ヨモギギク(タンジー)は属の中に約135種があり、園芸でも様々な種と品種が親しまれています。このページでは5の原種と、5の園芸品種等を紹介しています。
上記の他にも、このページでは育て方や購入する際のリンクも用意しています。よければ、そちらもご活用ください。
■目次
■ヨモギギク(タンジー)の簡易比較

学名:Tanacetum vulgare
生活形:多年草
草丈:約50~150cm
開花:6月~9月
花色:黄色
葉色:緑色・黄色
草姿:叢生型
備考:頭花が黄色の筒状花のみで構成されているため球状の可愛らしい外観をしており、さらに多数の頭花が茎の頂部で平面上に集まるため円盤のような個性的な花姿が楽しめます。花・葉には樟脳やローズマリー等に例えられる爽やかな香りがある。

学名:Tanacetum ptarmiciflorum
生活形:多年草
草丈:約30~100cm
開花:5月~7月
花色:白色・黄色
葉色:白緑色・白色
草姿:叢生型
備考:茎や葉にビロード状の白色の毛が密に生えるため全体的に白色の外観を呈しており、羽状に分裂する葉は小葉が細く繊細な外観を呈するため、エレガントなレースを見ているような雰囲気を醸し出します。

学名:Tanacetum parthenium
同義語:Matricaria parthenium
生活形:多年草
草丈:約20~70cm
開花:5月~7月
花色:白色・黄色
葉色:緑色・黄色
草姿:叢生型
備考:頭花が株の表面を覆うように多数咲くため、華やかさと清楚な花姿が楽しめる。医学的には解熱や偏頭痛の治療薬として活用されたり、また薬物依存症の治療薬としての研究がされたりしています。

学名:Tanacetum cinerariifolium
生活形:多年草
草丈:約20~70cm
開花:5月~7月
花色:白色・黄色
葉色:白緑色・緑色
草姿:叢生型
備考:茎・葉に白色の毛が密に生えるため全体的に白っぽい外観を呈しており、羽状に分裂する葉は小葉と裂片が線形と細いため、繊細なレースを見ているような雰囲気を醸します。
■ヨモギギク(タンジー)の主な種と園芸品種の紹介
タンジー



