花を気軽に楽しむことが出来て、可愛らしいインテリアとして空間を彩ります。 花瓶の中での寿命は管理の仕方でも変わりますが一般的に約7~14日ほどです。
- 香りの特徴:ヒヤシンスの花には、薔薇の華やかさと若草のようなフレッシュさを想像させる香りがあります。この芳香を生みだす主要な精油は酢酸ベンジル、α-ファルネセン、フェネチルアルコールなどが含まれ、香りに複雑さと奥行きを与えています。本種は、この香りを楽しむ目的で、花壇・小道の縁取りにしてそこを通る度に香りを楽しめるようにしたり、玄関先に飾られて出かける際に香りが楽しめるようにしたり、お庭のガーデンファニチャーの傍に植栽して休憩しながら香りが楽しまれたり、切り花として部屋に飾り充満する香りが楽しまれたりします。
- 水耕栽培:本種は土を使わずに水耕栽培で花を咲かせることが可能です。土を使わずに栽培するため、比較的清潔感があり、根の伸長の様子も観察出来るため、ヒヤシンスの成長を実感できます。ただし、開花は出来ても、翌年の開花のためにエネルギーを球根に上手く蓄えさせることが難しい傾向にあります。
■ヒヤシンスの生活形と形態

●生活形・茎の形態
- 生活形:多年草
- ライフサイクル:秋に成長が始まり根を展開します。冬は低温に当たり春化します。春は葉と花が伸長して地上に展開します。夏は乾季に耐えるため地上部が枯れて休眠します。
- 草丈:約15~30cm
- ラウンケルの生活形:地中植物
- 生育型:ロゼット型・叢生型
- ロゼット型:地際から出る根生葉がロゼットを形成する。
- 叢生型:地際から葉や花茎が何本も出て叢生(株立ち)するもの。
- 茎の種類:鱗茎・花茎
- 鱗茎:短縮茎に葉が重なり層状になっている球根の一種です。球根の形は球形をしており、親球の周りに子球を付けます。
- 花茎:葉を付けず花のみをつける茎です。
- 茎の毛:無毛
- 茎の色:緑色・紫色・暗紫色
●葉の形態
- 葉の位置:根生葉
- 葉序:束生
- 葉の向き:初期は直立し、成熟するにつれて弧状に湾曲して広がります。
- 葉身の長さ:約15~35cm
- 葉身の幅:約1~3cm
- 葉身の概形:線形
- 葉の毛:無毛
- 葉の色:緑色・灰緑色
- 備考:葉の縁部分は樋のようにU字に凹み、質感は肉厚で、艶消しされたようなマットな見た目をしています。
●花の形態
- 花序:総状花序で、花軸に花が密に付くか疎らに付き、花の向きは花軸に対して基本横向きです。
- 花柄:有柄で、色は花の色と同系統の色になる傾向にあります。
- 苞:花梗の基部にあり、形は線状披針形です。
- 花:花被・雄蕊・雌蕊で構成されています。
- 花被:6枚の花被片の基部が合着しています。筒部の形は基部が壺形に膨らんでおり、裂片は漏斗状または皿状に開き、裂片の形は長楕円形・狭披針形で、外側に緩く反り返り、色は赤色・桃色・黄色・橙色・青色・紫色・白色・黒色が見られます。
- 雄蕊:6本で、花被筒部に合着しています。
- 雌蕊:1本で、子房上位花、心皮は3枚、子房の形は卵形です。
●果実・種子の形態
- 果実の分類:蒴果で、子房の心皮の数が3枚からなり、果実が成熟すると3室に裂開して種子が露出する。
※植物の形態についてはこちらのページも参考にしてください。
■ヒヤシンスの切り花の楽しみ方

- 収穫:切り花の収穫は花が十分水分を含んでいる朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。花は蕾が色付いてきたタイミングで、行うと日持ちがよくなります。
- 水揚げ:葉は水揚げを悪くするため必要な分を除いて茎から全て取り外します。茎の切り口は水切りを行います。
- 花を生ける:花瓶の中に浅く水(浅水)を入れて花を生けます。これは、茎が水に浸かると腐敗しやすいためです。また延命剤の効果も高いため、出来れば利用しましょう。
