原産:日本/中国/朝鮮
科:ナデシコ(Caryophyllaceae)
属:ナデシコ/ダイアンサス(Dianthus)
種:カワラナデシコ(superbus var. longicalycinus)
別名:ナデシコ/ヤマトナデシコ
花の色:赤色●桃色●白色〇
葉色:緑色●
分類:多年草
草丈:約30~80cm
草姿:直立
開花時期:6月~9月
誕生花:7月14日
花言葉:「可憐」「大胆」「才能」
用途:
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
カワラナデシコとは!?
カワラナデシコは学名Dianthus superbus var. longicalycinus、日本で単に「ナデシコ」と呼ぶ場合はこの種をさすことが多く、別名「ヤマトナデシコ」とも呼ばれる日本及び中国、朝鮮が原産の多年草です。日本では本州・四国・九州に分布して日当たりのよい草原や河原等に自生しています。
カワラナデシコの語源(由来)
- 属名のDianthusの由来はギリシャ語の「Dios(神聖な)」と「Anthos(花)」の2語からきており神聖な花を意味しています。
- 種小名のsuperbusは「(通常より)素晴らしい」を意味します。
- 変種名のlongicalycinusはラテン語で「長い」を意味する「longi」と、ラテン語で「(花の)蕾」や「(花の)萼」を意味する「calycinus(calyx)」の2語からなります。
- カワラナデシコの由来は河原に自生するナデシコからきています。
カワラナデシコの特徴(魅力)
- カワラナデシコの花は直径約4~5cmの大きさです。
- 花弁は5個ありふち部分が細かく避けて糸状になる所が特徴です。
- カワラナデシコは花の基部に非常に細長い苞があり変種名の「longi(長い)calycinus(萼・苞)」の由来にもなっています。
- カワラナデシコは地際から何本も直立に茎を伸ばし叢生する草姿をつくります。
- カワラナデシコの茎・葉は細く花も糸状の見た目をしているため華奢な雰囲気をしています。
カワラナデシコは地面下に根茎があります。草姿は叢生型(根元から多くの茎が出る)で、茎は直立(殆ど垂直に伸びる)に伸び高さ約30(~80)cmの間で成長します。葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉身の長さ約4(~7)cm、葉身の形は線形もしくは線状披針形です。花序は茎の頂部に花が数個つきます。個々の花は直径約4(~5)cm、花弁の数は5個でふち部分に糸状に深く裂けており、雄蕊は10個、雌蕊は2個あります。細長い萼に苞が3~4対つきます。花後に出来る果実は円柱状の蒴果で、果実は熟すと先端が四つに裂けて黒色の種子を放出します。
カワラナデシコの栽培方法
育てる際に注意する事は「長雨の浸水」や「高温多湿」です。何故ならカワラナデシコは長雨による浸水や高温多湿環境になると、根腐れを引き起こしたり、病気になり枯れるリスクが高まるからです。そのため、出来るだけ長雨の影響が少ない場所に植えたり、土壌の排水性を高めておく等の対策が必要でしょう。
ナデシコ(ダイアンサス)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ナデシコ(ダイアンサス)の珍しい種類、主な種や園芸品種の紹介【2021】
カワラナデシコの育て方
花壇の土づくり
日当たり
カワラナデシコは日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため基本的には直射日光が6時間以上当たる日向もしくは、午前中のみ日が当たる半日影で育てましょう。
土壌の土質
カワラナデシコは、良好な水捌けがない場合、根腐れを引き起こし生育不良を引き起こす可能性があります。またあまり肥沃な土壌を好まないため、通気性と排水性のよい土壌(砂壌土など)に植えて上げるとよいでしょう。
植付けの前に土壌診断を行いましょう。
①土を掘る時に硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
②土を濡らして握った時にバラバラと崩れる場合は保水性がない可能性があります。逆に土の塊が出来ても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。
③肥沃な土の場合は土の色が黒っぽくなります。土の色が薄い場合は土壌が肥沃じゃない可能性があります。
