- 原産:東アジア
- 科:ベンケイソウ(Crassulaceae)
- 属:ムラサキベンケイソウ/ヒロテレフィウム(Hylotelephium)
- 種:オオベンケイソウ/スペクタビリス(spectabile)
- 同義語(synonym):Sedum spectabile
- 別名:ヒロテレフィウム・スペクタビリス/セダム・スペクタビリス/ショウイー(showy stonecrop)/アイスプラント(iceplant)/バタフライ・ストーンクロップ(butterfly stonecrop)
- 品種:アイスバーグ(Hylotelephium spectabile ‘iceberg’)
- 開花時期:8月~11月
- 花の色:白色〇桃色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:多年草
- 草丈:約50cm
- 誕生花:9月13日/9月26日/10月17日
- 花言葉:静寂/穏やか/優しい心/信じて従う/機転がきく
- 用途:カラーリーフ/切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
セダム・アイスバーグとは!?
セダム・アイスバーグは明るく清潔感のある印象を与える様な白色の花(稀に桃色)が魅力の園芸品種です。花はモコモコとブロッコリーの様な可愛らしい花が咲き、またパステルグリーンのぷにぷにとした葉が玩具の様な外観をつくります。草姿は叢生型(根元から沢山の茎が出る)で、茎は殆ど分枝することなく高さ50cmまで成長します。
オオベンケイソウとは!?
オオベンケイソウは学名Hylotelephium spectabile(Sedum spectabile)、以前はセダム属にあったため現在も普通に「セダム」や「セダム・スペクタビリス」と呼ばれる事が多く、また別名では「ヒロテレフィウム・スペクタビリス」や「アイスプラント(iceplant)」とも呼ばれる東アジア原産の多年草です。
オオベンケイソウの語源(由来)
- 属名のHylotelephiumはラテン語で「森」「森林」等を意味する「hylo」と、ギリシャ語で「遠く離れた」を意味する「tele-」と、ギリシャ語で「最愛の」や「愛する」を意味する「philos」の3語からなります。
- 種小名のspectabileはラテン語で「注目に値する」「壮観な」「立派な」等を意味しており美しい花に由来します。
オオベンケイソウの特徴(魅力)
- オオベンケイソウは艶消しされたプラスチックの様な可愛らしい葉と、直径15cmに達する華やかな花が魅力的な多年草です。
- 花はブロッコリーの様なモコモコとした可愛らしい花姿をしており、花色は桃色・赤色・紫色・白色などがあります。
- 花は直径約1cmの小花が半球状(複散房花序)に集まり直径約7~15cmの大きな花を咲かせます。
- 花は蝶々の蜜源として利用されるため、開花期には花の周りを優雅に飛び回る蝶々の姿が観察出来ます。
- 豪華な花は切り花としても魅力的で、環境でも変わりますが日持ちが約7~14日あります。
- 葉は艶消しされたプラスチックの様な外観をしており、子供の玩具のような可愛らしい見た目をしています。
- 葉の色はふつう緑色ですが幾つかの品種ではクリーム色の班が入るためカラーリーフとして楽しめます。
- オオベンケイソウは地面下に短い地下茎があり、根元から多くの茎が出る叢生型と呼ばれる草姿をつくります。
- オオベンケイソウは夏の暑さ冬の寒さに強く地植えしている場合は水やりも肥料も基本的に不要になるため放ったらかしで育てる事も可能です。
- ただし湿度の高い環境では根腐れや病気になりやすいため注意が必要です。
オオベンケイソウは草丈が約50cm、草姿は叢生型(根元から多くの茎が出る)、地面下に短い地下茎があり、茎は基部から直立して基本的に分枝しません。茎は多肉質、茎の色は緑色です。葉序は互生葉序、葉色は緑色(青緑色)で艶消しされており、葉身は楕円形もしくは倒卵形、縁部分に鋸歯があり、多肉質です。花序は複散房状花序、複散房状花序は散房花序が複数集まり直径約7(~15)cmの半球状の花序をつくります。花は直径約1cm、花弁は5個(星形に開く)、雄蕊は10個(花冠より長く突出する)、雌蕊は5個あります。果実は袋果(1枚の心皮からなり、成熟すると果皮は乾燥して、癒合してできた縫合線から縦に裂けて種子を放出します)です。
オオベンケイソウの切り花の楽しみ方
- オオベンケイソウの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 水揚げは水切りもしくは湯揚げを行いましょう。
- 水揚げ後は花瓶に生けて飾ります。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)に置くと日持ちがよくなります。
- 管理は必要に応じて数日ごとに水切りもしくは湯揚げを行い、水換えも同時に行いましょう。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが7~14日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
湯揚げ法
湯揚げ法とは、切り花の切り口をお湯の中と冷水につけて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
湯揚げは、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果があります。またお湯で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