- 管理:直射日光を避けた15~20度の涼しい環境で管理すると日持ちがよくなります。また徐々に水揚げが悪くなるため、必要に応じて水切りを再度して水換えをしましょう。管理の方法にも左右されますが日持ちは7~10日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水中につけた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの切り花で行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切り法は、水中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切り法を行うことで茎が詰まっている原因(微生物・空気・樹液など)を取り除いて、切り口の状態を正常に戻す効果があります。
水切り法のやり方
- 準備:花材と水の入った容器を準備する
- 茎の切断:切り花の切り口を水中に漬けて、その中で切り口の根元から上に約1~5cmの場所で斜めにカットします。※斜めにカットする事で吸水部が増えて水揚げ効率がよくなります。
- 切り花を生ける:切り口を別の容器にいれて水揚げするか、花器に入れて飾ります。
浅水法
浅水法とは、花瓶などの花器に入れる水の量を少なくして、浅い水で花を生ける方法です。一般的に、茎が柔らかく水に浸かると腐敗しやすい植物において、水に浸かる面積を減らして腐敗リスクを下げるために行われます。
■ヒヤシンスの水耕栽培

- 準備:水耕栽培で使用する専用容器を準備します。春化処理がされていないヒヤシンスの球根を使用する場合は、球根を紙袋等に入れて冷暗所(冷蔵庫など)に1~2ヶ月程入れて低温を経験させておきましょう。
- 水を入れる:専用容器に水を張り、容器の上に球根を置いて、球根のお尻がギリギリ触れる程度に水の深さを調節します。球根が深くまで水浸かると腐敗する原因にもなるため注意が必要です。
- 管理:ヒヤシンスは開花のために春化が必要なため、低温の場所で1~2ヶ月間は保管し、また芽が出るまでは暗い場所で保管します。球根が吸水し始めると発根し始めるため、根だけが水に浸かるように調節します。球根が水に浸かり続けると腐敗する原因にもなるため注意して下さい。また水は雑菌が増えて腐敗するため、週1くらいの頻度で水換えも行いましょう。
■ヒヤシンス属の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
■ヒヤシンスの育て方
花壇の土づくり
●バイオーム
- 主なバイオーム:地中海植生
- 原産地:イラク、レバノン、シリア、パレスチナ、トルコ
- 自生地:高地の石灰岩を母材とした岩場や崖地などで見られます。
- 気候:主に地中海性気候・高地地中海性気候に属します。気温は夏に高温になる地域から冷涼な地域まであり、冬は寒冷な地域では氷点下を大きく下回ります。降水量は基本的に夏場は乾燥しています。
- 日照:日向から半日陰
- 土壌:レプトソル(連続した岩石の上にある非常に浅い土壌の層で深さ25cm未満です)やカンビソル(土壌形成の初期段階にあり土壌層の分化が弱い)によく見られる。これらの土壌は砂礫が多い傾向にあり、通気性・排水性が高く、肥沃さは低い傾向にあります。
※バイオームについてはこちらのページも参考にしてください。
●日照条件
ヒヤシンスは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的に日向で育てることが理想ですが、半日陰までで育てることが可能です。
日照条件の分類(参考)
- 日向:直射日光が一日を通して6時間以上当たる場所です。一般的に全方位に障害物がない、またはお庭の向きが南向きの場所になります。
