
- 科:シソ(Lamiaceae)
- 属:ラヴァンドラ(Lavandula)
- 種:アラルディ(allardii)
- 別名:アラルディ・ラベンダー(Allard’s Lavender)
- 開花時期:6月~8月
- 花の色:青色●紫色●
- 葉の色:緑色●黄色●白色〇
- 香り:花・葉
- 分類:常緑低木
- 草丈:約30~90cm
- 用途:カラーリーフ/香りが良い
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ラベンダー(アラルディ)とは!?
ラベンダー(アラルディ)は学名Lavandula × allardii、スパイク・ラベンダー(L. latifolia)とフリンジラベンダー(L.dentata)の交雑種の常緑低木です。
ラベンダー(アラルディ)の語源(由来)
- 属名のLavandulaの由来は諸説あり、一説にはラテン語で「青みがった」を意味する「lividus」からきている説、古代ローマ人が入浴時の香水として利用したり洗濯に利用していたことから「洗っている」を意味する「lavo」もしくは「洗浄」を意味する「lavare」からきていると言う説の2説があります。
ラベンダー(アラルディ)の特徴(魅力)
- ラベンダー(アラルディ)はスパイク・ラベンダー(L. latifolia)とフリンジラベンダー(L.dentata)の交雑種です。
スパイク・ラベンダーから、葉の幅の広さ、樟脳のスッキリした香り、花序の形などを受け継いでいます。
ラベンダー・デンタータから、葉の縁部分に入るギザギザとした鋸歯、花序につく小さな苞葉などを受け継いでいます。
- 花は節ごとに小花が輪状に多数並び段々と開花します。
- 萼は筒状で腺毛が密に生えており、花弁の様に紫色や青色もしくは灰みを帯びる紫色に色づいています。
- 萼からはシソ科でよく見られる唇形の花が咲きます。
- ラベンダー(アラルディ)の葉はデンタータと比べると、やや幅が広く、縁部分にノコギリの様なギザギザとした鋸歯があります。
- 葉は白色の毛が生えているためしばしば灰みを帯びた白緑色の外観をしており、シルバーリーフの様な上品な印象を与える事があります。
- 幾つかの品種では黄色(~白色)の班が入るため、明るい印象を与えるカラーリーフとして楽しめます。
- ラベンダー(アラルディ)は花や葉に薬品や樟脳などを思わせるスッキリとした爽やかな香りがあります。
- ラベンダー(アラルディ)に含まれる主な精油は樟脳等です。
- 樟脳はクスノキや薬品等に例えられるスッキリとした爽やかな香りがあります。精油は医薬品や防虫剤等に幅広く利用されており、精油の効果には抗菌作用・抗ウィルス作用・防虫作用等があります。
- ラベンダー(アラルディ)に含まれる主な精油は樟脳等です。
- ラベンダー(アラルディ)の茎・葉・萼には腺毛があり、腺毛からは液体(精油)を分泌しており香りを漂わせています。
- また腺毛には精油が多く含まれているため茎・葉・萼を手で触ったりして壊すと、強い香りを周囲に漂わせます。
- ラベンダー(アラルディ)は非常に少ない水と肥料で育つため、環境が合えば殆ど放ったらかしでも育てる事が出来ます。
- ただし多湿を許容しないため、特に夏場などは雨に当てないなどの工夫が必要です。
- また茎は木質化すると芽を生成する事が殆どなくなるため、木質化を遅らせる剪定がとても重要です。
ラベンダー(アラルディ)の樹高は約30(~90)cm、樹形はブッシュ状で、茎は根元付近でよく枝分かれしながら直立します。若い茎の色は緑色、白色の毛が生えるため白緑色の外観をしています。成熟した茎は木質化して褐色になります。葉序は対生葉序、葉色は緑色、白色の毛が生えるため白緑色の外観をしており、葉身の形は狭楕円形もしくは線形、縁部分に鋸歯があります。花序は輪散花序です。萼(蕾)は筒状、色は紫色もしくは灰みを帯びる紫色、腺毛が密に付いています。花冠は唇形花、上唇は2裂、下唇は3裂しています。
ラベンダー(アラルディ)の園芸品種の紹介
ラベンダーの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ラベンダーのおすすめの種類、主な種と珍しい園芸品種【2022】
ラベンダー(アラルディ)の育て方
花壇の土づくり
日当たり
ラベンダー(アラルディ)は日光のよく当たる場所で最も生産性が高まり沢山の花を咲かせます。そのため直射日光が6時間以上あたる日向が理想です。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。日当たりの悪い環境では花数が減ったり、徒長して茎が倒れやすくなったりするためさけたほうがよいでしょう。
土壌のPH
ラベンダー(アラルディ)は酸性土壌にも耐えますが、PH6.5~7.5の弱アルカリ性の土壌を好みます。PHが低すぎると生育不良になる可能性が高くなるため、植付け前にPHを診断して、PHが低い場合は苦土石灰を入れる等してPHの改善を行いましょう。
土壌の土質
