- 原産:ヨーロッパ
- 科:キク(asteraceae)
- 属:ヤグルマギク/セントレーア(Centaurea)
- 種:シアヌス(cyanus)
- 別名:ヤグルマソウ/セントレーア・シアヌス/コーンフラワー(cornflower)/バチェラーズ・ボタン(bachelor’s button)
- 品種:トールピンク(Centaurea cyanus ‘tall pink’)
- 開花時期:4月~7月
- 花の色:桃色●
- 葉の色:緑色●
- 分類:一年草
- 草丈:約90cm
- 誕生花:3月1日/3月5日/3月22日/4月26日/8月2日/8月8日
- 花言葉:優雅/優美/繊細/信頼/教育
- 用途:切り花
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ヤグルマギク(トールピンク)とは!?
ヤグルマギク(トールピンク)は、いちごミルクを連想させる様な柔らかな桃色の花色と、矢車を連想させる個性的な花姿が魅力の園芸品種です。花は外周に薄桃色の小花が横向きに並び、中央に濃い桃色の小花が直立して並びます。薄桃色の柔らかな花色は、ベビーグッズの様な柔らかで心が癒される様な優しい雰囲気をつくるため、ふんわりした可愛らしいお庭や、ロマンチックなお庭などにオススメです。草姿は直立して高さ90cmまで成長するため花壇の中央や後方に植えて背景や立体感を作るのに利用しやすく、また茎が長いため切り花として利用しやすい所も魅力です。
ヤグルマギク(コーンフラワー)とは!?
ヤグルマギク(コーンフラワー)は学名Centaurea cyanus、別名では「コーンフラワー(cornflower)」や「セントレーア・シアヌス」等とも呼ばれるヨーロッパ原産の一年草です。
ヤグルマギク(コーンフラワー)の語源(由来)
- 属名のCentaureaは、ギリシャ神話に出てくるケンタウロスに由来しており、ケンタウロスは古代ギリシャ語で「Κένταυρος」になり、ラテン語で「Centaurus」になります。
- 伝承によると、ケンタウロスのカイロンは、ヘラクレスの矢に射抜かれて怪我をした時に、ヤグルマギクで作られた傷薬もしくは湿布を使って傷を覆い、傷が治癒したと言われています。
- 種小名のcyanusは「青色」を意味しており、花の色に由来します。
ヤグルマギク(コーンフラワー)の特徴(魅力)
- ヤグルマギク(コーンフラワー)は春から夏に開花する花を鑑賞する目的で育てられたり、蜜源として蜜蜂のために植えられたり、新鮮な花を収穫してエディブルフラワーとして食べりたりする目的で育てる植物です。
- 花は頭花で、外周に並ぶ筒状花(舌状花とされる場合もある)と、中央に直立する筒状花で構成されています。
- 外周の筒状花は不稔性(種を作らない)で、大きくラッパの様な形をしており、中央の筒状花を囲むように横向きに並びます。
- 中央の筒状花は雄蕊や雌蕊をもつ稔性(種をつくる)で、小さく、中央で直立して咲きます。
- 花色は青色が中心ですが、品種によっては桃色や黒色などの花色も楽しめます。
- 花は切り花としても楽しめれており、管理の仕方にも左右されますが花瓶の中で5~7日程度楽しめます。
- 青色の花を部屋に飾ると気分が落ち着き心がリラックスできる空間をつくります。
- 花はエディブルフラワーとしても利用されており、主に色を追加する目的で、新鮮な花をサラダやデザートにいれて飾り付けされ、食べられます。
- 乾燥した花はお茶などに入れて楽しまれる事もあり、レディグレイの紅茶に入れられる事もあります。
- 開花期の4月~7月になると花蜜を求めて蜜蜂が花の周りを元気に飛び回り、中央の花の中に頭を突っ込む蜜蜂の可愛らしい姿を観察する事が出来ます。
- 農業では、穀物類や菜種の畑に侵入すると収量を減らす原因となるため、有害な雑草と見なされています。
- ヤグルマギクの茎や葉は羊毛のような毛が生えるため、しばしば白緑色に見える事があります。
ヤグルマギク(コーンフラワー)の草丈は約40(~90)cm、茎は分枝しながら直立に伸び、茎の色は緑色で、白色の毛が密生もしくは疎らにつきます。葉序は根生葉もしくは互生葉序、葉色は緑色で白色の毛が疎らもしくは密に生えています。葉身の大きさは長さ約2.5(~10)cm、葉身は羽状深裂(~中裂)もしくは披針形です。花序は頭状花序、頭状花序は直径約2.5(~5)cm、筒状花のみで構成(外周の花は舌状花とされる場合もある)されており、花序の基部には苞葉があり、苞片が幾重にも重なり卵形をつくります。外周の筒状花(舌状花)は大きく横に向かって広がり内部に雄蕊と雌蕊がなく不稔性(種を作らない)です。中央の筒状花は小さく直立していて雄蕊と雌蕊があり稔性(種を作る)です。果実は痩果(果実は成熟すると乾燥して裂開せず、中に1個の種子を包みます)です。痩果は楕円形で長さ0.3(~0.4)cm、色は薄褐色です。種子は冠毛があります。
ヤグルマギク(コーンフラワー)の切り花の楽しみ方
- 収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 水揚げは水切りを行いましょう。
