原産:ウクライナ/イラン/コーカサス地方
科:ナデシコ(Caryophyllaceae)
属:カスミソウ(Gypsophila)
種:エレガンス(elegans)
別名:カスミソウ・エレガンス/アニュアル・べビーズブレス(annual baby’s-breath)/ショウイー・べビーズブレス(showy baby’s breath)
開花時期:5月~8月
花の色:桃色●赤色●白色〇
葉色:緑色●
分類:一年草
草丈:約20~50cm
誕生花:4月1日/5月21日
花言葉:幸福/親切/感激/感謝/無邪気/清らかな心
用途:切り花
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
カスミソウとは!?
カスミソウは学名Gypsophila elegans、別名では「ベビーブレス」や「ショウイー・べビーズブレス(showy baby’s breath)」とも呼ばれるウクライナ及びイラン、コーカサス地方が原産の一年草です。
カスミソウの語源(由来)
- 属名のGypsophilaは、ギリシャ語で「石膏」を意味する「gypsos」と、接尾辞で「最愛の」「親愛の」を意味する「-phila」の2語からきており、自生している場所に由来しています。
- 種小名のelegansはラテン語で「エレガント」「上品」を意味しています。
カスミソウの特徴(魅力)
- カスミソウは茎が細く葉が目立たないため、枝分かれする細い茎と花だけのような外観となり、花姿は光をよく通し疎らにバランスよく開花するため霞(カスミ)を思わせる様な幻想的な雰囲気を感じさせます。
- カスミソウは宿根カスミソウと違い一年草のため花を楽しんだあとは枯れていきます。
- 花は岐散花序、岐散花序は花(花軸)の下から対生に茎が出て、またその先端に花をつけた後、花軸の下から対生に茎をつける事を繰り返し花を咲かせる花序です。
- 一個一個の花の大きさは直径約1.5cm、花弁が5個あり一重咲きから八重咲きの品種まであります。
- 花色は一般的に清潔感を感じさせる白色ですが、可愛らしい印象を与える桃色の花や、華やかな印象を与える赤色の花もあります。
- 花は収穫して切り花やドライフラワーなど、フラワーアレンジメントの素材として利用されます。
- 切り花としては管理の仕方にも左右されますが約7~14日の日持ちがあります。
- ドライフラワーとしては乾燥後も型崩れや色褪せがしにくくふんわりとしたボリュームある外観を長く保つため、柔らかな印象を与えるフラワーアレンジメントとして利用できます。
- フラワーアレンジメントとして花束やブーケ等に利用すると、ふんわりとしたボリュームと質感を与え、他の花を引き立てるようによく調和します。
- 新鮮な花を着色液に漬け込んでブリザードフラワーにすると綺麗な花色のまま長く楽しむ事ができます。
- カスミソウは花言葉に「幸福」「無邪気」「感謝」等があるため花束などによく利用されており、またウェディングブーケにもよく入れられています。
- 海外では赤ちゃんを出産した母親に贈る花として知られており英名「baby’s breath」の由来にもなっています。
- カスミソウは春に種を撒き花を楽しんだ後は生育が衰えていき枯れていく一年草です。
カスミソウの茎は緑色、茎は直立して上部で分枝する草姿を作り、高さ約20(~50)cmの間で成長します。葉は茎に対して対生葉序に配置され、葉色は緑色、葉身の大きさは長さ約1.5(~7)cm幅約0.3(1.6)cmあり、葉身の形は披針形か線形です。花序は岐散花序で、個々の花の大きさは直径1.5cm、花弁の色は白色もしくは桃色や赤色で花弁の数は5個、雄蕊は10個、雌蕊があります。花後の果実は蒴果で熟すと4つに裂けて黒色の種子を放出します。
開花時期は晩春から晩夏、花色は白色もしくは桃色や赤色があり、個々の花は直径1.5cmの5数花(花弁5個)もしくは八重咲きして、花序は岐散花序に咲きます。草姿は直立して上部で分枝して高さ約20(50)cm × 幅は約20(50)cmまで成長します。葉色は緑色、葉形は線形もしくは披針形、葉序は対生葉序につきます。
カスミソウの切り花の楽しみ方
- 切り花の収穫は朝の涼しい時間帯におこないましょう。
- カスミソウは収穫すると蕾が開きにくいため出来るだけ花が開いている物を選んで収穫します。
- 水揚げは水切りもしくは湯揚げを行います。
- 花瓶に水と延命剤を入れて花を生けます。
- 延命剤の効果により蕾が開きやすくなるため日持ちが延長されます。
- 花はエチレンの感受性が高く花弁が落ちる等の影響を受けやすい事からエチレンガスが出やすい果物やタバコの煙等から離して飾った方が良いでしょう。
- 管理は数日ごとに水切りもしくは湯揚げを行い、同時に水を替えて清潔な環境を保ちましょう。
