- 原産:北アメリカ
- 科:ユキノシタ(Saxifragaceae)
- 属:ヒューケラ/ツボサンゴ(heuchera)
- 種:サングイネア/ツボサンゴ(sanguinea)
- 別名:ヒューケラ・サングイネア/コーラル・ベルズ(coral bells)
- 開花時期:4月~7月
- 花の色:赤色●桃色●白色〇
- 葉の色:緑色●
- 分類:多年草
- 被覆方法:ロゼット状
- 草丈:約20~50cm
- 誕生花:5月30日
- 花言葉:恋心/キラメキ/辛抱強さ
- 用途:日陰植物
目次 | ||
| ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ツボサンゴとは!?
ツボサンゴは学名heuchera sanguinea、別名では「ヒューケラ・サングイネア」や「コーラル・ベルズ(coral bells)」等とも呼ばれる北アメリカが原産の常緑多年草です。
ツボサンゴの語源(由来)
- 属名のheucheraの由来は、18世紀のドイツ人医師兼植物学者だったJohann Heinrich von Heucherへの献名です。
- 種小名のsanguineaはラテン語で「血の様な」を意味しており赤い花色に由来します。
- ツボサンゴの由来は壺(ツボ)を連想させる丸い小花や珊瑚(サンゴ)を連想させる赤色の茎や花姿からきています
ツボサンゴの特徴(魅力)
- ツボサンゴは、花の形が「珊瑚」を思わせる装飾的な形をしており、また派手な色をしている事から、花を鑑賞する目的で育てられる事が多い植物です。
- 葉は丸みを帯びる可愛らしい外観をしており、地面を覆うように広がる事から地被植物として利用される事もあります。
- 草姿はふんわりと盛り上がるドーム状の外観をつくるため、一定間隔で株を並べて地被植物として利用されます。
- 親株は周りに子株をつくり叢生します。
- 開花は春から夏にかけて、花は基部から約50cmの赤色の花茎を伸ばして、円錐状に沢山の小花をつけて咲くためボリュームある花姿を作り、派手な赤色(濃い桃色)の花を咲かせます。
- 葉はふち部分に浅い切れ込みがあり、全体的に丸みを帯びているため、可愛らしい外観をしており、またふち部分が波状になるためフリル装飾されたようなお洒落な見た目をしています。
- ツボサンゴは「地被植物」「花壇の縁どり」「鉢植え」等で親しまれます。
- グランドカバー(地被植物)とは、草丈があまり高くならず地表面を覆う植物の総称で、一般的に雑草を抑制する目的、景観を美しくする目的等で植え付けが行われます。
- ツボサンゴのグランドカバー(地被植物)は、基部から出る葉が放射状に広がり、ドーム状に盛り上がりながら地面を覆うところが魅力です。ただし匍匐性に広がる茎等と比べると、一株で広範に広がるわけではないため、広い場所をカバーする場合は複数の株を用意する必要があります。
- 花壇の縁どりとは花壇の手前(ふち部分)の境界線をさしており、普通はレンガなどの装飾物または背の低い植物などが並べられます。
- グランドカバー(地被植物)とは、草丈があまり高くならず地表面を覆う植物の総称で、一般的に雑草を抑制する目的、景観を美しくする目的等で植え付けが行われます。
- ツボサンゴは耐陰性がある事から日陰植物(シェードガーデン)等に利用される事もあります。
- 日向から日陰まで幅広い環境で育てる事が出来ますが、西日の当たらない半日影で育てることが理想です。
ツボサンゴの草丈は約20(~50)cm、草姿は叢生、親株の周りに子株をつくります。
葉序は根生葉(基部に付いた葉)、葉柄は長く、葉身の形は腎形(基部が凹み先端が鈍形)、葉のふち部分は掌状浅裂して裂片は5(~7)個、裂片の縁部分は波状縁がある。
花序は円錐花序、円錐花序は花が円錐状に集まるため円錐型の外観となります。花(花冠)は鐘形、鐘形は裂片が5個、花の色は赤色または桃色です。
果実は蒴果(複数の心皮からなり果皮が裂開して種子を放出する)、蒴果は卵形、長さ約0.4(~0.6)cmあります。
ツボサンゴの園芸品種の紹介
