シレネは属の中に約908種があり、園芸でも様々な種と品種が親しまれています。このページでは9の原種と、いくつかの園芸品種等を紹介しています。
上記の他にも、このページでは育て方や購入する際のリンクも用意しています。よければ、そちらもご活用ください。
■目次
■シレネの簡易比較

学名:Silene uniflora
生活形:多年草
草丈:約5~30cm
開花:4月~6月
花色:緑色・黄緑色・白緑色・桃色・赤紫・白
葉色:緑色・黄色・白色
草姿:匍匐型
備考:地表面を覆うように広がる匍匐型の草姿と、風船を想像させるようなぷっくりと膨らむ可愛らしい花、やや肉厚で青緑色をしたトロピカルな印象を与える葉色が魅力的な植物になります。

学名:Silene coronaria
同義語:Lychnis coronaria
生活形:二年草/多年草
草丈:約40~100cm
開花:5月~8月
花色:赤色・桃色・白色
葉色:白緑色・白色
草姿:一時ロゼット型
備考:白色のビロード毛で覆われている茎や葉、鮮やかな赤色・桃色・白色の派手な花が魅力的な植物です。

学名:Silene vulgaris
生活形:多年草
草丈:約40~60cm
開花:5月~8月
花色:白緑色・赤紫色・白色
葉色:灰緑色
草姿:叢生型
備考:風船のようにぷっくりと膨らむ可愛らしい花や、集散状に連なりボリューム感のある花姿が魅力的です。

学名:Silene dioica
生活形:二年草/多年草
草丈:約20~90cm
開花:5月~8月
花色:桃色・緑色・赤紫色
葉色:緑色
草姿:一時ロゼット型
備考:細長く華奢な茎が何本も直立しながら多数の花を咲かせる可憐な花姿と、可愛らしい印象を与える鮮やかな桃色の花色と、花弁先端が深く裂けるハート形をした花弁が魅力となる植物です。

学名:Silene pendula
生活形:一年草
草丈:約15~45cm
開花:4月~6月
花色:桃色・白緑色・赤紫色
葉色:緑色
草姿:一時ロゼット型
備考:茎が途中で倒れて地面を這うように広がる性質があり、花弁の形がハート形をしたピンク色の可愛らしい花を多数咲かせます。

学名:Silene armeria
生活形:一・二年草
草丈:約20~70cm
開花:5月~6月
花色:桃色・白色
葉色:灰緑色
草姿:叢生型
備考:桃色の花が茎頂に半球形に集まりボリュームよく咲く花姿や、茎上部の葉の下から粘液を分泌して虫を捕獲する性質が魅力の植物です。

学名:Silene schafta
生活形:多年草
草丈:約10~25cm
開花:8月~10月
花色:桃色・白緑色・赤紫色
葉色:緑色
草姿:叢生型
備考:細長い茎が地際から多数伸びて叢生する性質があり、開花期の夏頃になると花弁の形がハート形をしたピンク色の可愛らしい花を多数咲かせて花絨毯をつくります。

学名:Silene regia
生活形:多年草
草丈:約50~160cm
開花:5月~8月
花色:桃色・緑色・赤紫色
葉色:緑色
草姿:一時ロゼット型
備考:穂状に連なる細長い花姿と、細長い花弁が星形に並ぶシャープな花形、鮮やかな赤色の花色が魅力的な植物です。

学名:Silene flos-cuculi
生活形:二年草/多年草
草丈:約20~90cm
開花:5月~8月
花色:桃色・緑色・赤紫色
葉色:緑色
草姿:一時ロゼット型
備考:細長く華奢な茎が何本も立ち上がりながら多数の花を咲かせる可憐な花姿と、花弁が細かく4つに裂けて各裂片が線状になるピンクの花が魅力的な植物です。
■シレネの主な種と園芸品種の紹介
●主な原種
シレネ・ユニフローラ