土壌診断後、作土層が十分でない場合はスコップで土を深くまで掘り起こし石等を取り除きます。土壌が粘土質な場合は必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れましょう。また肥沃さはそれほど必要ありませんが、必要に応じて腐葉土や牛糞等の堆肥を混ぜこみ土壌改善を行いましょう。
鉢土づくり
日当り
カワラナデシコは日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。また3時間~5時間の半日影までで植えて育てる事が出来ます。ただし長雨が当たると根腐れや病気を引き起こす原因にもなるため、必要に応じて雨の当たらない場所(軒下等)に移動しましょう。
培養土
培養土は通気性の高い草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土+くん炭=6:3:1
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土+苦土石灰(適量)=4:3:3:
水やりの仕方
カワラナデシコは水のやり過ぎで浸水したりすると、根腐れを引き起こしたり病気になる等して生育不良を引き起こす可能性があります。そのため土壌の状態を見ながら水やりを行いましょう。
水やりの方法
水やりの最高のタイミングは茎葉が萎れてきたタイミングですが、萎れたタイミングを逃すと株に致命的なダメージを残す可能性があるため、基本的には土の表面(数cm)が乾いてきタイミングで水やりを行うといいでしょう。乾燥の確認は土の色を目視で見て確認するか、指の第1関節まで入れて土の乾燥を確認します。
肥料の与え方
カワラナデシコに与える肥料は、基本的には植付け時に与える元肥のみです。多くの肥料を必要としません。
元肥
カワラナデシコの元肥は植え付け時もしくは、植付け2週間に前(有機肥料の場合)に与えましょう。
元肥は緩効性肥料を選びましょう。肥料の成分は山型肥料(リン酸多め)を選びます。
元肥の与え方は花壇の場合も鉢植えの場合も、基本的に土壌に均一に混ぜこむ全面施肥です。規定された量を入れましょう。
剪定のやり方
カワラナデシコの剪定は「花がら摘み」のみです。
花がら摘み
カワラナデシコは開花期間中の花がら摘みが大切です。何故なら枯れた花を残すと見た目が悪いばかりか、種を作り初めて株が弱り生育が衰えたり、蕾の花が咲にくくなったりするからです。 枯れた花を摘む事は、沢山の新しい花を咲かせる事に繋がります。
花がら摘みの方法は個々の花を摘む、もしくは開花が一段落した所で茎の3分の1程度を目安に一律に剪定します。
夏越しする方法
カワラナデシコは夏の暑さに耐えますが、病気の原因にもなる多湿を苦手にしており、特に暑さと多湿のストレスが組み合わさる高温多湿を非常に苦手にしています。そのため必要に応じた夏越し対策が必要です。
カワラナデシコの夏越し対策
- 鉢植えで育てている場合は軒下等に移動して雨に当てない工夫をするといいでしょう。
- 地植えする場合は雨にあたりにくい場所に植えてあげるのも1つの対策です。
- 多湿に弱いため土壌の排水性を高めて、浸水しないようにしておく事も大切です。
冬越しする方法
Hardiness:
カワラナデシコは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
カワラナデシコは挿し芽によって増やす事ができます。
カワラナデシコの挿し芽の手順
- 挿し芽の時期は生育が活発で発根力が高い晩春から夏が適します。
- 茎に弾力があり健康な茎をカットします。
- 挿し穂 の長さ約5~7cmにわけしましょう。
- 挿し穂の下部の葉を取り除き上部の葉を残しましょう。
- 挿し穂を湿らせた培養土に挿します。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりをしっかり行い管理しましょう。
播種で増やす
カワラナデシコの種蒔の方法
播種時期:3月~5月・9月~10月
発芽適温:約15度~20度
発芽日数:約7日~21日
光条件:
カワラナデシコの種まき手順
- ポットに種まき用の培養土を準備するか、直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
カワラナデシコの病気
- 斑点病
- 灰色カビ病
- サビ病
- 萎凋病
- 疫病
- 菌核病
- 根腐れ病
- 斑点細菌病
- 細菌萎凋病
- モザイク病
カワラナデシコの害虫
- アブラムシ
- クロウリハムシ