タンジーとは!
タンジー(学名: Tanacetum vulgare)は 、別名では「ヨモギギク」「コモン・タンジー(common tansy)」「ビター・ボタン(bitter buttons)」「カウ・ビター(cow bitter)」「ゴールデン・ボタン(golden buttons)」とも呼ばれるキク科ヨモギギク属の多年草です。
タンジーの原産地はヨーロッパとアジアにあり、自生地は草原、人為的に撹乱された荒れ地や道端などにあります。
タンジーの特徴
- タンジーの魅力:この植物は、頭花が黄色の筒状花のみで構成されているため球状の可愛らしい外観をしており、さらに多数の頭花が茎の頂部で平面上に集まるため円盤のような個性的な花姿が楽しめます。また羽状に分裂する葉はレース模様のような繊細な雰囲気をつくるため、園芸ではこれらの花や葉を鑑賞する目的で栽培されます。また花・葉には樟脳やローズマリー等に例えられる爽やかな香りがある事からポプリにして芳香が楽しまれており、花材として切り花やドライフラワーにもされます。現在では毒性が知られて食べられることは殆どなくなりましたが、古代ギリシャの時代から薬草・食草にもされていました。このように、タンジーは魅力的な植物である一方で、繁殖力が強くて根茎や種子で広がり雑草化してしまう事があります。そのため、栽培する際は適切な管理を行い逸出させない事が大切です。
- 草姿:生育型は叢生型です。地面下にある根茎から複数の直立茎が真っ直ぐと伸びて高さ約50~150cmまで成長します。そのため、株の概形は、高さがあり整然とした行儀の良い群生をつくります。
- 葉の特徴:葉は2回羽状深裂、小葉の概形は狭楕円形と細く、縁部分も深裂しているため、 レース模様のような繊細でオシャレな外観をしています。そのため、野暮ったい印象を感じさせにくかったり、上品でエレガントな印象を感じさせたりします。
- 花の特徴:花序は頭状散房花序で、頭花が茎頂に集まり平面状の外観の花姿をつくりだします。頭花の概形は倒円錐形で、舌状花を欠いた黄色の筒状花のみで構成されているため、一般的なキク科の植物とは見た目の異なるユニークな外観を呈しています。
- フラワーアレンジメント:タンジーの花は収穫後に乾燥しても色褪せと型崩れほとんどなく、美しい外観を長く保ちます。この特性から、切り花として楽しまれるだけでなく、ドライフラワーに加工されて、スワッグやリース等のアレンジメントの素材として利用されたりもします。アレンジメントの中にタンジーを加えることで、鮮やかな黄色の花が明るさを加えて、羽状に分裂する葉は繊細さとボリューム感を演出してくれるでしょう。
- カラーリーフ:葉の色は緑色の他、品種を選べば黄色の葉色も楽しめます。そのため、開花期以外も明るく元気な印象を与えるカラーリーフとしてお庭を彩ることが出来ます。
- 精油:タンジーの花や葉には特有の芳香を生みだす精油が含まれており、この特有の芳香を生みだす主要な成分には、ツジョン(ツヨン)や樟脳(カンファー)やピネンなどが挙げられます。特に、花や葉にこの精油が多く含まれるため、これを触ると針葉樹のような爽やかな香りや薬品を想像させる独特な香りが広がり人々を楽しませます。そのため、この香りを楽しむ目的で、花や葉を収穫してポプリやサシェにされたり、お庭のガーデンファニチャーの傍に植栽して休憩しながら香りが楽しめるようにしたり、またよく通る小道の傍に植栽され花や葉に体が触れる時に香りが広がるように工夫して植栽されたりしています。※ただしツジョンは毒性があるため、基本的にハーブなどとして摂取して楽しむことはできません。
- 毒性:タンジーは古代ギリシア時代から薬草として利用されてきた歴史がありますが、この植物は有毒です。ツジョンなどの有毒な成分が含まれており、現代では一部のお酒などを除いて、殆ど食用とされていません。誤って摂取すると嘔吐・幻覚・痙攣などの中毒症状を引き起こすことがあるため、ハーブとして食べるのはやめた方がよいでしょう。
- その他の用途:この植物は虫除けとして防腐材に利用されたり、またハエなどの一部の植物が香りを忌避するため窓辺などで栽培されたりしています。タンジーの花を使って、黄色の染色がされることもあります。
タンジーの園芸品種の紹介
イスラ ゴールド

学名:Tanacetum vulgare ‘isla gold’
花の色:黄色
葉の色:黄緑色・黄色
草丈:約40~70cm
備考:葉は他のタンジーと同様にレースのように細かく分裂したお洒落な外観をしており、葉の色は透き通るような黄緑色から黄色をしています。そのため、繊細で明るい雰囲気をつくるカラーリーフとして楽しめる品種です。
シルバーレース

