原産:地中海沿岸
科:キンポウゲ(Ranunculaceae)
属:アネモネ(Anemone)
種:アネモネ/コロナリア(coronaria)
別名:ボタンイチゲ/ハナイチゲ/ベニバナオキナグサ/ポピー アネモネ(poppy anemone)/スパニッシュマリーゴールド(Spanish marigold)
開花時期:1月~6月(3月~4月に最も開花)
花の色:赤色●桃色●青色●紫色●白色〇
葉色:緑色●
分類:多年草
草丈:約20cm~50cm
誕生花:1月22日/3月12日/3月13日/4月6日
花言葉:希望/期待/真実/恋の苦しみ/はかない夢/薄れゆく希望/はかない恋/あなたを愛す/嫉妬の為の無実の犠牲
用途:切り花
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
アネモネとは!?
アネモネの学名はAnemone coronaria、アネモネは広義ではアネモネ属全体をさすこともありますが、狭義ではアネモネ(Anemone coronaria)をさしており、別名では「ボタンイチゲ」や「ポピー アネモネ(poppy anemone)」とも呼ばれる地中海沿岸を原産とする多年草です。
アネモネの語源(由来)
- 属名のAnemoneはギリシャ語で「風」を意味する「ánemos」と、接尾辞で「娘」を意味する「-one」の2語からなり、「風の娘」を意味しています。
- ↳ギリシャ神話では、ゼファー(ゼピュロス)と風の娘であるアネモネは恋に落ちました。しかし嫉妬深いゼファーの妻により、アネモネは宮殿から追放され、花に変えられたと言われています。
- ↳また別の説ではアネモネの花(萼片)が風によって容易に飛ばされてしまう事から風の娘の名前がついたとも言われます。
- 種小名のcoronariaは 「王冠」を意味しており、堂々とした花冠の形に由来します。
アネモネの特徴(魅力)
- アネモネは冬から春にかけて花が咲きます。
- 花は花弁がなく花弁状の萼と中央に塚の様に盛り上がる多数の雌蕊と雌蕊を囲む雄蕊で構成されています。
- アネモネは光に敏感なため明るさにより花が開いたり閉じたりします。
- 花弁状の萼片は発色がよく色鮮やかな一方で、雌蕊と雄蕊は暗色のため美しいコントラスト出ます。
- アネモネの花は発色がよく様々な花色があるため複数の品種を合わせるとカラフルな雰囲気をつくる事が出来ます。
- 花は切り花としても魅力的で管理の仕方や場所にも左右されますが3日~10日程度の日持ちがあります。
- 葉は縁部分が深くカットされた装飾的な形をしています。
- 葉は基本的に根生葉のみで構成されており花茎には小さな苞葉があります。
- 地面下には不定形の球根(塊茎)があります。
アネモネは地面下に黒く不定形の球根(塊茎)を生成します。葉は基本的に根生葉のみで構成されており花茎には小さな苞葉がつきます。葉色は緑色、根生葉には長い葉柄があり葉身は2回三出複葉します。また苞葉は花の下で茎を巻くように輪生します。花茎は20(~40)cmで稀に60cmまで伸びる事があり、花序は茎の頂部に単頂花序、個々の花は直径約3(~8)cmの大きさ、花弁状の萼は5個~多数あり、中央に塚の様に密集する暗紫色の雌蕊と、雌蕊を囲む多数の雄蕊があります。花後に出来る果実は痩果で白色の長い冠毛があり、遠くに風で運ばれる事があります。
開花時期は冬から初夏、花色は赤色や桃色、青色や紫色、白色があり、個々の花は直径約3~8cmの大きさで花弁状の萼片が5~多数つき暗紫色の雌蕊多数と雌蕊を囲む様に黒紫色の雌蕊が並び、花序は茎の頂部に単頂花序に花が咲きます。草姿はロゼット状で花茎は直立して高さは約20(40)cm × 幅は15(30)cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は2回三出複葉、葉序は根生葉もしくは苞葉が輪生につきます。
アネモネの切り花の楽しみ方
- アネモネの収穫は朝の涼しい時間帯もしくは夕方におこないましょう。
- 花が開ききっていないものを収穫すると日持ちがよくなります。
- 水揚げは水に漬けて水切りを行います。
- 水切りしたら延命剤(栄養入り)入りの花瓶に生けましょう。
- 延命剤の効果によって日持ちが長くなります。
- 管理場所は出来るだけ直射日光の当たらない低温環境(糖の消費や蒸散が抑えられる)で楽しみましょう。
- 管理は数日(約1~3日)ごとに水切りと水換えを行いましょう。
- 管理場所や管理の方法でも左右されますが日持ちは3~10日程度です。