- ファイヤーフライ(heuchera sanguinea ‘firefly’)は、赤ワインや口紅の色を連想させる真っ赤な花が特徴です。赤色の花は、華やかな印象や情熱的で愛情深い印象を与えるため、人の心を惹き付けるようなチャーミングなお庭や、明るくカラフルなお庭などによく合うでしょう。草姿はロゼット状、株は高さ約15~40cm、幅は約15~40cmに成長します。
- ルビーベルズ(heuchera sanguinea ‘ruby bells’)は、その名前からも分かる通り、ルビィを思わせる様な派手な赤い花色と、ベルを思わせるような可愛らしい小花が魅力的な園芸品種です。草姿はロゼット状、株は高さ約15~40cm、幅は約15~40cmに成長します。
- コーラル フォレスト(heuchera sanguinea ‘coral forest’)は、ネオンサインを連想させるような派手な濃いピンクの花が魅力的な園芸品種です。濃い桃色の花色は、可愛らしい印象やポップな雰囲気をつくる事から、ロマンチックな雰囲気のお庭や、カラフルで明るいお庭などによく合うでしょう。草姿はロゼット状、株は高さ約20~40cm、幅は約30~50cmに成長します。
- ホワイトクラウド(heuchera sanguinea ‘white cloud’)は、ツボサンゴでは珍しい白色の花を咲かせる園芸品種です。白色の美しい花色は「純粋さ」や「神様の色」などを象徴しており、汚れのない清潔な印象を与えたり、輝いている様な明るい印象を与えたりします。そのため、明るく清潔感のあるお庭や、洗練された品の良いお庭などにおすすめです。草姿はロゼット状、株は高さ約20~40cm、幅は約30~50cmに成長します。
ヒューケラ(ツボサンゴ)の主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ツボサンゴの育て方
花壇の土づくり
日当り
ツボサンゴは、日光がよく当たる日向から、明るい日影まで幅広い環境で育てられます。ただし夏の日差しや暑さが厳しい地域では強光や乾燥などの複合的なストレスにより葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)などの生育不良を引き起こす事があり、また日陰で育てると葉色が悪くなる事があります。そのため直射日光が3~5時間程度当たる半日影で育てるのが理想です。
土壌の土質
ツボサンゴは、通気性と保水性のバランスがよく、しっかり堆肥が入る肥沃な土壌を好みます。水分が停滞するようなジメジメした土壌では、根腐れや腐敗などを引き起こし、生育不良になる事があるため注意が必要です。土壌診断を行い、通気性や保水性が悪かったら、土壌改善を行ってから植え付けを行いましょう。
土壌診断と改善の行い方
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ツボサンゴは、基本的に半日影や明るい日陰を好みます。一方で強い日差しなどは苦手にしており、特に夏場の強い日差しなどは生育不良を引き起こしやすくなるため、直射日光が6時間以上当たる日向や西日の当たる環境は避けた方がよいでしょう。
培養土
ツボサンゴは一般的な草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く、肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土=6:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
楽天で人気の高い培養土を購入する
- super grade Ⅱの培養土はサラサラとした粒状の用土のみで構成されており堆肥が使用されていない所が特徴です。
- 堆肥が使われていないため、昆虫や微生物湧きにくく、お部屋でも使いやすいです。
- 堆肥が原因で夏場に蒸れる事がないため、多湿で植物が弱りにくくなります。
- 培養土は擬似団粒構造を形成しており優れた保水性・排水性・通気性・保肥力があります。