シレネ・ユニフローラとは!
シレネ・ユニフローラの学名は Silene uniflora 、別名では「ホテイマンテマ」「シー・チャンピオン(sea campion)」等とも呼ばれる多年草です。
シレネ・ユニフローラの原産地はヨーロッパの西側の海岸沿いにあり、自生地は崖地や砂浜、草原などにあります。
シレネ・ユニフローラとは!
- シレネ・ユニフローラの魅力:地表面を覆うように広がる匍匐型の草姿と、風船を想像させるようなぷっくりと膨らむ可愛らしい花、やや肉厚で青緑色をしたトロピカルな印象を与える葉色が魅力的な植物になります。そのため、園芸ではロックガーデンなどの地被植物として活用されたり、鉢などで栽培されてハンギング仕立てにされたりされて、美しい葉や花が鑑賞されている植物です。
- 草姿:匍匐型になり、茎は柔軟で地表面を這い、壁面を下垂したりして、絨毯のように成長します。
- 葉の特徴:葉の概形は楕円形・ヘラ形・倒卵形など変異が多く、肉厚でぷにっとした可愛らしい外観をしています。葉の色は青緑色ですが、品種により黄色や白色があります。
- 花の特徴:花序は集散花序で、中心の花が咲いたら、その下の両脇の花が開花します。花を構成している萼は、ぷっくりと膨らみ風船のような見た目をしており、萼の色は個体差があり緑色・白色・淡い茶色・桃色の範囲で変化があり、非常に装飾的で花に可愛らしい印象を添えます。また白色の花弁も深い切れ込みが入り、フリルのようなお洒落な見た目をしているため、上品な印象を花から感じさせます。そのため、この花を鑑賞する目的で栽培されることも多いです。
- カラーリーフ:葉の色は緑色の他、品種を選べば白色や黄色の葉色も楽しめます。そのため、開花期以外も明るさや上品さを感じさせる、カラーリーフとしてお庭を彩ることが出来ます。
- 地被植物:シレネ・ユニフローラは、地表面をマット状に広がるため、ロックガーデンなどの地被植物(グランドカバー)として利用されています。基本的に草丈が低く、葉が密生するため絨毯のような外観となります。ただし耐踏圧性がないため人通りのある場所での利用ができません。一方で、耐乾性が高いため水やりが殆ど不要になり、肥料による栄養を殆ど必要ないため管理が楽な所が魅力となるでしょう。
- 枝垂れ植物:茎は柔軟で這うように広がるため、ハンギング鉢などに植えると鉢縁から真下に枝垂れる草姿が鑑賞できたり、ロックガーデンや石垣の側に植えると岩肌を被覆するように枝垂れる草姿が鑑賞できたりします。これらの仕立て方で、人工物などが植物に覆われていく様は、優美な雰囲気を演出するだけでなく、時の流れや、自然の脅威や荒廃を演出するのにも一役買うでしょう。
- ロックガーデン:シレネ・ユニフローラは自生地が海岸沿いの崖地などにあり、乾燥気味の環境に適応する事からも分かる通り、ロックガーデンに最適な植物のひとつです。この植物は草姿が匍匐型のため、ロックガーデンの中では岩肌に沿って覆うように広がったり、垂れ下がる様子が楽しめます。ゴツゴツとした荒々しくワイルドな岩肌が、多肉質で可愛らしい葉に覆われたり、開花期に風船のような可愛らしい花が咲くことで、ロックガーデンが優しい雰囲気へと変化するでしょう。
シレネ・ユニフローラの園芸品種の紹介
班入りシレネユニフローラ

学名:Silene uniflora ‘variegated’
花の色:白色
葉の色:灰緑色・白色(クリーム色)
草丈:約5~15cm
備考:葉の色は灰緑色に、白色(クリーム色)の覆輪が入り2色となります。そのため、明るさや柔らかさを感じさせるカラーリーフとなり、お庭に清潔感や優しい雰囲気を添えてくれます。
ドレッツバリエガータ

学名:Silene uniflora ‘druett’s variegated’
花の色:白色・灰緑色(灰桃色)
葉の色:灰緑色・クリーム色
草丈:約5~15cm
備考:葉の色は灰緑色に、白色(クリーム色)の覆輪が入り2色となります。そのため、明るさや柔らかさを感じさせるカラーリーフとなり、お庭に清潔感や優しい雰囲気を添えてくれます。花は萼が灰緑色から灰桃色で、花弁は白色をしている。
ナッキーホワイト
学名:Silene uniflora cv.
花の色:白色・灰桃色
葉の色:灰緑色・クリーム色
草丈:約5~15cm
備考:葉の色は灰緑色に、白色(クリーム色)の覆輪が入り2色となります。そのため、明るさや柔らかさを感じさせるカラーリーフとなり、お庭に清潔感や優しい雰囲気を添えてくれます。花は萼が灰桃色で、花弁は白色をしている。
スイセンノウ