- 半日陰:直射日光が3時間から5時間程度当たる場所です。一般的には、午前中のみ日が当たり、午後から日陰になる場所となります。そのため、お庭の向きは東向き、または木漏れ日がはいるような場所です。
- 明るい日陰:直射日光が二時間程度までしか当たらないか、殆ど当たらずに間接光だけで明るい場所です。一般的にお庭の向きが北向き、または建物の影など日差しを遮る障害物が多い環境です。
- 暗い日陰:森の中にあるような直射日光も間接光もほとんど当たらないような暗い場所です。
●土壌の土質
- 土質:基本的に高い通気性と排水性を兼ね備える土壌を好みます。そのため土質は水捌けのよい砂壌土が適します。水分が停滞してジメジメと湿りやすい粘土質の土質は許容せず、根腐れを引き起こすため避けた方が良いでしょう。
- 肥沃さ:過度な肥沃さは必要ありません。土壌の状態を見ながら、痩せていると感じる場合は適度に堆肥を入れるとよいでしょう。肥沃すぎる土壌は、特に夏場に蒸れやすく、根腐れの原因となるため注意が必要です。
- pH:pHは6.0~7.0の弱酸性から中性を好みます。土壌のpHを測定して適正範囲外にある場合は土壌改良材などを用いてpHを調整しましょう。pHが適正範囲から極端に外れた土壌では微量要素などの栄養を上手く吸収出来ずに生育不良になる場合があります。
土壌診断と改善の行い方(参考)
- 排水性の診断:深さ30cm程度・幅30cm程度の穴を掘り、穴の中を水で完全に満たす。一時間あたり約3~10cmの排水があれば、一般的な植物を育てるのに適した排水性になります。※それ以下またはそれ以上である場合は排水が悪い、または排水がよすぎる可能性があります。
- 排水性の改善:花壇を高くしたり、ロックガーデンを作り、植物を植える場所を周囲より高くする。また縦穴暗渠(縦穴排水)や排水溝をつくる。
- 作土層の診断:調べたい箇所の土壌に支柱を出来るだけ深くまでさします。支柱の入った部分が30cm前後あれば一般的な植物であれば、根を張るのに十分な作土層がありますが、それ以下であれば改善が必要です。また土壌を観察して石やゴミがあれば根を伸ばすのに邪魔になるため取り除いた方が良いでしょう。
- 作土層の改善:植物を植える箇所とその周囲をシャベルを使って30cm程度の深さまで掘り起こして解します。また石がある場合は土ふるいを使用して取り除きましょう。
- 土壌(土性)の性質の診断:土壌の通気性・保水性・保肥力を知るために、土壌を砂土・砂壌土・壌土・埴壌土・埴土に分類して、植物に合わせて土壌の改良をしましょう。
- 砂土:排水性と通気性が高く乾燥しやすいため、水分過剰による根腐れを引き起こしにくい。診断は、適度に湿らせた土を触った時にザラザラとした砂の粗い感触がある。手のひらや指で捏ねても全く固まらずに簡単に崩れる。
- 砂壌土:排水性と通気性が高く乾燥しやすい傾向がある、砂土と比べると、保水性と保肥力が少しあるため、乾燥気味の土壌を好む植物などに向いています。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねると、緩く固める事が出来るが崩れやすい。
- 壌土:通気性・保水性・保肥力のバランスが高いため土壌管理がしやすい。診断は、適度に湿らせた土を触った時に砂のザラザラ・粘土のヌルヌルとした感触がある。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、鉛筆程度の太さの棒状まで伸ばすことが出来る。 ただし伸ばした棒を曲げるのは難しい。
- 埴壌土:保水性・保肥力が高いため乾燥しにくい傾向がある。診断は、適度に湿らせた土を触った時に粘土のヌルヌルとした感触があり、砂のザラザラも少し感じる。手のひらや指で捏ねて伸ばすと、マッチ棒程度の太さまで伸ばすことが出来て、輪っかに曲げても切れにくい。
