原産:メキシコ
科:キク(asteraceae)
属:コスモス(Cosmos)
種:ビピンナツス/オオハルシャギク(bipinnatus)
流通名:コスモス
別名:コスモス・ビピンナツス/アキザクラ/コモン・コスモス(Common cosmos)/ガーデン・コスモス(garden cosmos)/メキシカン・アスター( Mexican aster)
開花時期:早咲きコスモス(6月~10月)・秋咲きコスモス(9月~10月)
花の色:白色〇桃色●赤色●黄色●橙色●
葉色:緑色●
分類:一年草
草丈:約30~200cm
誕生花:7月16日/8月14日/9月27日/10月5日/
花言葉:優美/愛情/乙女の真心/少女の純潔/たおやかさ
用途:背が高い花/切り花
目次 | ||
| ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
コスモス(オオハルシャギク)とは!?
コスモス(オオハルシャギク)の学名はCosmos bipinnatus、和名では「オオハルシャギク」ですが、一般的には「コスモス」と呼ばれており、別名では「アキザクラ」や「コスモス・ビピンナツス」等とも呼ばれるメキシコ原産の一年草です。日本でも明治20年頃に渡来して、鑑賞用として栽培されたものが逸出して帰化しており、全国各地に分布して休耕地や道路脇等に自生しています。
コスモス(オオハルシャギク)の語源(由来)
- 属名のCosmosはギリシャ語で「秩序」「調和」を意味する「κόσμος(kósmos)」に由来します。
- 種小名のbipinnatusは「2回」を意味する「bi」と、「羽状の」を意味する「pinnate」の2語からなり、葉の形に由来します。
コスモス(オオハルシャギク)の特徴(魅力)
- コスモス(オオハルシャギク)は風通りのよい華奢で細い茎葉と直径5~7cmの大きな桃色の花が特徴です。
- 花は花弁が通常8個ですが八重咲き品種もあります。
- 花弁は通常真っ直ぐで花先が3裂しますが、筒状になる品種やフリルの様に波打つ品種や内側に強く巻きカップ状になる品種など様々あります。
- コスモス(オオハルシャギク)は野生では短日植物ですが園芸品種の中には日長に関係なく咲く品種もあります。
- 早咲きコスモスと呼ばれ播種時期によっては6月頃から開花が見られます。
- 通常播種後2ヶ月から3ヶ月で開花します。
- 切り花の持続的な収穫のために1週間から2週間間隔で播種される事もあります。
- 切り花としては管理の仕方などにも左右されますが日持ち約7~10日です。
- コスモス(オオハルシャギク)の葉は細く糸状で2回羽状しており種小名の由来にもなっています。
- 種から容易に育てる事が可能なため大量植栽も容易です。
- 景観植物としてよく利用されます。
オオハルシャギクの茎は無毛または毛があり、直立して高さ約30(~200)cmの間で成長します。葉は茎に対して対生葉序につき、葉色は緑色、葉身は2回羽状して、小葉は糸状もしくは線形です。花序は通常直径約5~7(品種により最大10)cmある頭花で、花(頭花)は長さ約1.6(~4)cmの舌状花が8個(~八重咲き)と筒状花が中央に多数集まります。花後の果実は痩果で、直径約0.5(~1.5)cmの線形です。
コスモス(オオハルシャギク)の開花時期の違い
コスモス(オオハルシャギク)は本来は短日植物のため日照時間が短くなる秋に花を咲かせる植物ですが、品種改良により日照時間と関係なく開花する品種も作り出されています。そのため、播種時期によっては初夏から開花する品種もあり一般的に「早咲きコスモス」と呼ばれています。また通常通り短日植物のコスモスは日照時間が短くなる秋に咲くため「秋咲きコスモス」と呼ばれています。
早咲きコスモス
早咲きコスモスの開花時期は6月~10月です。種まき時期は一般的に3月~6月で約60~90日後に開花します。また秋咲きコスモスの様に6月~8月に撒く事も可能ですが、播種が遅いと上手く開花しない品種もあるため製品ラベル等を確認しながら種を撒くと良いでしょう。
秋咲きコスモス
秋咲きコスモスの開花時期は9月~11月です。種まき時期は6月~8月(播種が早いと茎が高くなり倒伏しやすくなる)で、通常は約60~90日後に開花します。
コスモス(オオハルシャギク)の切り花の楽しみ方
- コスモス(オオハルシャギク)の収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 傷みやすく水揚げを悪くする葉を出来るだけ取り除きます。
- 水揚げは水切りもしくは湯揚げを行いましょう。
- 花を生ける花瓶には延命剤(栄養入り)を入れ水は少なめ(浅水)にします。
- 延命剤の効果によって雑菌が繁殖しにくくなり茎の腐敗(水揚げ維持)を防いだり、含まれる栄養(糖)により蕾が開きやすくなり日持ちが長くなります。
- 管理場所は出来るだけ低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)で楽しみましょう。
- 管理は数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行い、水揚げが悪いと感じる場合は必要に応じて湯揚げをしましょう。
- 萎れた花を手で丁寧に摘み取ると蕾の花が咲きやすくなります。
- 管理の方法でも左右されますが日持ちは7~10日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
湯揚げ法
湯揚げ法とは、切り花の切り口をお湯の中と冷水につけて、吸水を改善する水揚げ方法です。※水切りなどをしても、水揚げが上手くいかない場合等に行われます。
湯揚げは、導管内にある空気を熱で膨張させて外に押し出す効果があり、また熱のショックで一気に吸水する効果があります。またお湯で熱するため、切り口部分の雑菌が死滅して、微生物の影響が抑えられます。
湯揚げの方法
- お湯(約60~100度)と冷水を準備します。
- 切り花の花や葉が湯気で弱らないように、新聞紙で切り花を覆います。ただし、切り口の部分はお湯につけるため、茎の下部は新聞紙から出しておきましょう。