スイセンノウとは!
スイセンノウの学名は Silene coronaria 、または同義語で Lychnis coronaria 、別名では「リクニス・コロナリア」「シレネ・コロナリア」「ローズ・キャンピオン(rose campion)」「ムーレイン・ピンク(mullein pink)」「ブラッディウィリアム(bloody William)」等とも呼ばれる二年草または多年草です。
スイセンノウの原産地はヨーロッパと西アジアにあり、自生地は草原や岩場や開けた林縁などの幅広い環境にあります。
スイセンノウの特徴
- スイセンノウの魅力:この植物は、白色のビロード毛で覆われている茎や葉、鮮やかな赤色・桃色・白色の派手な花が魅力的な植物です。そのため、園芸では茎や葉をシルバーリーフとして楽しんだり、また美しい花とシルバーリーフのコントラストを鑑賞する目的で栽培されています。お庭で栽培することで、この植物はシルバー・ルビー・真珠を散りばめた宝石箱を見ているようなラグジュアリーな雰囲気を添えてくれます。
- 草姿:この植物は一時ロゼット型になり、生育初期はロゼットを形成していますが、株が成熟すると直立茎を伸ばして成長します。直立茎は初期は殆ど分枝をしませんが、開花期になると頂部の成長が止まり、集散状に分枝を繰り返しながら側枝の混み合うボリューム感のある外観となります。
- 花の特徴:花序は集散花序で、中心の花が咲いたら、その下の両脇の花が開花することを繰り返してボリューム感のある花姿をつくります。花を構成している萼は風船のような外観で、花冠筒部を隠しています。花弁は5枚あり、裂片には他のシレネ属のような深い切れ込みはなく、丸みのある可愛らしい外観をしています。花の色は赤色・桃色・白色があるため、自身の好みに合わせて可愛らしい雰囲気が好きなら桃色を選んだり、派手で華やかな雰囲気が好きなら赤色を選ぶと良いでしょう。
- シルバーリーフ:茎や葉には白色のビロード毛が密生しているため、殆ど白色の外観をしています。また白色の毛は光の反射で輝いているようにも見えるため、シルバーの宝飾品のようにも見え、ラグジュアリーな印象を添えるシルバーリーフとして楽しめます。
- 花壇の立体感:スイセンノウは草丈が40~100cmまでになり、直立して高さを出すことが出来ます。そのため、花壇の中で形態や草丈の異なる他の植物を組み合わせて配置すると、立体感やリズム感がある美しい花壇をつくることができます。
スイセンノウの園芸品種の紹介
ガーデナーズワールド
学名:Silene coronaria ‘gardeners’ world’
花の色:赤色
葉の色:白緑色・白色
草丈:約40~60cm
備考:花の形が八重咲きで真っ赤な薔薇を見てるような豪華な花姿が楽しめる品種です。また真っ赤な花は、白色に輝く茎・葉との相性が抜群によく、プラチナとルビーの宝飾品を見てるようなラグジュアリーな雰囲気を演出する事ができます。
アルバ

学名:Silene coronaria ‘alba’
花の色:白色
葉の色:白緑色・白色
草丈:約40~100cm
備考:花・茎・葉が白色をしていて、明るさや神聖さ、清潔感や清楚さを感じさせる品種です。
アトロサンギネア

学名:Silene coronaria atrosanguinea
花の色:マゼンタ色
葉の色:白緑色・白色
草丈:約40~100cm
備考:マゼンタ色の花と、非常に明るい白緑色または白色の葉のコントラストが魅力的な園芸グループです。
シレネ・ブルガリス

