原産:中央・東ヨーロッパ
科:ナデシコ(Caryophyllaceae)
属:カスミソウ(Gypsophila)
種:宿根カスミソウ(paniculata)
別名:コゴメナデシコ/ハナイトナデシコ/ジプソフィラ・パニキュラータ/コモン・ジプソフィラ(common gypsophila)/ベビーズ・ブレス(baby’s breath)/パニクルド・べビーズブレス(panicled baby’s-breath)
品種:サマースパークレス(summer sparkles)
開花時期:5月~8月(開花調節により周年供給される)
花の色:白色〇
葉色:緑色●
分類:多年草
草丈:約60cm
誕生花:4月1日/5月21日
花言葉:幸福/親切/感激/感謝/無邪気/清らかな心
用途:切り花
目次 | ||
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
宿根カスミソウ(サマースパークレス)とは!?
宿根カスミソウ(サマースパークレス)は夏に生育が衰える多くのカスミソウとことなり、夏の間も沢山の八重咲きする花を咲かせます。草姿は横へと大きく広がる傾向があり高さ60cm幅が120cmまでと雲の様に広がります。
宿根カスミソウ(サマースパークレス)は花壇に植えるとふんわりとしたドーム状の草姿が作られる事から立体感やボリュームが生まれ、また鉢植えで育てると鉢の縁部分から溢れるように盛り上がる草姿が見られます。株を覆い尽くす様に咲く白色の花は、光を反射して明るい雰囲気をつくる白色の花は、神聖な物(天使等)や清潔感を感じさせるため、上品で綺麗な雰囲気のお庭等によくあうでしょう。
開花時期は晩春から晩夏、花色は白色、個々の花は八重咲きして、花序は岐散花序に咲きます。草姿は直立して上部で分枝して高さ約60cm × 幅は約120cmまで成長します。葉色は緑色、葉形は線形もしくは披針形、葉序は対生葉序につきます。
宿根カスミソウとは!?
宿根カスミソウは学名Gypsophila paniculata、別名「ジプソフィラ・パニキュラータ」や「ベビーズ・ブレス(baby’s breath)」とも呼ばれる中央・東ヨーロッパ原産の多年草です。
宿根カスミソウの語源(由来)
- 属名のGypsophilaは、ギリシャ語で「石膏」を意味する「gypsos」と、接尾辞で「最愛の」「親愛の」を意味する「-phila」の2語からきており、自生している場所に由来しています。
- 種小名のpaniculataは「円錐花序」「花穂」を意味する「pānicula」と接尾辞からなり、花姿に由来します。
宿根カスミソウの特徴(魅力)
- 宿根カスミソウは宿根の名前からも分かる多年草タイプのカスミソウです。
- 宿根カスミソウは基部付近で枝分かれして高さ幅共に最大120cmまで広がる草姿をつくります。
- 細い茎と細く目立たない葉はふんわりした風通しのよい空間をつくり白色の花が開花すると「雲」を思わせる様な花姿をつくります。
- ↳そのため宿根カスミソウは他の花と組み合わせやすく主役を目立たせる最高の引き立て役として働きます。
- 宿根カスミソウは細く枝分かれする茎にスプレーを吹きかけたかのように小さな花を多数つける可憐な花姿が魅力です。
- 宿根カスミソウは切り花やドライフラワーやフラワーアレンジメントの花材として非常に高い人気があります。
- 切り花としては管理の仕方にも左右されますが約7~14日の日持ちがあります。
- ドライフラワーとしては自然乾燥させるか着色液で染めてブリザードフラワー等にして楽しまれます。
- 宿根カスミソウはウェディングに非常によく利用される花材です。
- また海外では赤ちゃんを出産した母親に贈る花として知られており英名「baby’s breath」の由来にもなっています。
- ↳花言葉もそれに準じて「幸福」「無邪気」「感謝」等と非常によいものが並びます。理由を問わず大切な人に贈る花束に最適です。
- 宿根カスミソウはの根は直根で最大4mまで伸びます。
