- 原産:コーカサス地方/イラン/アフガニスタン/パキスタン/タジキスタン/インド/ネパー/中国
- 科:モクセイ(Oleaceae)
- 属:ジャスミン(jasminum)
- 種:ソケイ(jasminum officinale)
- 別名::ジャスミン/コモンジャスミン(common jasmine)
- 開花時期:5月~10月
- 花の色:桃色●白色〇
- 葉の色:緑色●黄色●
- 香り:花
- 分類:落葉ツル性木本
- 登攀方法:巻き付き茎
- 草丈:約400~800cm
- 誕生花:9月19日/10月23日
- 花言葉:優美/可憐/官能的/愛らしさ/愛想のよい
- 用途:開花期間長い/カラーリーフ/壁面緑化/香りが良い
目次 | ||
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花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ソケイとは!?
ソケイは学名jasminum officinale、一般的に「ジャスミン」と呼ばれる場合はこの種をさしており別名「コモンジャスミン(common jasmine)」とも呼ばれる落葉ツル性低木です。ジャスミンはコーカサス地方・イラン・アフガニスタン・パキスタン・タジキスタン・インド・ネパール・中国が原産で、またヨーロッパやアフリカ、西インド諸島等に広く帰化しています。
ソケイの語源(由来)
- 属名のjasminumは、ペルシャ語で「神からの贈り物」「神の贈り物」を意味する「yasmin」からきており、アラビア語とヘブライ語ではジャスミンを意味しています。
- 種小名のofficinaleは「役に立つ」を意味しています。
- ソケイ(素馨)の由来は諸説ありますが、中国にいた素馨と言う名の女性が、亡くなった後に葬られた場所から、ソケイの花が咲き何時までも香り続いたという伝説からきていると言われています。
- また一説には、花の色が白色(素)で花に良い香り(馨)があるという意味から「素馨(ソケイ)」になったという説があります。
ソケイの特徴(魅力)
- ソケイは、非常に多花性で、株を覆うように花を咲かせる事から、開花期は紙吹雪を連想させるような美しい景観をつくります。また花には香水にも利用される強烈な香りがあり、香りは数メートル先まで漂うため、香りを楽しむ目的で育てられる事も多い植物です。
- 園芸では、心地よい香りのある花を鑑賞する目的や、ツルをトレリスなどに絡ませて壁面緑化などとして利用する目的で育てられます。
- 樹形はツル性、茎は基本的に自立せず、他の植物や物体に接触すると茎先端が旋回するように動き、茎を巻き付けて体を固定します。
- そのため、トレリスやオベリスク等の資材を準備して育てる必要があります。
- 花の香りは非常に強く、開花期には数メートル先まで香りが届きます。香りは官能的で刺激的な蜂蜜のような甘い香りがあり、催淫作用や気分の高揚などの効果があるとされている事から、花を収穫してベットの周りに散らしたり、花瓶に生けてベットの横に飾り楽しまれたりします。
- ジャスミンは「バラ」「スズラン」と並んで、三大フローラルと呼ばれており、人気が飛び抜けて高い香りの1つです。そのため香りを調合して香水としてよく利用されており、また花から精油を抽出してアロマオイルとして利用されたりもします。
- 葉は小葉が3個~9個集まり羽状に広がる形から、レースの編み物の様な繊細な印象を与えます。
- 葉(小葉)は細長く長さ約0.5~4.5cmあり、先端が尖るため洗練された印象を与えます。
ソケイの樹形はツル性(巻き付き茎)、茎の長さは約400(~800)cm、茎の色は緑色もしくは赤みを帯び、成熟すると木質化して灰色になります。※巻き付き茎は茎頂が物体に接触すると、茎の先端が旋回するように動き、他の植物や物体に茎を巻き付けて体を固定します。
葉序は対生葉序、葉色は緑色、葉柄はあり、葉身は羽状複葉、羽状複葉は小葉が3(~9)個、小葉の長さ約0.5(~4.5)cm、小葉の形は披針形もしくは卵形、小葉の先端は鋭尖形に尖ります。
花序は頂部に複数の花が集まり散形花序につくか集散花序につきます。花は筒状、先端は平に平開して直径約2cm、花の裂片は4(~5)個、花色は白色もしくは桃色をしています。
果実は液果(果皮のうち特に中果皮が水分を多く含む細胞になり液質もしくは多肉質な果実)、液果は直径約1cm、形は球形または楕円形、色は暗紫色です。
ソケイの園芸品種の紹介
- フィオナサンライズ(jasminum officinale ‘fiona sunrise’)は、葉全体が鮮やかな黄色(~黄緑色)の葉色をしているため、春から晩秋にかけてお庭の雰囲気を明るくしたりカジュアルで開放感を感じさせたりするイエローリーフとして楽しむ事が出来る園芸品種です。花は直径約2cm、花の形は筒状で裂片は4~5個あり、花色は白色です。樹形はツル性、高さ約300~600cmに成長します。