シレネ・ブルガリスとは!
シレネ・ブルガリスの学名は Silene vulgaris 、別名では「シラタマソウ」「ブラダー・キャンピオン(bladder campion)」「メイデンズ・ティアーズ(maidenstears)」等とも呼ばれる多年草です。
シレネ・ブルガリスの原産地はヨーロッパとアジアと北アフリカにあり、自生地は草原や牧草地や開けた潅木地などにあります。
シレネ・ブルガリスの特徴
- シレネ・ブルガリスの魅力:この植物は、風船のようにぷっくりと膨らむ可愛らしい花や、集散状に連なりボリューム感のある花姿が魅力的です。そのため、園芸ではこの花を鑑賞する目的で栽培されたり、また切り花やドライフラワーなどの花材として利用する目的で栽培されています。
- 草姿:叢生型になり地面下にある根茎から複数の地上茎が出る。地上茎は直立茎で真っ直ぐと伸びて、行儀の良い群生をつくります。
- 花の特徴:花序は二出集散花序で、中心の花が咲いたら、その下の両脇の花が開花することを繰り返してボリューム感のある花姿をつくります。花を構成している萼は、ぷっくりと膨らみ風船のような見た目をしており、萼の色は白緑色に赤紫色の脈斑が入り、花に可愛らしさと上品な印象を添えます。また白色の花弁も深い切れ込みが入り、フリルのようなお洒落な見た目をしているため、上品な印象を花から感じさせます。そのため、一般的にこの花を鑑賞する目的で栽培されます。
- フラワーアレンジメント:開花した花は、収穫して切り花として利用されたり、また収穫してドライフラワーとして利用されたりします。切り花として利用した場合は、花瓶の中で約7~10日の日持ちがあります。
- 食用:地中海周辺では、若い芽・柔らかな葉が食用として利用されています。これらは、サラダにして食べられたり、茹でたり、揚げたりして様々な料理で食べられます。
レッドキャンピオン
レッドキャンピオンとは!
レッドキャンピオンの学名は Silene dioica 、別名では「シレネ・ディオカ」や「レッドキャッチフライ(red catchfly)」等とも呼ばれる二年草または多年草です。
レッドキャンピオンの原産地はヨーロッパにあり、自生地は崖地や林縁、河岸などにあります。
レッドキャンピオンの特徴
- レッドキャンピオンの魅力:この植物は、細長く華奢な茎が何本も直立しながら多数の花を咲かせる可憐な花姿と、可愛らしい印象を与える鮮やかな桃色の花色と、花弁先端が深く裂けるハート形をした花弁が魅力となる植物です。また、シレネ属では珍しい雌雄異株となり、雄花だけが咲く雄株と雌花だけが咲く雌株にわかれています。
- 草姿:一時ロゼット型になり、生育初期をロゼットで過ごし後に、茎が伸びて、開花期には根生葉は枯れてなくなります。草丈は約20~90cm、茎は直立茎で、地際から華奢な茎が多数伸びて株立ち状に伸びます。
- 花の特徴:開花期は5月から8月にあり、花序は集散花序です。花は雌雄異株で雄花だけの雄株と雌花だけの雌株でわかれています。花を構成している萼は壺形で風船状に膨らんでおり、雄株は脈が10本、雌株は脈が20本、色は個体差があり緑色・赤紫色で差異があります。花冠はナデシコ科でよく見られるナデシコ形花冠になり、萼筒から開出する花弁(舷部)は縁部分に強い切れ込みの入る倒心形で、花弁の色は桃色をしています。そのため、一般的にこの可愛らしい花を鑑賞する目的で栽培されます。
レッドキャンピオンの園芸品種の紹介
シレネ・ペンデュラ