- 水揚げ後は花瓶に生けて飾ります。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)に置くと日持ちがよくなります。
- 管理は必要に応じて数日ごとに水切りを行い、水換えも同時に行いましょう。
- 日持ちは管理の方法でも左右されますが5~7日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
ヤグルマギク(コーンフラワー)の園芸品種の紹介
- ブルーボーイ(Centaurea cyanus ‘blue boy’)は遠くからでも目をひく色鮮やかな花色が魅力で、外周に並ぶ青色の大きな花(小花)と中央に集まる紫色の小さな花(小花)のグラデーションが美しい園芸品種です。鮮やかな青色の花色は、気分を落ち着け冷静な気分にさせたり、相手に信頼感を与えたりします。そのため、心を落ち着かせリラックス出来る様なお庭を作りたい時や、勉強や仕事などの集中できる空間(青色は時間の流れが早く感じる)のお庭を作りたい時などにおすすめです。草姿は直立して高さ90cmまで成長するため花壇の中央や後方に植えて背景や立体感を作るのに利用しやすく、また茎が長いため切り花として利用しやすい所も魅力です。
- ブルー ダイアデム(Centaurea cyanus ‘blue diadem’)は、外周の花(小花)が重なり八重咲きしてふさふさした花姿をつくり、色鮮やかな青色の花色が落ち着いた雰囲気をつくる魅力的な園芸品種です。草姿は直立して高さ75cmまで成長するため花壇の中央や後方に植えて背景や立体感を作るのに利用しやすく、また茎が長いため切り花として利用しやすい所も魅力です。
- クラシック ロマンティック(Centaurea cyanus ‘classic romantic’)は、ロマンチックな雰囲気をつくる桃色と白色の2色の花色が魅力の園芸品種です。花色は、ふつう中央の小花が濃い桃色、外周の小花が白色(薄桃色)をしています。ただし種から育てた時の花色は安定しておらず、赤色・桃色・白色の中で個々の花の花色の違いが楽しめます。草姿は直立して高さ90cmまで成長するため花壇の中央や後方に植えて背景や立体感を作るのに利用しやすく、また茎が長いため切り花として利用しやすい所も魅力です。
- クラシック マジック(Centaurea cyanus ‘classic magic’)は、静かで優雅な雰囲気をつくる紫色と白色の2色の花色が魅力の園芸品種です。花色は、ふつう中央の小花が濃い紫色、外周の小花が白色(薄紫色)をしています。ただし種から育てた時の花色は安定しておらず、紫色・白色の中で個々の花の花色の違いが楽しめます。草姿は直立して高さ90cmまで成長するため花壇の中央や後方に植えて背景や立体感を作るのに利用しやすく、また茎が長いため切り花として利用しやすい所も魅力です。
- クラシック ファンタスティック(Centaurea cyanus ‘classic fantastic’)は、心を落ち着かせリラックスさせる様な青色と白色の2色の花色が魅力の園芸品種です。花色は、ふつう中央の小花が濃い青色、外周の小花が白色(薄青色)をしています。ただし種から育てた時の花色は安定しておらず、青色・白色の中で個々の花の花色の違いが楽しめます。草姿は直立して高さ90cmまで成長するため花壇の中央や後方に植えて背景や立体感を作るのに利用しやすく、また茎が長いため切り花として利用しやすい所も魅力です。
- ブラックボール(Centaurea cyanus ‘black ball’)は、殆ど黒色に見える濃い紫色の花色と、矢車を連想させるような花姿が魅力の園芸品種です。黒色に見える濃い紫色の美しい花色は、重厚的で高価な印象を与えたり、モダンでスタイリッシュな印象を与えたりします。そのため重厚感のあるお洒落なお庭や、洗練された現代的なお庭などにおすすめです。草姿は直立して高さ90cmまで成長するため花壇の中央や後方に植えて背景や立体感を作るのに利用しやすく、また茎が長いため切り花として利用しやすい所も魅力です。
- トール・ミックス(centaurea cyanus ‘Tall Mixed’)は、トール(高い)の名前からも分かる背が高く成長する所が特徴です。また花は八重咲きして直径約3~5cmと大きいため豪華で存在感のある花姿が楽しめます。トール・ミックスには、赤色(トールレッド)・桃色(トールピンク)・青色(トールブルー)・紫色(トールパープル)・白色(トールホワイト)の花の種が混じっており、ひと袋で様々(カラフル)な花色が楽しめる所も魅力です。草姿は直立して高さ90cmまで成長するため花壇の中央や後方に植えて背景や立体感を作るのに利用したり、また茎が長いため切り花として利用するのもよいでしょう。
ヤグルマギク(セントレーア)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ヤグルマギクの珍しい種類、主な種と園芸品種の紹介【2020】
ヤグルマギク(トールピンク)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
ヤグルマギク(トールピンク)は日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。ただし日当たりの悪い環境で育てると茎が徒長したり花数が減ったりします。