- ホワイトプリンセス(jasminum officinale ‘white Princess’)は、四季咲き性が強いため花が長く楽しめる所が魅力です。また花の直径が大きいため、普通より華やかな印象や豪華な雰囲気を作りやすいとこが特徴の園芸品種です。樹形はツル性、高さ約200~300cmに成長します。
- クロテッドクリーム(jasminum officinale ‘clotted cream’)は、カスタードなどの甘いクリームを連想させるような薄い黄色の花色が魅力の園芸品種です。花は直径約2cm、花の形は筒状で裂片は4から5個あり、花色は薄い黄色です。樹形はつる性、高さ約200~400cmに成長します。
- 班入りジャスミン(jasminum officinale ‘Argenteovariegatum’)は、葉のふち部分に黄色の班(覆輪)が入るため、春から晩秋にかけてお庭の雰囲気を明るくするカラーリーフとして楽しめる園芸品種です。花は直径約2cm、花の形は筒状で裂片は4~5個あり、花の色は白色です。樹形はツル性、高さ約300~500cmに成長します。
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ジャスミンの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ジャスミンの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
ソケイの育て方
花壇の土づくり
日当たり
ソケイは成長するために多くの光を必要とするため、基本的には直射日光が6時間以上あたる日向で育てましょう。また直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。
作土層
ソケイがしっかり根を張り健康な成長するには、十分な深さの作土層(表層にある柔らかな土)が必要です。苗(根鉢)の1.5~3倍の深さまでスコップを使い穴を掘り、根張りを邪魔したり保水性や栄養の保持を悪くする石やゴミ等を取り除いておきましょう。
土壌の土質
ソケイは基本的に土質を選びません。土壌の通気性が良ければ幅広い土壌で育てることが出来ます。植え付けの前に土壌診断を行い通気性がよく適度に肥沃な土壌をつくりましょう。
- 土を掘る時に土が硬い場合は作土層が十分でない可能性があります。
- スコップで土を深くまで掘り返し石等を取り除きます。
- 適度に濡れた土を、手にとり握って土塊を作り、通気性・保水性などを診断します。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 保水性を改善したい場合は保水性を高める用土(堆肥や黒土など)を入れると良いでしょう。
- 手のひらを開いても土の塊は崩れず、土塊を軽く指で押すと崩れる場合は通気性と保水性のバランスが良い壌土に近い土壌です。幅広い植物に向く土壌です。
- 植物に合わせて保水性を好む植物であれば保水性を高める用土(黒土なバーミキュライト等)を入れたり、乾燥を好む植物であれば排水性や通気性を高める用土(川砂やパーライトなど)を入れましょう。
- 手のひらを開いても土の塊が崩れず、指で押しても崩れる感じがない場合は粘土質で水捌けが悪い土壌の可能性があります。必要に応じて排水性・通気性を高める用土(川砂・パーライト等)を混和しましょう。
- 手のひらを開き土の塊がバラバラと崩れる場合は通気性と排水性の高い砂壌土や砂土に近い土壌です。栄養の乏しい土壌や乾燥に強い植物にむきます。
- 土壌に入る有機物の量を診断しましょう。土の色を見て、有機物が沢山入る肥沃な土の場合は有機物(腐植)が多く含むため土の色が黒っぽくなります。一方で有機物(腐植)が少ない場合は土の色が薄くなります。
- 土壌の状態とバランスを見ながら、2割から3割を目安に堆肥(腐葉土・バーク堆肥等)を土壌に混和しましょう。
鉢土づくり
日当り
ソケイは直射日光が6時間以上あたる日向から直射日光が3時間から5時間の半日影までで育てられます。花は日当たりの良い場所で最もよく開花しますが、夏の暑さが厳しい地域では半日影に移動した方が良いでしょう。
培養土
ソケイの培養土を自作する場合は通気性と保水性のバランスが良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
赤玉土+鹿沼土+腐葉土=4:2:4
赤玉土(中粒)+バーク堆肥=5:5
水やりの仕方
地植え
ソケイは乾燥に強いため、地植えしている場合は極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。
鉢植え
