原産:メキシコ
科:キク(asteraceae)
属:コスモス(Cosmos)
種:チョコレートコスモス(atrosanguineus)
英名:chocolate cosmos
開花時期:5月~11月
花の色:赤色●茶色●黒色●
葉色:緑色●
分類:多年草
草丈:約30~60cm
誕生花:10月27日
花言葉:恋の思い出/恋の終わり/移り変わらぬ気持ち
用途:開花期間長い/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
チョコレートコスモスとは!?
チョコレートコスモスの学名はCosmos atrosanguineus、野生では絶滅したと考えられていますが、メキシコが原産の多年草です。
チョコレートコスモスの語源(由来)
- 属名のCosmosはギリシャ語で「秩序」「調和」を意味する「κόσμος(kósmos)」に由来します。
- 種小名のatrosanguineusは「暗い」「ダーク」を意味する「atro」と、「血の」を意味する「sanguineus」の2語からなり、赤黒い花色に由来しています。
- チョコレートコスモスの由来は、花の香りや色が「チョコレート」を思わせる所と、花の形がコスモスに似る所からきています。
チョコレートコスモスの特徴(魅力)
- チョコレートコスモスは花の香りを嗅ぐとチョコレートやバニラを思わせる様な香りをほんのり感じる事が出来ます。
- チョコレートコスモスは殆ど黒色をした赤黒い重厚感のある花色をしています。
- ↳花の色はアントシアニンとカルコンの量に起因しています。
- 花は切り花としても利用されています。
- ↳管理の仕方などにも左右されますが日持ち約7~10日です。
- チョコレートコスモスはコスモスと比べて草丈が60cm程度と低く横に広がる傾向にあります。
- 花柄が長くしばしば奔放に広がります。
- チョコレートコスモスは地面下に根塊をもち種を作りません。
チョコレートコスモスは地面下に塊根をもちます。茎の色は緑色もしくは赤みを帯び、直立して高さ約30(~60)cmの間で成長します。葉は茎に対して対生葉序につき、葉色は緑色、葉身は羽状複葉もしくは羽状浅裂(~深裂)して、小葉は楕円形もしくは披針形です。花序は直径約5cmある頭花で、花(頭花)は舌状花が通常8個(稀に6~10個)と筒状花が中央に多数集まります。
チョコレートコスモスの切り花の楽しみ方
- チョコレートコスモスの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 収穫したチョコレートコスモスは傷みやすく水揚げを悪くする葉を出来るだけ取り除きます。
- 葉を取り除いたら水に漬けて水切りもしくは湯揚げを行いましょう。
- 水切りしたら浅水の花瓶(水の浅い花瓶)に生けて楽しみます。
- ↳管理の方法でも左右されますが日持ちは5~7日程度です。
- 管理は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)で数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行い、水揚げが悪いと感じる場合は必要に応じて湯揚げをしましょう。
- ↳萎れた花を手で丁寧に摘み取ると蕾の花が咲きやすくなります。
- ↳また花瓶の水に延命剤(栄養入り)を入れる事でも蕾が開きやすくなるため基本的には延命剤も利用しましょう。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
湯揚げ法
湯揚げ法とは、切り花の切り口をお湯の中と冷水につけて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
湯揚げは、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果があります。またお湯で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
湯揚げの方法
- お湯(約60~100度)と冷水を準備します。
- 切り花の花や葉が湯気で弱らないように、新聞紙で切り花を覆います。ただし、切り口の部分はお湯につけるため、茎の下部は新聞紙から出しておきましょう。
- 切り口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- お湯(約60~100度)の中に切り口を付けて、切り口から空気が出てこなくなるのをまちます。お湯につける時間はおおよそ20~60秒です。
- お湯から切り花を出して、そのまま冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い花瓶に生けて楽しみます。
浅水法
浅水法とは花瓶等の容器に入れる水の量を減らして、浅い水で花を生ける方法です。
浅水は、水に浸かる茎の面積が減るため、腐敗のリスクを低減することが出来ます。そのため浅水は主に茎が柔らかく腐敗しやすい花等で行われます。
チョコレートコスモスの栽培方法
園芸では、殆ど黒色をした重厚感のある赤黒い花を鑑賞する目的や、その花を収穫して切り花として利用する目的で育てられます。チョコレートコスモスは比較的にコンパクトな草姿をしている事から、花壇の前方や中央部に並べて縁どりとして楽しんだり、管理のしやすい鉢植えに植えて様々な場所で楽しまれたりします。重厚感のある赤黒い花色は、何処か掴み所のないミステリアスな雰囲気をつくるため、独特な世界観のある不思議なお庭や、ゴシック調の重厚感ある雰囲気のお庭等によくあうでしょう。
コスモスの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
コスモスの珍しい種類、主な種と園芸品種の紹介【2021】
チョコレートコスモスの育て方
花壇の土づくり
チョコレートコスモスは日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。日当たりの悪い場所では開花が悪くなったり細く弱々しい茎が徒長して倒伏しやすくなったりするため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。
土壌のPH