作土層
ヤグルマギク(トールピンク)がしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。深さ約30cmまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌のPH
ヤグルマギク(トールピンク)は土壌のPH6.5~7.5の間を好みます。PHが低すぎると生育不良になる可能性が高くなります。そのため植付け前にPHを診断して、PHが低い場合は苦土石灰を入れる等してPHの改善を行いましょう。
土壌の土質
ヤグルマギク(トールピンク)は通気性と排水性がよく適度に肥沃な砂壌土を好みます。水捌けの悪い粘土質な土壌では根腐れや真菌性の病気にかかりやすくなるため注意が必要です。また肥沃すぎる過ぎる土壌でも草姿が乱れ倒伏しやすくなるため注意が必要です。そのため、植え付け前にしっかり土壌診断を行い改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 土を適度に濡らして手にとり握って土塊を作り通気性・保水性を診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ヤグルマギク(トールピンク)は日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
培養土
ヤグルマギク(トールピンク)は培養土は通気性の高い草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=7:3
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
地植え
ヤグルマギク(トールピンク)は乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし土の中に指を入れて湿り気がない場合、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
ヤグルマギク(トールピンク)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。ただし水やりを行い過ぎてジメジメとした環境が続くと根腐れしてしまうため、土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ヤグルマギク(トールピンク)は栄養の少ない土壌でも問題なく育ち、基本的には肥料を必要としません。肥料の与えすぎは、花が少なくなったり、草姿が乱れ株が倒伏しやすくなる可能性があります。そのため肥料の与え方には注意が必要です。
地植えする場合は、極端に栄養の乏しい土壌でない限りは肥料不要です。鉢植えで育てる場合は2週間に一度の頻度で水やりの際に液肥を与えましょう。
剪定のやり方
ヤグルマギク(トールピンク)は剪定せずに育てる事も出来ますが、摘芯する事で茎の分枝を促してふさふさとした草姿を作ったり、花がら摘みを行うことで次の花の開花を促したりする事が出来ます。
摘芯
ヤグルマギク(トールピンク)の摘芯は必ず必要な作業ではありませんが、生育初期に摘芯することで、茎の倒伏を防いだり、茎の数が増えて密度の高いコンパクトな草姿を作ったり、花の数を増やしたりすることが出来ます。ただし摘芯する事で開花が遅れたり、茎の長さが短くなり切り花に使いにくくなるかもしれません。目的に合わせておこないましょう。
摘芯のやり方は、茎の高さが地際から約20cmまで育った所で行います。茎の成長点を指で摘みとり分枝を促しましょう。
花がら摘み
ヤグルマギク(トールピンク)の種を採らない場合は花がら摘みを行いましょう。何故なら枯れた花を残すと見た目が悪いばかりか、こぼれ種により雑草化したり、種の生成のためにエネルギーが使われて株が弱り寿命が短くなったり、蕾にエネルギーが送られずに開花が進まなかったりするからです。開花を促進するためには、こまめな花がら摘みが重要です。
花がら摘みのやり方は花が終わったら枝分かれした所で切り戻すだけです。
夏越しする方法
ヤグルマギク(トールピンク)は花が終わると枯れていく一年草のため、夏越し対策は基本的に不要です。
冬越しする方法
Hardiness:
挿し木や株分けで増やす
播種で増やす
ヤグルマギク(コーンフラワー)の種蒔の方法
播種時期:3月~5月・9月~10月
発芽適温:約15~20度
発芽日数:約7日
発芽条件:
- 種を撒く時期は、暖地では秋、強い霜の降りる地域では春です。
- 種を撒く前に、ポットに種まき用の培養土を準備します。
- もしくは直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、基本的に土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
- 発芽して本葉が5~7枚出たらポット苗を定植しましょう。
植物の病気
ヤグルマギク(コーンフラワー)の病気
- 立枯病
- 菌核病
- 白絹病
ヤグルマギク(コーンフラワー)の害虫
- アブラムシ
- スリップス
- ヨトウムシ