シルバーレースとは!
シルバーレース(学名: Tanacetum ptarmiciflorum)は、別名では「タナセタム・プタルミシフロラム」「シルバーレースブッシュ(silver lace bush)」とも呼ばれるキク科ヨモギギク属の多年草です。
シルバーレースの原産地はカナリア諸島にあり、自生地は乾燥した礫の多い斜面や荒れ地などにあります。
シルバーレースの特徴
- シルバーレースの魅力:この植物は、茎や葉にビロード状の白色の毛が密に生えるため全体的に白色の外観を呈しており、羽状に分裂する葉は小葉が細く繊細な外観を呈するため、エレガントなレースを見ているような雰囲気を醸しだします。また開花期になると、細かな頭花が多数集まり、かすみ草のようなふんわりとした花姿を見せます。そのため、園芸では主にこの美しいシルバーリーフが鑑賞されていますが、開花期間に見られる上品な白花もこの植物に変化を与えて飽きさせることの無い、魅力の一つとして働きます。また、シルバーレースは他の植物との調和力が抜群によいため、寄せ植え素材として重宝されており、また花壇の縁どりなどに利用すれば、明るく清潔感のある雰囲気を演出することが出来るでしょう。
- 草姿:生育型は叢生型です。地面下にある根茎から複数の直立茎が真っ直ぐと伸びて高さ約30~100cmまで成長します。そのため、株の概形は、高さがあり整然とした行儀の良い群生をつくります。
- 葉の特徴:葉は2回羽状複葉、小葉は非常に小さく概形は倒披針形です。そのため、非常に繊細なレースのような外観を呈します。加えて、葉には白色のビロード毛が密生しているため、白色の外観を呈しており、光が反射して輝いて見えることもあります。そのため、シルバーリーフとしても楽しまれる植物です。
- 花の特徴:花序は頭状散房花序で、頭花が茎頂に多数集まる。頭花は白色の舌状花と黄色の筒状花で構成されていて、キク科でよく見られる花が咲きます。
- 寄せ植え:シルバーレースは、葉が横へと広がるため、他の植物の成長を妨げる場合もありますが、寄せ植えの中でボリュームを出す素材となります。そのため、高さのある植物や枝垂れるような植物と組み合わせると立体感のある魅力的な寄せ植えになるでしょう。また茎葉は白色で美しいシルバーリーフとなるため、どんな色の植物とでもよく調和する点も、この植物を寄せ植えにおすすめできるポイントです。特に、この植物はシルバーの宝飾品のような美しさがあるため、他の植物も輝いているなどの美しい植物と組み合わせれば、ラグジュアリーな雰囲気がある寄せ植えをつくる事ができるでしょう。
- 花壇の縁取り:シルバーレースは地面下を根茎で広がり、直立する茎から、羽状する葉を横に大きく広げます。そのため、地表の被覆力が高く、花壇の縁どりとして利用しやすい植物の一つです。ただし、過湿や高温多湿などを苦手にしているため、土壌の土質を整えたり、夏場の管理が大切となります。
ナツシロギク



ナツシロギクとは!
ナツシロギク(学名: Tanacetum parthenium)は、同義語として Matricaria parthenium と表記される事もあり、別名では「マトリカリア」「タナセタム・パルテニウム」「フィーバーフュー (feverfew)」とも呼ばれるキク科ヨモギギク属の多年草です。
ナツシロギクの原産地は東南ヨーロッパと西アジアにあり、自生地は草原、人為的に撹乱された荒れ地や道端などにあります。
ナツシロギクの特徴
- ナツシロギクの魅力:この植物は、キク科でよく見られる頭花が株の表面を覆うように多数咲く華やかで清楚な花姿と、羽状に分裂するレース模様のような繊細な葉が魅力的な植物で、園芸ではこれらの花や葉を鑑賞する目的で栽培されます。また医学的には解熱や偏頭痛の治療薬として活用されたり、また薬物依存症の治療薬としての研究がされたりしています。
- 草姿:生育型は叢生型です。地面下にある根茎から複数の直立茎が真っ直ぐと伸びて高さ約20~70cmまで成長します。そのため、株の概形は、高さがあり整然とした行儀の良い群生をつくります。
- 葉の特徴:葉は2回羽状深裂、小葉の概形は楕円形、縁部分の切れ込みは浅く先端は円形をしています。そのため、レース模様のような繊細さの中に可愛らしさも感じさせる装飾性があります。
- 花の特徴:花序は頭状散房花序で、頭花が茎頂に集まり平面状または半球状の外観の花姿をつくりだします。頭花は白色の舌状花と黄色の筒状花で構成されていて、キク科でよく見られる花が咲きます。
- フラワーアレンジメント:ナツシロギクの花は収穫後に乾燥しても一定の装飾性が保たれるため、切り花として楽しまれるだけでなく、ドライフラワーに加工され利用される事もあります。
- カラーリーフ:葉の色は緑色の他、品種を選べば黄色の葉色も楽しめます。そのため、開花期以外も明るく元気な印象を与えるカラーリーフとしてお庭を彩ることが出来ます。
ナツシロギクの園芸品種の紹介
シロバナムシヨケギク