宿根カスミソウの根は直根で非常に深くまで張り長さが4mに達する事があります。茎の色は緑色、茎は多くの場合で基部近くで枝分かれしており基部から茎が何本も伸び、また分枝がよく高さ幅ともに最大(30~)120cmまで広がる草姿をつくります。葉は茎に対して対生葉序に配置され、葉色は緑色、葉身の大きさは長さ約2(~9)cm幅約0.2(1.0)cmあり、葉身の形は披針形か線形です。花序は岐散花序で、個々の花の色は白色・桃色・赤色・紫色があり花弁の数は5個もしくは八重咲きします。花後の果実は蒴果で熟すと4つに裂けて黒色の種子を放出します。
宿根カスミソウの切り花の楽しみ方
- 切り花の収穫は朝の涼しい時間帯におこないましょう。
- カスミソウは収穫すると蕾が開きにくいため出来るだけ花が開いている物を選んで収穫します。
- 水揚げは水切りもしくは湯揚げを行います。
- 花瓶に水と延命剤を入れて花を生けます。
- 延命剤の効果により蕾が開きやすくなるため日持ちが延長されます。
- 管理は数日ごとに水切りもしくは湯揚げを行い、同時に水を替えて清潔な環境を保ちましょう。
- 日持ちは管理の仕方で変わりますが約7~14日です。
水切り
水切りとは茎の根元を水の中に浸けた状態で、茎の根元から上に約1~5cmの部分でハサミを使い斜めにカットして、吸水面を広げ水揚げしやすくする方法です。水の中で切るため導管内に気泡が入りにくいメリットがあります。※導管に気泡が入ると水揚げが悪くなり萎れやすくなります。
湯揚げ
湯揚げとは約80度に沸騰させたお湯に切り花の切り口をつけて、内部の気泡を膨張させ外に押し出し、水揚げをよくする方法です。
①湯上げする際は熱や水蒸気が余計な部分に当たらないように切り花の下部(約20cm)を残して花全体を新聞紙で包みます。
②切り花をお湯につけた後は冷水に浸ける必要があるため、予めバケツ等に冷水を入れて準備しておきましょう。
②鍋で沸騰させたお湯(約80度)に約30秒ほど切り花の切り口をつけましょう。
③お湯に浸け終わったら予め準備しておいた冷水に浸けて2時間程度水揚げを行います。
④水揚げが終わったら必要に応じて水切りを行い再度花瓶に生けて楽しみます。
おすすめの延命剤
宿根カスミソウのドライフラワーの作り方
- 宿根カスミソウの収穫は乾燥が続く日の朝(朝露が消えた後)に行いましょう。
- 宿根カスミソウは収穫した後に蕾が開きにくいため開花が最高のタイミングで行います。
- 茎を好みの長さで剪定ハサミで切って収穫して出来るだけ葉を取り除きましょう。
- 収穫した花はハンギング法で乾燥させるのが一般的です。またこれ以外にも水の入っていない深めの花瓶に挿して花を楽しみながら乾燥させる方法もあります。
ハンギング法
ハンギング法とは、植物を壁や天井等から吊り下げて自然乾燥でドライフラワーをつくる方法です。ハンギング法は最も一般的に利用されるドライフラワーを作る手順で、用意する物も花材以外には殆ど要らず手軽に作れる所が魅力です。手順は花の茎の下部を固定する物(麻紐・洗濯バサミ等)で抑えて、逆さにし壁や天井から吊り下げます。管理する場所は基本的に直射日光の当たらない涼しく乾燥した場所です。乾燥させる時間は2~4週間程度で、自然乾燥させます。
宿根カスミソウのプリザーブドフラワーの作り方
宿根カスミソウは、花や茎を漬け込むタイプの溶液でもプリザーブドフラワーを作成する事が出来ますが、花が小さいカスミソウは吸い上げタイプのプリザーブドフラワー溶液(リーフ液・Mysty)でも作成する事が出来ます。
吸い上げタイプのプリザーブドフラワー溶液のいい所は、漬け込みタイプと比べて作業工程が少なく、切り花感覚でプリザーブドフラワーをつくる事が出来て、また茎も残るためフラワーアレンジメントなどにも使いやすい所が魅力です。
溶液の種類:Mysty(ブランチー)/リーフ液
必要な道具:コップ等(切り花と溶液を入れる)/ハサミ/キッチンペーパー
- 新鮮な花を準備しましょう。
- 新鮮な花ほど水分と溶液の置換が上手くいくため、庭から花を収穫してつくる場合は朝または夕方に花を収穫します。
- 既に切り花になっているものは水揚げを行い、花材に水分を上げてから使用しましょう。
- 花ごとの水揚げ方法については切り花の種類と水揚げ方法からご覧ください。
- 作業場を整えます。
- 作業中は溶液が飛び散り床や台が汚れる事が考えられるため、作業する場所は新聞紙などを敷いて床・台を保護しましょう。