シレネ・ペンデュラとは!
シレネ・ペンデュラの学名は Silene pendula 、別名では「フクロナデシコ」「サクラマンテマ」「サクラギソウ」「ノッティング・キャッチフライ(nodding catchfly)」「ドルーピング・キャッチフライ(drooping catchfly)」等とも呼ばれる一年草です。
シレネ・ペンデュラの原産地はイタリアとギリシャとトルコにあり、自生地は草原や岩場や道端などにあります。
シレネ・ペンデュラの特徴
- シレネ・ペンデュラの魅力:この植物は、茎が途中で倒れて地面を這うように広がる性質があり、花弁の形がハート形をしたピンク色の可愛らしい花を多数咲かせます。そのため、園芸では主に花壇の縁どり、枝垂れる植物、景観植物として栽培されており、特にこの植物を景観として広範囲に群生させると春から初夏の開花期にはピンクの花で埋め尽くされるロマンチックな花絨毯を作り出す事ができます。
- 草姿:一時ロゼット型で、ある期間をロゼットで過ごし後に根生葉を残さずに茎が伸びます。茎は横臥茎になり、茎の向きは直立または斜上に伸びた後に、湾曲して横に倒れて地表を這う性質があります。
- 花の特徴:開花期は春から初夏にあり、花序は集散花序です。花を構成している萼は、咲き初めは細長い円柱形ですが、咲き進むと風船のように膨らみ可愛らしい外観となります。萼の色は緑色または赤紫色をしているため、花弁と同様に装飾性が高い点も魅力です。花冠はナデシコ科でよく見られるナデシコ形花冠になり、萼筒から開出する花弁(舷部)はハート形で、花弁の色は桃色をしています。そのため、一般的にこの可愛らしい花を鑑賞する目的で栽培されます。
- 景観植物:シレネ・ペンデュラは、繁殖力が強く種子や横臥茎で広がる点や、栄養や水分の少ない環境に強く管理が楽な点、開花期に美しいピンク色の花絨毯が見られる点等から、斜面などに大量に植栽がされて、景観植物として活用されたりもしています。
- 枝垂れ植物:茎は横臥茎になり這う性質もあるため、ハンギング鉢などに植えると、鉢縁からこんもりと溢れるような草姿が鑑賞できます。
- ロックガーデン:シレネ・ペンデュラは自生地が岩場などにあり、乾燥気味の環境に適応する事からも分かる通り、ロックガーデンに適した植物のひとつとなります。この植物の茎は横臥茎のため、ロックガーデンの中では岩肌に沿って覆うように広がったり、垂れ下がる様子が楽しめます。
シレネ・ペンデュラの園芸品種の紹介
ムシトリナデシコ

ムシトリナデシコとは!
ムシトリナデシコの学名は Silene armeria 、同義語では Atocion armeria 、別名では「シレネ・アルメリア」「ハエトリナデシコ」「ムシトリバナ」「コマチソウ」「スイート・ウィリアム・キャッチフライ(Sweet William catchfly)」等とも呼ばれる一・二年草です。
ムシトリナデシコの原産地はヨーロッパにあり、自生地は岩場や荒れ地、道端などにあります。
ムシトリナデシコの特徴
- ムシトリナデシコの魅力:この植物は、桃色の花が茎頂に半球形に集まりボリュームよく咲く花姿や、茎上部の葉の下から粘液を分泌して虫を捕獲する性質が魅力の植物です。そのため、園芸ではこの可愛らしい花を鑑賞する目的で栽培されたり、また虫を捕獲する様子を観察する目的で栽培されています。
- 草姿:直立型または叢生型になり、地上茎は直立茎で真っ直ぐと伸びて、開花期になると茎の上部で集散状に分枝を繰り返します。茎の上部の節の下には粘液を分泌する部分がある。
- 花の特徴:花序は集散花序であり、茎の先端で頂花をつくると成長が止まり、側枝が成長して頂花が作られると成長が止まりを繰り返して花姿をつくります。その中で作られるムシトリナデシコの花姿は、茎頂部に花が集まる傾向が強いため、外観は丸みを帯びる半球形になる事が多いです。花冠はナデシコ科でよく見られるナデシコ形花冠になり、萼筒から開き出する花弁(舷部)はヘラ形または倒披針形でシャープな外観をしています。花の色は一般的に桃色をしていますが、白色の場合もあります。
- 食中植物?:ムシトリナデシコは食中植物ではありません。茎の上部の節の下には茶色の粘液を分泌する部分があり、そこに小さな虫が引っかかり捕えられる事がありますが、この植物は昆虫から栄養をとっていないため食中植物ではありません。一般的に受粉を助けない蟻などの昆虫が盗蜜しなように、粘液を分泌していると考えられています。
シレネ・シャフタ