- 切り口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
- お湯(約60~100度)の中に切り口を付けて、切り口から空気が出てこなくなるのをまちます。お湯につける時間はおおよそ20~60秒です。
- お湯から切り花を出して、そのまま冷水の中に2時間程度浸けて水揚げします。
- 水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い花瓶に生けて楽しみます。
浅水法
浅水法とは花瓶等の容器に入れる水の量を減らして、浅い水で花を生ける方法です。
浅水は、水に浸かる茎の面積が減るため、腐敗のリスクを低減することが出来ます。そのため浅水は主に茎が柔らかく腐敗しやすい花等で行われます。
コスモス(オオハルシャギク)の栽培方法
園芸では、スラリと伸びる華奢な茎の先に沢山咲く桃色の花を鑑賞する目的や、花を収穫して切り花として利用する目的で育てられます。草丈は最大200cmになり高性な事から花壇の中央や後方等に植えて高さと立体感を出す目的で利用されたりします。
コスモスの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
コスモスの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
コスモス(オオハルシャギク)の育て方
花壇の土づくり
コスモス(オオハルシャギク)は日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。日当たりの悪い場所では開花が悪くなったり細く弱々しい茎が徒長して倒伏しやすくなったりするため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。
土壌のPH
コスモス(オオハルシャギク)は土壌のPH5.5~7.0の間を好みます。PHが高すぎたり低すぎたりすると生育不良になる可能性が高くなります。そのため植付け前にPHを診断して、PHが高い場合はピートモスを入れたり、PHが低い場合は苦土石灰を入れる等してPHの改善を行いましょう。
土壌の土質
コスモス(オオハルシャギク)は良好な水捌けがない場合、根腐れを引き起こし生育不良を引き起こす可能性があります。そのため通気性と排水性のよい土壌(砂壌土等)に植えて上げましょう。また栄養の乏しい土壌でも問題なく育ちます。逆に有機物の豊富に入る肥沃な土壌は背が高くなりすぎて倒伏しやすくなるため注意が必要でしょう。
植付けの前に土壌診断を行いましょう。
①土を掘る時に硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
②土を濡らして握った時にバラバラと崩れる場合は保水性がない可能性があります。逆に土の塊が出来ても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。
③肥沃な土の場合は土の色が黒っぽくなります。土の色が薄い場合は土壌が肥沃じゃない可能性があります。
土壌診断後、作土層が十分でない場合はスコップで土を深くまで掘り起こし石等を取り除きます。土壌が粘土質な場合は必要に応じて通気性を高めるパーライトや川砂を入れましょう。また肥沃さはそれほど必要ありませんが、必要に応じて腐葉土等の堆肥を混ぜこみ土壌改善を行いましょう。
鉢土づくり
日当り
コスモス(オオハルシャギク)は日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。
培養土
培養土は通気性の高い草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土=4:2:4
- 赤玉土(小粒・中粒)+鹿沼土(小粒・中粒)+腐葉土=4:2:4
水やりの仕方
生育初期(2~3週間)
コスモス(オオハルシャギク)の生育初期(2~3週間)は土が乾燥しないように水やりをしっかり行います。
地植え
コスモス(オオハルシャギク)を地植えしている場合は乾燥に強いため、極端に乾燥が続く場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。 ただし葉や花が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
コスモス(オオハルシャギク)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
剪定のやり方
コスモス(オオハルシャギク)の剪定は「摘芯」と「花がら摘み(切り戻し)」の2つに分かれます。
摘芯
コスモス(オオハルシャギク)の摘芯は高さが約15~20cmの生育初期に茎の成長点を指やハサミで摘む事で、頂芽の成長を止めてしまい側芽の成長を促す方法です。
摘芯は必ず必要な作業というわけではありませんが、摘芯を行う事で草丈を抑えて茎の数を増やしたり、また茎の数が増える事で花の数が増えます。
花がら摘み
コスモス(オオハルシャギク)の花がら摘み(切り戻し)は、花が一段落した頃に株の3分の1程度を全体的に切り戻します。
花がら摘みを行う事で、新しい花の開花を促す事に繋がります。一方で枯れた花を残すと見た目が悪いばかりか、種を作り初めて株が弱り枯れてしまったり、新しい花がつくられにくくなったりするため注意が必要です。
播種で増やす
コスモス(オオハルシャギク)の種蒔の方法
播種時期:3月~6月(早咲きコスモス)・秋咲きコスモス(6月~8月)
発芽適温:約15~25度
発芽日数:約3~14日
発芽条件:好光性種子
種まき手順
- ポットに種まき用の培養土を準備するか、直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種は好光性種子のため光がないと発芽しません。そのため種の上に土は被せません。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。