- 培養土の中には保水剤(CMC)が配合されているため水持ちがよく管理が楽になります。
- 培養土に含まれる赤玉土は焼きが入り硬質なため、劣化しにくく繰り返して何度でも使えます。
- 赤玉土には肥料も含有しているため植物の成長が良くなります。
- 肥料は3種類配合されており植物の成長段階に応じて非常に長く放出されます。
- 堆肥は入っていませんが、質の良い腐植酸が配合されているため、地力の高い肥沃な培養土となっています。
水やりの仕方
ツボサンゴは、浸水したり水分が停滞する様なジメジメした環境では根腐れや腐敗を引き起こし生育不良になりますが、やや湿り気のある土壌を好みます。そのため定期的に水やりを行い、やや湿り気のある土壌に保つようにしましょう。水やりの頻度は環境(植える場所や土質)にも左右されますが、基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで行うといいでしょう。
水やりのチェックを簡単にするオススメの道具
- 水やりチェッカー(サスティ)とは、視覚的に分かりやすく色の変化で水やりのタイミングを教えてくれる水分計です。
- 白色(水やり必要)・青色(水やり不要)
- 水やりチェッカー(サスティ)は世界で初めて家庭用水分計で「PF値」が採用されています。PF値は、殆どの植物の生育に阻害がない有効水分域の中のPF2.0付近で色が変わるように設計されているため、水やりの失敗を減らします。
- PF2.0は、どんな土や多肉・観葉植物・草花にも対応しますが、乾燥に強い多肉植物では色変わり後に若干の猶予があり、乾燥に弱い草花では色変わり後は直ぐに水やりをした方が良いかもしれません。
- PF値とは、土壌の水分が毛管力によって引き付けられている強さの程度を表している数値で、これを使う事で土壌の湿り具合や植物への水やりのタイミングが分かるようになります。殆どの植物にとって利用しやすいPF値は1.7~2.3の間にあります。常にPF値が1.7より下の値にあると、多湿を嫌う多肉などは湿潤すぎて根腐れを引き起こしやすくなったり、PF値が2.3より上にあると乾燥が苦手な草花などは水枯れを引き起こしやすくなります。
- 水やり三年と言われるプロでも難しい水やり作業が、水やりチェッカー(サスティ)を使うだけで安心して行えるようになります。
- 水やりチェッカー(サスティ)は水やりが難しい植物(ラン・多肉)にも対応しています。
- 中芯は6ヶ月~9ヶ月経つと水やりをしても青色に変化しなくなるため、変化がなくなったら中芯の交換が必要になります。
肥料の与え方
ツボサンゴは、ある程度肥沃な土壌で育てている場合は、多くの肥料を必要としません。毎年早春に土質を改善する堆肥を入れて、肥料を施しておけば、追肥は不要です。
また鉢植えの場合は根が回りやすいため1~2年に1回の頻度で植え替えと必要に応じて株分けも行った方がよいでしょう。地植えの場合は、株が密集して蒸れやすくなり腐敗する事もあるため、3~5年に1回の頻度で株分けをしましょう。
肥料と堆肥の与え方
- 晩冬から早春に与える肥料
- 肥効が長く緩やかに効き土壌改善効果もある有機肥料(配合肥料)または必要な栄養成分がしっかりはいっており非常に肥効が長く続く緩効性肥料を選びましょう。
- 肥料の与え方
- 有機肥料を与える場合は、土に剥き出しにすると分解が遅くなったり、虫が寄ってくる事もあるため、基本は土の中に埋めます。株元から少し離れた場所(枝先の下に新しい根があり肥料の吸収効率が最も良い)に穴を掘り肥料を埋めましょう。※地面にそのまま置き肥する場合もあります。
- 緩効性肥料の場合も株元から少し離れた場所に置き肥します。置き肥とは地面に埋めずにそのまま地面の上に置く肥料です。
- 堆肥の与え方(鉢植えは植え替え)
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 地植えの場合は初冬から早春に株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を入れましょう。