- 土壌(土性)の性質の改善:土壌の診断をしたら、植物が求める環境に合わせて土壌改良材をいれます。
- 通気性・排水性の改善:通気性・排水性の高い土壌改良材(パーライト・日向土・川砂・バーク堆肥 など)を混ぜ込む。
- 保水性の改善:保水性の高い土壌改良材(腐葉土・ピートモス・バーク堆肥・黒土)を混ぜ込む。
- PHの診断:土壌のPHを調べる方法は土壌酸度計を土壌に突き刺すタイプ・リトマス紙を溶液に浸すタイプ・ペーハー測定器を溶液に浸すタイプ・アースチェック液を溶液に垂らすタイプ等があります。製品によって調べ方がことなるため、詳しい手順は製品の取り扱い説明書をご覧下さい。
- PHの改善:PHを診断後に植物の適正なPHに合わせて、土壌改良材を入れてPHの改善をおこないます。
- PHを酸性に改善:ピートモスを使用する場合はPHを1下げるために、1㎡あたり、ピートモスを約1.2kgを入れて混和します。
- PHをアルカリ性に改善:苦土石灰を使用してPH1上げるには、1㎡あたり苦土石灰を約100~200g入れて混和します。
- 肥沃さの診断:肥沃さは土壌の色によりある程度診断できます。土壌の色は成分や状態を示しており、簡易的に植物を育てるのに適しているか調べる事が出来ます。黒色の場合は腐植が多く肥沃な傾向があり、赤色・黄色・白色の場合は腐植が少なく肥沃でない傾向があります。
- 肥沃さの改善:土壌に堆肥または微生物資材を入れます。堆肥を入れる量は土の量に対して二割から三割程度にします。入れ過ぎると通気性・排水性・保水性のバランスが崩れて植物が育つのに不適な環境になりやすいため注意してください。
※詳しい土壌診断と改善方法はこちらのリンクからご覧下さい
●植え付け方法
- 植え付け時期:9月~11月
- 植え付け深さ:球根の2~3倍(約10~15cm)
- 植え付け幅:約10~15cm
鉢土づくり
●日照条件
ヒヤシンスは、日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせるため基本的に日向で育てることが理想ですが、半日陰までで育てることが可能です。
●培養土
ヒヤシンスの培養土を購入する場合は、一般的な草花の培養土よりも少し通気性・排水性を高めた培養土がおすすめです。※一般的な培養土に通気性・排水性を高める改良用土を混ぜるのも良いでしょう。
培養土を自作する場合
- 培養土の特性:自生地が高地の岩場や崖などの場所にある事からも分かる通り、基本的に砂礫質で有機物は少ない土壌に生育しています。その一方で、沢山の花を咲かせる園芸品種は、原種よりやや肥沃な培養土を好みます。またpH6.0~ 7.0の弱酸性~中性の土壌を好むため、pHの値にも注意しながら培養土を作成しましょう。
- 土壌改良材(無機質):通気性・排水性・保水性を改善する目的で、赤玉土や日向土などの土壌改良材を7割~8割を目安に配合します。土壌改良材の土粒は小粒・細粒を利用します。大きすぎる土粒を使うと、培養土の中に大きな空隙が出来て根の活着が悪くなり、保水性も悪くなり植物の生育が悪くなる原因となるため避けてください。
- 土壌改良材(有機質):腐葉土などの堆肥は、一般的な植物よりも少なめに2~3割を目安にしながら培養土の中に配合します。腐葉土などの有機物は培養土の水分・養分を保持して、根の活着を助け、生育を促進する効果がありますが、本種の場合は堆肥を入れ過ぎると、夏場に蒸れて過湿状態になり根腐れを引き起こす原因ともなります。そのため、バランスを考えて必要量を入れる事が大切です。
培養土の配合例
- 通気性高い
- 基本の配合:赤玉土(小粒)7割+腐葉土3割+元肥適量
- 培養土が劣化しにくい配合:日向土(細粒・小粒)4割+硬質赤玉土(小粒)3割+ピートモス(調整済)2割+くん炭1割+元肥適量