湯揚げの方法
- お湯(約60~100度)と冷水を準備します。
- 切り花の花や葉が湯気で弱らないように、新聞紙で切り花を覆います。ただし、切り口の部分はお湯につけるため、茎の下部は新聞紙から出しておきましょう。
- 切り口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- お湯(約60~100度)の中に切り口を付けて、切り口から空気が出てこなくなるのをまちます。お湯につける時間はおおよそ20~60秒です。
- お湯から切り花を出して、そのまま冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い花瓶に生けて楽しみます。
オオベンケイソウの園芸品種の紹介
- オータムジョイ(Hylotelephium spectabile ‘autumn joy’)は、モコモコと可愛らしく咲く花姿と、甘くロマンチックな印象を与える桃色の花色、プラスチックの様なぷにぷにとした多肉質な葉、艶消しされたパステルグリーンの柔らかな葉色が魅力の園芸品種です。草姿は叢生型(根元から沢山の茎が出る)で、茎は殆ど分枝することなく高さ50cmまで成長します。パステルグリーンの柔らかな葉色と、可愛らしい印象を与える桃色の花色は、ベビーグッズの様な柔らかで心が癒される様な優しい雰囲気をつくるため、ふんわりした可愛らしいお庭や、ロマンチックなお庭などにオススメです。
- オータムファイア(Hylotelephium spectabile ‘autumn fire’)は、オータムジョイの改良品種と考えられており、白味を帯びた桃色から秋になると濃い赤色へと変わる花色が魅力の園芸品種です。花はもこもことしてブロッコリーの様な可愛らしい花姿をしており、1個1個の花は白桃色から濃い赤色へと変化します。草姿は叢生型(根元から沢山の茎が出る)で、茎は殆ど分枝することなく高さ50cmまで成長します。
- ブリリアント(Hylotelephium spectabile ‘brilliant’)は優れた耐熱性があり丈夫で育てやすく、またパステルグリーンのぷにぷにとした葉が玩具の様な外観をつくり、モコモコと可愛らしく咲く桃色の花が甘くロマンチックな印象を与える魅力的な園芸品種です。草姿は叢生型(根元から沢山の茎が出る)で、茎は殆ど分枝することなく高さ50cmまで成長します。
- アイスバーグ(Hylotelephium spectabile ‘iceberg’)は明るく清潔感のある印象を与える様な白色の花(稀に桃色)が魅力の園芸品種です。花はモコモコとブロッコリーの様な可愛らしい花が咲き、またパステルグリーンのぷにぷにとした葉が玩具の様な外観をつくります。草姿は叢生型(根元から沢山の茎が出る)で、茎は殆ど分枝することなく高さ50cmまで成長します。
- フロスティムーン(Hylotelephium spectabile ‘frosty morn’)は葉の縁部分にクリーム色(薄黄色)の班が入る事で、洗練された印象や柔らかな印象を与える魅力的な園芸品種です。またクリーム色の覆輪が入る葉は、明るく清潔感を感じさせる白花との相性もよく、輝いている様な印象や洗練された印象を与えるため、上品なお庭などによくあうでしょう。草姿は叢生型(根元から沢山の茎が出る)で、茎は殆ど分枝することなく高さ50cmまで成長します。
- スターダスト(Hylotelephium spectabile ‘stardust’)はベビーグッズを連想させるような、パステル調の青緑色の葉色とぷにぷにとした質感の葉が魅力の園芸品種です。また開花期になると白色の花が咲き、お庭に明るく清潔感のある印象を与えます。草姿は叢生型(根元から沢山の茎が出る)で、茎は殆ど分枝することなく高さ50cmまで成長します。
- セダム・オータムチャームは葉の縁部分にクリーム色の覆輪が入る事で、柔らかな印象を与えるカラーリーフとして楽しめる魅力的な園芸品種です。パステルグリーンとクリーム色の2色の葉色は、晩夏から秋に咲く桃色の花との相性も良く、甘く優しい雰囲気をつくります。そのため恋心をくすぐる様なロマンチックなお庭や、繊細で心が癒されるような雰囲気のお庭などによくあうでしょう。草姿は叢生型(根元から沢山の茎が出る)で、茎は殆ど分枝することなく高さ30~50cmまで成長します。
ムラサキベンケイソウの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ベンケイソウの珍しい種類、主な種と園芸品種の紹介【2021】
セダム・アイスバーグの育て方
花壇の土づくり
日当たり
セダム・アイスバーグは成長するために多くの光を必要とするため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。日当りの悪い環境では茎が徒長して倒伏したり、花が少なくなったり開花しない場合があります。
土壌の土質
