
原産:バルカン半島
科:モクセイ(Oleaceae)
属:ハシドイ(Syringa)
種:ブルガリス(vulgaris)
英名:ライラック(lilac)
別名:ムラサキハシドイ/コモン ライラック(common lilac)
品種:チャールズジョリー(charles joly)
開花時期:4月~6月
花の色:紫色●
葉色:緑色●
香り:花
分類:落葉低木
草丈:約360cm
誕生花:5月12日/5月17日/6月12日
花言葉:全体「思い出」「友情」「謙虚」/紫色「恋の芽生え」「初恋」/白色「無邪気」「青春の喜び」「若き日の思い出」
用途:カラーリーフ/背が高い花/香りが良い
花壇土 | 鉢土 | 水やり |
肥料 | 剪定 | 夏越し |
冬越し | 増やし方 | 病気 |
ライラック(チャールズジョリー)とは!?
ライラック(チャールズジョリー)は紫色の花弁が幾重にも重なり八重咲きして、円錐状に花が集まりボリューミーな花穂をつくる魅力的な園芸品種です。静かで優雅な雰囲気を漂わせる紫色の花は、高貴(貴族等)な印象を与えたり、ミステリアスな印象を与えるため、エレガントなお庭や格式の高そうなお庭等によく合うでしょう。
開花時期は春から初夏、花色は紫色、個々の花は筒状で花弁(裂片)が幾重にも重なり八重咲きして、花序は円錐状に花が集まり円錐花序に咲きます。樹形は高さは約360cm × 幅は約300cmまで成長します。葉色は緑色、葉身は卵形もしくは三角形か心形、葉序は対生葉序もしくは稀に輪生葉序につきます。
ライラックとは!?
ライラックは学名Syringa vulgaris、一般的にライラックと言うとこの種をさしており、別名「ムラサキハシドイ」や「コモン ライラック(common lilac)」とも呼ばれるバルカン半島原産の落葉低木もしくは小高木です。
ライラックの語源(由来)
- 属名のSyringaは古代ギリシャ語で「パイプ」や「チューブ」を意味する「syrinx」からきており、中空の枝に由来しています。
- 種小名のVulgarisはラテン語で「普通の」「ありふれた」を意味します。
ライラックの特徴(魅力)
- ライラックの魅力は円錐状に小花が集まり咲くボリューミーな花穂です。
- 花は香りがよく数mまで甘い香りを漂わせます。
- 切り花としての寿命は4~7日程度で部屋に飾ると甘い香りを充満させます。
- 幾つかの地域では花をデザートに添える物(ライラックシュガー等)として食べられる事があります。
- ライラックは成熟すると600cmまでの高さに達することがあります。
- ↳ただし一般的には古い茎等が剪定されるため遥かにコンパクトな樹形で管理されます。
- 葉はぽっちゃしたハートの様な形をしています。
- 幾つかの品種では黄色の班が入るためカラーリーフとして楽しめます。
- 落葉性のため冬になると葉が落ちます。
- ライラックは冬の寒さに強く夏の暑さがやや苦手です。
ライラックの茎は若い茎は緑色、成熟すると樹皮の色は灰色から灰褐色になります。樹形よく枝分かれして高さ約400~600cmまで成長します。葉は落葉性で、茎に対して対生葉序もしくは稀に輪生葉序に配置され、葉色は緑色もしくは1部品種で黄色の班が入り、葉身の大きさは長さ4(~12)cm幅約3(~8)cmあり、葉身の形は卵形もしくは三角形か心形をしています。花は数メートルまで漂う香りがあり、花序は長さ約7~18cmで円錐花序に花が集まり、個々の花は筒状で裂片が4個あります。花後の果実(蒴果)は長さ約1(~2)cmの扁平な楕円形で、果実は緑色から褐色に熟すと縦に二つに割れ、二つの種(翼果)を放出します。
ライラックの香りの特徴や成分
ライラックの花の香りは「フルーティ」や「甘い」等と表現される事が多く、香りは1mから数mまで漂う強い香りがあります。香りの由来となる精油は育つ環境や品種によってもことなりますが「オシメン」や「ライラックアルデヒド」等が含有しています。