シロバナムシヨケギクとは!
シロバナムシヨケギク(学名: Tanacetum cinerariifolium)は、別名では「除虫菊(ジョチュウギク)」「ダルメシアン・クリサンティマム(Dalmatian chrysanthemum)」「ダルメシアン・ピレトラム(Dalmatian pyrethrum)」とも呼ばれるキク科ヨモギギク属の多年草です。
シロバナムシヨケギクの原産地は東南ヨーロッパにあり、自生地は草原、人為的に撹乱された荒れ地や道端などにあります。
シロバナムシヨケギクの特徴
- シロバナムシヨケギクの魅力:この植物は、茎・葉に白色の毛が密に生えるため全体的に白っぽい外観を呈しており、羽状に分裂する葉は小葉と裂片が線形と細いため、繊細なレースを見ているような雰囲気を醸します。花はキク科でよく見られる白色の頭花が3~10個咲き、清楚な花姿を見せます。そのため、園芸ではこれらの花や葉を鑑賞する目的で栽培されます。加えて、この植物は強力な殺虫剤の天然原料であるピレトリンを含んでいる事から、ピレトリンの類似の化合物であるピレスロイドが開発されるまでは、世界中で商業的に栽培もされていました。また今日でも、その殺虫成分はオーガニック農法などで利用される事があります。
- 草姿:生育型は叢生型です。地面下にある根茎から複数の直立茎が真っ直ぐと伸びて高さ約20~60cmまで成長します。そのため、株の概形は、高さがあり整然とした行儀の良い群生をつくります。
- 葉の特徴:葉は2回羽状深裂、小葉の概形は線形、縁部分の切れ込みは深くて裂片も線形をしています。そのため、非常に繊細なレースのような外観を呈します。加えて、葉には白色の毛が密生しているため、白色の外観を呈しており、光が反射して輝いて見えることもあります。そのため、シルバーリーフとしても楽しまれる植物です。
- 花の特徴:花序は頭状散房花序で、頭花が茎頂に3~9個集まる。頭花は白色の舌状花と黄色の筒状花で構成されていて、キク科でよく見られる花が咲きます。
- フラワーアレンジメント:シロバナムシヨケギクの花は収穫後に乾燥しても一定の装飾性が保たれるため、切り花として楽しまれるだけでなく、ドライフラワーに加工され利用される事もあります。
アカバナムシヨケギク

アカバナムシヨケギクとは!
アカバナムシヨケギク(学名: Tanacetum coccineum)は、別名では「赤花除虫菊(アカバナジョチュウギク)」「ペインテッド・デイジー(painted daisy)」とも呼ばれるキク科ヨモギギク属の多年草です。
アカバナムシヨケギクの原産地は東ヨーロッパと南西アジアと中央アジアにあり、自生地は山岳地帯の草原や斜面などにあります。
アカバナムシヨケギクの特徴
- アカバナムシヨケギクの魅力:この植物は、頭花の直径が3~7cm程に大きくなり、鮮やかな赤色をしているため、強い存在感と華やかさで庭や花壇を彩ります。また羽状に分裂する葉は小葉と裂片が非常に細いため、繊細なレースを見ているような雰囲気を醸しだします。そのため、園芸ではこれらの花や葉を鑑賞する目的で栽培されます。
- 草姿:生育型は叢生型です。地面下にある根茎から複数の直立茎が真っ直ぐと伸びて高さ約20~90cmまで成長します。そのため、株の概形は、高さがあり整然とした行儀の良い群生をつくります。
- 葉の特徴:葉は2回羽状深裂、小葉の概形は狭楕円形、縁部分の切れ込みは深くて裂片も狭楕円形をしています。そのため、非常に繊細なレースのような外観を呈します。
- 花の特徴:花序は頭状花序が単生して、直径が約3~7cmあります。頭花は赤色または桃色の舌状花と黄色の筒状花で構成されていて、キク科でよく見られる花が咲きます。
- フラワーアレンジメント:アカバナムシヨケギクの花は収穫後に乾燥しても一定の装飾性が保たれるため、切り花として楽しまれるだけでなく、ドライフラワーに加工され利用される事もあります。
アカバナムシヨケギクの園芸品種の紹介
ロビンソン・シリーズ

育て方・楽天で購入
学名:Tanacetum coccineum ‘robinson’s’
花の色:赤色・桃色・黄色
葉の色:緑色
草丈:約90cm
備考:株は高性で、花のサイズが6cm前後あり、花の色は舌状花が赤色のレッドとら舌状花が桃色のピンクの2品種がある。