ソケイを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ソケイは花をしっかり咲かせるために適切な時期に肥料をしっかり与える事が大切です。肥料は晩冬から早春に寒肥として1回、花後にお礼肥として1回、計2回行います。寒肥は春に出てくる新しい芽の成長をより促す目的で与えられます。お礼肥は花を咲かせるために消費したエネルギーを回復させて株の充実をはかり翌年も花を沢山咲かせて貰うために与えます。
寒肥と堆肥の与え方
- 寒肥は晩冬から早春に与える肥料です。
- 肥料の種類は、肥沃な土を好むため有機肥料(配合肥料)が理想ですが、緩効性肥料でも問題ありません、成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)を選びましょう。
- 寒肥は株元から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れるか置き肥しましょう。
- 有機肥料の場合は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離した場所に穴を掘り肥料を与えた方が良いでしょう。
- 緩効性肥料の場合は株の近くの土の上に置く、置き肥で問題ありません。
- 堆肥とは有機物が微生物により分解された肥料もしくは土壌改良材です。生態サイクルのない庭の花壇や鉢植えは、風雨や微生物の働き等により、土壌が年々劣化していき土が硬くなったり水はけが悪くなったりします。堆肥には【化学性・物理性・生物性】を高める効果があり、劣化した土を肥沃(植物の生育がよく生産性が高い土)な土に変える働きがあります。
- 堆肥は寒肥を与える時期(初冬から早春の間)に、寒肥と一緒に与えると良いでしょう。株から少し離れた場所に堆肥(腐葉土もしくは牛糞堆肥等)を盛ってマルチングするか、穴を掘って堆肥を埋めましょう。
お礼肥の与え方
- お礼肥は開花後に行います。
- お礼肥は翌年の開花のため株を充実させる目的で有機肥料(発酵油カス)もしくは配合肥料を与えると良いでしょう。追肥に近いため、効果が早く出る発酵済みのものがおすすめです。
- 有機肥料は匂い等で虫がよってくる可能性があるため、株から少し離れた場所に穴を掘り肥料を入れて土を上から被せましょう。
剪定のやり方
ソケイは基本的に剪定せずに育てる事が出来ますが、剪定を行わずに育てると、生産性の悪い古い茎が残り花や葉の数が減ったり、枝分かれが少なくなり壁面の被覆能力が落ちたり、範囲を逸出して歩道に茎が飛びてて邪魔になったりします。そのため必要に応じて剪定が必要になる場合があります。
ソケイは茎が基本的に自立しないため巻き付くための園芸資材を準備してあげる必要があります。自らで茎を巻き付けて成長するため基本的に誘引は不要ですが、希望の場所に這わせたい場合は茎を誘引する事も出来ます。
ツル誘引の目的と方法
ソケイは自らの茎を他の植物や物体に螺旋状に巻き付けて体を固定します。そのため、茎を巻き付けやすい園芸資材を準備してあげる必要があります。
園芸資材は、トレリスやフェンス等がおすすめです。ツルを這わせる資材を準備しておけば、自らの力で茎を固定して成長するため誘引は不要です。
資材:ネット/トレリス/アーチ/バーゴラ/ガゼボ/オベリスク/壁面ワイヤー/フェンス
ソケイの剪定方法
- ソケイの剪定を行う場合は花後すぐに行いましょう。
- 秋以降に剪定を行うと花芽を切ってしまい翌年の開花に悪影響を与える可能性があります。
- 株全体を観察して【枯れ枝・損傷した枝・病気の枝】などを剪定して取り除きます。
- 枯れ枝はいつでも剪定して取り除く事が出来ます。
- 剪定は基本的に不要と言うことを踏まえて不要な枝を剪定しましょう。
- 株全体を観察して間違った方向に伸びた枝を枝分かれさせたい部分の芽で剪定もしくは誘引しなおしたり、絡み合い茎が混雑している部分を必要に応じて間引き剪定して枝の数を減らしたり、生産性の落ちた古い枝を根元から間引き剪定もしくは枝分かれさせたい部分の芽で剪定します。
- 健康な芽の上で剪定すると枝分かれしやすい為、枝分かれさせたい場所で剪定すると、ふさふさとした樹形となりやすいです。
- 株全体を観察して間違った方向に伸びた枝を枝分かれさせたい部分の芽で剪定もしくは誘引しなおしたり、絡み合い茎が混雑している部分を必要に応じて間引き剪定して枝の数を減らしたり、生産性の落ちた古い枝を根元から間引き剪定もしくは枝分かれさせたい部分の芽で剪定します。
冬越しする方法
Hardiness:7b~11a
ソケイは軽い霜であれば耐えられるため、暖地や平地であれば地植えで育てることが出来ます。ただし強い霜が降りる地域では枯れてしまう事もあるため、必要に応じて冬越し対策が必要になります。
冬越し対策方法
- 軽い霜が降りる地域であらば、霜対策として腐葉土などでマルチングをしたり、不織布などを被せるとよいでしょう。
- 支柱を立ててビニールを被せるとより対策効果が上がります。
- 鉢植えで育てている場合は、霜の当たらない軒下に移動したり、凍結が心配な場合は屋内や温室に移動したりするとよいでしょう。