ラベンダー(アラルディ)は栄養の乏しい土壌や乾燥した土壌に強い植物です。逆に、粘土質な土壌や有機物が豊富に入る肥沃な土壌を苦手にしています。何故なら、じめじめとした状態が続いたり、蒸れたりすると、根腐れや腐敗等をまねいて生育不良になり枯れる事があるからです。そのため植え付け前に土壌診断を行い、水捌けが良く有機物が少なめの砂壌土に改善してから植え付けを行いましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ラベンダー(アラルディ)は日当りを好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。また長雨に当たると根腐れや病気を引き起こす原因にもなるため、必要に応じて雨の当たらない場所(軒下等)に移動しましょう。
培養土
培養土は通気性の高い草花の培養土で育てられます。自作する場合は通気性が良い培養土をつくります。腐葉土等の堆肥は多いと夏に蒸れる原因にもなるため少なめにします。
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土+くん炭=5:2:2:1
- 赤玉土(小粒・中粒)+腐葉土+苦土石灰(適量)=7:3
培養土作成時の注意点
ラベンダー(アラルディ)はPH6.5~7.5の弱アルカリ性土壌を好むため、必要に応じて培養土にアルカリ性のくん炭や草木灰等を混ぜこむか、苦土石灰を混ぜこみましょう。
苦土石灰を混ぜ込む量は培養土の土質にも左右されますが、イングリッシュラベンダーは砂質の土壌を好むため恐らく砂土に近い培養土を使っているはずです。
砂土のPHを1上げるには培養土10Lに対して苦土石灰10~15g程度を目安に使用します。基本的には1Lあたり1~1.5gの苦土石灰を混ぜ込むとよいでしょう。ただし培養土を強い酸性に傾ける無調整ピートモスや鹿沼土を利用した場合は話しが変わります。そのため培養土に使う用土は中性のものを利用する事がおすすめです。
水やりの仕方
地植え
ラベンダー(アラルディ)は乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。ただし雨が長く降らず、葉や茎が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
ラベンダー(アラルディ)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。ただし水やりを行い過ぎてジメジメとした環境が続くと根腐れしてしまうため、土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
剪定のやり方
ラベンダー(アラルディ)の剪定の目的は木質化を遅らせる事や、コンパクトな樹形をつくる事にあります。何故なら茎が木質化すると、殆ど新芽の生成をする事がなくなるため、新しい芽が偏った場所からしか出なくなり、疎らで歪な樹形となりやすいからです。
剪定は毎年一度開花後に行う事が一般的ですが、早春に行う事も可能です。早春の剪定は開花を遅らせる可能性がありますが、花を開花させる新しい茎の成長を刺激してより多くの花を咲かせる可能性があり、またよりコンパクトな樹形で楽しむ事が可能です。
剪定の方法
剪定のやり方は、ドーム状の樹形をイメージしながら行います。全体として、株の中央の茎を少し長めに、外側の茎を短めにするとドーム状の整った樹形になりやすいです。また枝分かれした部分より5~10cm上で剪定するとより枝分かれが促される傾向にあります。
剪定する際に注意する事は、茎には必ず葉(芽)を残す事です。葉のない場所まで強く切り戻すと残された茎がそのまま枯れこんでしまいます。そのため各茎に最低でも2~3個以上の葉(芽)を残しましょう。ただし完全に枯れた茎は根元から剪定しても問題ありません。
夏越しする方法
ラベンダー(アラルディ)は夏の暑さに耐えますが多湿環境を苦手にしています。多湿環境では根腐れや病気を引き起こし枯れてしまう事も多いため必要に応じて夏越し対策をしましょう。
ラベンダー(アラルディ)の夏越し対策
- 湿度の高い環境を嫌うため乾燥した場所で管理しましょう。
- 雨に当たることが少ない場所
- 鉢植えの場合は雨に当たらない場所に移動すると良いでしょう。
- 地植えの場合は雨の当たりにく場所で育てると良いでしょう。
- 直射日光がよく当たる場所
- 直射日光6時間以上が理想です。
- 土壌の排水性がよい場所
- 植付けの際に土壌改良をしっかりおこないましょう。
- ロックガーデンなど、周りより高い場所に植えると、水が下に流れやすく、排水性が高まり根腐れしにくくなります。
- 空気の流れがあり風通しがいい場所
- 周りが壁に囲まれていたり、草が繁茂してる場所で管理すると空気が停滞して湿気が溜まりやすくなります。改善しましょう。
- 雨に当たることが少ない場所
冬越しする方法
Hardiness:9b~10a
ラベンダー(アラルディ)は、軽い霜であれば耐えられる事があるため、暖地であれば地植えで育てられる事があります。ただし基本的に霜が降りると枯れてしまうため、必要に応じて冬越し対策が必要になります。
ラベンダー(アラルディ)の冬越し対策
- 霜が降りる地域であらば、霜対策として腐葉土などでマルチングをしたり、不織布などを被せるとよいでしょう。
- 支柱を立ててビニールを被せるとより対策効果が上がります。
- スコップ等で株を掘り返して鉢植えに植え直し、室内等に移動する事も可能です。
- 鉢植えで育てている場合は、霜の当たらない軒下に移動したり、凍結が心配な場合は屋内や温室に移動したりするとよいでしょう。