- 鉢植えの場合は、植え替えを行います。鉢から株を取り出して、風雨で劣化した古い土を軽く落とし、長い根や腐った根も軽く切り詰めます。株が大きい場合は株分けもしましょう。土は新しい物を使うか、古い土を再利用する場合は2~5割ほど新しい土を混ぜます。鉢の中に新しい土と株を植え直したら完成です。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
剪定のやり方
ツボサンゴの剪定は「古葉取り」を行います。また花が魅力的でない品種であれば、葉によりエネルギーを集中させるために、花を咲かせる茎を根元付近で切り戻します。
古葉とり
古葉取りとは、枯れた葉や古い葉などを根元から取り除く事です。古葉取りを行う目的は、光合成などの生産能力が落ちた古い葉を取り除いて生産性の高い新しい葉の成長を促したり、株元に光を当てて多湿環境の改善や新しい芽(葉)に光を当てたり、風通しを改善して多湿を改善する事にあります。
ツボサンゴの古葉取りのやり方は、一般的に冬の終わりから早春に行いますが、生育期間中も必要に応じて行う事が出来ます。枯れた葉や古くボロボロとなった葉を、葉柄の根元から取り除きましょう。
夏越しする方法
ツボサンゴは、夏の暑さに耐えますが強い日差しで葉焼けを引き起こしたり葉が枯れたり、また乾燥によっても同様の症状が出て株が弱る事があります。そのため必要に応じた夏越し対策が必要です。
ツボサンゴの夏越し対策
- 西日の当たる環境は【強い暑さ・強い日差し・乾燥】などの複合的なストレスがかかり、葉焼け(葉の先端や縁部分等が褐色に変色して萎れや落葉を招く症状)を引き起こしたり枯れたり萎れたりして株が弱りやすくなるため避けた方が良いでしょう。
- 鉢植えであれば西日の当たらない場所に移動します。
- 地植えであれば西日の当たらない場所に植えたり遮光ネットを利用したりしましょう。
- 乾燥を苦手にしていることから土の表面が乾燥してきたら水やりをしっかり行います。
- 特に鉢植えで育てている場合は、乾燥がより早くなるため注意が必要です。
冬越しする方法
Hardiness:4b~8a
ツボサンゴは耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にはありません。
挿し木や株分けで増やす
ツボサンゴは挿し木や株分けによって増やす事ができます。
ツボサンゴの親株は3~5年程で衰退していきます。衰退する親株を残して子株を育てると、両方が競合して栄養や水分、光などを奪い合い、成長が抑制されたり、また過密状態になるため、多湿環境が誘発されて根腐れや腐敗などを引き起こしたり、また衰退した親株が病気にかかり、その病気が子株に伝染して株が全滅する事もあります。そのため3~5年ごとに株分けを行う事は、株を増やす以外でも重要な作業になります。
株分け手順
- ツボサンゴの株分け時期は早春もしくは秋が最適です。
- スコップを使い株を掘りあげます。
- 親株の周りに子株を作るため株から少し土を落として子株の位置を確認します。
- 親株と子株を手またはハサミを使い個々に切り分けましょう。
- 株分けした株は、必要な場所に植え直して水をたっぷり与えます。
播種で増やす
ツボサンゴの種蒔の方法
播種時期:3月~5月・9月~10月
発芽適温:約15度~20度
発芽日数:約10日~60
発芽条件:低温要求性種子
ツボサンゴの種子は一般的に休眠状態にあるため、そのまま撒いても発芽までに時間がかる事があります。そのため早く発芽させたい場合は播種する前に、ポリ袋等に種を入れて冷蔵庫(約4度)に約4~6週間置いておくと良いでしょう。
種は通気性と保水性のいい無菌の培地に撒き、指で種を上から軽く押す(鎮圧)のみで覆土は不要です。1度撒いた種は乾燥させると極端に発芽率が落ちるため、必ず土と種を乾燥させないように水やりを行い管理して下さい。
植物の病気
ツボサンゴの病気
- うどん粉病
- 灰色カビ病
ツボサンゴの害虫
- アブラムシ
- カイガラムシ
- ナメクジ
- ダンゴムシ