- 比重が軽い配合:赤玉土(小粒)4割+パーライト3割+バーミキュライト1割+腐葉土2割+元肥適量
●植え付け方法
- 植え付け時期:9月~11月
- 植え付け深さ:地植えと違い、鉢植えは根張りのスペースが少ないため、球根の頭が見える程度に浅植えしてください。
水やりの仕方
ヒヤシンスの自生地の気候は地中海性気候です。休眠期の夏は乾燥し、生育期の秋や春は中程度に降雨があり、冬に最も雨が降ります。そのため、季節により水やりの方法を変えることが大切です。また過湿が続くと病原菌が増えて株が腐敗する原因となったり、根の呼吸を妨げて根腐れを引き起こす原因になったりします。そのため、水やりの頻度には十分な注意が必要です。
地植えで栽培する場合は、基本的に降雨に任せて育てることが出来ます。ただし、雨が全く降らずに土壌が乾燥していたり、極端な暑さで乾燥が早くなっている場合は水やりが必要となります。一方で、鉢植えで育てる場合は、地植えと比べて乾燥がかなり早いため、定期的な水やりが必要です。培養土の状態を見ながら水やりをする必要があるでしょう。水やりの方法は下記を参考にしてください。
●水やりの方法
- 春の水やり:株は生育旺盛で、多くの水を必要とします。そのため、土壌の表面が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 夏の水やり:この時期は休眠期になり、基本的に水分を必要としません。水分を与えすぎると、球根が腐敗する原因にもなるため、地植えしている場合は長雨を避ける為に土壌から掘りあげ乾燥貯蔵することも考慮する必要があります。
- 秋の水やり:休眠期が終わり、球根から根が出て成長が始まります。そのため、土壌の表面もしくは表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
- 冬の水やり:株は生育中です。特に晩冬頃になると地上に葉を展開して成長が始まります。そのため、土壌の表面または表層が乾燥したタイミングで水をたっぷり与えましょう。
注意点
- 水やり時間帯:水やりの時間帯は、基本的に植物が水を欲しがりだす朝に与えるのが最適です。昼や夕方に与える事も出来ますが、季節によっては高温で水がお湯のようになり蒸れて根腐れを引き起こす可能性があります。また夕方に水やりを行うと、植物が水分をあまり必要としない夜間にも水がたっぷり残り呼吸を邪魔するなどして根腐れを引き起こす原因になる事があります。そのため、基本的に朝に水をやることが正しいですが、植物が萎れている場合は時間に関係なく直ぐに水やりを行って下さい。
- 水を与える量:1回に与える水の量はたっぷりです。鉢植えで植物を栽培している場合は、鉢底から水がしっかり流れるまで与えます。その際、水を与える場所が1箇所になると水の道が出来てしまい、特定の場所に水が流れないこともあるため水を与える場所を変えながら与えましょう。地植えで水やりを行う場合は、土壌の表面だけでなく奥まで水を染み込ませるつもりでしっかりと水を与えて下さい。
- 水を与える場所:水を与える場所は基本的に株元から少し離れた場所で、植物に直接かけないようにします。植物上に水が溜まると、そこから真菌などが植物の中に侵入し、病気を引き起こし腐敗させる原因になるため注意して下さい。
土壌の乾燥の確認方法
- 土壌表面の乾燥:土壌の表面の乾燥とは、土壌の最も上の部分の表面が乾燥している事です。土壌表面の乾燥の確認方法には目視・触感・専用の道具があります。
- 目視で確認:土は濡れているなら色が濃くなったり黒っぽくなったりしていて、乾燥すると色が白っぽくなります。
- 触感で確認:土の表面を指で触ってみてます。土は濡れていると湿り気があり、乾燥しているとサラサラとしています。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