ライラックの香りは遠くまで香る事から外でも楽しめますが、切り花として部屋に持ち込み楽しむ事も可能です。ただし密閉された部屋で、ライラックの花を沢山飾ると匂いが広がり充満して、あまりの強い香りに頭痛を感じてしまう人もいるようです。そのため換気をしたり、切り花の本数を減らすなどして注意した方がよいでしょう。
ライラックの切り花の楽しみ方

ライラックの切り花は大きくボリュームがあるため、お部屋に飾るだけで一気に華やかになります。またライラックの香りは強ついため、部屋に飾ると充満する甘い香りを楽しむ事が出来ます。ただし1部の人にとっては、強すぎる香りのため、頭痛を感じる事もあるようです。飾り過ぎなどには注意して、換気等にも気を使うといいかもしれません。
ライラックの切り花の収穫と水揚げ手順
- ライラックの収穫は朝の涼しい時間帯におこないましょう。
- 収穫の前に水を入れたバケツを準備しておきます。
- 収穫する花は、花が4分の3以上開いているものを探しましょう。
- ライラックを好みの長さで茎を切り収穫しましょう。
- 収穫したライラックはバケツに漬けて、葉を全て取り除くか、必要最低限の葉を残します。
- 根元割りを行います。
- 根元割りとは切り口に縦と横に十文字に切れ込みを入れる技法です。
- ↳根元割りで茎を四つに分割したら個々を捻り吸水部を外側に向けます。
- 冷暗所で1~2時間水揚げを行います。
- 水揚げが終わったら花瓶に生けて楽しみましょう。
- ↳日持ちは4~7日程度です。
ライラックの栽培方法
ライラックは大きくボリュームある花を鑑賞する目的だったり、1~数mまで漂う花の香りを楽しむ目的で育てられる事が多いですが、幾つかの品種で見られる斑入りの葉をカラーリーフとして楽しむ目的で育てられる事もあります。園芸品種には、紫色に白色の縁取りが上品で格式の高い着物を連想させる「ライラック(センセーション)」や、網目状に黄色の班が入る葉をカラーリーフとしても楽しめる「ライラック(アウクバエフォリア)」等があるため、作りたいお庭の雰囲気に合わせて園芸品種を選ぶといいでしょう。
ライラックを育てる際に注意する事は「極端な暑さ」です。ライラックは基本的には丈夫な植物ですが、暑さの厳しい地域では枯れ込んだり、花芽が上手くつかない等の生育不良を引き起こす可能性があります。そのため、地域によっては日向よりも午後から日陰になる涼しい環境に植えてあげた方が良いこともあるでしょう。
ライラックの主な種と園芸品種は下のリンクから紹介しています。
ライラックの珍しい種類、主な種とおすすめの園芸品種の紹介【2021】
ライラック(チャールズジョリー)の育て方
花壇の土づくり
ライラック(チャールズジョリー)は直射日光が6時間以上当たる日向で最もよく成長して沢山の花を咲かせます。ただし暑さの厳しい地域では3時間~5時間の半日陰を好む場合もあります。
ライラック(チャールズジョリー)は土壌のPH7前後の中性を好み、また有機物(腐植)が豊富に入る土壌を好みます。植付けの前に土壌診断を行い、土壌が白っぽかったり赤かったりして肥沃さを感じない場合は腐葉土等を入れたり、土が硬すぎたりバラバラと崩れる場合は、必要に応じて通気性を高める川砂や軽石等を入れたり、黒土や田土を入れ土壌改善を行いましょう。
鉢土づくり
ライラック(チャールズジョリー)は直射日光が6時間以上あたる日向、もしくは半日影で管理しましょう。
ライラックを鉢植えで育てる場合は矮性な品種を選び、また根を広げれるだけの十分な大きさの鉢植えを選びましょう。
培養土は通気性と保水性のバランスが良く肥沃な培養土を好みます。また中性の土壌を好むため強い酸性のピートモスや鹿沼土は避けた方がいいでしょう。
- 赤玉土6割+バーク堆肥4割+元肥(適量)
- 黒土(4割)+腐葉土(3割)+赤玉土(3割)+元肥(適量)
水やりの仕方
ライラック(チャールズジョリー)は地植えしている場合も、若い時は水やりをしっかりする必要があります。ただし一度根付くと乾燥に強くなるため、極端に乾燥する時期を除いて、基本的に降水のみで育てられます。
ライラック(チャールズジョリー)を鉢植えで育てる場合は、土の乾燥が早いためため、定期的な水やりが必要です。土の表面もしくは表層が乾いてきたタイミングで水やりを行うといいでしょう。