シレネ・シャフタとは!
シレネ・シャフタの学名は Silene schafta 、別名では「コーカシアン・キャンピオン(Caucasian campion)」「オータム・キャッチフライ(autumn catchfly)」等とも呼ばれる多年草です。
シレネ・シャフタの原産地はコーカサス地方にあり、自生地は岩場の斜面や礫地などにあります。
シレネ・シャフタの特徴
- シレネ・シャフタの魅力:この植物は、細長い茎が地際から多数伸びて叢生する性質があり、開花期の夏頃になると花弁の形がハート形をしたピンク色の可愛らしい花を多数咲かせて花絨毯をつくります。そのため、園芸ではこの花を鑑賞する目的で栽培されており、花壇の縁どりとして利用されたり、広範囲に群生させて景観植物として利用されたり、また乾燥に強い事からロックガーデン等に利用されたりしています。
- 草姿:叢生型になり台木状の根茎から複数の地上茎が出る。地上茎は直立茎・斜上茎・横臥茎があり、群生を作りながら、高さ約10~25cmのこんもりも盛り上がるドーム状の外観となります。
- 花の特徴:開花期は夏から秋頃にあり、花序は集散花序です。花を構成している萼は、細長い萼筒になり色は緑色または赤紫色をしています。花冠はナデシコ科でよく見られるナデシコ形花冠になり、萼筒から開出する花弁(舷部)は弁先が裂けてハート形に見える可愛らしい外観をしており、また花弁の色も桃色をしているため、一層かわいらしさが引き立てられます。
- ロックガーデン:シレネ・シャフタは自生地が岩場などにあり、乾燥気味の環境に適応する事からも分かる通り、ロックガーデンに適した植物のひとつとなります。この植物の茎は横臥茎のため、ロックガーデンの中では岩肌に沿って覆うように広がったり、垂れ下がる様子が楽しめます。
シレネ・シャフタの園芸品種の紹介
シレネ・レギア
シレネ・レギアとは!
シレネ・レギアの学名は Silene regia 、別名では「ロイヤルキャッチフライ」等とも呼ばれるナデシコ科シレネ属の多年草です。
シレネ・レギアの原産地はアメリカ合衆国(アラバマ州・アーカンソー州・ジョージア州・イリノイ州・インディアナ州・カンザス州・ケンタッキー州・ミズーリ州・オハイオ州・テネシー州)にあり、自生地は草原や開けた森林、岩場などにあります。
シレネ・レギアの特徴
- シレネ・レギアの魅力:この植物は、穂状に連なる細長い花姿と、細長い花弁が星形に並ぶシャープな花形、鮮やかな赤色の花色が魅力的な植物です。そのため、園芸ではこの花を鑑賞する目的で栽培されています。
- 草姿:一時ロゼット型になり、生育初期をロゼットで過ごし後に、茎が伸びて、高さ約50~160cmまで成長します。茎は直立茎で、地際から茎が複数伸びて株立ち状になり、開花期になると上部で集散状に分岐しながら沢山の花を咲かせます。
- 花の特徴:開花期は5月から8月にあり、花序は集散花序です。花を構成している萼は、細長い管状の萼筒になり色は緑色をしています。花冠はナデシコ科でよく見られるナデシコ形花冠になり、萼筒から開出する花弁(舷部)は楕円形になり、また花弁の色は赤色をしています。
カッコウセンノウ

カッコウセンノウとは!
カッコウセンノウの学名は Silene flos-cuculi 、別名では「シレネ・フロスククリ」や「ラギットロビン(ragged-robin)」等とも呼ばれる二年草または多年草です。
カッコウセンノウの原産地はヨーロッパとアジアにあり、自生地は牧草地や道端や湿地などにあります。
カッコウセンノウの特徴
- カッコウセンノウの魅力:この植物は、細長く華奢な茎が何本も立ち上がりながら多数の花を咲かせる可憐な花姿と、花弁が細かく4つに裂けて各裂片が線状になるピンクの花が魅力的な植物です。そのため、園芸ではこの花を鑑賞する目的で栽培されており、お庭の中で自然な雰囲気を演出するのに役立ちます。
- 草姿:一時ロゼット型になり、生育初期をロゼットで過ごし後に、茎が伸びて、高さ約20~90cmまで成長します。茎は直立茎で、地際から華奢な茎が多数伸びて株立ち状になり、開花期になると上部で集散状に分岐しながら沢山の花を咲かせます。
- 花の特徴:開花期は5月から8月にあり、花序は二出集散花序です。花を構成している萼は、緩く膨らんだ壺形の萼筒になり色は緑色または赤紫色をしています。花冠はナデシコ科でよく見られるナデシコ形花冠になり、萼筒から開出する花弁(舷部)は弁先が4つに裂けて各裂片は線状になり、また花弁の色は桃色をしています。