- 花材の下準備をします。
- 花や茎葉の種類に応じて水揚げがしやすいように下処理(水切り・根元割りなど)を行いましょう。
- 詳しくは切り花の種類と水揚げ方法からご覧下さい。
- 花や茎葉の種類に応じて水揚げがしやすいように下処理(水切り・根元割りなど)を行いましょう。
- 容器の中に着色液を入れて花材を挿します。
- 容器の中に花材の切り口が浸かる程度の量の溶液を入れます。
- 花材の切り口を溶液の中に浸します。
- 花材が溶液を吸い上げて溶液が減ってきたら、その都度少しずつ溶液を継ぎ足しましょう。
- 溶液を多めに入れると、時間とともに溶液の中の水分が蒸発して濃度が高くなり、溶液の吸い上げが悪くなったりするため、少量でやり繰りした方がよいでしょう。
- 着色する時間は環境などによっても変わりますが数日から数週間です。
- 着色が終了したら。
- 花材の着色が終わったら着色液から花材を取り出して着色液に浸っていた部分を綺麗にしましょう。綺麗にする方法は切り口付近を拭くか洗うか切り取りましょう。
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宿根カスミソウの栽培方法
園芸では、ふんわりとした草姿と花姿を鑑賞する目的で、花壇の前面や中央部に並べて植えられ楽しまれたり、また管理のしやすい鉢植えに植えて様々な場所で楽しまれたりします。その他にも、切り花やドライフラワー等に利用できる事から、これを収穫する目的で育てられたりもします。
カスミソウの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
カスミソウの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2022】
宿根カスミソウ(サマースパークレス)の育て方
花壇の土づくり
日当り
宿根カスミソウ(サマースパークレス)は日光のよく当たる場所で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。そのため基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で育てましょう。
作土層
宿根カスミソウ(サマースパークレス)の根はとても深くまで張ります。そのため作土層は約30cm以上までしっかり耕してくおくと生育がよくなります。
土壌のPH
宿根カスミソウ(サマースパークレス)は野生でも石灰質の岩場等に自生しており、PHは弱アルカリ性から中性の土壌を好みます。酸性土壌は生育不良を引き起こすため避けましょう。植付け前にPHを診断して、PHが低い場合は苦土石灰を入れる等してPHが6.5以上になるようにPHの改善を行いましょう。
土壌の土質
宿根カスミソウ(サマースパークレス)は通気性と排水性が良好な土壌を好みます。一方で土壌が粘土質で水捌けが悪い場合等は根腐れを引き起こしやすくなるため注意が必要です。そのため植付け前に土壌診断を行い、土質が粘土質な場合等は川砂やパーライト等を入れて通気性をよくしましょう。また適度に肥沃な土壌を好むため必要に応じて腐葉土等の堆肥を入れて土壌改善を行います。
鉢土づくり
日当り
宿根カスミソウ(サマースパークレス)は日当り好むため、基本的には直射日光が6時間以上当たる日向で管理しましょう。ただし長雨が当たると根腐れや病気を引き起こす原因にもなるため、必要に応じて雨の当たらない場所(軒下等)に移動します。
培養土
培養土は酸性土壌を嫌うため、PH中性以上の通気性の高い草花の培養土を選びましょう。自作する場合は通気性が良く適度に肥沃な培養土で育てましょう。
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土+くん炭=4:2:3:1
- 赤玉土(小粒・中粒)+パーライト+腐葉土+苦土石灰(適量)=4:3:3:
培養土作成時の注意点
宿根カスミソウ(サマースパークレス)は酸性土壌を嫌うため、培養土にアルカリ性のくん炭や草木灰等を混ぜこむか、苦土石灰を混ぜ込む必要があります。
苦土石灰を混ぜ込む量は培養土の土質にも左右されますが、宿根カスミソウは砂質の土壌を好むため恐らく砂土に近い培養土を使っているはずです。