- 土壌の表層の乾燥:土壌の表層の定義は様々ありますが、ここでは土壌の表面より5cm以下にある事にして、また土壌の表層の乾燥とは土壌の表面から5cm以下が乾燥していることになります。
- 目視で確認:透明な植木鉢を使用して植物を育てます。透明で土の色の変化が分かるため、土表面から5cm以下の土の色が白っぽくなってきたら水やりを行います。
- 重量で確認:鉢植えで育てている場合は、水分量で鉢の重量が変わるため、土が乾燥した時の軽さを覚えておいて土の乾きを判断します。
- 道具で確認:割り箸・竹串などを用土の中に差してみて、引き上げた時の割り箸・竹串の色と湿り気を見て乾燥具合を確認します。
- 専用の道具:サスティーを土壌にさして使用します。サスティーは土壌が乾くと色が変化して水やりのタイミングを教えてくれます。
肥料の与え方
ヒヤシンスは土壌が十分に肥沃であれば肥料を施さなくても栽培出来ますが、成長が始まる植え付け時(元肥)と花が終わった後(お礼肥)に肥料を与えることで、球根を肥えさせ、翌年の開花によい影響を与えることができます。そのため、植え付け時に元肥を入れて、開花後にお礼肥を与えるとよいでしょう。
●肥料の与え方
- 元肥:元肥は植付け前または植付け時に土壌の中にあらかじめ入れて施す肥料です。
- 肥料の成分:リン酸・カリが多く含まれる肥料を選びます。
- 肥料の製品:緩効性肥料・配合肥料(BB肥料など)がおすすめです。
- 施し方:基本的に溝施肥です。球根を植える溝や穴の底に肥料を施します。地植えの場合は球根の植え付け深さは10~15cmになり、穴の中に元肥を入れたら、その上に数センチ土をかぶせてから球根を置き、覆土します。
- お礼肥:開花後に消耗したエネルギーを補う目的や、翌年の開花をよくする目的で、植物に与えられる肥料です。
- 肥料を与える時期:花後すぐ与えます。
- 肥料の成分:リン酸・カリが多く含まれる肥料を選びます。
- 肥料の製品:基本的に肥効が素早く出る液肥・固形肥料がおすすめです。
- 施し方(液肥):液肥を規定された分量の水で希釈して、約10~14日の頻度で与えます。液肥は1箇所にかけるのではなく、植物の株元を中心に根が張っている範囲にまんべんなく、全ての根に液肥が行き渡るように施しましょう。
- 施し方(固形肥料):固形肥料の与え方は製品により置き肥タイプ・差し込みタイプ・埋め込みタイプがあります。製品に合わせて、規定された分量・規定された頻度・規定された方法で施しましょう。
夏越しする方法
ヒヤシンスは、夏場乾燥に耐えるため休眠します。植えっぱなしでも問題ありませんが、この時期に球根が極度に湿ると腐敗して枯死するリスクも高まります。そのため、土壌の排水性が悪い場所で栽培していたり、長雨で土壌が長期間湿るようであれば、植木鉢を移動したり、球根を掘りあげて乾燥貯蔵するなどの対策が必要になるでしょう。
●降雨対策
- 鉢植え:軒下などの雨の当たらない場所に移動して、水やりを止めて秋まで管理します。
- 地植え:雨の影響を受けない場所の場合は、球根は植えっぱなしで管理します。降雨の影響があり、長雨などが降って地面がジメジメするような場所の場合は球根を掘り起こし乾燥貯蔵しましょう。
- 乾燥貯蔵:開花が終わり地上部が枯れたら球根を掘りあげます。球根を傷つけないように土を落として、必要に応じて水で洗い流しましょう。球根が湿った状態では雑菌が繁殖して腐敗するリスクがあります。そのため、球根を貯蔵する前に、外側を乾燥させて、傷ついている部分にはカルスを形成させましょう。球根を乾燥させる場所は、直射日光を避けた日陰の風通しのよい場所です。その場所に数日から1週間程度、仮置きして乾燥させます。球根が乾燥したら、球根をネットに入れる等して、通気性をよくした状態で、植え付け時期まで、直射日光を避けた日陰の風通しのよい涼しい場所に保管します。