水切り法
水切り法とは、切り花の切り口を水の中に付けた状態で切り戻しを行い、切り口の更新を行う水揚げ方法です。
水切りは、特定の植物または特定の条件を除いた、殆どの植物に行われている、最も一般的な水揚げ方法になります。
水切りは、水の中で茎を切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。また水切りを行うことで「微生物」「空気」「その他」が原因で詰まっている茎を取り除くため、切り口からの水揚げ正常に戻ります。
水切りの方法
切り花の切り口を水の中に浸けます。水の中につけた状態で、切口の根元から上に1~5cm程度を取り除くつもりで、ハサミを使って斜めにカットします。
切り口部分を斜めにすることで、吸水部分が広がり、水揚げの効果が高まります。
おすすめの延命剤
アネモネの栽培方法
園芸では、王冠にも例えられる美しい花の形や発色のよい鮮やかな花の色を楽しむ目的で育てられたり、またその花を切り花として利用する目的で育てられたりします。深くカットされた葉も装飾的で、花壇に並べると地面を美しく被覆する事が出来ます。
アネモネを育てる際に注意する事は「休眠中の多湿」です。何故なら休眠中の夏に高温多湿になると、球根(塊茎)が腐敗する原因になるからです。そのため、夏の間は雨に当たらない場所に鉢を移動したり、また球根(塊茎)を掘り起こし、冷暗所で管理した方がよいでしょう。
アネモネの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
アネモネの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種【2022】
アネモネの育て方
花壇の土づくり
アネモネは日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため植える場所は、直射日光が6時間以上当たる日向が理想です。
アネモネは水捌けと膨軟性が高く、適度に肥沃な土壌を好みます。
植付けの前に土壌診断を行い、土壌が粘土質で硬かったりする場合は、必要に応じて通気性を高めるパーライト等の土壌改良材を入れたり、また肥沃さと膨軟性を高める目的で腐葉土やピートモスを入れ土壌改善を行いましょう。
アネモネの球根の前処理
アネモネの球根(塊茎)は乾燥して硬くなっている為、植付けの前に前処理して発芽しやすくされます。前処理の方法は2タイプあります。
①ぬるま湯に浸けて処理する方法があります。これは、球根(根塊)をぬるま湯に漬けて2~3時間放置するだけです。ぬるま湯に浸けた後は直ぐに植付け出来ます。
②湿らせた用土の中で保管して事前に発芽させる方法があります。たっぷり湿らせた用土(バーミキュライト・水苔等)の中に球根(根塊)を入れて冷暗所で1~2週間程保管します。その頃になると球根(根塊)が発芽するため発芽後に植付けます。
アネモネの球根(塊茎)は大きさに合わせて約5~10cmの深さに植えましょう。また株どうしは20cm離します。
水やりの仕方
アネモネは浸水する様な状態を嫌いますが、開花期間中はしっかり水やりを行いましょう。水やりの頻度は環境(植える場所や土質)にも左右されますが、基本的には土の表面が乾いてきたタイミングで行うといいでしょう。
開花が終わったら乾かし気味に育てます。水のやりすぎや、長雨による浸水は根の腐敗の原因にもなるため注意が必要です。
肥料の与え方
アネモネは多くの肥料を必要としません。肥料は植付け時の元肥と開花期間中の追肥の2回です。
- アネモネの植付けは秋に行われるため、元肥は秋に入れます。
- 元肥は緩効性肥料を選び成分は窒素・リン・カリがバランスよく入る水平型肥料もしくは、リンが多めに入る山型肥料を選びましょう。
- 元肥の入れ方は全面施肥(培養土もしくは土に均一に混ぜ込む)しましょう。
- 追肥は開花期間中に行います。
- 追肥の種類は液肥でリンが多めの液肥を選びましょう。
- 液肥は規定よりも薄めて2週間に1度のペースで与えるといいでしょう。
播種で増やす
アネモネの種蒔の方法
播種時期:3月~4月・9月~10月
発芽適温:約20度
発芽日数:28日
発芽条件:
アネモネの種まき手順
- ポットに種まき用の培養土を準備するか、直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 種の上に薄く土を被せます。
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。