砂土のPHを1上げるには培養土10Lに対して苦土石灰10~15g程度を目安に使用します。基本的には1Lあたり1~1.5gの苦土石灰を混ぜ込むとよいでしょう。ただし培養土を強い酸性に傾ける無調整ピートモスや鹿沼土を利用した場合は話しが変わります。そのため培養土に使う用土は中性のものを利用する事がおすすめです。
水やりの仕方
地植え
宿根カスミソウ(サマースパークレス)を地植えしている場合は乾燥に強いため、極端に乾燥する場合を除いて、基本的には降水のみで育てられます。 ただし葉や花が萎れている場合は直ちに水やりを行いましょう。
鉢植え
宿根カスミソウ(サマースパークレス)を鉢植えで育てる場合は土の乾燥が早くなるため、定期的な水やりが必要になります。基本的には土の表面(数cm)が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。土の表面の乾燥を確認する方法は目視(土の色)か、指の第1関節までを土に入れて乾燥しているかを確認します。
水やり時の注意点
宿根カスミソウ(サマースパークレス)は浸水したり長期間にわたりジメジメする様な土壌を嫌います。何故なら根腐れしやすくなるからです。そのため、水やりは土がきちんと乾燥しているか確認しながら行い、長雨が続く場合等は軒下等に避難させましょう。
肥料の与え方
宿根カスミソウ(サマースパークレス)は栄養の乏しい土壌でも育ち、基本的にそれほど肥料を必要としません。逆に肥料が多すぎると徒長して倒伏しやすくなったり病気にかかりやすくなるため注意が必要でしょう。
元肥の与え方
元肥は植え付け時に与える肥料の事です。宿根カスミソウの元肥は肥効が長い緩効性肥料を選びましょう。また成分は水平型肥料(肥料成分がバランスよく入る)もしくは山型肥料(リン酸が多い)を選びます。
元肥の与え方は花壇の場合も鉢植えの場合も、基本的に土壌に均一に混ぜこむ全面施肥です。
おすすめの元肥
剪定のやり方
宿根カスミソウ(サマースパークレス)は開花後に切り戻すと2番花が咲く事があります。必要に応じて切り花用の花を収穫して2番花を促すのも良いでしょう。
夏越しする方法
宿根カスミソウ(サマースパークレス)は夏の高温期になると生育が衰え、また多湿環境では根腐れ等を引き起こし枯れてしまいます。
宿根カスミソウ(サマースパークレス)の夏越し対策
- 鉢植えで育てている場合は、暑さと長雨対策として、西日の当たらない半日影や軒下等に移動するといいでしょう。
- 地植えで育てている場合は、株を弱らせない為に、必要に応じて遮光ネットを張るのも1つの対策です。
- 多湿に弱いため土壌の排水性を高めて、浸水しないようにしておく事も大切です。
冬越しする方法
Hardiness:4b~9a
宿根カスミソウ(サマースパークレス)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にありません。
挿し木や株分けで増やす
宿根カスミソウ(サマースパークレス)は挿し芽で増やすことが出来ます。
宿根カスミソウ(サマースパークレス)の挿し芽の手順
- 宿根カスミソウの挿し芽時期は生育が活発で発根力が高い晩春から夏が適します。
- 挿し穂は今年成長した部分を利用します。
- ↳長さ約7~10cmでカットした後に、茎の下部の3分の1の葉を取り除きます。
- 切り口に発根ホルモンを付けます。
- 挿し穂を湿らせた培養土に挿して下さい。
- 明るい日陰で土壌が完全に乾燥しない様に水やりをしっかり行い管理しましょう。
播種で増やす
宿根カスミソウの種蒔の方法
播種時期:3月~5月・9月~10月
発芽適温:約20度
発芽日数:7~21日
発芽条件:
種まき手順
- ポットに種まき用の培養土を準備するか、直播きする場所の土壌を整えます。
- 種を土に置き軽く押し込みます(鎮圧と呼ばれる方法で土と種の接着を高め水分の吸収をよくする)
- 播種後は乾燥すると発芽率が落ちるため、必ず土と種が乾燥しないように水やりを行い管理しましょう。
植物の病気
宿根カスミソウの病気
- 疫病
- 菌核病
- 立枯病
- 斑点細菌病
宿根カスミソウの害虫
- アブラムシ
- ハダニ