チョコレートコスモスは土壌のPH6.0~7.5の間を好みます。PHが高すぎたり低すぎたりすると生育不良になる可能性が高くなります。そのため植付け前にPHを診断して、PHが高い場合はピートモスを入れたり、PHが低い場合は苦土石灰を入れる等してPHの改善を行いましょう。
土壌の土質
チョコレートコスモスは良好な水捌けがない場合、根腐れを引き起こし生育不良を引き起こす可能性があります。そのため通気性と排水性のよい土壌に植えて上げましょう。また適度に肥沃な土壌を好むため必要に応じて腐葉土等をいれてあげましょう。
植付けの前に土壌診断を行いましょう。
①土を掘る時に硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
②土を濡らして握った時にバラバラと崩れる場合は保水性がない可能性があります。逆に土の塊が出来ても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。
③肥沃な土の場合は土の色が黒っぽくなるため、土の色が薄い場合は土壌の肥沃さが足りない場合があります。
土壌診断後、必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れたり、保水性や保肥力を高める田土や黒土を混ぜたり、肥沃さが足りない場合は牛ふん堆肥や腐葉土等の堆肥を混ぜこみ土壌改善を行いましょう。
鉢土づくり
日当り
チョコレートコスモスは日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。
培養土
培養土は通気性の高い草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
水やりの仕方
チョコレートコスモスは浸水したり水分が停滞する様な環境を嫌いますが、やや湿り気のある土壌を好みます。
水やりの頻度は環境(植える場所や土質)にも左右されますが、基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで行うといいでしょう
肥料の与え方
チョコレートコスモスの肥料は春と秋の生育期間中に追肥として与えましょう。
追肥
チョコレートコスモスの追肥は、春と秋の生育期間中持続的に行います。基本的には液肥で与えるといいでしょう。液肥で与える場合は10~14日に一度のペースで水やりの際に与えます。
また必要に応じて化成肥料や緩効性肥料を利用すると、省力化に繋がり追肥作業が楽になります。化成肥料や緩効性肥料は山型肥料(リン酸多め)を選び、株から少し離した場所に規定量を置肥しましょう。
剪定のやり方
チョコレートコスモスの剪定は「摘芯」と「花がら摘み」と「切り戻し」の3つに分かれます。
摘芯
チョコレートコスモスは生育初期の草丈の低い時期に茎の成長点を指やハサミで摘む事で、頂芽の成長を止めてしまい側芽の成長を促す事が出来ます。
摘芯は必ず必要な作業というわけではありませんが、摘芯を行う事で草丈を抑えて茎の数を増やしたり、また茎の数が増える事で花の数が増えます。
花がら摘み
チョコレートコスモスの開花期間中の花がら摘みが大切です。何故なら枯れた花を残すと見た目が悪いばかりか、種を作り初めて株が弱り生育が衰えたり、新しい花がつくられにくくなったりするからです。 枯れた花を摘む事は、沢山の新しい花を咲かせる事に繋がります。
花がら摘みは基本的に花柄の下からハサミを使い摘みましょう。
切り戻し
チョコレートコスモスの切り戻しは夏の終わり頃に行います。高さ約10~20cmの間で葉を沢山残す様に、ドーム状に切り戻しましょう。
切り戻しを行わないと、生産性の悪い古い茎が残り花数が減ったり、ひょろひょろとした間延びした茎が残り見た目がわるくなったり、茎が倒れやすくなったりします。
冬越しする方法
Hardiness:9b~11a
チョコレートコスモスは暖地であればそのまま植えっぱなしでも冬が越せますが、強い霜が降りる地域では腐葉土や不織布でマルチングして保護したり、球根(塊根)を掘り起こす等して凍結しない場所で保管(湿潤貯蔵)する必要があります。
湿潤貯蔵
湿潤貯蔵とは球根を掘り起こした後で、湿らせた清潔な用土の中等に球根を移し、室内等の凍結しない環境で貯蔵する事です。
湿潤貯蔵のやり方
①掘り起こす前に地上部の葉が枯れるのを待ちます。
②地上部が枯れたら出来るだけ早く土が乾いたタイミングで球根を掘り起こします。
③球根に付いた土を水で洗い流し(洗わない方がいい球根もある)、茎を切り取り古い皮を取り除き清潔にして、雑菌による球根の腐敗の原因を取り除きます。
④損傷部は腐敗の原因になるため必要に応じて、温度が約15度程度の直射日光の当たらない風通しのよい乾燥した場所で数日(約1~3日)乾燥させカルスを形成させましょう。
④球根の腐敗を防ぐために市販の球根の消毒液を使い消毒しましょう。
⑤穴を開けた袋やダンボール箱等の空気の通りのある容器に湿らせた清潔な用土(バーミキュライト・オガクズ・ピートモス等)を入れます。
⑥用土の中に球根を離して入れます。くっつけると問題が起こった時に腐敗が広がりやすくなります。
⑦室温が約1~10度程度の環境で植え付け時期まで保管しましょう。
⑧貯蔵中は定期的に球根の状態や用土の状態を確認して、腐敗している傾向がある球根は取り除き、皺がより水分が少ないと感じる球根は水で湿らせて再度埋め直します。
挿し木や株分けで増やす
挿し木の方法
- チョコレートコスモスの挿し木時期は生育が活発で発根力が高い晩春から夏が適します。
- 挿し穂は今年成長した部分を利用します。
- ↳長さ約7~10cmでカットしましょう。
- 上部の葉を残して株の葉を取り除きます。
- 切り口に発根ホルモンを付けます。
- 挿し穂を湿らせた培養土に挿して下さい。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりをしっかり行い管理しましょう。
分球の方法
チョコレートコスモスの分球する時期は春か秋が最も最適です。
スコップを使い株を掘りあげたら、球根(塊根)と茎の繋がった部分に芽があるのを確認して、その部分を残すようにナイフで切り分けましょう。切り口はそのままにすると腐敗しやすいため必要に応じて灰を塗る等して菌が入らないようにしましょう。