- 日持ちは管理の仕方で変わりますが約7~14日です。
水切り
水切りとは茎の根元を水の中に浸けた状態で、茎の根元から上に約1~5cmの部分でハサミを使い斜めにカットして、吸水面を広げ水揚げしやすくする方法です。水の中で切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。※導管に気泡が入ると水揚げが悪くなり萎れやすくなります。
湯揚げ
湯揚げとは約80度に沸騰させたお湯に切り花の切り口をつけて、内部の気泡を膨張させ外に押し出し、水揚げをよくする方法です。
①湯上げする際は熱や水蒸気が余計な部分に当たらないように切り花の下部(約20cm)を残して花全体を新聞紙で包みます。
②切り花をお湯につけた後は冷水に浸ける必要があるため、予めバケツ等に冷水を入れて準備しておきましょう。
②鍋で沸騰させたお湯(約80度)に約30秒ほど切り花の切り口をつけましょう。
③お湯に浸け終わったら予め準備しておいた冷水に浸けて2時間程度水揚げを行います。
④水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い再度花瓶に生けて楽しみます。
カスミソウのドライフラワーの作り方
- カスミソウの収穫は乾燥が続く日の朝(朝露が消えた後)に行いましょう。
- カスミソウは収穫した後に蕾が開きにくいため開花が最高のタイミングで行います。
- 茎を好みの長さで剪定ハサミで切って収穫して出来るだけ葉を取り除きましょう。
- 収穫した花はハンギング法で乾燥させるのが一般的です。またこれ以外にも水の入っていない深めの花瓶に挿して花を楽しみながら乾燥させる方法もあります。
ハンギング法
ハンギング法とは、植物を壁や天井等から吊り下げて自然乾燥でドライフラワーをつくる方法です。ハンギング法は最も一般的に利用されるドライフラワーを作る手順で、用意する物も花材以外には殆ど要らず手軽に作れる所が魅力です。手順は花の茎の下部を固定する物(麻紐・洗濯バサミ等)で抑えて、逆さにし壁や天井から吊り下げます。管理する場所は基本的に直射日光の当たらない涼しく乾燥した場所です。乾燥させる時間は2~4週間程度で、自然乾燥させます。
カスミソウのプリザーブドフラワーの作り方
カスミソウは、花や茎を漬け込むタイプの溶液でもプリザーブドフラワーを作成する事が出来ますが、花が小さいカスミソウは吸い上げタイプのプリザーブドフラワー溶液(リーフ液・Mysty)でも作成する事が出来ます。
吸い上げタイプのプリザーブドフラワー溶液のいい所は、漬け込みタイプと比べて作業工程が少なく、切り花感覚でプリザーブドフラワーをつくる事が出来て、また茎も残るためフラワーアレンジメントなどにも使いやすい所が魅力です。
溶液の種類:Mysty(ブランチー)/リーフ液
必要な道具:コップ等(切り花と溶液を入れる)/ハサミ/キッチンペーパー
- 新鮮な花を準備しましょう。
- 新鮮な花ほど水分と溶液の置換が上手くいくため、庭から花を収穫してつくる場合は朝または夕方に花を収穫します。
- 既に切り花になっているものは水揚げを行い、花材に水分を上げてから使用しましょう。
- 花ごとの水揚げ方法については切り花の種類と水揚げ方法からご覧ください。
- 作業場を整えます。
- 作業中は溶液が飛び散り床や台が汚れる事が考えられるため、作業する場所は新聞紙などを敷いて床・台を保護しましょう。
- 花材の下準備をします。
- 花や茎葉の種類に応じて水揚げがしやすいように下処理(水切り・根元割りなど)を行いましょう。
- 詳しくは切り花の種類と水揚げ方法からご覧下さい。
- 花や茎葉の種類に応じて水揚げがしやすいように下処理(水切り・根元割りなど)を行いましょう。
- 容器の中に着色液を入れて花材を挿します。
- 容器の中に花材の切り口が浸かる程度の量の溶液を入れます。
- 花材の切り口を溶液の中に浸します。
- 花材が溶液を吸い上げて溶液が減ってきたら、その都度少しずつ溶液を継ぎ足しましょう。
- 溶液を多めに入れると、時間とともに溶液の中の水分が蒸発して濃度が高くなり、溶液の吸い上げが悪くなったりするため、少量でやり繰りした方がよいでしょう。
- 着色する時間は環境などによっても変わりますが数日から数週間です。
- 着色が終了したら。
- 花材の着色が終わったら着色液から花材を取り出して着色液に浸っていた部分を綺麗にしましょう。綺麗にする方法は切り口付近を拭くか洗うか切り取りましょう。
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カスミソウの栽培方法