肥料の与え方
ライラック(チャールズジョリー)は肥沃な土壌であれば多くの肥料を必要としませんが、冬に肥料(寒肥)を施す事で恩恵をうける場合があります。
ライラックの肥料の与え方
- 肥料はライラックが休眠している冬に施肥します。
- 窒素成分が多いと開花に悪影響を与える可能性があるため、山型や水平型の肥料を選ぶとよいでしょう。
- ↳一般的な寒肥(有機配合肥料)で問題ありません。
- 栄養をよく吸収する根は枝先端の地面にある事が多いです。そのため枝下を目安にして穴を何ヶ所か掘り、寒肥を規定量いれます。
- また、土質は風雨等でどうしても年々劣化するため、寒肥と一緒に土質を改善する堆肥や腐葉土等も入れてあげるといいでしょう。
- 追肥は不要です。
剪定のやり方
ライラック(チャールズジョリー)は剪定せずに放置すると、枝が古くなり徐々に花の生産性が落ちたり小さな花ばかり咲かせる様になります。また基本的には5年以内の枝で最も沢山の花を咲かせます。そのため一般的には定期的に剪定が行われます。ただし背の低い矮性品種では剪定されない場合もあります。
ライラックの剪定手順
- ライラックの剪定は開花期間中もしくは開花後すぐに行います。何故なら剪定が遅くなると生成された花芽を切ってしまい翌年の開花に影響を与えるためです。
- ↳また剪定は早い程、新しい芽の成長やエネルギーを蓄える時間が増えるため翌年の開花がよくなります。
- 開花期間中の剪定は萎れた花や枯れた花を、花穂の下から剪定して取り除きます。こうする事で次の花に栄養がまわり持続的な開花が促されます。
- 開花が終わったら地面から出てくるシュート(蘖)を減らしましょう。基本的には成長が悪く、花の生産性が低そうな細いシュート(蘖)を地面から取り除き、健康的な太いシュートのみを残しましょう。また株の中心部から離れたシュート(蘖)も邪魔になるようであれば取り除きます。
- 花の生産性の落ちた古い茎(5年以上の枝)や病気の茎、形の悪い茎等も必要に応じて地面近くから強く切り戻して、新しい成長を促します。
- 樹高を抑えたい場合は希望の高さで、枝分かれした部分の直ぐ上や、外側の芽の上で剪定します。
- 単幹のライラックを若返らせたい場合は、3年かけて少しずつ切り戻し、地面付近からの新しい成長を促します。
冬越しする方法
Hardiness:3b~8a
ライラック(チャールズジョリー)は耐寒性が高く冬越しの準備をする必要は基本的にありません。
春からの成長に備えて株の周囲に穴を掘り寒肥(配合肥料)を入れたり、腐葉土を入れるかマルチングして上げましょう。
挿し木や株分けで増やす
ライラック(チャールズジョリー)は挿し木や接ぎ木、取り木によって増やす事ができます。
挿し木
ライラック(チャールズジョリー)は根がつきにくく乾燥しやすいため、挿し木で増やすのはやや難しい植物です。
挿し木時期は五月から六月です。新しく成長した健康な茎を選び切りとり、10~15cm前後で茎を切り分けましょう。上部にある葉を2枚程残し下部の葉は取り除きます。切り口に発根ホルモンを付け湿らせた培地に挿して下さい。
取り木(高取り法)
取り木(高取り法)とは茎が曲げにくい植物で行われる取り木の技法です。茎の1部に切れ込みを入れて剥がし湿った水苔等でくるんで発根させます。
- ライラックの取り木(圧条法)を行う時期は春が適します。
- 切れ込みを入れて発根させる場所を選びます。
- 取り木に利用する茎は鉛筆程度の太さのものがおすすめで、切る場所は葉の直ぐ下です。
- ナイフを使い、茎の3分の1の深さまで、斜めに上に向かい切れ込みを2箇所入れて、茎の肉質を取り除きましょう。
- 切り口の部分に湿らせた水苔を詰めて、茎の周りも湿らせた水苔で包みます。
- 乾燥対策のために、水苔の上からラップもしくはビニールを被せて、上下で紐で縛ります。
- 外から根が確認出来るようになるまで待ちます。
- 発根が確認出来たら、発根した部分の下から切り取って、新しい用土に定植します。