セダム・アイスバーグは湿度の高い環境を嫌います。何故なら根腐れや腐敗などを引き起こし生育不良の原因となるからです。そのため、水捌けを悪くする粘土質な土壌や、蒸れる原因となる有機物が多く入る土壌などは避けた方が良いでしょう。基本的には通気性がよく適度に有機物が入る砂壌土もしくは、通気性や排水性に優れた砂土で育てましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。サボテンや多肉植物などに向く土壌です。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌ですが、乾燥を好む植物には蒸れてしまうためあまり適さないかもしれません。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和するか、土を入れ替えましょう。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 黒っぽい土の場合は保水性が高く夏場蒸れる原因ともなるため、必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和した方がよいかもしれません。
鉢土づくり
日当たり
セダム・アイスバーグは成長するために多くの光を必要とするため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。日当りの悪い環境では茎が徒長して倒伏したり、花が少なくなったり開花しない場合があります。
培養土
セダム・アイスバーグは他の多肉植物と同様に多湿環境を嫌うため、多肉植物の培養土等を利用すると良いでしょう。自作する場合は通気性が良い培養土をつくります。腐葉土等の堆肥が多いと夏に蒸れる原因にもなるためやや少なめにいれます。
- 川砂+ボラ土(小粒)+赤玉土+腐葉土=3:3:3:1
- 軽石(小粒)+ボラ土+ピートモス=5:3:2
水やりの仕方
地植え
セダム・アイスバーグは乾燥に強いため、地植えしている場合は乾燥が極端に続く場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし雨が長く降らず、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
セダム・アイスバーグを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土が乾燥して数日たってから、もしくは葉にシワがよったり変色するようなら、鉢底から溢れるほど水をたっぷり与えると良いでしょう。目安の頻度は月に2~3回(冬場は1回)です。常に湿った土壌を嫌うため乾燥と湿潤のメリハリをしっかりつけて水やりをおこないましょう。
肥料の与え方
セダム・アイスバーグは栄養の乏しい土壌でも育ち、基本的に肥料を必要としません。多過ぎる肥料は、ひょろひょろとした茎が伸びて徒長したり、倒伏したり、病気を招いたり、肥焼けする原因にもなります。そのため、肥料を与える場合は、少なめで年に1度与えましょう。
肥料は基本的には不要ですが、栄養が乏しい土壌と感じる場合は、早春に堆肥を追加したり、少量の肥料を与える事も可能です。
剪定のやり方
セダム・アイスバーグの剪定は基本的に不要です。
必要に応じて開花後に乾燥した花を切り戻して見た目を整えたり、冬の間に枯れた茎を翌春(早春)に根元から切り戻し、新しい芽の成長を促す事が出来ます。
夏越しする方法
セダム・アイスバーグは夏の暑さに耐えますが、多湿を苦手にしており、特に暑さと多湿のストレスが組み合わさる高温多湿を苦手にしています。そのため必要に応じた夏越し対策が必要です。
セダム・アイスバーグの夏越し対策
- 湿度の高い環境を嫌うため乾燥した場所で管理しましょう。
- 雨に当たることが少ない場所
- 鉢植えの場合は雨に当たらない場所に移動すると良いでしょう。
- 地植えの場合は雨の当たりにく場所で育てると良いでしょう。
- 直射日光がよく当たる場所
- 直射日光6時間以上が理想です。
- 土壌の排水性がよい場所
- 植付けの際に土壌改良をしっかりおこないましょう。
- ロックガーデンなど、周りより高い場所に植えると、水が下に流れやすく、排水性が高まり根腐れしにくくなります。
- 空気の流れがあり風通しがいい場所
- 周りが壁に囲まれていたり、草が繁茂してる場所で管理すると空気が停滞して湿気が溜まりやすくなります。改善しましょう。
- 雨に当たることが少ない場所
冬越しする方法
Hardiness:3b~9a
セダム・アイスバーグは冬になると地上部が枯れますが、耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
オオベンケイソウは挿し木や葉挿しによって増やす事ができます。
オオベンケイソウの挿し木の方法
- オオベンケイソウの挿し木時期は晩春から初夏が適します。
- 挿し穂の茎は弾力があり健康な部分をカットしましょう。
- 挿し穂 の長さ約10cmにわけます。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残します。
- 茎の下部分を斜めにカットして吸水部分を広くします。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 切り口を下にして培養土の中に挿し穂を挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりを行いながら管理しましょう。
オオベンケイソウの葉挿し手順
- オオベンケイソウは健康な葉を利用して葉挿しが出来ます。
- 葉を葉柄ごと茎からとります。
- 挿し穂用の無菌の培養土を準備します。
- 葉柄の部分を下にして葉を1/4~1/3を目安に培養土の中に挿します。
- 明るい日陰で培養土が完全に乾燥しない様に水やりを行い管理しましょう。
播種で増やす
オオベンケイソウの種蒔の方法
播種時期:
発芽適温:約
発芽日数:
発芽条件:
植物の病気
オオベンケイソウの病気
- 白絹病
- 根腐れ病
オオベンケイソウの害虫
- ベンケイソウスガ