園芸では、ふんわりとした草姿と花姿を鑑賞する目的で、花壇の前面や中央部に並べて植えられ楽しまれたり、切り花として利用する目的で育てられたりします。花壇に並べて楽しむ際は、種まきする時期を1~2週間毎にずらすと連続して開花する花を見れるためおすすめです。
カスミソウの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
カスミソウの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
カスミソウの育て方
花壇の土づくり
日当り
カスミソウは日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。
作土層
カスミソウの根はとても深くまで張ります。そのため作土層は約30cm以上までしっかり耕してくおくと生育がよくなります。
土壌のPH
カスミソウは野生でも石灰質の岩場等に自生しており、PHは弱アルカリ性から中性の土壌を好みます。酸性土壌は生育不良を引き起こすため避けましょう。植付け前にPHを診断して、PHが低い場合は苦土石灰を入れる等してPHが6.5以上になるようにPHの改善を行いましょう。
土壌の土質
カスミソウは通気性と排水性が良好な土壌を好みます。一方で土壌が粘土質で水捌けが悪い場合等は根腐れを引き起こしやすくなるため注意が必要です。そのため植付け前に土壌診断を行い、土質が粘土質な場合等は川砂やパーライト等を入れて通気性をよくしましょう。また適度に肥沃な土壌を好むため必要に応じて腐葉土等の堆肥を入れて土壌改善を行います。
鉢土づくり
日当り
カスミソウは日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。ただし長雨が当たると根腐れや病気を引き起こす原因にもなるため、必要に応じて雨の当たらない場所(軒下等)に移動します。
培養土
培養土は酸性土壌を嫌うため、PH中性以上の通気性の高い草花の培養土を選びましょう。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土+くん炭=4:2:3:1
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土+苦土石灰(適量)=4:3:3:
培養土作成時の注意点
カスミソウは酸性土壌を嫌うため、培養土にアルカリ性のくん炭や草木灰等を混ぜこむか、苦土石灰を混ぜ込む必要があります。
苦土石灰を混ぜ込む量は培養土の土質にも左右されますが、カスミソウは砂質の土壌を好むため恐らく砂土に近い培養土を使っているはずです。
砂土のPHを1上げるには培養土10Lに対して苦土石灰10~15g程度を目安に使用します。基本的には1Lあたり1~1.5gの苦土石灰を混ぜ込むとよいでしょう。ただし培養土を強い酸性に傾ける無調整ピートモスや鹿沼土を利用した場合は話しが変わります。そのため培養土に使う用土は中性のものを利用する事がおすすめです。
水やりの仕方
地植え
カスミソウを地植えしている場合は乾燥に強いため、極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。 ただし葉や花が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
カスミソウを鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。土の表面の乾燥を確認する方法は目視(土の色)か、指の第1関節までを土に入れて乾燥しているかを確認します。
水やり時の注意点
カスミソウは浸水したり長期間にわたりジメジメする様な土壌を嫌います。何故なら根腐れしやすくなるからです。そのため、水やりは土がきちんと乾燥しているか確認しながら行い、長雨が続く場合等は軒下等に避難させましょう。
肥料の与え方
カスミソウは栄養の乏しい土壌でも育ち、基本的にそれほど肥料を必要としません。逆に肥料が多すぎると徒長して倒伏しやすくなったり病気にかかりやすくなるため注意が必要でしょう。
元肥の与え方
元肥は植え付け時に与える肥料の事です。カスミソウの元肥は肥効が長い緩効性肥料を選びましょう。また成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)もしくは山型肥料(リン酸が多い)を選びます。
元肥の与え方は花壇の場合も鉢植えの場合も、基本的に土壌に均一に混ぜこむ全面施肥です。
おすすめの元肥
播種で増やす
カスミソウの種蒔の方法
播種時期:3月~5月・9月~10月
発芽適温:約20度
発芽日数:7~21日
発芽条件:
種まき手順
- ポットに種まき用の培養土を準備するか、直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。